育成馬ブログ 生産編⑤(その2)
白線裂の治療と予防
白線裂による蹄感染症の治療は
主に疼痛管理と膿瘍除去になります。
教科書的には全身投与の抗炎症剤や
抗生物質の投与が推奨されています。
しかし、場合によっては
投与によって治癒が遅延することもあるため、
実施のタイミングなどについては議論の余地が残されています。
最終的に膿瘍が消失することで疼痛が緩解するため、
蹄底に穴をあけて強制的に排膿させることもできますが、
膿瘍形成部位の特定が困難であることが多く、
穴をあけることによって、
かえって跛行を悪化させる場合もあるため、
あまり推奨されません。
蹄冠部などの柔らかい部分からの
自然排膿を促すことを目的とした湿布処置、
神経ブロックによる麻酔処置後の
ランジング運動などが場合によっては有効です。
自然排膿を促すことを目的とした湿布処置
予防としては、蹄を清潔に保持するための洗浄、
過度な乾燥を防ぐための蹄油塗布に加えて、
白線裂が見つかった場合、
進行を防ぐための括削や消毒(パコマなどの逆性せっけんが有効)
などがあげられます。
白線裂についても、
他の疾病や怪我と同様に
「早期発見、早期治療」が極めて重要です。
軽症例に対して、
括削や消毒などの処置を速やかに実施することによって、
重症例、ひいては感染症を予防することが可能となります。
当場では、子馬全頭に対する蹄洗浄および蹄油塗布、
さらに、白線裂の発症部位に対する
括削および消毒を実施しています。
これによって、白線裂の発症および進行を防いでいます。
白線裂の進行を防ぐための括削
白線裂の予防および治療で実施している蹄洗浄、消毒、蹄油塗布
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