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2022年9月 1日 (木)

蚊と日本脳炎

分子生物研究室の辻村です。
皆さま今年の夏はいかがお過ごしでしたか?
キャンプなどアウトドアに出かけられた方も多かったことでしょう。


そんな野外での楽しいひと時を邪魔する厄介ものといえば蚊です。
刺されて痒かったり、腫れたりするのも困りものですが、一番の問題は蚊が吸血で様々な病原体を媒介することです。


日本国内に分布する代表的な蚊媒介性の病原体といえば日本脳炎ウイルス。
多くの生物がこのウイルスに感染しますが、脳炎を起こしやすいのは人と馬です。
かつては、人でも馬でも日本国内で年間に数百から数千件の日本脳炎の発生がありました。
それがワクチンの普及で減少が進み、現在ではヒトで年間10件程度の発生、馬では2003年を最後に発生の報告がありません。
ただし、日本脳炎ウイルスは依然として国内に分布していますので、ワクチンによる予防対策はこれからも重要です。


ところで、本稿を執筆しながら、ふと思いました。
『そういえば、しばらく蚊に刺された記憶がない』
ネットを調べてみますと、個人差があるものの、年齢を重ねるとともに、蚊に刺されてもあまり痒くなったり、腫れたりしなくなる傾向があるとのこと。
私の場合、本当に刺されていないのか、あるいは気がつかなくなったのか?
おそらく、後者の可能性が高そうです。

Photo

写真:日本脳炎(口唇の麻痺)