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第1群のブレーキング開始!(日高)

91日から3日にかけてサマーセールで購買した馬が入厩し、ブレーキング(騎乗馴致)を913日から開始しました。今年の騎乗馴致は例年通り3群に分けて実施します。その群分けは、馬体の発育や入厩日等を参考に実施しています。また、日高育成牧場で生産した馬7頭も来年の競走馬デビューを目指して、馴致を行いますが、生産馬はもう少し成長を待って11月頃から騎乗馴致を開始しようと思っています。

BTCの研修生もJRA育成馬8頭を用いて実際に馴致を行う等の研修を行っています。BTCの研修生はここで一度ブレーキングを体験し、年が明けたら実際にJRA育成馬を活用して騎乗実習を行います。まだ、人の技術が追いついていませんが、実際に競走馬になるJRA育成馬を用いて、その調教過程を自分の肌で体験することは、優秀なホースマンになる上で必ずや彼らの大きな財産になることと思います。

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BTC教官指導の下、馴致を体験するとともに見学して学びます。ローラー(腹帯)馴致までスムーズに終了し、ラウンドペンの中で教官がドライビングを行っているのを補助しています。馬はザフェイツの09(牡 父スクワートルスクワート)

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外でドライビングを行う前にラウンドペンの中で馬に前進気勢を与え、活発に動かすことは重要です(馬は同じ)。

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実際に育成馬にまたがるところまで研修します。横乗りを行い、騎乗者の体重に慣らしながら馬房内を動かします(馬は同じ)。

 JRA育成馬の馴致は、育成牧場管理指針にも記載しているとおり、まずラウンドペンで調馬索を行うところから開始します。日高育成牧場では、調馬索後、さらに常歩運動を負荷する目的でウォーキングマシンを歩かせ、さらに、放牧を行って馬体のリラックスを図っています。当初、私自身、ウォーキングマシンは機械的な強制運動であることから好きではなく懐疑的であったのですが、馬の運動量を増やすことができることや、意外に馬も退屈そうではないので、積極的に使用しようと考えています。現在は6km/時のスピードで馬が落ち着いて歩くことができるまで、2030分程度行っています。また、まだ青草も多く気候もよいので、調教後には草を食べさせますが、まだ成長過程のこの時期には地面に生えている青草の摂取によってメンタル面でも馬をハッピーにできると考えています。また、集団で放牧する群れを活用することで、集団調教への移行も容易になります。

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馴致後、ウォーキングマシンにいれて歩かせ、放牧地に向かいます。放牧地までの引き馬も騎乗にいたるまでの重要な馴致と考えています。

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馴致が終わった後、昼間放牧をしてリラックスを与えます。

今シーズンの育成馬24頭が揃いました(宮崎)

Big Dream Stables」宮崎育成牧場から、来年のJRAブリーズアップセールに向けた取り組み、在厩育成馬の情報などを随時発信します。今回は今シーズン馴致・育成する24頭の育成馬を紹介します。

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九州1歳市場で購買したルスナイオブトップの09(牝、父:ルールオブロー)。熊本県生産の同馬は、もう1頭の熊本産馬エイユーヴィーナスの09(牝、父:ロドリゴデトリアーノ)と共に811日に入厩しました。現在、人馬の信頼関係構築に努めつつ、様々な環境に慣らす初期馴致を順調に進めています。

94日、17頭の育成馬が宮崎育成牧場に入厩しました。これで既に入厩していた7頭とあわせて、今年育成する24頭(牡12、牝12)が揃いました。今年のラインナップはこちらをご覧下さい。この日入厩した育成馬は、北海道で開催されたセレクト・セレクション・サマーセールでJRAが購買し、北海道から46時間かけて輸送されてきた馬たちです。

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24頭のうち、最高価格で購買されたミラクルケープの09(牡、父:ゴールドアリュール)。セレクトセール後は日高育成牧場に入厩し、人馬の信頼関係構築に努めつつ、夜間放牧を実施してきました。

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ようやく宮崎に到着し、馬運車から降りる育成馬。写真はレディラックの09(牡、父:シニスターミニスター)。

まる2日間、車に揺られて宮崎に到着した育成馬は、輸送時の怪我の有無を確認してから自分の馬房でひと休みします。全国で猛暑日の報道がなされる今日この頃ですが、宮崎は例年程度の暑さに留まっており、風のある日には東京や北海道よりも「暑くない」と感じる日もあります。とはいえ、若馬にはこの環境の変化は大きくこたえるので、これから数日間は体温の変化や飼葉の食べ方など体調管理に細心の注意を払いたいとおもいます。

今回、輸送中に輸送性肺炎をおこした馬はいませんでした。軽度の発熱馬が3頭いましたが、宮崎到着日には全馬を昼放牧することができました。これは、調教などによるストレスを受けていない1歳馬は輸送に強いこと、輸送技術の向上や馬運車の性能がよくなり十分な換気ができるようになったこと、北海道から本州に渡る際に乗船したフェリーが揺れなかったことなどが要因にあげられます。特にフェリーに関しては、当初は熱帯低気圧の影響から大きく揺れるであろうと予想していたにも関わらず殆ど揺れることなく、非常に嬉しい誤算となりました。

今回入厩した17頭は、入厩翌日の95日から夜間放牧を開始しました。今後は馬の体格や成長度合いなどを考慮して2つの群に分け、騎乗馴致を順次実施していく予定です。次回の育成馬日誌で大きく成長した1歳馬たちの姿を報告できるよう、夏の暑さに負けずに頑張ろうと思います。

乳母と孤児の離乳(生産)

 1歳馬のセリシーズンは残すところオータムセールのみとなりました。本年JRAが購買した馬たちは日高・宮崎の各育成牧場に入厩しております。

 本年も日高育成牧場・宮崎育成牧場からの育成編、日高育成牧場の生産馬に関する生産編の3本柱で、育成馬や生産馬の近況をお届いたしますのでよろしくお願いいたします。

 初回は日高育成牧場の生産に関するお話です。

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“乳母と孤児の離乳”

全国的に猛暑の話題が尽きない今年の夏ですが、北海道も同様で、例年と比較すると明らかな猛暑に見舞われました。例年、お盆が過ぎれば涼しくなりますが、今年は9月に入っても日中の気温は25℃を越える日も多く、残暑は厳しい日々が続いています。しかし、馬にとって不快な存在であるアブは姿を消したために、放牧地の馬達はそれほど不快ではないように映ります。

例年では、暑さのピークを過ぎ、涼しくなる8月中旬に離乳を実施しているのですが、今年の猛暑では、暑さとアブによる二重のストレスが子馬を襲うことも考えられたので、実施時期を遅らせることも考えました。しかし、幸いにもアブの飛来数は少なくなってきたために、離乳後のストレスも許容範囲であると判断し、予定通り8月中旬と下旬の2回に分けて離乳を実施しました。

今回は、4月にお伝えした育児放棄を受けた子馬と、ホルモン処置によって泌乳を誘発し、乳母として導入した代理母馬との別れを中心に離乳について綴りたいと思います。

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育児放棄の母馬から虐待を受ける子馬(生後2週目)

4月にお伝えしたとおり、当場で育児放棄が起こり、子馬への虐待がエスカレートしたために、空胎馬にホルモン剤を投与して、泌乳を誘発し、乳母として導入する試みを行いました。乳母と子馬の対面から6日目にようやく乳母が子馬を許容し、その後、子馬は乳母によって順調に育てられ、春の陽ざしの中で放牧中の2頭は、ほんとうの親子のように映りました。(育児放棄その1その2

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本当の親子のように見える乳母と子馬(生後3ヶ月目)

離乳は、例年どおり、群れの安定化を目的として、45組の親子の放牧群から同時に全ての母馬を引き離すことはせずに、半数ずつの母馬を前半と後半の2度に分けて引き離す、“間引き方法”によって実施しました。そして、注目の乳母と子馬の離乳は、前半の8月中旬に行われました。この日は、JBBAの研修生および当場で開催している“サマースクール”に参加している大学生の見学が行われていたため、いつもより多くの人が見守る中での離乳となりました。子馬は5.5ヶ月齢に達し、体重は235kgにまで増加し、同時期に生まれた子馬より少し小さくみえるものの、立派な馬体に成長し、離乳を迎えました。

子馬は、乳母が他の母馬とともに、1kmほど離れた放牧地に連れ出された直後こそ、少し落ち着かない様子でしたが、15分後には早くも落ち着き、残っている他の母馬を中心とする群れの中で、草を食べ始めました。一方、乳母は別の放牧地に放された瞬間に、馬場柵沿いを走り回り、子馬を呼び続けていました。1時間後に、ようやく少しは落ち着きはじめたものの、立ち止まっては耳を澄ませ、いななく行動は、夜中まで続きました。

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離乳翌日の手入れ時にも落ち着かない乳母

離乳翌日の子馬は、落ち着いており、体重も離乳した子馬の中では最小の4kgの減少にとどまり、馬房に他の子馬と一緒に収容した後も、仲良く戯れ、ストレスは見受けられませんでした。翌々日には、体重も離乳前に復し、餌も完食するようになりました。一方、乳母は離乳翌日も落ち着かず、体重は40kg減少し、離乳した他の母馬より10kgほど多い減少となりました。翌日の午後になって、ようやく落ち着きを取り戻しました。

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非常にリラックスしている離乳翌日の子馬の様子

このように、離乳に際して、子馬は何もなかったように振る舞う一方で、乳母は他の母馬と比較しても明らかに不安定な状態となりました。これらのことを鑑みると、子馬は成長すると母馬への依存度は小さくなっていく一方で、たとえ乳母であっても、一度備わった母性の強さというのは、子馬の母馬への思いとは、比べられないほど強いものであるように思われました。また、これだけ強い母性を持っていた乳母であったからこそ、孤児を許容することができたのだと感じました。