骨・関節感染症学会
臨床医学研究室の三田です。
6月24日と25日に三重県の津市で行われた第46回日本骨・関節感染症学会を聴講してきました。
この学術集会では骨や関節の手術後に発生する術部感染症に対する予防・診断・治療方法をメインテーマにしており、人工関節の設置手術の後の感染症に関する発表が多かったです。ヒトの整形外科では近年の高齢化に伴い膝や股関節の人工関節を設置する手術が増加傾向にあり、その手術件数の0.25~2.0 %で手術部位の感染症が発生していると報告されています。参加者の先生はその治療のスペシャリストで、これらの感染症に対する近年の治療戦略の変遷や考え方について学ぶことができました。
また、昨年この学術集会に参加した時には、抗菌薬を感染部位に継続的に投与する方法(CLAP〔クラップ〕)について勉強できましたが、本年はこの治療方法に関する演題数がかなり増えており、とても盛り上がりを見せていました。この治療方法では抗菌薬を感染部位に直接投与することで、静脈内投与や経口投与では実現できないような高い抗菌薬濃度を感染部位に提供することができます。そのため、従来治療ではなかなか治せなかった手強い感染症に対して有効に働くことが多いようです。
昨年以降、馬医療での実現にむけてCLAP療法のパイオニアの先生達に多くのご指導いただいており、学会後の懇親会にもお招きいただきました。お酒のせいで少し記憶があいまいですが、その席で先生の1人が仰っていた
『感染症を治すことは当たり前になりつつある、大事なのはその先にある機能回復』
という言葉はとても印象的でした。
ウマでも関節に感染症を起こすと、骨がいびつな形態となって機能が損なわれることがあります。そのようなケースでも早期に感染症をコントロールすることで機能の維持ができたら望ましいなと思います。
今年の学術集会のテーマは「骨・関節感染症に勝つ!」でした。
抄録集のデザインからは会長がゲーム好きなのかと感じました。