サマーセールが終了し、JRA育成馬が入きゅうしてきました。

8月21日から25日まで、新ひだか町の北海道市場でサマーセールが開催されました。1,122頭のサラブレッド1歳馬が上場された大規模なセールですが、売却率は5年ぶりに30%を越え、売却総額も前年を1.3億円ほど上回る、約18.2億円でした。せりの会場では馬を見に来場しているバイヤー(購買者)の数が多く感じられ、実際のせりでも例年以上のせり合いで、目当ての馬を購入することは簡単ではありません。数字だけでなく景気が回復しつつあることが感じられた市場となりました。

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活発なせりあいとなったサマーセール

それでも新種牡馬のアラムシャーやコロナドズクエストの産駒をはじめとして、素質あふれる若馬を購入できたと思います。最高価格馬は1950万円(税抜)で落札した母ハローヘレンの牡馬で、姉に今年の2歳戦で2連勝と活躍しているJRA育成馬ハロースピードがいます。父はマヤノトップガンからヘクタープロテクターに変わっていますが、姉に負けず劣らず伸びのある好馬体をしており、非常に楽しみな1頭です。

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最高価格馬のハローヘレンの05

サマーセールで購入した馬の日高育成牧場への入きゅうは8月30日から始まり、9月1日には今年のラインナップが揃いました。入きゅう時に血液検査、特徴照合や歩様検査等の馬体検査および写真撮影を行いましたが、ほとんどの馬がおとなしく躾られており、牧場やコンサイナーのしっかりした教育の成果が伺えました。馬体の写真撮影には、よりよい映像を得ることを目的として、背景ボードに光線が吸収されにくいモスグリーンを採用したところ、昨年以上に馬体がはっきり見えるようになりました。
 また、レントゲンによる蹄の撮影を行ないました。これは肢軸(しじく)検査と呼ばれるもので、これを参考に今まで以上によい装削蹄につなげられればと思っています。「蹄なくして馬なし」といわれるほど、蹄の状態を把握することは重要です。

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入きゅう時の綿密な馬体検査
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蹄の状態をレントゲン像で確認します

日高育成牧場の育成馬日誌をお届けします!

今回より「JRA育成馬日誌(日高)」をお届けすることになりました。JRA育成馬の近況や調教過程、日高育成牧場の出来事等をお届けしますのでよろしくお願いします。

まずはちょっとうれしいニュースから。日高育成牧場では馬に食べさせる乾草を自給しています。牧草収穫には刈り取りからロールまで連続して3、4日間の晴天が必要で、途中で雨に降られるとパーになってしまいます。今年の夏は天候不順で、長期予報で晴れマークが続いていても急に雨マークに変わったり、晴れマークにもかかわらず雨が降ったりと大気の状態が安定せず、なかなか牧草収穫が捗りませんでした。7月末からやっと夏らしい天候となり、なんとか1番牧草の収穫を終了してほっとしているところです。

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テッターをかけて牧草を乾かします
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ロールベイラーで牧草をロール状にします

JRAでは北は北海道から南は九州まで全国各地で開催される1歳馬市場でJRA育成馬を購入しています。現在、日高育成牧場にはセレクトセールとセレクションセールで購入した17頭のサラブレッドが入きゅうしており、2頭から5頭のグループに分かれて、午後2時から翌朝8時まで昼夜放牧を行っています。暑さとアブのためしばらくの間は快適な放牧環境とはいえませんが、放牧地でおいしい青草を腹一杯食べて9月上旬から始まる騎乗馴致まで英気を養ってもらいたいと思います。

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JRA育成馬の放牧風景

さて、8月21日から5日間の日程で約1300頭の馬が上場される国内最大規模のサマーセールが始まります(注1)。育成馬の仕入れはその後の育成に勝るとも劣らぬほど大切であり全頭をチェックしていきますが、せり期間中だけでは時間が足りず、14日から1週間かけて主要コンサイナー(注2)を中心に事前の検査を実施しています。上場馬の中から磨けば光るダイヤモンドの原石を見つけ出すことは大きな楽しみでもあります。

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真剣な眼差しでの馬体検査

(注1)この文書は8月15日に作成しております
(注2)コンサイナー:せりに上場される馬を飼養管理する専門業者