新品の靴に履き替えよう

 空は快晴。風は少し冷たいですが、気持ちのいい気候の常磐です。今日も常磐のアイドル?パフィーちゃんのところに遊びにいこうと思いましたが、馬房にはいない様子。

 「装蹄所にいますよ」

 そうでした。今日は蹄鉄の打ち替えの日でした。

 「蹄鉄?打ち替え?」

と、わからない方もいらっしゃいますよね。中指1本(総研HPの日誌をご覧ください!)で走る競走馬はツメの管理がとっても大切。そのツメを守るため、そして調教や競馬で走るために蹄鉄というものを装着しますが、人のツメと一緒で、馬のツメも少しずつ伸びてくるんです。ツメを伸びたままにしておくと、蹄鉄を装着するために打ちつけている釘が緩みます。そして形が変化してバランスが失われたり、割れて痛みが生じたり、またツメ以外の部分をケガしてしまう恐れもあるんです。そこで、ツメの伸びにあわせて一定の間隔でツメを削り、新しい蹄鉄を装着することが必要となるのです。

 さて、下の写真は前肢と後肢に蹄鉄を打ちつけてるところです。装蹄師さんの姿勢に注目してください。前肢と後肢で違うところがあるのですが・・・

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こちらが前肢に蹄鉄を打ちつけてるところ。(右前です)

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こちらが後肢に蹄鉄を打ちつけてるところ。(左後です)さて、答えは・・・

わかりますか?馬の肢をどうしているでしょう?前肢は肢を股に挟んで蹄鉄を打っています。それに対して、後肢は肢を腿に乗せて打っています。競馬場やウインズのイベントで実演を見た方もいらっしゃると思いますが・・・写真が見づらくてわかりにくかったかもしれませんね。馬の性格によっては、肢を振り回したり、直ぐおろしたりして言うことを聞かなかったりするので、ご機嫌をとりながら集中して作業しなければなりません。

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蹄鉄は、馬のツメの形に合わせて、鉄床と呼ばれる鉄の台の上で、蹄鉄の形状を修正します。装蹄師さんの腕の見せ所ですね!

もう一つ前後の違いをクイズにしてみましょうか・・・下の写真、微妙に形が違いますよね。さて、どっちが前肢の蹄鉄でしょう?

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答えは右です。前肢の蹄鉄の方が丸みを帯びているんですね!

と言ってるうちにそろそろ作業も終わりに近づいてきたようです。パフィーは大人しくて、装蹄師さんにとっても協力的。きゅう務員さんににんじんをもらいながら、ご機嫌の様子でした。装蹄のお話もこれから入れていきますね。お楽しみに!(ASHI)

気分一新!

 G1開幕戦のフェブラリーS。皆様の予想はいかがだったでしょうか?幸先良いスタートを切ることが出来たでしょうか?当日の東京競馬場は、天気に恵まれなかったのが残念でしたね。常磐は雨の日がほとんどなかったので、当日東京に居た私は、久しぶりの大雨に少しびっくりしました。でも午後からは晴れ間がのぞいて良かったですよね。来月の高松宮記念は是非とも好天で開催されることを願うばかりです。

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 さて、常磐のいつもの風景・・・温泉前の運動場です。写真ではわかりませんが、多くの人に見られて緊張しながら乗っているマツ君であります。実は2月はスタッフが交代の季節。旧スタッフと新スタッフが引継ぎを兼ねて運動風景を見守っているところなんです。今週はマツ君が調教のトップバッターだったので、みんなに見つめられることとなったのです。

 朝の打ち合わせでは、新スタッフときゅう務員がお互いに自己紹介。旧スタッフへはきゅう務員から感謝の気持ちをこめて贈り物が。寂しさ、緊張・・・気分を変えてまた1年が始まる・・・そんな1日でした。私自身も、気分を一新です。新しい人たちを迎えてどんな雰囲気になっていくのか・・・楽しみです!

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こちらもいつもの調教風景。新スタッフに見つめられる中、無事終了です。

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こちらはユウ君の調教終了後。

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新スタッフの馬体チェックを受けているところ・・・きゅう務員へのアドバイス実施、そして肢をじっくり触って状態を確かめるなど・・・スタッフの「これからしっかりやろう」という気持ちが伝わってきました。2007の常磐のスタートは今日!・・・なのかもしれません。(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様・・・スタッフ一新の常磐もよろしくお願いします!

女の子の気持ち

 最近はいろいろなブログがあって面白いですよね。私も気になるブログを見つけました。男性心理、女性心理を扱うもので、なかなか面白いことを書いてあるなあ、と感心しながら見ております。すっかりファンになって、毎日見ています。意外に心理学等に興味をお持ちの方は多いのでは・・・と思うのですがどんなものでしょう?そこで今回は女の子の気持ちと題して・・・常磐のアイドル、パフィーちゃんの入浴中にお邪魔してみました。

 担当のヤスくんは、偶然ですが常磐でも牝馬の担当になることが多く、今回のパフィーちゃんを含め、3頭しかいないうちの2頭を担当しています。

「今までは扱う上で失敗も多かったけど、だんだん慣れてきました。」

とのこと。

「パフィーはどう?」

「彼女はおとなしくて扱いやすいですよ。」

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なるほど、カメラを向けてもあくびをしてるくらいですから・・・。

「難しいなあって思うことは?」

「やっぱり、怒る時ですね。たとえば、前掻き(餌がほしいとか、我慢が出来ないとかの意思表示をする時、前肢で地面を掻く動作のことです)をやめさせたい時。牡馬なら叩いたりしても大丈夫ですが、牝馬はすねて余計にひどくなるときがある。怒るタイミングが難しい。」

時々、来場のお客様にお話することがありますが、牝馬は群れの中で順位付けをはっきりつけるなどの牝馬だけの特徴があり、気性も難しいところがあります。トレセンでも牝馬はベテランに任せたほうがいい、なんて話も聞いたことがあります。

「特にリハビリメニューが1ランクアップする時に注意してます。体調を崩す牝馬もいますから。」

おっと、これは私が気をつけなければならないことですね!了解です!!

「すべてに当てはまるとは限りませんが、パフィーの前に担当してた牝馬は、にんじん作戦がベストでした。時には怒るよりにんじんです。機嫌をとったり、軽く怒ったり・・・そのバランスですよね。」

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なんて、話しているうちに眠ってしまいそうなパフィー。今日も1日のメニューを無事終了しようとしています。競馬では牝馬限定のレースがあります。また牡馬の中に牝馬が1頭だけというレースもあります。他のレースと比べてどんな違いがあるか観察すると、楽しいかもしれませんね!!(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ

「特別や重賞に出走する常磐卒業馬のニュースが聞こえてくるようになりました。私たちスタッフにも励みになります。卒業馬の健闘をお祈り申し上げます。そして今後とも常磐をよろしくお願いします!」

よ~く顔を見ると・・・

 あっという間に1月が終了。気象観測開始以来、初めて東京で雪が降らない年になる可能性が・・・というニュースが話題になるくらいの暖冬。常磐も風邪などで体調を崩す馬も出ていません。湯治場日誌でご紹介してますが、梅の花も咲き始めております。

 さてさて今回は・・・競走馬たちは馬房でどのようにしてくつろいでいるのか?そんなお話を・・・。(期待してもらうほどすごいことはかけませんのでご了承願います。)

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 写真は普通に草を食べているところ・・・。私が来ても完全に無視。黙々と食べることに集中しております。

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 こちらは、馬房の奥でじっとしているところ。くつろぎタイムの彼の定位置です。一番落ち着く場所なんでしょうね。(口に着けている籠は暴食して、おなかの調子が悪くならないようにするためのものです)

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 こちらは馬房から顔をだして様子をうかがってるところ。「何しに来たの?」と言わんばかりの表情ですね。彼は常磐に来て間もないので、まだ落ち着いていないということもあるのですが・・・。ほとんどの馬はこのように馬房から顔を出していて、逆に顔を出していないと、どこか調子が悪いのかなあ、というサインにもなるので、馬房での様子を知ることは重要です。

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 お尻を向けて愛想がないなあ。彼は私が来ると必ず知らん振り。ペットを飼っている方はピンと来ると思うのですが、馬は獣医さんが大嫌い。このようにお尻を向けて、「あっちへ行け!」という態度をとります。中にはきゅう務員さんに対してもそっぽを向く馬もいます。こんな時は、とりあえず獣医は陰に隠れて、きゅう務員さんに機嫌をとってもらったりします。と、いった感じで馬にもいろいろ個性があることが、馬房での様子を見ただけでもわかります。

 さて、馬の顔を見てて思い出したことが一つ・・・。

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 写真は左右斜めから同じ馬を撮ったところです。どうでしょう?表情が少し違って見えませんか?左から撮った写真はたくましい感じがして、どことなく強そうな、あるいは怖そうな顔に・・・、右から撮った写真はおっとりとして、優しくて可愛く・・・、見えると思いませんか(人によって感じ方はいろいろだと思いますが・・・)?実は眼の白い部分が目立つかどうかの違いで、そのように感じるのです。これまで、たくさんの馬を見てきましたが、このように左右で顔が違って見える馬って結構多いんですよ。人間も自分の顔を鏡でよく見てみると、左右で微妙な違いを感じますよね。どんな動物もいろんな顔を持っている、個性を持っているってことなのでしょうね。競馬場に行く機会がある方は、パドックで顔をよく観察してみてください。皆さんの目にはどのように映るでしょうか・・・。(ASHI)

いい湯かな・・・ホントの気持ちって?

 先日、懐かしい友人からメールが来ました。あるスポーツの指導者で、「今年は教育もかねて指導者として頑張っていく」という内容でした。彼とは仕事を一緒にする時間が本当に短かかったので、私の印象などほとんど残っていないはずなのに・・・と思っていたのですが・・・。そんな私にもしっかりと気遣いしてくれる人間で、ホント、いいやつなんですよ!最近は、会う機会もなかなか作れず残念ですが、心の中ではいつも応援しているやつなんです!

 ねえ、皆さん!さりげない気遣いって、ちょっぴり恥ずかしい感じがするし、勇気のいることです・・・よね(社会人なら当然わきまえるべきだろ!って怒られちゃうかな・・・)。中には私のように行動に表せない人もいると思うのです。そんな人は気持ちだけでも大切にしましょうね。感謝の気持ちを・・・。そして、可能であれば・・・時には勇気を出して言葉にしてみましょう(ほとんど、自分に言い聞かせている・・・)。

 馬たちと毎日接していて思うこと・・・。当たり前の話ですが、彼らは言葉を発してくれない。だから何を思って毎日を過ごしているかわからないのです。ケガの治療をして、すっかり信用を失い、近づいただけで噛み付いてくるようになった、なんて経験もあります。一所懸命話かけるんですけど・・・通じない。きっと、治療で嫌な思いをさせたから、気分を悪くしてるんだよなあ・・・どういう風に接したらよかったのかなあって・・・。私は人間で言葉がある。だから、普段の生活の中でもっとしっかりしないとね、って・・・反省。そんなことも、馬たちは考えさせてくれます。

 と、しんみりしててもダメですよね。楽しい話をするブログですから、気をとりなおして行きましょう!今回も「いい湯かな」をお送りしますね。登場するのは、トレッドミルを終えて、入浴中のウイーンちゃんです。

 バシャ、バシャ、、バシャ・・・

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 なにやら賑やかな音が聞こえてきました。入った直後のウイーンちゃん。バシャバシャ水をかいて遊んでいます。と、近づいていくと今度は・・・

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ピチャピチャ・・・お湯に口をつけて遊び始めました。

 これまで紹介してきた馬たちを振り返ってみると、ジーっとしてのんびり浸かっている馬が多かったですよね。以前、函館競馬場に勤務していた時には、温泉のお湯をゴクゴクっと飲んでいる馬を見たことがあります。こういった仕草もリラックスして入っているって証拠なのでしょうか・・・。見学のお客様からも「気持ちよさそうだね。」などと感想が聞かれましたよ。私たちはいつも馬たちの気持ちを考えてあげなければね・・・そんな風に思ったのでした。

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 さて、温泉大好き度の判定ですが・・・

 今回は○!実はこのウイーンちゃん、温泉に入る前が少し落ち着きがないのです。もう少し気分をリラックスさせてから入りましょう!ということで・・・

 明日もいい湯かな?(ASHI)

いい湯かな・・・後ろ向きで失礼!

 今日は寒かった~。最近の常磐、朝の気温はプラス2~5度位なのですが、今朝はマイナス1度。さすがに、体感温度に違いを感じました。寒いと言えば、いきなり余談になりますが・・・、私は大学時代を北海道の帯広で過ごしました。道東の真冬は厳しく、当時、マイナス25~30度なんていう日がよくありました。暖かいところに住んでいる方は、想像もつきませんよね。天気予報などを見るとマイナス10度とか発表されてるんですけど、郊外の大学周辺は10度以上も違うんです!その、帯広も実は温泉の街だっていうことをご存知でしょうか?銭湯も温泉だったりします。私設の学生寮に温泉がありましたね。近くの十勝川温泉には「モール温泉」という珍しい?温泉もありました。友人とよく行きましたね。帯広は食べ物も何でもおいしいです、豚丼とかメークインとか(好きなもの書いても説得力なしかな)・・・。一度足を運んでみてはいががでしょう!

さて、今回の「いい湯かな」ですが、ジュンくんの入浴中にお邪魔してみました。

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 あれあれ~!ちょっと、ちょっとちょっと!少しおかしいですよね・・・。後ろ向きに入っているではありませんか。

「どうしても、バックでは入ってくれなくて・・・」

と、担当のメグルくんが教えてくれました。

 入って気持ちいい温泉も馬にとっては初めて見る得体の知れないもの・・・最初はかなり警戒し、危ないので練習をするんですけど、どうしてもバックで入るのを怖がる馬がいるんですね。温泉の最大の目的は「リラックスしてもらうこと」。後ろ向きでリラックスできるなら・・・よし、する場合もあるんです。で、頭から入るため写真のようになるわけです。

ところで、ジュンくん湯加減はどうだい?

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「別に・・・気持ちいいよ・・・」とそっけない視線・・・。さてさて、私の独断と偏見による温泉大好き度判定は・・・

◎!!後ろ向きだし、○の判定にしようかどうか微妙でしたが、温泉に入っている顔は「◎顔」ということで・・・

さてさて、ジュンくん、リハビリも順調のようで・・・明日もいい湯かな?(ASHI)

あったか~い、つめた~い

 2007年始まりました。あけましておめでとうございます!!

「おいおい、今日は何日だと思ってるんだい?成人式も終わったじゃないか!」

とういう目でコアレスくんににらまれてしまいました。

 そうでした。少し遅いご挨拶でした。今年も温泉だよりをよろしくお願いします。

 またまた、やってきた爆弾低気圧。皆様 大丈夫でしたか?常磐は雪はないものの、冷たい風が吹く日々。そんな中、リハビリを続ける競走馬たち。今日はトレッドミルに励む2頭がお手入中のところをお邪魔しました。

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こちらは、温泉に入り、シャンプーと暖かいお湯で洗ってもらっているところ。気持ち良さそうです。そして、こちらは・・・

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思わず、肢の方に接近してしまいました・・・。なにやら、肢に細い管を巻いていますね。温泉に入らず・・・?何をしているの?

実はこれ、流水で肢を冷やしているところなんです。

 冷やすと言っても、いろいろなやり方がありますよね。熱を出した時を思い出してください。氷のう、氷枕ってのがありました。氷水で頭を冷やす方法。今は冷却材をおでこに貼って使うのが一般的でしょうか・・・。では馬の場合はというと、写真のような流水による冷却が効果的と言われているのです。もちろん、冷たい水や消毒液を浸した湿布を巻いたり、クラッシュアイスや冷却材をあてて巻く方法もありますし、こちらの方が簡単です。しかし、実際にサーモグラフィーなどを使って、温度を比較すると、流水が冷却を終わってからの持続時間が一番長かった、なんていう結果もあるんですよ。

 「温泉であたためたり、流水で冷やしたり忙しいなあ」

なんて思われる方も多いですよね。ケガをすると、まずは熱を持ちます。これは冷やさなければいけません。ほったらかしでは、直すのを妨げるわる~い物質が出てくるかもしれないからです。

「じゃあ、あっためたらだめじゃない」

とも、思いますよね。ケガをした肢は、冷やすなどの処置をしながら安静にして、しばらくたつと落ち着きます。熱を持たなくなるんです。でもこれは、「慢性化する」と言ったりしますが、良くも悪くもどちらにも転がらず、反応が停滞する状態になってしまいます。そうなった場合どうするか?黙ってみていても良くはなりませんよね。

そこで登場するのが、

お・ん・せ・ん!!

なんです。何らかの効果的な刺激を与えて、反応を良い方向に起こしてあげたいんですよ。もちろん、いろいろなリハビリをおりまぜて「効果あり」なんですけど。

あたためる、冷やすの判断をするのは、私たちの仕事になる訳。馬によって、症状によって、さまざまです・・・。「あったか~く」すれば治るのが早いのか?それとも「つめた~く」すればいいのか?毎日、肢とにらめっこ・・・ですね。(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「今年も常磐をよろしくお願いします。昨年もお願いしましたが、最近は馬房に余裕がありますので、お気軽に連絡を!有効に利用してください。お待ちしております。」

常磐卒業の馬たちへ「1日も早い復活を願っております!」

常磐卒業のきゅう務員たちへ「きゅう舎で、学校でどんな日々を送ってるのでしょうか・・・たまには近況聞かせてください。待ってます。」

それなりに・・・2007

 2006年もフィナーレを迎えようとしています。そんな師走の忙しい時期に、爆弾低気圧だの、気温上昇だの、大雪だの・・・。皆様の住んでいるところは、何事もなくすんでいるのか・・・心配です。こちら、いわきは快晴ですが、ものすごく強い風が吹いています。

 今年を振り返ると・・・なんて話になりがちですが、やめておきましょう。前を向きましょう!2007年、きっといい年になるに違いない!そんなことを、自分に言い聞かせながら、また、皆様の幸せを祈りながら2006年を締めくくりたいと思います。来年も温泉ブログをよろしくお願いします。

 それでは、常磐の競走馬を代表してハリー君のご挨拶です。

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なになに、

「今気持ちよく入っているから邪魔しないでくれよ」

って?そうだと思ったんだけど・・・

「でも、来年もリハビリ一所懸命やろうな!よろしく!」

「わかった、それなりにね!」

「そうだね、あわてず急がずそれなりにね!」

ではでは、皆様も2007年 「それなりに!」

いい湯かな?

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「どうですか、湯加減は?」なんて聞いたところで、何も答えてくれない競走馬たち・・・。温泉療法は大切なリハビリの一つ・・・とは言っても、実際に入っている姿を見ると、実に気持ち良さそうに見えます・・・。そこで、いい湯だな・・・では、ババンババンバンバン!とドリフになってしまう(古いよなあ)ので、果たして馬たちは「いい湯加減だ、気持ちがいいなあ」と思って入っているものなのかどうなのか、を皆さんにお伝えしようと思いながら企画する、題して「いい湯かな?」・・・ヒュ~っと、白けた風が吹いたところで、強引なるスタートであります。

 さてさて、第1回目(続けられるのか・・・?)は、最近入きゅうして常磐にもそろそろ慣れてきたかな、と思われるゲンちゃんに接近してみました。

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まずは、担当きゅう務員のトミーくんに入っている様子を聞いたところ、

「おとなしいです!」

とのこと。大抵の馬が少しは反応する距離に接近して、デジカメを構えてみました。

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「何してんの?」くらいのリアクションで、耳もこっちを向かないんです。落ち着いてますね~。それどころか・・・

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うとうとっとして、今にも目を瞑ってしまいそう・・・。たまたま、来ていたカップルのお客様が

「写真撮っても大丈夫ですか?」

と尋ねてきたものですから、

「フラッシュなしでお願いしますね。」

とお伝えし、早速、お客様がカメラを構えたのですが・・・。

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更にボーっとして、目が先ほどよりも細くなっているゲンちゃん・・・。う~ん、参った!!私の独断と偏見で判定するゲンちゃんの「温泉大好き度」(◎○△で判定)は・・・・・

もちろん、◎!!リラックスしてこそ効果大の温泉です。

 「元気なさそうで大丈夫かなあ」と心配される方もいらっしゃることでしょう。でもこのゲンちゃん、競走成績も抜群で、馬房では元気いっぱいです!ご安心を。

 さてさて、入浴時間終了のようです。明日も「いい湯かな?」(ASHI)

いや~全然ダメですね・・・

「どうだった?今日は」

「いや~、ダメでしたね、全然ダメです。」

 ある屈腱炎の馬を担当するタダッキくんのリハビリ調教後の口癖のような台詞です。

 常磐在きゅうの競走馬が抱える疾病の中で一番多いのが屈腱炎という病気です。その屈腱炎の症状も馬によって様々(今回は詳しい病気の説明は省略しますね)。治るのが早いものもいれば遅いものもいる・・・。また、症状がひどいからといって、治りが遅いわけでもなければ、軽いからといって、治りが早いわけでもない。(ちょっと、混乱してしまうかな・・・こんな書き方では・・・)

 で、当然彼の担当する馬についても、じっくりと診断をしてリハビリの進め方を検討するわけですが・・・結局、馬場に出られるようになった時は、

「ゆっくりとしたキャンター(駆け足、駆歩)で進めていこう」

ということになり、通常よりスピードを制限して周回をゆっくりと増やしていこうということになりました・・・では、誰に乗ってもらおうか・・・いろいろ考えて、指名されたのが今回主役のタダッキくんでした。

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 タダッキくんは前回登場したアオちゃんと一緒に入ってきた競馬学校卒業生。常磐メンバーの中でも乗るのが上手で、私たちの注文どおりに乗ってくれる頼もしい存在です。

「今日は・・・な感じで回ってきてくれる?」といえば、忠実に守って回ってくるんです。それも実に正確に!ところがです!最後に常歩(なみあし)で1周して帰ってくると必ず出てくる台詞が

「全然ダメですね」

なんです。

「どうして?今日は良かったと思うけどね。」

「いや、ダメでした・・・」

と言って、どんなところが今日は良くなかったと私たちに話してくれます。

 自分に厳しいタダッキくん。現時点で満足しないんですね。悪かったところを探して、次回には修正を試みる。まあ、馬も生き物ですから日によって気分も違うわけで、なかなかうまくいかない。そんなところを見越して私たちは「よかったね」って言うんですけど・・・。

 私はどうだろう。自分に厳しく前を向いて歩いているだろうか?彼の言葉を聞きながら思うのでした。競走馬に乗るからには、妥協は許さない・・・そんな意気込みも伝わってくるような姿勢。皆さんは自分が迷ったり、壁にぶつかった時、どう立ち向かっていますか?簡単に諦めてしまうことはありませんか?私は恥かしいですけど、諦めてしまうことがよくあります。でも、今回彼と接することで感じたこと・・・たとえ納得のいくところにたどり着けなくても、とりあえず前に進んでみようか・・・。そんなことをタダッキくんに教えてもらったような気がします。

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 そんな、タダッキくんもめでたくきゅう舎へ入ることが決まりそうなんです。良かった、良かった。ということは、暫しのお別れということになります。寂しくなりますね。トレセンでもし彼が馬道で馬にまたがっている姿を見たら聞いてみよう。

「今日は、どうだった?」

 常磐の冬の馬場を優しく見つめる山茶花に見送られながら・・・また、一つの旅立ち・・・(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「今年の競馬も残り少なくなりました。常磐入きゅう受付は『もちろん!』31日までOKですので、1年の疲れを温泉で取りたいとお考えの馬の入きゅうお待ちしております!」