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2025年8月19日 (火)

気候変動とウイルス感染症

分子生物研究室の辻村です。

お盆を過ぎても猛暑が続いていますが、皆さま体調は崩されていないでしょうか。思い返すと、30年ほど前に北海道で学生生活を送っていた頃は、アパートにエアコンがなくても十分に過ごせました。それが、今月出張で訪れた北海道では連日の30℃超え。エアコンなしでは到底しのげず、気候の変化を実感しました。やはり確かに気候変動が進んでいるのでしょう。

こうした気候の変化は、私たち人間の生活だけでなくウイルスの世界にも影響を与えています。地球温暖化や降水パターンの変化は、蚊やマダニといった節足動物の分布を広げ、その結果、彼らが媒介する感染症のリスクも増していると考えられています。

その一例がウエストナイルウイルスです。蚊によって媒介され、カラスなどの野鳥の間で感染環が成立していますが、ヒトや馬も蚊に刺されることで感染し、まれに脳炎などの重い症状を引き起こします。このウイルスは1937年にウガンダの西ナイル地方で初めて確認され、その後はアフリカや中東、ヨーロッパの一部、インドなどに広く存在していました。ところが1999年、米国ニューヨーク州で突然の発生が報告され、日本でも大きな話題となりました。幸い現在に至るまで日本国内での発生はありませんが、近年では北ヨーロッパの地域でも感染例が報告されるようになり、温暖化によって媒介する蚊の生息域が広がったことが背景にあると考えられています。

気候変動に対する国際的な取り組みが進展したとしても、その効果が現れるまでには時間が必要と思われます。それまで私たちにできることは、身近なところで蚊に刺されない工夫を心がけることかもしれません。

Horse_and_mosquito_2

(ChatGPTの生成画像)