獣医病理学の大家 Fabio Del Pielo (ファビオ デル ピエロ)先生の来日
微生物研究室の上野です。
当研究室の越智研究役が昨年の海外研修でお世話になったルイジアナ州立大学のFabio Del Pielo先生が、ご自身のサバティカル休暇(自主的な学習・研究のための休暇)を利用して7月に来日されました[写真1]。先生のご出身はイタリアですが、獣医病理学を専門に学んだ後、アメリカの大学で教鞭をとられ、かれこれ約30年にわたり動物の病理診断業務に携わられている、この分野で著明な先生です。“病理学”とは、病気になった動物の身体に生じている変化を調査・研究する、字のごとく病の成り立ちを明らかにする学問分野です。主として解剖技術や顕微鏡觀察等の形態学的手法を用いて実施され、その成果は患畜の病気の診断や検診および予防に生かされます。病理学を専門とする私達は特にお会いできることを楽しみにしていました。
写真1:Del Pielo先生(総研正門)
競走馬総合研究所(総研)では、症例を用いて先生が実際に米国で行われている検査手法ならびに標本作製方法についてご教授いただくまたとない機会を得ました。また、北海道新ひだか町で開催された「生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム」において、病理学的な観点から馬の流産・死産ならびに子馬の病気についてご講演いただき[写真2]、我々が経験したことがない、しかしこの先も経験しないとも限らない、米国で遭遇した症例についても学ぶことができました。先生はこの他にも、愛知県の中京競馬場[写真3]や北海道の日高育成牧場を見学、関東圏の獣医大学での講義・情報交換など、3週間という短い滞在期間中にあっても精力的に国内各地を飛び回られました。
写真2:シンポジウムでのご講演(北海道新ひだか町)
写真3:中京競馬場牧場見学
このようなお忙しい中にぽつんと空いた1日。先生のご希望で総研のある栃木県の世界遺産、日光東照宮を案内することになりました[写真4]。正直なところ、日常的な英会話もままならない私の案内で大丈夫かと思いましたが、流石にそこは世界遺産。英語の説明板がそこかしこにあり非常に助かりました。私には「三猿」も「眠り猫」も”That is the famous wood carving.”としか説明できませんでしたが…。海外の方と二人きりで旅する機会はそうそう巡ってきませんが、英語を学習しなければと改めて思った1日でした。まだ伸びしろがあると信じて…
写真4:Del Pielo先生と上野(日光東照宮 陽明門)