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あて馬の活用 その2「ユニバーサルドナー」(生産)

スワロー君に期待されている役割は「あて馬」だけではありません。

 

スワロー君の品種である「ハフリンガー種」は、他の品種に比較して「ユニバーサルドナー」である確率が高い品種です。

 

「ユニバーサルドナー」というのは、他の馬にその血液を投与した場合であっても、赤血球を破壊させる副作用がない、すなわち安全に輸血できる血液を持っている馬のことです。

 

ハフリンガー種の8割以上はこの「ユニバーサルドナー」であるといわれており、スワロー君も検査の結果、それに該当することが分かりました。

 

このため、スワロー君は「あて馬」としての役割のみならず、「輸血用馬」として、子馬の移行免疫不全症(出産直後に母馬から受け取る抗体が少ない病体)などの治療にも活躍することになります。

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ユニバーサルドナーとしての活躍も期待されるスワロー君

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子馬に対する血漿輸液療法

 

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あて馬の活用 その1(生産)

 先日、日高育成牧場にハフリンガー種の「スワロー君(オス3歳)」がやってきました。

スワロー君は、来年の繁殖シーズンから当場で「あて馬」として活躍します。

馬は季節繁殖動物であり、春に繁殖シーズンを迎え、この時期に牝馬は発情します。


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「あて馬」としての活躍が期待されるスワロー君

 

あて馬は、「試情」すなわち、牝馬の発情を確認し、交配に適切な日を判断することが主な役割です。

 

 しかし、それ以外にも、繁殖シーズン、特にシーズン始め(春先)に良好な発情が来ない牝馬に対して、刺激を与えて発情を呼び込む役割も持っています。

 

馬産国アイルランドにおいては、空胎馬に対して1月から毎日「試情」を行うことにより、牝馬に刺激を与え、早春からの発情を呼び込んでいます。

 

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アイルランドにおいては空胎馬に対して毎日「試情」する。

 

つづく