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2026年9月

2026年9月11日 (金)

ビクトリア大学での研究留学

 こんにちは、運動科学研究室の胡田です。

 

 現在、私はオーストラリア・メルボルンにあるビクトリア大学へ1年間の研究留学に来ています。

 総研運動科学研究室では、長年にわたり競走馬のトレーニングに関する研究に取り組んでいます。安全かつ効率的なトレーニング方法を模索していくためには、最新の知見をアップデートしていくことが大切ですが、サラブレッド競走馬を対象としたトレーニング研究を行っている機関は世界的にあまり多くなく、得られる情報には限りがあります。

 一方で、ヒトを対象としたトレーニング研究は世界中で活発に行われており、運動生理学やトレーニング適応に関する新たな知見が次々と報告されています。 

 ヒトとウマでは動物種の違いはあるものの、トレーニングによる適応メカニズムには多くの共通点があることから、ヒトで得られた知見は競走馬のトレーニングにも十分応用可能だと考えられます。そのため、私たちの研究でもヒトの最新の研究成果を参考にすることは珍しくありません。

 こうした背景から、今回私はヒトのトレーニング研究、特に骨格筋の適応メカニズムに関する研究で世界的に高い評価を受けているビクトリア大学のInstitute for Health & Sportにおいて、1年間の研究留学を行うことになりました。

 留学期間中は、最先端の研究手法や考え方を学び、それらを今後の競走馬研究に還元できるよう努めたいと考えています。

Uniビクトリア大学の外観

 ちなみに、メルボルンといえば世界有数のカフェ文化で知られています。現在は冬ということもあり、街を歩くとホットコーヒーを片手に行き交う人々をあちこちで目にします。メルボルンには数多くの個人経営のカフェがあり、その数は約2万店舗とも言われています。犬も歩けば棒に当たる、メルボルンを歩けばカフェに当たる。それくらいカフェが多く、日本でのコンビニエンスストアなみに身近な存在であることを実感します。私もオーストラリアに倣い、コーヒーを片手にカフェインの力を借りながら研究業務に励み、この留学を実りあるものにしたいと思います。

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2026年9月 3日 (木)

インフルエンザ研究者交流の会シンポジウムで発表しました

分子生物研究室の川西です。

 先日、私の博士課程時代を過ごした東京大学農学部で「第39回インフルエンザ研究者交流の会」が開催されました。これに参加し、研究発表を行いましたのでちょっと紹介します。

 本シンポジウムは、人および動物のインフルエンザ研究者が集い、疫学調査、基礎・臨床研究、そして行政上の課題について発表や情報交換を行う歴史ある会です。インフルエンザの制圧に貢献することを目的に1986年から続いており、基礎研究者だけでなく、臨床現場の先生方も多数参加されています。

1                               発表する筆者

 私の発表では、近年、哺乳類への感染が新たな脅威として注目されている「高病原性鳥インフルエンザ」をテーマに取り上げました。2020年以降、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)が陸棲・海棲の哺乳動物に感染した事例が確認されています。中でも2024年の北米にて、乳牛から人へ伝搬した事例は、公衆衛生上大きな問題となりました。

 馬産業においても、このH5N1ウイルスの馬への感染リスクが懸念されていますが、今のところ自然感染例は非常に限られており、馬への感染リスクは明らかにされていません。私は、国内の馬400頭を対象にH5N1ウイルスの抗体保有状況のスクリーニング検査を行い、その結果、全頭が陰性であったことを発表しました。 現在の日本では、H5N1ウイルスの馬への波及リスクは低いと言えます。ですが、哺乳動物への感染拡大を受け、今後も馬において継続的なサーベイランスが重要になります。

 なお、今回の発表に関連する研究内容が、この度学術論文として正式に公開されました(下記URL)。

<外部リンク>https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42648659/




 また、本シンポジウムでは、同じく分子生物研究室に所属する根本主任研究役による馬インフルエンザに関する特別講演も行われました。国内の馬インフルエンザの歴史・発生事例、馬での採材方法や診断法、ワクチン株選定のプロセスなど、専門外の先生方にも大変分かりやすい内容でした。特別講演は、インフルエンザウイルス以外にも、トゴトウイルスやオズウイルスなどダニ媒介性の人獣共通感染症に関する最新のトピックス、今年海外のクルーズ船での集団感染がニュースとなったハンタウイルスなど興味深い内容が多く、勉強になりました。

2            特別講演を行った根本主任研究役

 本シンポジウムに参加して、インフルエンザ研究の第一線で活躍される専門家の先生方とディスカッションすることができ、大変実りある場となりました。会場には鳥や人のインフルエンザ研究者が多くいらっしゃいましたが、日本でも数少ない「馬のウイルス研究者」として、自分の役割を再確認できたように感じます。大切な馬たちを感染症から守るため、これからも日々の研究を頑張っていきたいと思います。