BEVA Congress(英国馬獣医学会)に参加してきました
臨床医学研究室の野村です。
2026年9月9日から12日にかけて、英国バーミンガムで開催された「BEVA Congress 2026(英国馬獣医学会)」に参加し、研究成果を発表してきました。

バーミンガムニューストリート駅にそびえる“OZZY THE BULL”
この学会は毎年1回開催され、馬医療に関連する幅広い教育講演や演題発表が行われています。英国をはじめ周辺国から馬の獣医師が一堂に会し、夜にはカジュアルからフォーマルまで多様なパーティも企画され、さながら“同窓会”のような雰囲気も印象的でした。また、獣医学生や診療経験の浅い獣医師向けに、模型を用いた実践的な教育セッションも用意されていました。

学会会場内に用意されたフォトスポット
こういった場に参加して実感するのは、馬の診療が盛んな欧米においては、大学卒業後の獣医師に学習の機会を提供する卒後教育プログラムが体系的に整備されている点です。
英国であればRCVS(Royal College of Veterinary Surgeons;英国王立獣医外科学会)やBEVA、米国であればAAEP(American Association of Equine Practitioners;全米馬臨床獣医師会)といった団体が中心となり、大学を卒業して獣医資格を得てから実務スキルの習得へシームレスに移行できるようサポートしています。さらに、専門医の取得へ進むためのキャリア形成の機会も提供しています。 このように、若手獣医師を育てる標準化プログラムと、生涯学び続けられる専門的キャリアパスが融合することで、馬医療全体の質向上と獣医師のモチベーション維持が両立していると言えます。
一方米国では、競馬開催に携わる「規制(主催者)獣医師(Regulatory Vet)」向けの卒後教育セミナーも存在します。規制(主催者)獣医師とは、競馬の安全かつ公正な開催に向け、馬の事故防止や薬物規制に関するルール作り、競馬開催当日の競馬場での運営業務などを担っています。世界的に競馬開催に携わる者は獣医師全体のひと握りになりますが、特に州ごとに異なる主催者が競馬運営を行っているような米国では、知識や基準を共有し、意見を交換する非常に有用な機会となっているように感じました。かく言う私も、日本で競馬主催者獣医師として働く身として今年2月にこれに参加し、大いに刺激を受けた次第です。
日本においても、各地で馬獣医師向け講習会が実施されているほか、日本ウマ科学会(下記参考)主催の学術集会も年1回行われています。こうした機会を通じて、競馬や馬術に携わる獣医師に継続的な学びの機会を提供することは、新たに馬の獣医師を目指そうとする学生にキャリアパスを示す観点からも重要と考えています。微力ながら、研究所で働く一研究者として私も後進の育成に貢献したいと思います。
<外部リンク>ウマ科学会 https://jses.jp/
