抗菌薬還流療法
臨床医学研究室の三田です。
ウマの臨床現場で遭遇する細菌感染症では抗菌薬を用いて治療することが一般的です。
抗菌薬の投与方法は色々ありますが基本的には血流を介して抗菌薬を病巣に届けられるかがカギになるため、外傷などで組織に空隙がある場合や骨折手術の螺子やプレート周囲など血流が乏しい部位では感染制御が難しくなることがあります。
そこで近年ヒトの医療で注目されているのが軟部組織内抗菌薬還流療法(intra-Soft tissue Antibiotics Perfusion〔iSAP〕)です(イメージ図参照)。これは高濃度の抗菌薬を皮下などの感染巣に持続的に注入するものです。
この方法では血流が乏しい部位に対しても抗菌薬を作用させることが可能となるばかりでなく、全身投与では到底達成できないような高濃度の抗菌薬を作用させることができるため低濃度の抗菌薬で死なない細菌に対しても有効となる場合があります。
画像はiSAPのHPより引用させていただきました。
(https://www.ismap-clap.com/isap(外部サイト))
ウマでこの治療方法を応用するためには課題が多いですが実現すればより早期に感染コントロールができる可能性もあるので注目の治療法として紹介しました。