最後の「抽選馬」(事務局)

みなさんは、「JRA育成馬」の前身といえる「抽選馬」という言葉をご存知でしょうか?

この言葉は、以前JRA育成馬を抽選(くじ)方式で均一の価格で配付(今でいう売却)していた頃の呼び名です。

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抽選馬時代の平成14年度2歳馬名簿(当時は東組(美浦入厩予定)・西組(栗東入厩予定)に分けていた)

(外)(地)などと同様、馬名の前に付される馬記号としても抽選馬を示す(抽)(マルチュウと読みます)というものがあり、この記号は現7歳世代以上のJRA育成馬に付されています。

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以前はよくみられた()の記号(JRAレーシングプログラムより)

ただ、一度JRAの登録を抹消すると、たとえ地方競馬から戻ってきても復活しないこともあり、この記号を持つ現役馬は、2頭を残すのみとなってしまいました。

815日の育成馬日誌で紹介したグランドサファイヤ号が中央競馬の登録を抹消、残るはともに7歳馬のアマノブレイブリー号とスターオブニルス号です。この2頭の今後の出走・活躍を期待したいと思います。

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アマノブレイブリー号 (ドンカスターS優勝時)

アラブの抽選馬

ちなみに今はないJRAのアラブ競走はすべてこの抽選馬によって実施されていて、馬記号は[](カクチュウと読みます)としていました。略称としてアラブは「アラ抽」、サラブレッドは「サラ抽」という呼び分けもあったのです。中央競馬のアラブ系競走が廃止されたのは平成7年末のことでした。

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[]ムーンリットガールは平成7年のスプリンターズSに出走しました(競走成績より)

ダービー馬ウオッカを産んだJRA育成馬(事務局)

今年のオークス・ダービーは好天に恵まれ、多いに盛り上がりました。

オークス(優駿牝馬)には、JRA育成馬のハロースピード号、アマノチェリーラン号が出走、それぞれ1112着に終わりましたが、私たちもわくわくする時間を過ごすことができました。馬主・調教師等関係の皆様、そして馬たちに感謝するとともに今後のますますの活躍に期待したいと思います。      Photo

ハロースピード号

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アマノチェリーラン号

そしていよいよ日本ダービー(東京優駿)。JRA育成馬の出走はありませんでしたが、なんと64年振りとなる牝馬での優勝を果たしたウオッカ号、実はJRA育成馬と深いかかわりがあるのです。ウオッカ号の母タニノシスター号(父 ルション)は平成7年に売却されたJRA育成馬(当時は抽選馬と呼んでいました)で、れんげ賞を勝って桜花賞にも出走した母馬なのです。ちなみにその父ルションもJRAが日本産馬の資質向上のために英国から導入した種牡馬です。このような形でJRA育成馬が今年の日本ダービーに関わっていたことは大変うれしい出来事でした。Photo_3

タニノシスター号

春のクラシックが終了し、いよいよ2歳新馬戦のスタートが近づいてきた今回はJRA育成馬事務局からお届けしました。