検診の重要性~野球肘の早期発見~
臨床医学研究室の三田です。
先日、整形外科超音波学会の学術集会に参加してきました。
参加者は整形外科医をはじめプロスポーツチームのメディカルドクター、理学療法士など様々で幅広い分野の研究報告を聞くことができました。
その中でも、特に興味深かった内容は青少年野球選手に対する肘の定期検診でした。
野球をはじめとするボールを投げるスポーツでは、投球動作のときに肘の骨と骨がぶつかりあって関節の中に骨の欠片が遊離することがあります。これを離断性骨軟骨症と呼びます。
症状が重度になると手術が必要となったり、肘の曲げ伸ばしがうまくいかなくなるやっかいな病気で青少年野球選手の約2~3%に発症するそうです。
この病気は早期発見できれば運動制限によって治癒することが期待できます。そのため、定期健診を行って症状が出る前に発見することがとても重要で、ドクターの中にはエコー機器を詰め込んだリュックを背負って地方を飛び回っている方もいるそうです。
会場からの質問では「チームの監督や親御さんは長期間の運動制限に納得してくれるのか?」という質問があり、筆者も共感できる質問でした。質問に対して演者は「最初の頃は理解を得にくかったが、近年は関係者が病気についてよく勉強してくれており、休養してくれる方が増えた」という回答をしており、改めて理解の醸成は大事だなと感じました。
ヒトと同様に競走馬においても初期の病態を捉えることで重篤な病気やケガの発症を防げることが近年報告されるようになってきました。このような予防医学を視野に入れた研究分野がますます発展できるように現場と協力しながらこれからも頑張っていきたいと思います!
追伸:最近の学会ではAIソフトで作成したイラストを発表に盛り込む先生が多くなってきました。この学会は沖縄県で行われたので、筆者もチャッピー(ChatGPT)にお願いして「検診されるシーサー」を描いてみました。