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2024年3月 4日 (月)

私を助けてくれる機器

 初めまして、分子生物研究室の川西です。
総研に着任してからもうすぐ一年を迎えます。

 総研では、種々の機器が整い、そして清潔な実験環境が維持されています。総研に着任したての頃、スムースに仕事のできる素晴らしい環境に感動と驚きをもって職務につけたことを覚えています。大学院生時代は、手作業が多く時間のかかる環境で実験していましたから。そんな今の私をささえる職場の設備や消耗品について一部紹介したいと思います。

Photo写真1:自動核酸抽出機

 名前の通りの機械で、自動で核酸(DNAやRNA)を抽出するものです。ウイルス遺伝子の量や配列を調べるために、ウイルス感染細胞、鼻汁や血液などのサンプルから核酸を抽出する必要があり、このような機器を用います。本機器は、人手の操作が省略されるので、操作する人やその他雑多な異なる核酸の混入リスクを減らすことができます。

Photo_2写真2:自動分注機          

Photo_3写真3:自動洗浄装置

 感染馬の血清から感染の度合いや免疫の状況を知るためにELISA;エライザ(酵素結合免疫吸着検定法)という診断技術を使うことがあります。このエライザを行う際に、上記の機器が必要となります。プレート(写真4)への薬品の自動注入やプレートを自動で洗浄する装置です。学生時代は、手動の分注装置(通称マイクロピペット;写真4)で注入していました。マイクロピペットですと操作は短時間で頻回となり、とくに親指での細かな操作は手の腱を痛めやすく、多検体を処理すると腱鞘炎になることも。機械を用いることで、実験者の人為的ミスや誤差を減らすだけでなく、肉体的損耗を減らすこともできます。

Photo_4写真4:マイクロピペットでプレートに薬品を注入する作業

 大いに助けてくれるこれらの機械に囲まれて作業を繰り返していますが、年数が経つにつれこの環境が当たり前になってしまうかもしれません。ですが、漫然と作業するのではなく、手探りで苦労していた時代に培った探求心を忘れないようこれからも仕事に励み、競走馬を病気にしてしまうウイルスとの闘いに挑みたいと思います。