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2021年10月

2021年10月21日 (木)

床反力

運動科学研究室の高橋です。

 先月、当研究室長吉田の記事で競走馬の平均体重が470kgだということをご紹介しました。 成人男性の6倍以上はある重さを4本の肢で支えていることになりますが、1本の肢にはどのくらいの力がかかっているのでしょうか。

 止まっているときは、体重計の上で測ればよいのですが、動いているときはなかなか難しそうです。 動作中の肢にかかる力は写真のような機械で測ります。 フォースプレートという機械で、60×90cmの大きさです。

Img_5225

 歩いているときにこれを踏ませるということですね。 そして、このときに肢にかかる力を床反力と呼んでいます。 床反力を測定するときに一番難しいことは何でしょうか??

 答えは、上手にフォースプレートの上を歩かせるということです。 ちなみに500kgのウマの、前肢における常歩の床反力最大値はおよそ300kg、速歩では550kg程度です。 常歩では5回に1回くらい、速歩になれば10回に1回くらいの成功率になってきます。 言葉が通じない動物を使う難しさですね。。。

2021年10月15日 (金)

古くて新しい治療法:糞便移植

ついついお酒を飲みすぎた次の日は、二日酔いと共にお腹がゆるくなりがちな微生物研究室の木下です。

お腹の不調を訴えるのは私だけに限ったことではなく、いろいろな動物で観察される症状ですが、草食動物であるウマにとっては消化器に関係する下痢などの症状は、時に深刻な結果に繋がりかねない重要なサインになります。

ウマが下痢を発症する原因は様々で、給餌内容の変化や輸送によるストレス、あるいは投与された抗菌薬が原因になることもあります。

(私と違ってお酒が原因になることは、無い。。。)

下痢を発症しているウマに対しては、抗菌薬が投与されている場合は投与を中止し、対症療法として補液や整腸剤の投与を行うことが一般的ですが、健康なウマの糞便を経鼻的に腸管に接種する糞便移植という古典的な治療法も知られています。

糞便移植には、腸内における乱れた細菌叢あるいはウイルス叢を正常なものに引き戻す働きが期待されています。

近年では、人におけるClostridioides difficile感染症に対する糞便移植の有効性が認識されるようになり、ウマにおいても再注目されることが増えてきました。

もし、愛馬が下痢に苦しんでいる際には、古くて新しい治療法である糞便移植をぜひ検討されてみて下さい。

写真:糞便移植に使用するドナー糞便の用意Fmt

2021年10月13日 (水)

国際馬伝染病会議が開催されました

分子生物研究室の辻村です。

2021年9月27日から10月1日にかけて、第11回国際馬伝染病会議(11th International Equine Infectious Disease Conference: IEIDC XI)が開催されました。

この会議は、細菌、ウイルス、寄生虫を含むウマの感染症全般を網羅する国際学会で、第1回会議は1966年にイタリアのストレーザで開催されています。その後は中断をはさみながらも3から4年間隔で開催され、1994年の開催地は東京でした。

そして、11回目となるIEIDC XI。当初の2020年のフランス・ドーヴィルでの開催がコロナ禍で本年に延期となり、さらに、学会の形式もオンラインに変更となりました。JRAからは9名がそれぞれの研究成果などを発表しました。以下のリンク先に学会抄録が掲載されていますので、興味のある方はご覧ください。

(外部リンク:https://beva.onlinelibrary.wiley.com/toc/20423306/2021/53/S56

(2021年10月13日リンク確認)

これらのなかで、特に興味が持たれた発表は、本年2月にスペインで発生のあった馬鼻肺炎神経型の流行に関するものでした。

(外部リンク:http://keibokyo.com/wp-content/uploads/2021/03/%E8%BB%BD%E9%98%B2%E5%8D%94%E5%8F%B7%E5%A4%962021-1.pdf

(2021年10月13日リンク確認)

今回の情報は、日本での馬鼻肺炎の予防対策にも大変役立つものと考えられます。

さて、次回の12回目の会議は、改めて、2024年にドーヴィルでの開催が予定されています。

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上の写真は、アルゼンチン・ブエノスアイレスでの第10回会議の際に撮影されたもの。第12回会議が現地ドーヴィルで開催されることを心から祈っています。