競走馬の骨折は致命的?
少々遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。臨床医学研究室の福田です。
今年も総研ブログをよろしくお願いします。
さて年末年始、皆さんはどのように過ごされましたか?
コロナ禍の中なかなか帰省できず、ようやく実家に帰って久しぶりに親戚同士顔を合わせたという方も多いのではないでしょうか。
自分も実家に帰っておりましたが、帰省した時によく聞かれる質問があります。
「馬って、骨折したら死んじゃうんだよねえ?」
骨折にも色々ありまして…。
2021年のデータを見てみますと、競馬のレース中に発症した肢の骨折は689件ありました。分母を述べ出走頭数にして確率を計算しますと、1.58%となります。
1競馬場あたり1日で約2頭くらいでしょうか。
このうち、いわゆる「重症で救うことができない」骨折の件数は25件でした。つまり、残りの馬たちは手術や保存療法によって救命されたことになります。
競走馬に最も多い骨折は、下肢部の関節構成骨の骨折です。
こういった骨折は、関節鏡を使って骨片を取り出せば予後は良好です。
比較的重症な例としては、下の写真のような骨折線が縦に伸びているケースですが、写真右のようにネジ留めすることでしっかり安定し、症状の悪化や再骨折を予防することができます。
最近は手術の技術も向上し、多くの馬が競走に復帰できるようになりました。
しかし、前述の「救うことができない」骨折馬がまだ存在することは事実です。
臨床医学研究室は、これらの馬を「全て救う」ことを目指して今年も頑張ります。