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育成馬 活躍情報(事務局)

先週の札幌競馬においてJRA育成馬タイセイスティング号2歳未勝利戦に優勝しました。同馬は宮崎育成牧場で育成調教され、本年のブリーズアップセールにて取引された馬です。4戦目にして勝ち上がることが出来ました。

同馬の優勝により、2011JRAブリーズアップセールで取引された育成馬は、9頭勝ちあがり(内新馬戦優勝5頭)、延べ12勝(内オープン競走3レース)となりました。

それでは、今後もJRA育成馬の活躍にご期待頂ければ幸いです!

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926日(日) 2回札幌競馬5日目 1R】  

2歳未勝利(ダート:1700m

タイセイスティング号 (ミラクルケープの09 牡

父:ゴールドアリュール  厩舎:新開 幸一(美浦)  

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当歳馬の離乳について(生産)

 アブなどの吸血昆虫もいなくなり、すっかり秋めいた放牧地の馬たちは快適そうです。まさに「天高く、馬肥ゆる秋」といったところでしょうか(写真1)。ここ日高育成牧場では9月の中旬までに当歳馬の離乳が終わりました。今回はこの「離乳」についてお話したいと思います。

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写真1.離乳が終わり、当歳馬同士のみで昼夜放牧を実施しています。

 まず、離乳するためには、子馬が「心」と「体」両方の面で十分成長していることが重要です。「心」とは精神面のことで、子馬が母馬から離れてもストレスを感じなくなっているかどうかということです。過去に昼夜放牧を実施している母子間の距離について調査した結果、3週齢までは平均5m以内に留まっていますが、それ以降は徐々に距離が広がり、約15週齢になると平均15m程度に達し、それ以降はほとんど変化しないことがわかっています(図1)。一方、同じ放牧地にいる子馬同士の距離は、4週齢まではお互いあまり近寄らないが、16週齢以降には平均40m程度に達し、それ以降はほとんど変化しません(図2)。以上から、1516週齢になると精神的に安定し、母馬から離れ子馬同士の群れでも大丈夫になると考えられます。

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1.昼夜放牧を実施している母子間の距離

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2.同じ放牧地にいる子馬同士の距離

 「体」の面では、子馬が母乳に頼らなくても発育に必要な栄養を飼料から摂取できるかどうかということが目安になります。子馬は出生後しばらくは母乳からの栄養のみで成長できますが、約2ヶ月齢から徐々に母乳からの栄養供給が減少するためクリープフィードと呼ばれる離乳食を与える必要が出てきます。離乳前には発育に必要な1~1.5kgの飼料を自ら摂取できるようになっていなくてはなりません。この養分要求量を満たす飼料を子馬が摂取できるようになる時期は4ヶ月齢前後と言われています。

 以上、「心」と「体」と両方の面から子馬の成長を考えた場合、離乳の時期は早くても「4ヶ月齢以降」と考えなくてはなりません。また、成長面から考えた場合には、体重が「220kg以上」であることも目安となると言われており、これを考慮すると「56ヶ月齢」が離乳の適期と言えます。さらに、「7月中旬から8月中旬まで」は気温が高く、アブなどの吸血昆虫が多いため、離乳後のストレスを考慮するとこの時期を避け「8月下旬以降」の離乳が推奨されます。

・離乳時期の目安

    56ヶ月齢(早くても4ヶ月齢以降)

    体重220kg

    11.5kgの飼料を摂取できる

    8月下旬以降(吸血昆虫がいない)

 以前は離乳といえば母馬の飼育環境は変更せずに子馬を離れた場所に移動するという方法が一般的でした。この方法では子馬にとって非常に大きなストレスがかかり、離乳直後には子馬の体重が大きく減少し、減った体重が1週間程度回復しないなんていうこともしばしば見受けられました。近年は離乳後に子馬にかかるストレスを減少させるため、原則的に子馬の飼育環境を変更せずに母馬を移動させるやり方が推奨されています。この方法は「間引き法」と呼ばれ、2段階のステップを踏んで行います。具体的には例えば6組の親子が同一の放牧地にいると仮定すると、まず最初に3頭の母馬だけを移動させ(間引き)ます。すると当然母馬がいなくなった3頭の子馬はさびしくて鳴きますが、残り3組の親子が平然と過ごしているため、極度のパニック状態には至らず、そのうち落ち着きます。この時、残す方の母馬には他の子馬に対しても寛容な穏やかな気性の繁殖牝馬を選ぶことがコツです。そして23週間が経ち、群れが落ち着いたところで残りの3組の母馬を移動させます。すると今度は今回母馬がいなくなった3頭の子馬が騒ぎますが、前回離乳した3頭が落ち着いているためパニックには陥りません。このように1つの群れで2段階に母馬を間引いて離乳させる「間引き法」を実施すると子馬にかかるストレスを軽減することができます。日高育成牧場でもこの「間引き法」を実践しています(写真2)。

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写真2.「間引き法」による離乳を行った翌日。真ん中の2頭の母馬を間引きました。

 母馬と離れ離れになった離乳後は、群れで行動する馬という動物の性質を考えると、なるべく他の子馬と一緒に群れで行動させることが推奨されます。十分な広さの放牧地があれば昼夜放牧を行って馬房で過ごす時間をなるべく短縮するのが理想ですが、その場合はもちろん離乳直後から昼夜放牧を開始するのではなく離乳前から昼夜放牧に慣らしておかなくてはなりません。もし昼間放牧しかできない場合は、離乳した子馬2頭を1つの馬房に収容する「馬房のシェア」という方法もあります。

 以上、離乳とは子馬にとって非常にストレスのかかることには間違いはなく、ストレスを軽減するためには「群れで行動する」という馬本来の性質を良く考えた管理が重要になります。

・離乳による子馬のストレス軽減のコツ

    子馬の飼育環境は変化させず、母馬を移動する

    1つの群れの母馬を2週間間隔で2回に分けて「間引く」

    離乳後の子馬は、昼夜放牧や馬房のシェアによってなるべく群れで過ごさせる

最後に、離乳後の注意点です。ストレスがかかる子馬の健康状態に注意するのはもちろんですが、急に授乳をしなくて良くなった母馬の「乳房炎」にも注意が必要です(写真3)。昼夜放牧の場合は自然と運動量が確保されるためそれほど発症しないようですが、昼間放牧をしている馬、特に離乳を機に昼夜放牧から昼間放牧に切り替えた馬は発症しやすくなります。症状は乳房が張り触ると嫌がる、後肢の歩様がおかしくなるなどです。発症した場合、抗生剤の投与など治療が必要になります。

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写真3.離乳後は母馬の乳房炎に注意。

今回は主に日高育成牧場で実践している「離乳」についてお話しましたが、生産者の皆さんは「当歳セールの前に離乳を終えておきたい」「1歳セールが終わらないと馬房が空かない」など様々な事情があることと思います。今回の話を基本に、それぞれの牧場に合ったやり方を見つけていただけましたら、幸いです。

活躍馬情報(事務局)

先週の阪神競馬においてJRA育成馬トミーバローズ号が2歳新馬戦(メイクデビュー阪神)に優勝しました。同馬は日高育成牧場で育成調教され、本年のブリーズアップセールにて取引された馬です。

同馬の優勝により、2011JRAブリーズアップセールで取引された育成馬は、8頭勝ちあがり(内新馬戦優勝5頭)、延べ11勝(内オープン競走3レース)となりました。

それでは、今後もJRA育成馬の活躍にご期待頂ければ幸いです!

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918日(日) 5回阪神競馬3日目 5R】  

2歳新馬戦(メイクデビュー阪神) (芝:1400m

トミーバローズ号(モンテドーターの09 牡

父:アドマイヤムーン  厩舎:武田 博  (栗東)  

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育成馬 活躍情報(事務局)

 先日行われた新潟2歳ステークス(GⅢ)において、JRAブリーズアップセール出身馬が、長い直線を力強く駆け抜け、優勝を果たしました。

 9月4日 4回新潟競馬8日目11R 

   新潟2歳ステークス(GⅢ)(芝 1600m)

    モンストール号(イソノスワローの09) 

    尾関 知人 厩舎 牡 父:アドマイヤマックス

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同馬の祖母であるオークス馬イソノルーブルも、やはりJRAで育成された、ゆかりの血統です。 

また、同じくJRAブリーズアップセール出身のクイーンアルタミラ号(フジノバイオレットの09 牝 父:バゴ 鈴木康弘厩舎)も3着に入る好走をみせてくれました。

 モンストール号の優勝により2011 JRAブリーズアップセールで取引された2歳馬から、早くも3頭の2勝馬が誕生しています。これらに続く活躍馬たちの出現に期待したいと思います。

「馬に親しむ日」を開催しました(宮崎)

828日(日)、宮崎育成牧場では当場最大のお客様向け馬事イベント『馬に親しむ日』を開催しました。日差しが容赦なく降り注ぎ気温が30℃を超える猛暑のなか、イベント史上最高の入場人員となる4,100名超のお客様を前に、参加した人馬はこれまでの練習の成果をフルに発揮しました。

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毎年実施している流鏑馬(やぶさめ)実演は、人気の高い演目です。騎乗しているのは宮崎育成牧場の職員。

今年実施したイベントの最大の特徴は、宮崎育成牧場で行っている業務を来場された一般のお客様に紹介する時間を多く取った点です。同イベントでは、これまでも馬を見て、知っていただくだけでなく、一般の方になじみのない「装蹄」を来場者の目の前で実演し、競馬に対する興味喚起を目的に草競馬やポニー競馬の実施などを行ってきました。今年はこれらに加え、育成業務の一部を紹介する目的で、現在育成中のJRA育成馬(1歳)を来場された一般のお客様に披露しました。また、乗馬普及業務を紹介する目的で、障害物を来場者の目の前に置き飛越する姿をご覧頂き、レプリーズと呼ばれる6頭の乗馬が織り成す演技を披露しました。これらすべてが功を奏し、来場された多くのお客様から喜びの声をいただくことができたのだと思っています。

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来場者の目の前で障害物を飛越する育成牧場の職員。飛越する度に歓声があがり、大きな拍手が沸き起こりました。

昨年の同ブログでも紹介したとおり、宮崎育成牧場では『魅せる育成』に取り組んでいます。自分たちの行っている育成業務を一人でも多くの人に見て、触れていただくことで、馬や競馬に興味を持っていただきたいと考えています。昨年実施した一般のお客様向け育成馬展示会などを今秋実施する予定ですが、それに先駆けて育成馬紹介を『馬に親しむ日』の中で行いました。

紹介した育成馬は、同世代唯一の九州産馬ビューティサツキの10(牡、父:ジャイアントレッカー)です。同馬は地元宮崎県で生産された馬であることから、県内外からの来場者から注目が集まりました。当初は大勢の来場者がいる前で展示することに不安の声も多く聞かれましたが、連日の場所馴致の甲斐もあり、堂々とした立ち居振る舞いを披露。来場していた生産者の田上氏も、大きく成長した生産馬を見て目を細めていました。育成馬展示は来年の同イベントでも是非実施したいと思います。

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信頼できるパートナーに寄り添うビューティサツキの10(牡、父:ジャイアントレッカー)。多くの来場者にも全く動じませんでした。

話は変わりますが、去る85日に八戸市場の購買馬3頭(牡1頭、牝2頭)が入厩しました。在厩頭数は10頭となり、現在夜間放牧を行いながら騎乗馴致を実施しています。馴致は順調に進んでおり、現在はローラーと呼ばれる腹帯に慣れさせる道具を装着して運動しています。

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ラウンドペンでローラーを装着(し運動)するピアソラの10(牝、父:マンハッタンカフェ)。全身を大きく使って運動する姿には、大きな将来性を感じます。

今年宮崎で育成する全24頭のうち、残る14頭はサマーセールで購買した後912日に入厩する予定です。宮崎育成牧場では今年も『魅せる育成』を実行すべく、様々なイベントを計画・実行してまいります。牧場ならびに育成馬の見学についても随時受け付けます。ぜひご参加いただき、育成馬が日々成長する姿をご覧いただけたら幸いです。

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青々とした牧草を頬張る育成馬たち。左からエムケイミラクルの10(牡、父:ケイムホーム)、ビューティサツキの10(牡、父:ジャイアントレッカー)、ズーナクアの10(牡、父:ダイワメジャー)。