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2023年2月

2023年2月28日 (火)

アジア競馬会議@メルボルン

分子生物研究室の坂内です。

2月15日~17日にオーストラリアのメルボルンで開催された、アジア競馬会議に参加してきました。2年に一度行われるこの会議では、アジア各国の競馬主催者や関連団体が集まって、競馬産業の抱える課題や将来の展望などが話し合われます。本当は2022年に予定されていたのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期され、3年ぶりの開催となりました。

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会議では、Landscape(状況)、Wager(賭事)、Fan(ファン)、Owner(馬主)、Horse(競走馬)、Sustainable(持続性)、Mind(心理)、Shift(変革)、Defense(防御)、Developments(発展)、Future(未来)という11項目のセッションが3日間に渡って行われました。セレモニーやパーティーも連日行われて、多くの方と交流することができました。最終日には快晴のフレミントン競馬場で競馬を観戦することができました。

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総研の研究職である私にとって特に印象的だったのは、香港ジョッキークラブの方の講演で、競馬主催者が研究に対する投資をもっと行うべきだというものです。例えば馬の福祉のためにより効果的な暑熱対策をしましょうという場合、実験や統計に基づく科学的な裏付けがあることで物事が進めやすくなります。国際交流競走の開催について国の機関と調整する際にも、感染症の研究者が専門家として意見を出すことでスムーズにいくこともあります。競馬主催者が様々な経営問題に取り組む上で、今後ますます大学や研究機関と連携していく必要があるというのが講演の主旨でした。その意味では、JRAは主催者でありながら内部に研究所を持っていて、自前で専門家を養成していますから、世界をリードしていると言えるでしょう。

クロージングセレモニーでは、次回の会議が2024年、JRA主催のもと札幌市で行われることが発表されました。700名ほどの参加者があり大盛況のメルボルン大会でしたが、来年の札幌大会も必ずや盛り上がることでしょう。

最後に、筆者は研究留学でメルボルンに1年間住んでいたことがあり、今回は6年ぶりの訪問となりました。タイトなスケジュールでしたが、懐かしい街並みとおいしいコーヒーに癒されて、有難い出張となりました。

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2023年2月15日 (水)

スポーツ科学セミナー

 こんにちは、運動科学研究室の吉田です。

 今回はJRA競走馬総合研究所が主催して、毎年栗東もしくは美浦トレーニング・センターで開催している「競走馬スポーツ科学セミナー」について紹介します。

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 このセミナーは、「総研が推進する競走馬スポーツ科学の研究成果を、調教の現場に活用してもらう活動の一環として、研究者が厩舎関係者の皆様に直接お話し、またお互いに意見交換を行うこと」を目的として行われるもので、昨年は以下の内容で11月に栗東で開催しました。


〇育成馬に対する調教後乳酸値の目標設定の検討
〇サラブレッドにおける高強度インターバルトレーニング
〇サラブレッドのスポーツ栄養 

 これらの内容と同一ではありませんが (公社)日本軽種馬協会さんが提供している馬学講座ホースアカデミー(外部サイト)で関連する内容がご覧いただけますので紹介します。

競走馬における乳酸を活かしたトレーニング
運動前の飼料給与
運動時における飼料給与のタイミング
                   (いずれも外部サイト)

 また本年中に当研究室より発信する「スポーツ科学基礎講座」について、ホースアカデミーで公開される予定となっています。公開後はこのブログで紹介させていただきます。

追記;こちらに公開されましたので、興味のある方はご覧ください(2023年8月)

⭕️スポーツ科学基礎講座(外部リンク)

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2023年2月 2日 (木)

競馬場の土壌調査

こんにちは。
微生物研究室の岸です。
今回は我々が行っている調査をご紹介いたします。

当研究室では、馬から採取される微生物以外に、
競馬場やトレーニングセンターの馬場に存在する細菌の調査も行っています。
レース中の競走馬のスピードは、時速60~70キロと言われています。
このように高速で走行していると、蹴り上げられた芝生や砂が
馬の皮膚や眼に接触することで傷ができてしまうことも少なくありません。

芝生や砂が原因となり細菌感染してしまう可能性もあるので、
芝コースの芝生やダートコースの砂の中に、
どのような細菌が生息しているのか調査を行っています。

今回は内田と岸で中山競馬場へサンプリングに行ってきました。

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芝・ダートコースからサンプリングを行います。
使用しているのは検土杖という器具です。

採取された土壌サンプルをもとに、

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細菌培養を行い、

Photo_3上段:ネガティブコントロール
中段:芝サンプル
下段:ダートサンプル

どのくらい細菌が生息しているのか、
生息していた場合に馬へ影響のある細菌がいるのか
といったことを調査していきます。

このような調査結果は、今後論文や学会などで発表していく予定です。