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2025年4月20日 (日)

北海道における神経型馬鼻肺炎の発生

分子生物研究室の坂内です。

今年の1月から2月にかけて、北海道の軽種馬飼養施設で神経型馬鼻肺炎が発生したことが、軽防協ニュースの号外で報じられました。

軽防協号外(EHV-1)20250402-.pdf

Ehm

馬鼻肺炎はウマヘルペスウイルス1型の感染によって引き起こされ、呼吸器型、流産型、神経型の3つの病気のパターンがあります。呼吸器型はたいてい軽症ですが、発熱によって競走馬の調教や出走の妨げとなる場合があります。流産は言うまでもなく競走馬の生産に直接的な被害を与えます。神経型の重篤な例では、馬が起立不能に陥って安楽死となる場合があります。いずれも馬産業に大きな被害を与えるため、総研では特に力を入れて調査研究を行っています。

今回の発生で特筆すべきなのは、症例が2歳の若齢馬だったことです。近年欧米では多くの神経型馬鼻肺炎の発生が報告されていますが、多くは成馬や高齢の馬です。実験的にも高齢の馬で神経型の発症リスクが高いことが示されており、若齢馬での発生は極めて稀と言えます。

まだ十分な情報がありませんが、今回の症例に関わったウイルスの特徴を詳しく調べると共に、今後似たような事例が起きないかどうか、注視していく必要があります。