育成馬ブログ 生産編⑥(その2)
「交配誘発性子宮内膜炎」について
○治療の注意点
子宮洗浄および子宮収縮剤(オキシトシン、クロプロステノール)の
投与に関しては、治療のタイミングに注意が必要です。
どんなに早くても、交配後4時間以上経過してから治療を
行うようにしなくてはなりません。
なぜかというと、精子が受精する場である卵管内に到達するまでに
およそ4時間かかると考えられているからです。
その後であれば、子宮内に残った余分な精液は
本来繁殖牝馬から見れば異物であり、速やかに除去することで
炎症反応を抑えることができます(写真3)。
逆に、治療は遅くとも排卵の2日後までに行うようにしなくてはなりません。
理由は、受精卵が排卵5~6日後には卵管から子宮内に移動するので、
その前までに治療を終えておく必要があるからです。
写真3 交配4時間後以降に子宮洗浄を行い、余分な精液を除去
○交配翌日の経直腸超音波検査のススメ
交配翌日の経直腸超音波検査ですが、
上記のように排卵確認以外にも「交配誘発性子宮内膜炎」の
早期発見・早期治療につながるため、強く推奨されます。
たとえ期待通りに排卵が起こっていて卵管内で受精していたとしても、
子宮内に炎症があると着床が阻害され、
結果として「不受胎」となってしまう恐れがあります。
現在、hCGなどの排卵促進剤の使用が広く普及し、
交配翌日の検査を省略するというケースも散見されますが、
卵巣だけでなく子宮の状態を確認するためにも、
交配翌日の経直腸超音波検査をオススメします。
(おわり)