育成馬ブログ 日高③
去る11月14日、北海道地方ではこの時期としては記録的ともいえる大雪が降りました。暖冬の噂もあり例年より高めで推移していた気温からは想像もできないような急変ぶりで、一気に季節が進んだ感覚です。この大雪は、ここ浦河町の風景をあっという間に白一色に塗り替えてしまいました。冬将軍の到来です。
写真1.降りしきる雪の中、屋内800mトラックへと移動する育成馬。過去に雪を経験しているはずの馬たちも、今年初めての積雪に少し興奮気味です。
●育成馬の近況
さて、JRA育成馬の近況についてお伝えします。最初に馴致を開始した第1群(牡23頭)は屋内800mトラックにおいて、縦列でのキャンター(1周:ハロン26秒程度)を行ってから手前を変えて2列縦隊でのキャンター(2周:ハロン24秒程度)を行う調教メニューを繰り返し実施しました。10月末頃になると前後左右の馬にも慣れ、走りたい気持ちを我慢して綺麗なフォーメーションを維持した力強い走りがみられるようになってきました。11月以降は体力もついてきたため、屋内800mトラックで2周キャンターを行ってから手前を変えて2周のキャンター(計4周:3,200m)を行う日を週に一度作っています。また、11月からは屋外1600m馬場でのキャンター(1周:ハロン24秒程度)と屋内坂路馬場でのキャンター(1本:1,000m)も開始しました。坂路調教はまだ場所慣らしの段階なので、屋内800mトラックでキャンター2周のウォーミングアップをしてから坂路を1本駆けあがる調教を行い、体力がつくのを待っているところです。
写真2.誘導馬を先頭に屋外1600m馬場で駆歩調教を行う第1群の牡馬。落ち着いて真直ぐに走行できています。
また、9月下旬に騎乗馴致を開始した第2群(牝22頭)は、現在屋内800mトラックにて縦列でのキャンター(1周:ハロン28秒程度)を行ってから手前を変えて2列縦隊でのキャンター(2周:ハロン26秒程度)を行う調教メニューを日々繰り返しています。1群ほどの安定感はありませんが、隊列を守り力強い走りをみせてくれる馬が増えてきて、日々成長していく育成馬たちの姿を見て心強く感じる今日この頃です。
https://www.youtube.com/watch?v=Jor9ISiVKLA
動画3.屋内800mトラックにて2列縦隊でのキャンター調教を行う第2群の牝馬。
最後に騎乗馴致を開始した第3群(牡6頭、牝7頭)は間もなく馴致を完了できるところまで来ています。現在は屋内800mトラックにて縦列でのキャンターを両手前1周ずつ走る調教をしています。この13頭は年内を目途に1・2群と合流する予定です。
●実践研修プログラム 育成編
同ブログの前号でご紹介したJBBA高度化研修事業の一環として行っている「実践研修プログラム」。生産や繁殖のプログラムが中心で行われていますが、後期育成に関する研修も実施しています。先日は「馬体検査の方法」や「コンフォメーションについて」、「競走馬の歯の管理」などを題材にした研修も実施しました。数人の仲間同士で参加する形式なので、自由に質疑応答できるアットホームな雰囲気の研修となりました。
写真3.降りしきる雪の中、JRA育成馬を用いたコンフォメーションについての実習を行いました。
写真4.レポジトリーについての座学。普段疑問に思っていることを自由に話し合う場となりました。
北海道はこれから本格的な冬を迎えます。日々成長していく育成馬の姿を見に、ぜひ日高育成牧場まで足を運んでください。皆様のお越しをお待ちしています!