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2020年7月20日 (月)

技を磨くということ~装蹄技術の奥深さ

臨床医学研究室の福田です。

今年もすでに半ばを過ぎましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

まさかこんな夏になっているとは。。。

災害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。

またくれぐれも体調にはお気をつけてお過ごしください。

さて、少々昔になってしまいますが、今年の初春に全国的なJRA装蹄師の配置換えが行われ、競走馬総合研究所には常勤の装蹄職員がいなくなってしまいました。そのため、ちょっと離れた宇都宮の馬事公苑で勤務しております装蹄職員に月に数回来ていただき対応してもらっています。順調に改装(蹄鉄の履き替え)できれば問題ないのですが、改装後にアクシデントなどあったとしても、多忙さも手伝ってそんなに何回も来ていただくことができません。そこで研究所の獣医職員が簡単な処置をかわりに行うことがあります。

現在、主に引き受けていただいている方は、公益社団法人日本装削蹄協会に3年間出向していた間に認定”牛”削蹄師の資格を取得した桑野上席研究役です。牛と馬ではだいぶ削蹄技術が違うらしいのですが、元々馬の蹄病の研究者だった上席は、他の獣医師に比べて豊かな知見と経験をお持ちで、積極的にトラブルに対応していただいております。

もちろん装蹄師の仕事は一朝一夕でモノになるものではありません。1本の鉄の棒から蹄鉄を作り出すことはもちろん、蹄の底を削って調整を加えるにも、長期間の訓練や豊富な専門知識に裏打ちされた繊細なテクニックが必要です。このように大変神経を使う作業をすすんで引き受けていただいていることについて桑野上席は、

「蹄鉄操作は難しくてまったくできません。それでよく、『蹄を削るだけでしょ?』と言われるのですが、この削蹄技術をバカにしていると馬は壊れると装蹄師さんから習っています。装蹄師さんに実地で教えてもらうとわかるのですが、蹄の形状をどの目線から眺めるか、これを間違えただけでひどく変形した蹄に削りあがってしまうのです。」

とおっしゃっていました。

みなさんも競馬場では、各レースのスタート地点あたりで装蹄師さんたちがエプロンのようなものを腰から下げて立っているのを見かけることがあると思います。出走馬が落鉄(蹄鉄が外れること)したときにすぐ対応するのですが、そのスピードといったら。もちろんただ落ちた蹄鉄を履かせ直すだけでなく、落ちて曲がった蹄鉄の微修正や蹄の観察まで行うわけですから、経験に裏打ちされた高いレベルの技術が必要になるわけですね。

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1本の鉄の棒を真っ赤になるまで熱した後、金づちで叩いて形を整えます。パワーが要るうえ、繊細さも求められます。

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宇都宮の装蹄教育センターで、未来の装蹄師を目指す若者たち。暑いですが頑張ってます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。