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2024年3月14日 (木)

バイオフィルムは手強い

臨床医学研究室の三田です。

今回の記事では私が研究している「バイオフィルムの抗菌薬抵抗性」について紹介します。

バイオフィルムってご存知ですか?

バイオフィルムは微生物が固形物や生物に付着した集合体で、「台所のヌメリ」や「口の中のヌメヌメ」など身近ないろんな場所に存在しています。

バイオフィルムは多糖類や細菌DNAなど様々な物質が細菌表面を覆ったもので、細菌が外部環境から保護される構造になっています。

医療現場でも骨折治療に使用するインプラントや血管内に留置したカテーテルの感染に関与しており、近年非常に注目度が高いです。

バイオフィルムを形成した細菌は外部環境から自らを守る盾を獲得した状態のため、治療で使う抗菌薬にも抵抗性になることが知られています。つまり、バイオフィルムを形成した感染部位では通常の抗菌薬の投与では治癒しないことがあるのです。

抗菌薬への抵抗性を調べることは治療方針検討の手助けとなるため、今回はその測定方法についてご紹介します。

~①器材紹介~

下の写真のようなプラスチックプレートを使います。下皿と剣山がついた蓋で構成されています。

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~手順①~

下の図はプレートの断面の模式図ですが、下皿に培地と細菌を加えてそこに剣山を浸します。

一晩くらい培養すると剣山に細菌が付着して、表面に紫色で示したバイオフィルムがつくられます。

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~手順②~

バイオフィルムがついた剣山を抗菌薬が入った新たな培地に加えて再度培養します。

抗菌薬は濃いものから薄いものまで何種類か用意しておきます。

高い抗菌薬濃度では殺菌されてしまい培地は透明になりますが、

低いものだと細菌が生き残って培地が濁ります。

Photo


~結果~

下の写真が実際に実験した結果の例です。

各行(横方向)には1種類の細菌が入っており、抗菌薬濃度が左から右にかけて薄くなっています。一番右の列(縦方向)は抗菌薬が入っていないので細菌が生きることができます。

一番上の「細菌A」ではある程度低い濃度(9列目)でも培地が透明で細菌が繁殖していないことがわかります(赤線は殺菌されている列と増殖している列の境界です)。

その一方で、下の行の「細菌E」では左端の一番高い抗菌薬濃度でも殺菌できておらず、抵抗性がかなり高い細菌であることがわかります。

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このように、バイオフィルムの抗菌薬感受性は細菌ごとに異なっています。

原因菌の特徴をつかむことで適切な感染コントロールに貢献できるように、これからも研究していきたいと思います。