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ゲート練習(日高)

日高育成牧場のゲート馴致は宮崎育成牧場と同様、ブレーキング時にドライビングで通過することから開始し、騎乗後は広いゲートから徐々に狭いゲートへと毎日通過を繰り返すことで慣らしていきます。最終的には扉を閉めてゲート内で駐立後、常歩で発進するところまで教えています。一つだけ違うところは暖か~い宮崎は練習用ゲートが屋外にありますが、寒~い日高は屋内にあることです。

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毎日、覆馬場でウォーミングアップ後にゲートを通過してから主運動を行っています。先頭はレモングラスの05(牡:父アグネスタキオン)

調教は事前にウォーキングマシンで運動後、馬装して覆馬場に集合します。そこで速歩のウォーミングアップと歩様検査を行い、馬に異常がないことを確認してから、主運動とクーリングダウンを行い、約50分間の騎乗運動が終了します。

主運動は現在、第1・2※1は屋内800m走路で駈歩2400mまたは延長された坂路1本、第34※1は屋内800m走路でそれぞれ駈歩1600mと1200mの調教を行っています。第12群の馬は単走だけでなく、闘争心を養うために徐々にスピードを増して併走調教も行っています。

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真剣な眼差しで歩様をチェックする獣医知識を持った調教責任者。初期の段階で異常を発見して対応することが大切です。

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併走調教を行う左オグラテスコの05(牡:父チーフベアハート)、右エイシンベーリングの05(牡:父カリズマティック)。徐々にスピードを上げた中で力強い走りができるようになってきました。

 1211日(月)にBTC利用者を対象とした意見交換会を開催しました。4回目となる今年は「育成馬の肢蹄管理」をテーマとして、肢軸検査2を参考にした装削蹄等、日高育成牧場の方針を話題提供した後で会場の皆さんと意見交換を行いました。育成場での調教の重要性が増す中、装蹄技術向上へのニーズは高まっています。そのためには装削蹄を装蹄師に任せきりにするのではなく、育成場の責任者や獣医師が連携してディスカッションしていく必要性を痛感しました。

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BTC利用者、装蹄師、獣医師等50人を越える参加者で、熱気あふれる意見交換が行われました。

14※1:日高育成牧場では馬の入厩日、性別、馬格、疾病、生年月日等を参考にして、ブレーキングを開始した時期で4群に分けています。

肢軸検査2:レントゲンで蹄と第1・2指(趾)骨の角度を確認する検査。3骨の肢軸が一致するように装削蹄を行います。

ゲート馴致(宮崎)

12月になり、全馬同じ内容(キャンター1000m+1200m:ハロン25秒平均のペースで走行)で調教を行うことができるようになりました。まだ、物見をしたり、手前を変えるのが下手だったりするのですが、少しずつ速く走れるようにしたいと思っています。

500m

はじめて1群と2群が合流し、500m馬場での調教を実施している様子です(12月1日)

さて、この時期に、ひとつの課題を若馬たちに与えています。それはゲートの馴致です。宮崎育成牧場では、馴致時にドライビングで通過することから開始し、騎乗開始後も毎日通過して帰厩することを繰り返すことでゲートに慣らしていきます。徐々に広いところから狭いところを通過することに慣らし、競馬と同じように扉を閉めてゲート内で駐立、パーンと音をたてて扉を開き、常歩で発進するところまで教えています。一旦そこまで教えた馬は、その後常歩で通過することを毎日行います。実際の発馬練習は、来年春のトレセン入厩後に厩舎で行うことになるのですが、そのときに迷惑をかけないようにしっかりしつけをしておきたいと思っています。

Gate1

向かって左の43は幅の広い練習用ゲートです。競馬と同じ幅のゲート(21を通過できるようになった時点でゲート練習を開始します。Gate2

前扉を閉めた状態で馬をゲート内に入れます。馬はスイートマーサの05(牝・父キャプテンスティーヴ)(121日)

Gate3

後扉を閉めている様子です。駐立を確認した後、前扉を開けます。

屋内坂路馬場リニューアルオープン(日高)

700mから1000mに延長工事を行っていた屋内坂路馬場が完成し、121日にリニューアルオープンしました。新しい馬場の感触を確かめに早速JRA育成馬を連れて行ってきました。

700mの旧スタート地点から手前側に300m延長されたコースは、新スタート地点から川に沿って緩やかな右カーブを描きながら旧コースに接続しています。馬場材はウッドチップで非常にクッション性がよく走りやすく、スタート地点から約350mは平坦で、その後200m2.5%、300m3.5%、50m5.5%の傾斜で残りがゴール前の踊り場となっています。

スタート地点は屋内直線馬場と同様な作りとなり、混雑時でもゆったりと旋回できるように改善されました。右カーブでゴール地点を視認できないため、スタート地点にはモニターが設置され、途中の状況を確認できるようになっています。屋内のため見た目はコーナーがきつそうな印象を受けましたが、騎乗した感想ではほとんど気にならないということでした。

BTC利用者が待ち望んでいた馬場の完成です。栗東や美浦トレセンでは坂路延長後に馬の故障が増えた実例がありオーバーワークへの注意が必要ですが、上手に利用することで強い馬づくりの進展が期待できる素晴しい施設の完成だと思います。

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延長された屋内坂路馬場:左手の登り口から右端までが新設された部分で、緩やかな右カーブで旧コースと接続しています。

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スタート地点:常歩でゆったり旋回しながら出発を待ちます。中央やや右にモニターと赤字でタイム計測番号が表示されています。先頭からエイシンベーリングの05(牡・父カリズマティック)、ミスムーンライトの05(牡・父ゴールドアリュール)、レモングラスの05(牡・父アグネスタキオン)、チアリーダーの05(牡・父スキャターザゴールド)

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集団で屋内坂路を駈け上がってくるJRA育成馬:先頭はミスクラブアップルの05(牡・父シンボリクリスエス)、ウッドチッブコースはクッション性がよく走りやすいコースとなっています。

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調教を終えクーリングダウン中のJRA育成馬:雪景色の日高山脈と青く澄んだ空がとても美しい。

集団での調教(宮崎)

競走馬にとって真直ぐ走ることは非常に重要です。我々は、初期の若馬に対して真直ぐ走ることを自然に教えるために、誘導馬(乗馬)を先頭に一列の隊列を組み、前の馬の後ろを遅れないようについていく縦列での調教を行っています。このような集団での調教は、馬が群れで行動することを好む性質を応用したものです。また、隊列の中で、騎乗者が正しいバランスを保ちながら、馬を「前に出す」「まっすぐ走らせる」および「落ち着いて走らせる」ことを考えながら騎乗することで、馬が正しいハミ受けを覚えると同時に、走るために必要な筋肉が良好に発育します。そうして、縦列の調教を続けていると、やがて馬に力がついてきて、走りたい気持ちがどんどん強くなってきます。中には前の馬を追い抜きたがる馬もいますが、騎乗者が馬の前進気勢をコントロールし、馬の後ろで我慢することを教えなければなりません。この積み重ねが、競馬において馬群の中で折り合いをつけるための基礎教育となっていくのです。

さて、騎乗馴致を開始して2ヶ月が経過しようとしています。1124日現在、第1群は500m馬場で1000m1600m馬場で1000mのキャンターを行っています (合計2000)。一方、第2群は500m馬場で連続した1500mのゆっくりしたキャンターを行った後 (合計1500m)、速歩で1600馬場に慣らしています。11月末には1群・2群合流して同じ調教内容になっていく予定です。

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誘導馬を先頭に一列での調教を行っています(第2群・1113日)。

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1600m馬場でのゆっくりしたキャンターを行っています。騎乗者は馬の背中の動きを邪魔しないように気遣いながらバランスよく騎乗しています(アトラスマーカーの05・牡・父ステイゴールド:1113日)。

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調教後の常歩も集団で行います。馬がリラックスしているので、歩幅も自然に大きくなります。

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調教後に必ずゲートを通過して帰きゅうします(先頭はレディフェアリーの05・牡・父アグネスタキオン:1113日)。

Miyazaki5

【番外編】1116日、ニホンザルがきゅう舎に遊びに来ました。騎乗(モンキー乗り)を依頼しましたが、塀を乗り越えて街へ消えていきました。