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育成馬ブログ 日高⑨

○  トレーニングセールに上場します(日高)

 

 先月開催しました2015JRAブリーズアップセールでは、上場したすべての馬を

ご購買いただくことができました。ご来場いただきました皆様、誠にありがとう

ございました。

 6月6日からは2歳戦が始まりますが、ご購買いただきましたJRA育成馬が早期から

活躍してくれますことを期待しています。

 JRAブリーズアップセール欠場馬のうち8頭は、5月26日(火)にJRA札幌競馬場で

開催されるトレーニングセールに上場する予定です。今回の上場予定馬にとって、

当セールは競走馬としてのスタートラインに立つラストチャンスです。公開調教で

良いパフォーマンスをご覧いただけるよう、しっかり仕上げてセールに臨みたいと

思っています。

 

 

上場予定馬

 No.292 ローランウィスパー13(牝、父:ブラックタイド)

 No.293 ウインクルディール13(牝、父:アルデバラン)

 No.294 オヘソノタカラモノ13(牡、父:ナカヤマフェスタ)

 No.295 カシノリボン13(牝、父:タニノギムレット)

 No.296 コンゴウマライカ13(牝、父:ケイムホーム)

 No.297 シルキーメイン13(牡、父:カジノドライヴ)

 No.298 スペシャルウーマン13(牝、父:バトルプラン)

 No.299 フォレストメリー13(牡、父:ブラックタイド)

 

 Photo

写真1.調教後にグラスピッキングをする上場予定馬。日々これまで以上に厳しいトレーニングメニューをこなしていますが、調教後には青々とした牧草が食べられます。

 

 トレーニングセールの騎乗供覧はセリ前日の5月25日(月)、9:30から札幌競馬場

ダートコースで行われます。JRAブリーズアップセール同様、多数のお客さまのご来場

を心よりお待ち申し上げます。

 

育成馬ブログ 生産編⑩「その2」

・電気牧柵の利用

 

サラブレッドの生産現場では、鹿の放牧地への侵入防止策として電気牧柵が利用されています。日高育成牧場でも、3年前ほど前から設置しており、一定の効果をあげています。

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鹿対策として設置している電気牧柵

 

一方、本年からの新たな試みとして、放牧地内の「間仕切り」を目的として電気牧柵の利用を開始しました。これは、アイルランドなどの牧場で一般的に行われている方法を参考にしたものです。

 

「間仕切り」をしている放牧地は、生後間もない子馬が利用します。

 

これまで当場では、母子の放牧地として、「砂パドック(1アール以下)」「インドアパドック(約1アール)」「約2ヘクタールの放牧地」「約4ヘクタールの放牧地」がありました。

 

このため、狭い砂パドックやインドアパドックで過ごした後は、いきなり広めの2haの放牧地に放されることになります。

 

昨年までは、広い放牧地に放されて、勢いよく走る母馬の後を生後間もない子馬が追いかける光景をヒヤヒヤした思いで見ていました。

この場合、骨折や腱断裂など大きな事故が起こっても不思議ではありませんでした。

 

一方、2~4週間もの長期間に亘って、狭いだけではなく、衛生環境もあまり良くない砂パドックやインドアパドックに閉じ込めておくことは、母子いずれにとっても健康的とは言えません。

 

そこで、2ヘクタールの放牧地を1ヘクタール以下の大きさに間仕切りすることで、生後1週間の子馬が利用可能な放牧地を設置しました。

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2ヘクタールの放牧地を間仕切りして、1ヘクタール以下の放牧地にリフォーム

 

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 電気牧柵で仕切られた放牧地

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乾電池式のパワーユニット(電力装置)を使用

 

利用した電気牧柵は、馬にとって視認性が高い、幅4cmの帯状のものです。

あらかじめ、出産前の母馬を電気牧柵の放牧地に放して、良く見せておくことで馴致しておきました。

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馬にとって視認性が高い、幅4cmの帯状の電気牧柵用テープ

 

興味本位でテープに触る子馬もいますが、一度電気を感じると怖がって近づかなくなります。

 

もちろん、何かのタイミングでパニックになった場合には、母子ともに突破するリスクは十分ありますので、あくまでも放牧地内の間仕切りに使用を限定した方が良さそうです。

 

電気牧柵の利点は、通常の牧柵と比較して安価で、一度設置した後も容易に移設できることです。このため、必要に応じて放牧地を何度でもリフォームすることができます。

 

また、放牧地の一部を養生したい場合や、何らかの理由で運動制限したい馬に対して、青草を食べさせたい場合にも有効かもしれません。

この場合であっても、突破されるリスクはありますので、その点を勘案した選択的な使用が推奨されます。

 

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運動制限したい馬で、青草を食べさせたい場合にも有効

 

 

【ご意見・ご要望をお待ちしております】

JRA育成馬ブログをご愛読いただき誠にありがとうございます。当ブログに対するご意見・ご要望は下記メールあてにお寄せ下さい。皆様からいただきましたご意見は、JRA育成業務の貴重な資料として活用させていただきます。

アドレス jra-ikusei@jra.go.jp

 

育成馬ブログ 生産編⑩「その1」

ホルモン処置乳母のその後

 

前回ご紹介したホルモン処置による泌乳誘発を行った乳母ワンモアについては、

その後も母子の関係を保持しながら、順調に子馬「ダンスウィズジェニの15(以下

ダンス15)」の子育てをしています。

 

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 ダンス15に「ちょっかい」をかける他の子馬を威嚇する乳母ワンモア

 

 

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2頭が寄り添いあう様子は実の母子にしか見えません。

 

ダンス15は、生まれた時の体重が29kgと通常の半分程度の未熟子でした。

実の母馬が重度の蹄葉炎を発症したため、妊娠期間中に栄養および運動が制限された状態で管理されていました。その影響で母体にいる時の栄養状態が余り良くなかったのかもしれません。

 

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出産直後のダンス15

 

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1ヶ月齢のダンス15

 

現在も同時期に生まれた馬と比較すると、大きさは見劣りますが、

小さいなりに順調に成長しており(グラフ)、放牧地で走り周る姿は元気いっぱいです。

また、1ヶ月齢を迎えた4月末には昼夜放牧を開始しています。

今後も、馬体重の推移等を観察していきながら、成長の様子を見守っていきたいと思います。

 

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               ダンスウィズジェニ15の馬体重(赤)

標準曲線(水色および紺色)

および同時期に生まれたビューティコマンダ15(黄)との比較

 

 

2015JRAブリーズアップセール関連情報(事務局)

2015 JRAブリーズアップセールは、お蔭様で無事に終了いたしました。

この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

セールの結果につきましてはこちらをご覧ください。

 

本年は12頭が欠場となり、皆様方には大変ご迷惑をおかけいたしましたが、欠場馬の一部は5/26(火)に行われます北海道トレーニングセールへの上場を目指し、準備を進めております。

詳細につきましては後日ご報告させていただきます。

 

今後ともJRA育成馬ならびにJRAブリーズアップセールをよろしくお願い致します。