食事中です、お静かに・・・

 チモシー、オーチャード、アルファルファ、エンバク、フスマ、ペレット・・・さてさて、何のことだかわかりますか?

 実はこれらは競走馬の食べ物の名前。リハビリが終わって午後3時になると、みんな一斉に馬房から顔を出して、「僕のご飯まだかなあ・・・」「ヒヒン、ブルルル・・・」と大合唱!担当のきゅう務員さんは、「よしよし・・・」と声をかけながらエンバクやフスマの入った飼い葉桶をつるします。

・やったー、ご飯だ、さあ食べよう!

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 桶に顔を突っ込んで、夢中で食べております。食事中は静かに見守ります。「家族団らん和気あいあい、楽しくおしゃべりしながら食べないとおいしくないよね。」なんて、私たち人間の世界では言ったりしますが、馬の場合はちょっと違います。

・あっ、僕のご飯を横取りする気だな!

 食事中の様子ですが馬によっていろいろ・・・。中には近寄ると噛み付いてくる馬がいます。ある馬は、取られちゃ困ると思うのか、急いで噛まずに飲み込むものもいます。逆に食べるのをやめちゃう馬もいる・・・。彼らの胃はとても小さく出来ているので、物理的にたくさんの食べ物を消化できません。消化不良で胃を通過すると大きな腸のなかで動きが悪くなり、食べたものが溜まってくると、「疝痛」(ハライタ)という病気の原因になってしまう。だから、ゆっくりと時間をかけて食べてもらうために、あんまり見つめたり近寄ったりせず、普段どおりのきゅう舎作業を装いながら、食べる様子をそれとなく観察するようにしているんです。

・センイもしっかり取りましょう

 飼い葉桶に入っているものは、馬の大好物でありエネルギー源となるエンバク、腸の働きを助けるフスマ、そしてペレット状の複合飼料が中心です。それ以外に乾草を与えます。乾草にはセンイがいっぱい含まれているので、腸の動きをよくするために大切。きゅう務員さんは糞の状態や回数、量を観察して、馬の体調を知ります。食いしん坊くんや水をあまり飲まない馬、糞や尿のついた寝わらも食べる馬はおなかを壊しやすいので注意します。

・運動制限がある馬は難しい・・・

 さて、常磐特有のお話。元気に調教している馬、故障がなく放牧場で運動できる馬はいいのですが、常磐の馬はリハビリメニューにしたがって運動しているため、食事の調節がとても難しいんです。太りすぎは厳禁!肢の故障には体重をコントロールすることも重要です。だからといって、やせすぎも下痢をしたり・・・。運動の少ない馬は、腸の動きも悪くなりやすいですから、おなかに食べ物が溜まりやすく、便秘になりがち。そこで、整腸剤や下剤を混ぜて食べさせるんですけど、これがおいしくないのか食欲が落ちるもの、食べても痩せていくものなどがいる。リハビリの段階と馬の性格、馬の体質を考えた食事を考える・・・きゅう務員さんの腕と私たちのアドバイスをミックスさせて、心地よく常磐での生活を送ってもらおう・・・そんな風に思っているのですが、彼らには伝わっていないようで・・・「もっとたくさん食べさせろ!おれは腹ペコだよ!」なんて言いたそうな顔をしてこっちを見るんですよ・・・。辛いですね~。

・お行儀よく食べようね

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 見てください。一口食べるたびに桶を振り回して遊ぶものだから、下にいっぱいこぼれてる。もったいないなあ。こんな行動はストレスをためている可能性もあります。安心して食べてもらうには、どんな組み合わせで飼料を与えるのか?馬それぞれにあわせて、きゅう務員さんは頭をひねってるのです。

・他にも注意することがいっぱい・・・

 常磐では5時と15時の2回に分けて、馬の体調によっては3回以上に分けて与えるようにしています。とにかく決まった時間にリズムよく食べさせることが大切なんですね。他にも食べやすい高さに調節する、なるべく同じきゅう舎の馬は同時に与えていらいらさせないようにするなどなど・・・。そんなわけで、なかなか皆様にお食事の風景をご覧いただける機会は作れませんが、こんなところにも馬のデリケートな一面があることを知っていただけたらなあと思い今回ご紹介いたしました。(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「本日、毎年恒例の競走馬に関する調査研究発表会が東京で開催されました。その中で常磐におけるショックウエーブ治療の効果について発表しております。お問い合わせは常磐支所まで。入所馬受付中です。」

 

スタートライン

「それじゃ、行ってくるから」

 そんなことを言って、16歳の春に高校入学のため札幌へ出たのが、今から25年前になります。これから、一人でしっかりやっていかなければならない・・・慣れない土地での下宿生活。不安と寂しさ・・・今となっては遠い思い出です・・・。競走馬にもそれぞれのドラマがあります。母親から自立し、育成期間を経て調教を重ね、デビューに向けて慣れ親しんだ牧場に別れを告げ、トレセンに旅立つ。そして、順調に調教メニューを消化し、出走まもなくとなってきたところに、突然のアクシデント・・・。復活を目指し新たな旅立ち。その行き先は・・・。

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 今日もまた一頭の競走馬が常磐にやってきました。馬運車に揺られて、どこに連れて行かれるかわからない不安な気持ちで来るのでしょう・・・。着いたばかりの馬は落ち着きません。馬房から見える限られた景色を感じ取ろうとしているのか、遠くを見つめる姿を見ると、あの時の自分と重ねあわせて見てしまいます。

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 馬房のなかをクルクル回って、寝転がるものもいます。私たちは声をかけながら、馬体をひと通り観察して体温を測ります。脚元を見ると事前に報告を受けたとおり、検査の跡がくっきり残っていました。彼もまた出走を目前にして、残念ながらリハビリの道を進むこととなったのかと、すこし可哀想な気持ちになってしまうのでした・・・。しかし、何事も前向きに考えなければ・・・今日は新しいスタートラインに立った記念すべき日になったとも言えるのです。私たちと一緒に常磐での療養生活を楽しみ、リハビリをやっていこうね・・・って心の中で会話をするのでした。

 常磐は一つのスタートライン。決して悲観的になることはなく、希望を持っていく場所。

 皆さんは、どんなスタートラインに立とうとしていますか?人それぞれ・・・ですよね。機会があれば、常磐の馬たちを眺めに来てください。「スタートライン」に立つ人と馬で心の会話をしてみませんか・・・。

 常磐への入所は年中不定期に行われています。その数は50頭から80頭になります。トレセンから直接入きゅうするものと、トレセンで故障し放牧されたものが直接入きゅうしてくる場合があります(この場合は検疫を実施します)。いずれも調教師からの依頼によるもので、毎月頭数は異なります。

 運のいい方は、入所退所の場面に遭遇できるかもしれませんね!(ASHI)

「きゅう舎関係者へ・・・常磐のスタートラインに立たせたい競走馬大募集中です。連絡お待ちしております。」

もう一つの旅立ち

 最近の異常気象には本当に驚かされることばかりですね。竜巻なんて、外国でしか起こらないものと思っていたら、私の故郷である北海道でも起こるんですから・・・。子供の頃は地震と大雨が多い所に住んでいましたが・・・。今では全国各地でいろいろな災害が起こるからなあ・・・自然は怖いですよね。

 さて、湯治場日誌ではお馴染みの「旅立ち」シリーズ。競馬学校に合格し卒業していく若者たちの思い出話を綴るコーナーですが、こちらのブログでも書いていこうかなと思います。従来の「旅立ち」は日誌にとっておくことにして・・・こちらは「もう一つの旅立ち」です。

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 毎日、競走馬の世話をしながら、トレセンのきゅう務員を目指して勉強中の若者たち。その中の一人アオちゃんは、今年の4月に常磐に来たばかり・・・。実は彼、既に競馬学校を卒業し、きゅう舎に配属になる前に常磐に勉強をしに来ている・・・ちょっと他の人とは違う立場にあります。今までまじめに一所懸命取り組んできたアオちゃん。でも彼は一人で悩んでいたようで・・・。

 何度も書いてきている通り、ここ常磐は骨折や屈腱炎など一定期間リハビリが必要な馬ばかりがいる施設。自分の担当馬が決まって、その入きゅう直後は騎乗できないことがほとんど・・・。競走馬の騎乗を勉強するには少し制限があることは仕方がないことなんですね。でもその分、飼養管理や馬の病気のことを学ぶには良い勉強の場。乗れない分を補う意味合いで、これまでいろいろなことをアドバイスしていきました。

でも・・・馬には乗りたい。

 アオちゃんの担当してきた馬は数頭いますが、どの馬も短期間で出て行ってしまいました。不思議なことに、アオちゃんが一所懸命リハビリメニューどおりに担当馬の世話をして「さあ馬場入りだ!」と張り切ったとたん、退きゅうの連絡が来てしまうのです。(普通は順番に騎乗馬が回ってくるものなのですが、運がないのかなあ・・・。)これはきゅう舎の事情とリハビリの進み具合で今後どうするか決まることであり、その馬にとって一番良い方法を考えた上での結論ですから、復帰に向けて出て行くことはむしろ喜ばしいことです。実際アオちゃんの担当馬のなかには、メインレースに出走してる馬もいるわけですし・・・。ホント、どうしてアオちゃんに担当させるとこうなってしまうのかな、と私自身も申し訳なく思うほどでした・・・。

 今月に入って、アオちゃんは私のところに来ました。

「もう少し、競走馬に乗れる環境で腕を磨きたいです。」

「そうだね、それはいいことだと思うし、良い選択だと思うよ」

 私は、心の中では残念だなと思いました。もう少し、彼の騎乗ぶりも見てみたかったし、騎乗以外のことも、もっと教えてあげれば良かったな、と後悔しました。でも、アオちゃんの人生だ。自分のことは自分で決める!当然のことだ。自分で決めた方向にすすめるということは幸せかつ大事なことですよね!この決断がきっといい方向に向いてくれると私は信じています。

 アオちゃんは「外国に行くかもしれない」とのことでした・・・。遠いなあ。帰ってきたら、また元気な姿を見たいものです。きゅう舎の所属になって、パドックで会える日が来ることを心待ちにしています。環境の違うところに行くのですから、辛いこともあるでしょう。

私は、彼に一つ言葉を送りたいと思います。  

「それなりに!」

 いい加減にも聞こえるかな?(ちょっと自信がない・・・)「それなりに辛いことがあっても、それなりに自分のペースでやっていけば、それなりに何とかなる。」そんな気持ちを込めました。

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 ではでは、イングランド代表のヘルメットが似合うアオちゃん、またいつかどこかでお会いしましょう。(ASHI)

 きゅう舎関係者へお知らせコーナー

 「常磐も朝の気温が一桁台を観測するころとなりましたが、温泉はいつも暖かく、各馬リハビリに励んでおります。例年になく少ない在きゅう頭数で、入きゅうは即日OKです。皆様からの連絡お待ちしております!!」 

うちの看板娘です!

 すごしやすい陽気が続く常磐です。しかし、朝は寒いですね~。今は季節の変わり目で昼夜の気温の差が激しいですね。馬も季節の変わり目は苦手。時々「疝痛」という病気になることがあるんですけど(通常「はらいた」と言っています)、ちょうどこのような時期に多い病気です。おなかの調子が悪くなって、便秘になったりガスが溜まったりして、寝たまま動かない、食欲がなくなる、振り返って腹を見るなどの症状をみせて、痛みを訴えます。先日も、朝5時半に調子が悪い(軽い症状で済みました)という連絡を受けたのですが、往診に向かう途中に温度計を見たら、なんと「9度」でした!冬はもうすぐです・・・。

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 さて、看板娘ということで・・・ミミちゃんをご紹介しましょう。

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 まずはミミちゃんのお家から。かわいいと思いませんか?駐車場から入り口に向かって歩いていくと、まず左手に見えるのがこのお家です。皆さんを最初に出迎えてくれるのが・・・

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 ミミちゃんです(事務所前で放しているところです)。と、言っても13歳ですから結構いい年だったりします。人間で言えばだいたい・・・余計なこと言わなくていいのよ!って怒られそうなのでやめときます・・・。ミミの家の隣には小さな遊び場があり、いつも遊んでいる子供たちを見守っていてくれてます。また、遠足など小さなお友達が遊びに来てくれて来た時は、外に出てさわらせてくれたりします。以前、湯本高校のお姉さんたちが遊びに来てくれたことがあって、ミミが遊んでもらったこともあります。そんな、ミミも子供たちが帰った後や天気が悪くなって誰も遊びに来ない日は一人ぼっち・・・

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 ではなく、お隣にサラブレッドのレイン君がいます。(レインのお尻のところにミミの家が写ってますよね!)レインは馬の温泉で競走馬の世話をしながら、乗馬の練習をしているきゅう務員たちの練習馬です。頑張り屋さんで、きゅう務員全員にかわいがってもらってます。皆が競走馬の仕事をしている間はミミのお話し相手です。お客様にもミミと同様にかわいがってもらってます。

 先にご紹介した写真のように、ミミはとっても慣れていて、散歩している時も放してOK。人間のあとをちゃんとついていくんですよ。ポニーはサラブレッドに比べると、とってもしっかりものです。あまり機会はありませんが、ポニーとサラブレッドを一緒に放牧すると、必ずといっていいほどポニーが主導権をとります。体の大きさとは反比例して、おもしろいものですよ・・・。

 みなさん、遊びに来る機会がありましたら、ミミとレインもよろしくお願いしますね!!(ASHI)

ちょっと風変わりな歩行訓練?

 福島浜通り地方の天気。最近、ちょっとおかしいですね。すばらしい秋空になったと思ったら、台風でもないのに、ものすごい風と雨が吹き荒れたりして・・・。船の事故や遭難の事故をよく聞くような気もするし。何か落ち着かないですね・・・。

 さて、今回の施設紹介ですが、最近このリハビリメニューを開始したばかりのライト君をモデルにご紹介しましょう。風変わりと言っても、そんなに変わってるわけではないのですが・・・名前が「ウオータートレッドミル」(またまた名前が長いのでWTと略しますね。)と言います。トレーニングジムなどに通っている方は、なんとなくわかるかもしれませんね。そうですね・・・水中に沈めたルームランナーと言えばイメージがわくでしょうか。

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 まずは準備をしているところです。馬ははじめて見る場所や建物に入っていくことを、とても嫌います。ライト君はまだ始めて1週間もたっていませんので、「今からWTに入るよ」と十分に心構えをさせ、同時に水の冷たさや水しぶきに慣れさせる必要があるんです。写真は脚元についている砂などを洗い落としているところです。その間の時間を利用して、ライト君にWT室内の風景を見せてあげます。

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 ゆっくりと入っていきます。温泉は脚だけが湯に浸かりますが、WTはそれより少し深めでお腹が当たるぐらいの深さになります。入っているのは普通の水です。温度は人のプールと同じくらいでしょうか・・・。初めは抵抗しますが、すぐに慣れて自分から入るようになる馬がほとんどです。

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 写真ではわかりませんが、青と黄色の境界線から後ろに、馬が乗っても十分に余裕のある長さのルームランナーが底面に設置してあり、操作盤(いつも私が操作しています)が写真の右側にあります。メニューは、常歩(なみあし=普通に歩く)5分。次に速歩(はやあし=二拍子でゆっくり走る)5分。最後に常歩5分の計15分です。写真は常歩をしているところ・・・最初は水しぶきに驚いたりしますが、だんだん慣れていきます。

 曳き運動、騎乗運動とリハビリが進んで、いよいよ馬場に入ろうかという時、「久しぶりの馬場入りだけど、大丈夫かなあ・・・少し負担のかからない環境で走らせてみたいなあ」と考えます。そんな時に使用するのがこのWTなんです。浮力がかかるので、全体重かけることなくゆっくり走ることが出来ます。また、適度に肢を冷やす効果もあります。たとえば骨折。特に関節部分の骨折は、ゆっくり休養させても予想以上に熱がひかず、リハビリの段階を進める判断が難しくなりますが、そんなときにもWTが利用されます。負担の軽いWTで歩かせてみて、熱が悪化しないか、レントゲン検査で異常が認められないか確認するんですね。よく、トレーニングジムでは、プールでウオーキングしている人の姿を見ますよね。そんな人たちに効果の程を聞いてみたり、実際に自分でやってみるとライト君の気持ちもわかるかもしれませんね!

 WTは平日の13時から実施しています。(都合により予定変更や中止もありますので、ご了承ください。)ライト君や他の馬たちの奮闘ぶりを、是非見に来て応援してやってください。(ASHI)

 では、「きゅう舎の皆様へ」

 WTを話題にしましたので・・・腕節の骨折後、いつまでも熱が取れずに困ることありませんか?あくまでも私見ですが、WTはそんな馬たちに効果があるようです。常磐でリハビリはいかがでしょうか?お待ちしております。

馬場も秋色・・・

 「1、2、3、シンジラレナ~イ」。優勝した北海道日本ハムファイターズ。北海道出身の私にとっても、駒大苫小牧に続いて、とてもうれしいニュースでした。そんな北の大地はきっと冬の足音が聞こえてきている頃。でもここ常磐はまだまだ秋色って感じですよ。そんな気分を伝える風景は・・・やはり馬場でしょうか。

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 常磐の馬場はダートコースで1周400m。トレセンに比較すれば、かわいらしいものです。懸命のリハビリ生活を耐えて、ようやく立ち直った競走馬たちが久しぶりに砂の感触を味わう場所、つまり復帰すべく次回出走を目指してのスタートラインがこちらの馬場なのです。

 つい、1ヶ月ほど前までは、青々としたみどりの葉が生茂っていた木々。それぞれ時間差をつけながらだんだん黄色くなり、とてもカラフルな色合いの風景となっております。「湯治場日誌」の方では、過去に向こう正面の桜をご紹介しています。そちらの方も見てくださいね。こちらの方にも、来年の4月になったら季節の便りとして載せる予定です。

 機会を見つけて後ほどちゃんとご紹介しますが、常磐にはミミという名前のポニーちゃんがいます。ミミは支所の入り口で皆様を出迎えるかんばん娘。ミミは時に放し飼い状態で放牧されておりますが、そんなミミの案内で、あけびの実を見つけることが出来ました。(写真のバックはあけびとは関係ありません)

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まだ、熟してない実を2つに割ってみました。私は「あけび」を手にとって見るのがはじめてなんです。(誰ですか?世間知らずなやつだなあ、と言ってるのは・・・その通り・・かな)「湯治場日誌」では「常磐動物王国」ってのをやってますが、「植物ばんざい」ってのもやってみたいですね。でも苦手なんだなあ~、植物は・・・。

って、今回の投稿も完成か・・・と、思っていたら、ミミの担当者が、しっかり熟したあけびを持ってきてくれた(ありがとうございます!)ので、こちらも写真を載せておきます。ではでは。(ASHI)

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では、最後に「きゅう舎関係者にお知らせコーナー」を。

 蟻洞でお悩みの愛馬はいませんか。ストレスのかからない環境の整った常磐でじっくり治療に専念してみては・・・。連絡お待ちしております!!

チャプチャプと歩けば

 先日の台風並みの低気圧。常磐支所のある福島県浜通り地方にも襲ってきました。それほど強烈な雨ではなかったのですが、降る時間が長く、また風も強かったため、支所内の各施設に枯れ木が散乱して大変でした。馬たちは興奮することもなく嵐が去るのを静かに待っていたようですが・・・。皆様の地方では被害はありませんでしたか?最近は自然災害が当たり前のように起こりますよね。天候は競馬にも影響を及ぼしますので、ホント、穏やかに毎日が過ぎてほしいと願うばかりです。

 さて、今回はウオーターウオーキングマシンをご紹介しましょう。常磐支所には屈腱炎や骨折など脚元の病気のため入所してくる馬が多いのですが、彼らがまず最初に経験するリハビリ施設がこのウオーターウオーキングマシンなのです。ちょっと、名前が長いので「WWM」と省略して書くことにしますね。

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 WWMを撮ってみました。大きさはちょうど、遊園地のメリーゴーランドくらいの大きさでしょうか(BGMに映画「タイヨウのうた」で主演したYUIのMerry Go Roundを流しながら読んでいただくと楽しく読んでいただけるかな・・・)。と、言ってもメリーゴーランドもいろんな大きさのものがありますよね。こちらのWWMは直径が12メートルぐらいで4つの部屋に仕切られています。

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 馬場での調教が終わって、WWMに入場しているところです。皆、慣れているので抵抗なく入っていきます。

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 こちらは、騎乗運動を終えて入ったところ。各スペースに1頭ずつ馬を入れて準備が整ったらスイッチオン!

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 深さ約40センチに水を敷いた円形コース。仕切りが回転すると、各馬が促されるようにゆっくりと歩き始めます。チャプチャプ・・・と。水の抵抗感があって、適度な負荷がかかることと、肢を冷やす効果があり、初期のリハビリとしては最適のものなんです。また、ある程度調教が出来るようになった馬が、馬場から戻ってクーリングダウンをするのにも使用しています。

 さて、こちらの施設、支所内の奥にあるため、残念ながら見学はできません。ごめんなさい。でも、温泉に入っているところや馬場で調教しているところは見ることが出来ますので・・・。各馬のリハビリメニューは午前中に組まれていますので、お早めにご来場ください!!(ASHI)

 そして、最後に「きゅう舎関係者にお知らせ」コーナー。

 入きゅう馬を心待ちにしております。トレセン診療所で手術を実施した馬も大歓迎です。適切なリハビリメニューを組んで実施していきますので、連絡お待ちしております。!!

プール調教が終了です

 このコーナーが始まって間もないというのに、タイトルに「終了です」とはどういうことだ?という声が聞こえてきそうですね。

常磐の施設を少しずつご紹介していこうと思っているわけですが、今回はプールです。昭和50年からスタートしたプール調教。屋外施設のため、利用期間が限られているのです。毎年5月下旬から10月初旬まで。今年も10月6日に最終日をむかえることとなりました。さすがに水も冷たくなってきましたから・・・。ということで、こんなタイトルです。  

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さて、馬のプールって?と、想像できない方もいらっしゃると思いますので、写真を撮ってみました。まずは水に入ろうとしているところ・・・「水冷たいよ。今日はやめとかない?」と係員に言っているのでしょうか・・・少し抵抗していますね。しかし、これも大事な調教の一つ。避けるわけにはいかないんだな・・・。本当は馬場で思い切り走らせてあげたいんですけどね。常磐の馬たちは皆脚元に不安を抱えてるんです。だから、馬場での調教は控えめにして、脚元に負担がかからないプールで泳いでもらって、筋肉と心肺機能を少しでも維持させよういうのが狙いで行ってる調教なんですよ!

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  どうですか、一所懸命泳いでいるのが写真で伝わるでしょうか?1周40メートル、深さ3メートルの円形水槽です。前肢を犬かきのように動かし、後肢を力強く蹴って泳ぎます。水の中に入ると、胸の部分にも水圧がかかりますから、呼吸するにもいくらか努力が必要になる。これが心肺機能を鍛えることにつながるんです。そして激しく肢を動かさないと沈むので、みんな必死。肩や腰の筋肉の鍛錬にもなります。中には泳ぎが苦手な馬もいます。一定のリズムで前肢を動かしていれば問題ないんですけど、休んだり不規則だったりすると、体がだんだん立ってきて、いわゆる立ち泳ぎの状態になりパニックに陥るんです。そんな時は素早く曳いてプールから出します。平均3周程度を1周30~40秒のスピードで泳ぐことになります。

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ほっとして、出てきたところです。このあと、整理運動をして、温泉で疲れを取り馬房にもどります。「お疲れ様!」「疲れた~、さあ、風呂入って、ご飯食って・・・」と言ってるかどうか知りませんが・・・。来年も5月下旬、葉桜の季節に再開予定です。見学も出来ますので興味のある方はいらして下さい。お待ちしております。(ASHI)

またまた、最後に「勝手にきゅう舎関係者の方にお知らせ」コーナー!

常磐でもショックウエーブの治療をリハビリの中に取り入れる準備をしております。入きゅうを考えている愛馬に適応する治療か?等いろいろな、ご相談承ります。よろしくお願いします。

温泉だよりスタートです

 日誌を書いている今日は雨。このところ、雨の日が増えてきているような気がします。職員との会話の中にも、「今年は雨が多いね」「そうだよね」というやりとりが多くなった感じがしますね。常磐支所の馬たちも、「足元が悪い日が多いよね」「そうだね」なんて会話をしてるのかもしれません。さわやかな秋晴れを期待したい10月です。

 さて、皆様はじめまして!温泉だより担当のASHIと申します。湯治場日誌でご存知の方もいるのではないかと思います。これから私の日誌をご覧になる方が増える・・・かもしれないんですよね。緊張するなあ・・・。これまでは、気まぐれに、馬には関係ないことまで書いてきた私ですが、これを機会に気分を・・・変えることなく、今までのスタイルを貫いて、勝手なことを書いてしまう私をどうか許してくださいね!これからはJRAHPと元来の湯治場日誌両方を意識して書かなければならないということで、私が担当になってから既に紹介した話題をもう一度・・・という場面もあるかもしれません。湯治場日誌読者の皆様、どうぞご了承願います。

 というわけで、最初はやっぱり温泉のご紹介から・・・ということになります。

まずは常磐温泉の泉質と性状です。

 含硫黄ナトリウム塩化物・硫酸塩泉 無色透明微弱硫化水素臭味。 

(漢字が並んでしまいました!)

これではわからないので、入った瞬間の感じ方を言ったほうが良いですね。とにかくじわじわと暖かさが伝わってくる感じです。無色透明となっていますが、少し淡青色に濁った感じに見えます。臭いは硫黄臭を軽く感じます。長時間入っていると、僅かですが肌に刺激を感じます。あがると体がぽかぽかしていい気分ですね。疲れを癒す競走馬にとっても、とても気持ちの良いものでしょう!

次に浴槽とシャワー

 シャワーは水圧を高くして、肩腰のお好みの箇所に集中して当てることができるようにしています。馬の体をすっぽりお湯に浸からせるわけにはいかない(浮かんで暴れてしまう)ので、肩や腰にはシャワーを使います。各馬のリハビリメニューにあわせた温泉以外の調教施設を利用した後にリラックス、疲労回復を目的に使用しています。馬たちの顔を見ると効果抜群って感じですね。

そして入浴

 温度は38度~40度。時間は15分前後です。

 人が入るには少しぬるめです。皮膚が薄く、お肌もデリケートな馬にはちょうどいい温度なんですね。

 

と、こんな感じで・・・書いていきたいと思ってます。馬とは関係ない話もいっぱいするかもしれません。常磐の良いところを語り、季節を感じることの出来る便りにしていけたらなあ、と思ってます。皆様、どうぞよろしくお願いします!!

 

 さて、最後にこれをご覧になっている、きゅう舎関係者の皆様!今年の常磐はかなり入きゅう頭数が少なくなっております。入きゅうを検討している愛馬がおりましたらご一報ください。お待ちしております。湯治場日誌の方には、入きゅう状況、空き馬房数も掲載しておりますのでご利用ください。と、最後は業務連絡までしてしまいました・・・。さてさて、これからどんな話題が飛び出すことか・・・乞うご期待?ではでは。

よろしくお願いします!

0501111_1 JRA競走馬総合研究所「馬の温泉」常磐支所から馬の入退厩の情報や最新情報をお届けいたします。

レースや競馬場ではみられない、温泉につかり、リラックスしている馬の表情などをうまくカメラにおさめられればよいなと思っております。