23-24育成馬ブログ(宮崎④)

〇ドリームサポーターズクラブについて

 宮崎育成牧場では、一般のお客様に育成馬を間近で見ていただく機会として、育成馬が入厩した後に初めてお披露目する「秋の育成馬見学会」、2月にスピード調教を見学していただく「調教見学会」、ブリーズアップセール前に成長した姿を見ていただく「春の育成馬見学会」を開催しています。特に最後の「春の育成馬見学会」では、ご来場したお客様に牡牝1頭ずつお気に入りの馬を選んで応援していただき、来春のダービーまでの1年間、選んだ馬がJRA競走に勝利した際に優勝パネルをプレゼントするドリームサポーターズクラブという企画を以前から実施しています。昨年、そのドリームサポーターズクラブに登録していただいた方は100名で、現時点で勝ち上がっている牡馬メッエフアパラ(ビーナストリック2021)は4名の方が、牝馬ディーノサンライズ(ハタノファベルジェ2021)は3名の方が指名されています。中には両方を選ばれた目利きの方もいらっしゃり、我々もその相馬眼に驚かされました。

 今年も3月16日に「春の育成馬見学会」を開催し、昨年よりもはるかに多い150名の方にドリームサポーターズクラブに登録していただきました。今年の世代で1番人気だったのは、牡はスカイブルーダイヤ2022(父ブリックスアンドモルタル)、牝はホームタイム2022(父キズナ)と良血の2頭でした。牝馬の2番人気と3番人気にはレッドランタン2022(父エスケンデレヤ)、ダノンサイクロン2022(父サトノアラジン)という熊本県産馬2頭がランクインし、地元九州産を応援する方々の熱い気持ちが伝わってきました。ドリームサポーターズクラブの会員の方々には、今回選んでいただいた馬を中心に、間近でご覧になった育成馬たちが今後競走馬として活躍する姿を楽しみにしていただけたらと思います。また今後もこのイベントは続く予定ですので、興味を持たれた方は、ぜひ次の世代でのご来場と会員登録をお待ちしております

2022スカイブルーダイヤ2022(3月撮影)

2022_2ホームタイム2022(3月撮影)

23-24育成馬ブログ(宮崎③)

〇宮崎での昼夜放牧について

 
 新年あけましておめでとうございます。本年もJRA育成馬をどうぞよろしくお願いいたします。元旦に能登半島で大震災がありました。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
 9月中旬から馴致を始めた宮崎の育成馬22頭は、現在は本格的な騎乗調教を実施しています。宮崎では調教開始後も3~4頭の集団放牧を並行して実施しています。昨年、馬同士の社会性を醸成し、“馬見知り”をしない馬を育てることを目的に、定期的に放牧地の馬の組み合わせを変える試みを行いました。その結果、定期的にフレッシュな環境が与えられるため、放牧中の運動量が増えるといった良い感触を得ました。
 本年の22頭については、その感触を確かめる目的で昼夜放牧馬群にGPSを装着し、放牧中に実際どの程度運動しているのかを測定しました。その結果、組み合わせを変えた直後は16時間の放牧時間に10㎞程度移動がみられますたが、2週間ほど経過するとその移動距離が4㎞程度まで落ちることがわかりました。そこで再度メンバーや放牧地を変えると、また移動距離が10km程度まで戻るというデータが得られました。これらのデータも参考に、2~3週間おきにメンバーを入れ替えて昼夜放牧を実施し放牧中の運動量を確保してきました。また本来の目的の“馬見知り”をしないという面でも効果があったようで、安全に集団調教を実施できています。例年、宮崎では11月に昼夜放牧を終了していますが、今年の世代はさらに期間を延ばし、年明けまで昼夜放牧を続けました。今シーズンの冬は比較的暖かい日が多いですが、それでも日が落ちるとぐっと冷え込み、放牧地のウォーターカップに分厚い氷が張る日もあります。調教も少しずつハードになってきて、昼夜放牧をしながらの調教は育成馬たちにとっては精神的にも肉体的にもハードだったかもしれません。また昼夜放牧は夜間に外傷などのアクシデントが起きないか気にかかるところです。しかし、22頭とも大きな怪我や病気をすることなく、このハードな環境を乗り越えてくれました。競走馬になった時にこの経験が精神的なタフさに繋がってくれることを期待しています。
 年明けからは、ブリーズアップセールに向けて集団放牧管理から個体毎のパドック放牧管理に移行しています。調教後にパドックで暖かい日差しを浴びてリラックスする姿を見ると、馬たちにとって良いオフの状態になっていると感じます。今後はさらに調教強度が上がってきますので、オンとオフのメリハリのある環境で少しでもハッピーな精神状態にしてあげたいと思っています。

Photo

メンバーを入れ替える前日(左)と入れ替えた日(右)のGPS。一晩の移動距離は4.75キロから10.73キロに増加。

2022

調教後パドックで暖かい日差しを浴びてまどろむミキノセレナーデ2022

23-24育成馬ブログ(宮崎②)

〇2023~24年シーズン宮崎育成馬が揃いました!

 
 去る9月末日、セプテンバーセールで購買した4頭が日高からの長旅の末、宮崎育成牧場に到着しました。これをもって、本年の宮崎育成馬22頭(牡11頭、牝11頭)が揃いました。今年もバラエティ豊かなラインナップとなった22頭のうち、一部を紹介いたします。

 牡馬の購買価格最高馬はスカイブルーダイヤ2022で、セレクションセールにて1,980万円で購買しました。今年JRAが1歳市場で購買した74頭の中でも最高価格であり、唯一のブリックスアンドモルタル産駒になります。母父はロードカナロア、近親にジェミードレス、ネオヴァンドーム、タスカータソルテといった重賞勝ち馬がいます。

 牝馬の購買価格最高馬はホームタイム2022で、セレクションセールにて1,100万円で購買しました。父はキズナ、母父はDubai Destination、従兄弟にはドバイワールドカップを2回勝ち、現在日本で種牡馬となっているサンダースノーがいる良血です。

 その他、アクティブミノルの半弟であるピエナアマゾン2022(父ノーブルミッション)、ウインテンダネスの半弟であるモエレメルシー2022(父アルアイン)といった重賞勝ち馬の弟や、全姉が昨年の宮崎育成馬だったローマンクィーン2022(父シュヴァルグラン)やエアブライス2022(父バゴ)と、2年連続で弟が宮崎に来た血統もいます。

 また、お馴染みの九州産馬も2頭います。その他、この1歳世代が初年度産駒となるルヴァンスレーヴ、ゴールドドリーム、フィエールマンといった新種牡馬の産駒もおり、楽しみな22頭が揃いました。

 そんな育成馬たちですが、牡牝共に9月から人を乗せるための馴致を始めており、11月時点では、1,600mトラックで集団調教できるところまで進んでおります。彼らが将来、競走馬として活躍できるよう、引き続き職員一同精いっぱい育成していきたいと思います。

 

2022_4

スカイブルーダイヤ2022

 

2022_5

ホームタイム2022

 

〇秋の育成馬見学会を開催しました

 
 育成馬が全頭入厩したことを受けて、10月28日には、本年の宮崎育成馬の初お披露目の機会となる「秋の育成馬見学会」を開催しました。

 当日は、日頃からJRA育成馬や宮崎育成牧場を応援してくださっている近隣にお住いの方々、ドリームサポーターズクラブの方々だけでなく、HPなどで開催日時を調べて訪れてくださった熱心なファンや、リニューアルオープンした公園に遊びに来ていた家族連れなど100名を超えるお客様にご来場いただきました。

 育成馬のお披露目にあたっては、日々の取り扱いの中で駐立の練習や、音が出るスピーカーに馴らす訓練を実施し、展示のリハーサルも行いました。その成果もあって全馬ともお行儀よく、かつ堂々とした姿を見ていただくことができました。なかなか普段見る機会がない「競走馬のたまご」をお客様に見ていただき、少しでもJRA育成馬や宮崎育成牧場に親近感を持っていただけたとしたら幸いです。

 中には毎回このイベントを楽しみにしてくださっているお客様も多く、過去の育成馬と比較して今年の育成馬たちにどのような印象を持たれたのか管理者としては気になるところです。来春にはさらに成長した姿をお披露目したいと思っております。ぜひ楽しみにしていただき、足をお運びいただければと思います。

 

Photo_5見学会の様子。多くのお客様にご来場いただきました。

23-24育成馬ブログ(宮崎)

〇 4年ぶりに「馬に親しむ日」を開催しました

 夏真っ盛り、太陽がまぶしい宮崎育成牧場は、1歳馬が入厩し始めています。現在は、九州1歳市場と八戸市場で購買した4頭と日高育成牧場で生産したホームブレッド2頭の6頭が、昼夜放牧をしながら元気に過ごしています。また、全頭揃いましたら当ブログで紹介したいと思っています。今回は宮崎育成牧場のビッグイベント「馬に親しむ日」が4年ぶりに開催されましたので紹介いたします。


 8月11日、山の日に「第32回 馬に親しむ日」を開催しました。新型コロナウイルス感染症の影響で2019年を最後に中止を余儀なくされており、4年ぶりの開催となりました。馬に親しむ日は、普段なかなか競馬や馬に馴染みのない方、特にファミリー層を中心に少しでも競馬や馬を知ってもらうため、さまざまなイベントを楽しんでもらう日です。今年で32回目を迎える歴史あるイベントで宮崎育成牧場の職員が総出で準備をします。しかしながら、4年ぶりともなると実際に馬を親しむ日を実施したことがある職員の数も少なくなり、手探りでの準備、開催となりました。しかも、開催日直前には台風6号が接近。台風のスピードが自転車なみの遅さということでぎりぎりまで開催が危ぶまれましたが、台風6号は前日に何とか抜けてくれました。しかし、東京競馬場から来るホースショーの人馬は宮崎に来る日と台風がぶつかってしまい、予定を色々と変更しながら何とか前日に到着。我々も準備していた会場設営を台風対策のため一度片付け、前日に台風で落ちてきた大量のヤシの木の葉っぱを片付けてから再度設営しなおすなど、バタバタしながら馬に親しむ日を迎えました。

 それでも準備の甲斐もあり、当日は好天に恵まれ5000人近い多くのお客様にご来場いただきました。宮崎育成牧場のアイドル、ミニチュアホースの“くろまめ”と“おかか”のお出迎えに始まり、東京競馬場から来たアンダルシアンやロングレーン、当場の職員による障害飛越の3つのホースショー、伝統馬事芸能である流鏑馬、体験乗馬など数多くのイベントでご来場いただいたお客様に馬に親しんでいただけたのではないかと思っております。

Photo写真1)ミニチュアホースの“くろまめ”と“おかか”が着飾ってお出迎え

Photo_2

写真2)流鏑馬

 馬に親しむ日の1つのイベントとして全国ポニー競馬選手権「第13回ジョッキーベイビーズ」九州地区代表決定戦が開催されました。ジョッキーベイビーズは、小学4年生から中学1年生までを対象としたポニーによる競走で、全国7か所の地区代表決定戦・選考会を勝ち抜いた8名が、東京競馬場の芝コース直線400mで行われる決勝大会に出場します。過去の出場者から多くのジョッキーを輩出しており、ジョッキーを目指して乗馬に励む子供たちにとっては、まさに夢の舞台です。

 本年の九州地区代表決定戦には、宮崎と鹿児島から4名の乗馬キッズが愛馬とともに参加してくれました。勝負は決勝レースの一発勝負。昨年はコロナ禍のため、関係者のみの観覧でしたが、今年は多くのお客様の見守る中、日頃の練習の成果を発揮して白熱したレースを繰り広げてくれました。優勝を勝ち取ったのは、出場者の中で最年少、小学4年生の川﨑瑛太くん。初出場とは思えない落ち着いた手綱さばきで、見事に東京競馬場へのチケットを勝ち取りました。決勝大会での活躍を期待しています!

Photo_3 写真3)1枠から好スタートを決め先頭で駆け抜けました

Photo_4写真4)決勝大会への切符を手にしました

22-23育成馬ブログ(宮崎④)

〇育成馬見学会を開催しました

 3月18日(土)に「春の育成馬見学会」を開催いたしました。育成馬見学会は、日頃からJRA育成馬や宮崎育成牧場を応援してくださっている近隣にお住いの方々やファンの方々に、なかなか普段ご覧いただく機会のない育成馬を間近で見てもらうため、春と秋の2回実施しています。当日は天気が心配されましたが、朝には雨が止み予定通り開催することができました。大阪や神奈川など遠方からHPなどで開催日時を調べて訪れてくださった熱心なファンの方もいらっしゃり、100名を超えるお客様にご来場いただきました。昨年秋にもご来場された方は育成馬の成長を感じていただけたかと思います。

 また、この育成馬見学会ではご来場したお客様に牡牝1頭ずつお気に入りの馬を選んで応援していただき、来春のダービーまでの1年間、選んだ馬がJRA競走に勝利した際には優勝パネルをプレゼントするドリームサポーターズクラブという企画を実施しています。

 今回、1番人気だったのは、牡はタムロブライト2021(写真1)、牝はプリンセスゴールド2021(写真2)でした。タムロブライト2021は当場で育成しGⅠを勝利したタムロチェリーの孫です。兄に重賞を勝ったミライヘノツバサがいます。プリンセスゴールド2021は当場で育成し重賞を勝ったヨカヨカと同じ本田牧場生産で熊本産です。当場にゆかりのある2頭に多くの注目をいただき、我々もとても嬉しく思います。

 今後、競走馬として活躍する姿を楽しみにしていただけたらと思います。

2021

(写真1) タムロブライト2021の横見写真

2021_2

(写真2) プリンセスゴールド2021の横見写真

22-23育成馬ブログ(宮崎③)

〇 VTR撮影を実施しました


3月に入り、南国・宮崎では日中はだいぶ暖かく感じるようになりましたが、日が落ちると依然肌寒く感じます。ただ、桜も開花し、周りを見渡すと花が芽吹きつつあり、確実に春はやってきているようです。ブリーズアップセール本番まで約1ヵ月となりました。調教も佳境を迎え、育成馬たちも見違えるほどの成長を見せてくれています。今年の宮崎の育成馬たちは、1頭もケガや跛行で調教を休むことなく順調に乗り込まれています。このまま1頭も欠けることなく本番を迎えることができることを願っています。

 さて、先日、ブリーズアップセールに向けてのVTR撮影を行いました。立ち姿に加え、常歩の歩様、および調教動画をカメラマンに来てもらい撮影しました。撮影日は天気にも恵まれ、育成馬たちも見慣れないカメラがあっても気にすることなく、順調に撮影することができました。調教では最後の2ハロンを14.0-13.5を目標に2頭併走で走行しました。どの馬も騎乗者の指示に従って、しっかりと走行することができました。この動画はブリーズアップセール特設サイト(https://auction.jbis.or.jp/jra/23bus.php)にアップされる他、DVDとして希望された購買登録馬主の方へ送付しますので、ぜひご覧いただければと思います。

 今後、宮崎および日高育成牧場では、できるだけ多くの関係者にブリーズアップセールに参加していただくため、「育成馬展示会」をそれぞれ開催して、これまでの調教の成果を披露する機会を設けています。宮崎育成牧場では4月4日(火)に予定しています(日高は4月11日(火))。関係者向けのイベントとなりますが、多くの方のご来場をお待ちしております。

Photo_6常歩動画撮影の様子

Photo_7調教VTRでの併走(外:オートロンシャン2021、内:エアブライス2021)

22-23育成馬ブログ(宮崎②)

〇2022~23年シーズン宮崎育成馬が揃いました!
 

 去る9月末日、セプテンバーセールで購買した牝馬3頭が日高からの長旅の末、宮崎育成牧場に到着しました。これをもって、本年の宮崎育成馬22頭(牡11頭、牝11頭)が揃ったことになります。先の日高育成牧場からの報告にもある通り、1歳セリをはじめとする馬市場の盛況ぶりを反映して、育成馬の購買価格も上昇しており、宮崎にも1,000万円を超える価格で購買した馬が6頭入厩しました。これらの馬を含めた22頭のラインナップは例年にも増してバラエティ豊かです。血統的には、実績あるドゥラメンテやモーリス、初年度産駒である現2歳世代が活躍を見せマインドユアビスケッツやデクラレーションオブウォー、そしてこの1歳世代が初年度産駒となるシュヴァルグラン、スワーヴリチャード、アニマルキングダムなど、今が旬の種牡馬の産駒が揃っていますし、母馬をみてもステイゴールドの妹やウインドインハーヘアの孫、そして最近続けざまに活躍馬を出している「バラ一族」ロゼカラーの娘など、母系にも魅力的な血統背景を持つ馬が多くいます。また宮崎育成牧場出身のタムロチェリーの孫(タムロブライト2021)はダイヤモンドステークス(G3)を勝利したミライヘノツバサ号の弟という血統馬でもあります。血統面だけでなく馬体や精神面においても素質の高さがうかがわれる楽しみな馬たちが揃っていますので、その能力を100%発揮できるよう、彼らに寄り添って成長を促していきたいと思います。

2021_1

九州産馬プリンセスゴールド2021(牝、父ケイムホーム)

2021_1_2

宮崎ゆかりの血統タムロブライト2021(牡、父オルフェーヴル)

〇入厩神事ならびに育成馬見学会を開催しました
 

 育成馬が全頭入厩したことを受けて、育成調教における人馬の無事を願って入厩神事を執り行いました。宮崎育成牧場では例年、育成馬の入厩時と退厩時(ブリーズアップセールへの出発時)に、当牧場から程近い、神武天皇を祀る宮崎神宮の権禰宜(ごんねぎ)を祭主様としてお迎えして神事を執り行っています。馬に携わる仕事である以上、ケガは付き物ではありますが、どうすればケガや事故を防ぐことができるかを常に念頭に置いて業務にあたることが重要となります。このような機会を通じて、安全対策への認識を新たにし、緊張感をもって育成調教に取り組んでいきたいと思います。

008

 また、10月29日には、本年の宮崎育成馬の初お披露目の機会となる「秋の育成馬見学会」を開催しました。当日は、日頃からJRA育成馬や宮崎育成牧場を応援してくださっている近隣にお住いの方々だけでなく、HPなどで開催日時を調べて訪れてくださった熱心なファンの方など73名のお客様にご来場いただきました。開催に向けては、念入りにトリミングを行って身だしなみを整えるとともに、展示のリハーサルを繰り返して、万全を期して臨みましたが、その成果もあって全馬ともにお行儀よく、かつ堂々とした姿を見ていただくことができました。初めて育成馬を間近で見たお客様も多く、迫力ある雄大な馬体と、1歳にして人の指示をしっかり理解するスマートさのギャップに魅力を感じていただけたようでした。来春にはさらに成長した姿をお披露目できる機会を設けたいと考えておりますので、ご興味のある方は是非足をお運びいただければと思います。

012

〇集団放牧で脱“馬見知り”
 

 育成馬たちの現況としましては、騎乗馴致を経て馬場での騎乗調教が始まった段階です。宮崎育成牧場では、南国の温暖な気候を生かして、11月でも夜間放牧(夕方4時頃から翌朝8時頃まで)を実施しています。育成馬の放牧の目的としては、運動量増加による体力増強、良質な牧草の摂取による成長促進、集団行動による群れへの順応、といったことが挙げられます。当場には約1ヘクタールの放牧地が6面あり、それぞれに3~4頭を放牧していますが、今年の宮崎育成馬においては、群れへの順応という観点から、定期的にその組み合わせを変更する試みを行っています。固定されたメンバー同士で放牧するほうが、馬も精神的に安定して落ち着いた群れになると考えられますが、一方で、競走馬になってからはトレセンや競馬場で、常に多数の馴染みのない馬たちと顔を合わせることになります。そのような環境でも平常心を保っていられることは、持てる能力を最大限発揮する上で、重要な要素の一つと言えます。育成馬たちは、メンバーが変わるたびに、匂いを嗅ぎあったり、遠目で様子を窺っていたかと思えば唐突にケンカを始めたりと様々な反応を見せますが、すぐに馴染んで仲良く集団生活を送っています。その成果が出ているのかはわかりませんが、集団での騎乗調教が始まっても、テンションが上がる馬もおらず、落ち着いて騎乗者の指示に応えることができています。育成馬たちには、人見知りならぬ“馬見知り”をしない、堂々とした競走馬になってほしいと願うばかりです

Pic1Pic5

22-23育成馬ブログ(宮崎①)

〇ジョッキーベイビーズ九州予選開催!
 

 夏真っ盛りの8月11日、山の日に、全国ポニー競馬選手権「第12回ジョッキーベイビーズ」九州地区代表決定戦が、宮崎育成牧場で開催されました。ジョッキーベイビーズは、小学4年生から中学1年生までを対象としたポニーによる競走で、全国7か所の地区代表決定戦・選考会を勝ち抜いた8名が、東京競馬場の芝コース直線400mで行われる決勝大会に出場します。過去の出場者からは多くのジョッキーを輩出しており、ジョッキーを目指して乗馬に励む子供たちにとっては、まさに夢の舞台といえる大会です。本年の九州地区代表決定戦には、九州各地から6名の乗馬キッズが愛馬とともに参加してくれました。コロナ禍のため、関係者のみの観覧ではありましたが、仲間の熱い声援のもと、日頃の練習の成果を発揮して白熱したレースを繰り広げてくれました。当日は、関西テレビ『競馬BEAT』の小倉競馬中継を担当するテレビ西日本の佐藤有里香アナにレース実況していただき、本物の競馬中継さながらの臨場感で盛り上がりました。
予選レースを勝ち上がった上位4名で行われた決勝レースで優勝を勝ち取ったのは、今回が初出場となる小学4年の下平新くんでした。初出場とは思えない落ち着いた手綱さばきで、見事に東京競馬場へのチケットを勝ち取りました。決勝大会での活躍を期待しています!

Photo

第12回ジョッキーベイビーズ九州地区代表決定戦出場者

Jb 熱戦のゴール前!

〇ウインズ宮崎・公園地区リニューアル工事中です!
 

 宮崎育成牧場では、場外馬券発売所「ウインズ宮崎」のリニューアルならびに公園地区の整備工事の真っ最中です。これに伴い、通常は年間を通して開放している公園地区も閉鎖しています(2023年4月中旬まで)。近隣にお住いの地元の方々を中心に、小さなお子さんからご年配の方まで、いつもたくさんの人で賑わっていた公園ですので、一時的とは言え、遊具が撤去され更地になった状態を見ると少し物悲しい気持ちになります。また、馬車の運行や乗馬体験などの、馬と触れ合う機会を皆さんに提供できないことにも寂しさを感じてしまいますが、来春には広さも遊具もグレードアップした素敵な公園に生まれ変わって皆さんをお迎えできる予定です。ウインズ宮崎についても、お客様エリアを拡充し、より快適な空間で競馬を楽しんでいただける施設となります。来年春には、リニューアルした宮崎育成牧場で皆様をお待ちしておりますので、ぜひ足をお運びください!

Photo_2 リニューアル後のウインズ宮崎と公園地区完成予想図

〇本年の育成馬たち
 

 育成馬日誌と言いながら、馬の話が少なくて申し訳ありませんが、本年の宮崎育成馬の現状についても少し紹介させていただきます。8月末現在、宮崎育成牧場には7頭(牡2頭、牝5頭)の1歳馬が在厩しています。九州1歳市場で購買したプリンセスゴールド2021(牝、父ケイムホーム)はヨカヨカでお馴染みの本田牧場さんの生産馬、八戸市場からはハーツクライの後継として期待の新種牡馬シュヴァルグラン産駒ローマンクィーン2021(牝)や宮城県産馬であるオーバーザレインボ2021(牝、父バゴ)など、今年も個性豊かな顔ぶれが揃いました。現在は、放牧地で仲間と走り回ったり草を食べたりしてのんびり過ごす傍ら、育成調教の第一段階である初期馴致に向けて馬房内での訓練を開始しています。まもなくセレクションセールおよびサマーセールで購買した馬たちが入厩すると、いよいよ本格的な育成業務のスタートとなりますので、職員一同、気合をいれて取り組んでいきたいと思います!

Photo_3

放牧地を駈け回る育成馬

育成馬ブログ(宮崎④)

〇育成馬展示会の開催

 3月に入り、南国・宮崎では徐々に春の気配が漂いはじめたかと思ったのもつかの間、気が付いたら4月を迎え、ブリーズアップセール本番まで1ヵ月を切りました。調教も佳境を迎え、育成馬たちも見違えるほどの成長を見せてくれています。セールが近づいてくると、セリへの参加を予定している馬主や調教師の方々が、育成馬たちのポテンシャルや現在の状態を確認するため下見に来られる機会が増えてきます。日高および宮崎育成牧場では、できるだけ多くの関係者にブリーズアップセールに参加していただくため、「育成馬展示会」をそれぞれ開催して、これまでの調教の成果を披露する機会を設けています。宮崎育成牧場ではさる4月5日、本年の育成馬展示会を開催しました(日高は4月12日)。
当日は晴天に恵まれ、80名近い関係者が来場されました。展示会では、まず育成馬を3頭ずつのグループに分けて「比較展示」を行い、馬体の完成度や歩様などを間近で観察してもらいます。その後、オス・メスに分かれて、実際の調教の様子を見る「騎乗供覧」を行います。この騎乗供覧では、2頭の併せ馬でスピード調教を行い、最後の2ハロンの走行タイムを公表しています。どの馬も、厳しいトレーニングの成果を発揮して、人馬一体となった素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。ちなみにこの日の一番時計は、ルナフェリーナ2020(父ミッキーアイル)とピュアシンフォニー2020(父クリエイターⅡ)の牝馬2頭による併せ馬で計時された11秒9-11秒6でした。参加された方々からも、育成馬の普段の様子や健康状態、性格や癖などについてたくさんの質問があり、皆さんに大いに興味を持っていただけたのではないかと思います。展示会から本番までは3週間たらずですが、この時期の馬たちの成長には目を見張るものがありますので、本番ではさらに成長した姿やパフォーマンスでセール参加者を驚かせてくれることでしょう。

1
【写真1】育成馬展示会での比較展示の様子

2

【写真2】ルナフェリーナ2020(右)とピュアシンフォニー2020(左)の併走

〇いざ中山!

 育成馬たちの今後ですが、退厩に先立って育成牧場にほど近い、神武天皇を祀る宮崎神宮の神職の方にご来場いただいて、育成馬の健康と今後の活躍ならびにブリーズアップセールの成功を願って神事を執り行う予定です。そして4月18日にはいよいよ住み慣れた宮崎の地を離れ、中山競馬場へと馬運車で丸一日かけて移動します。25日には中山競馬場のダートコースで、今度は単走での騎乗供覧を行い、26日にセール本番を迎えます。我々が育成馬と共に過ごす時間も残り少なくなってきましたが、この貴重な時間を無駄にしないよう、大切に愛情を注いで、より高く評価してもらえるよう磨きをかけていきたいと思います。

3

【写真3】昨年の育成馬退厩神事の様子

〇ヨカヨカ号を称える記念碑

 このブログにもたびたび登場する宮崎育成馬であるヨカヨカ号ですが、熊本県産馬初のJRA重賞制覇という彼女の偉大なる功績を称える記念碑を育成牧場内に作製しました。育成馬厩舎の玄関口で、先輩のGⅠウィナーであるタムロチェリー号の碑と並び立ち、その功績そのままに燦然と輝いています。育成馬展示会に来場されていた同馬の関係者の皆さん(馬主:岡浩二氏、調教師:谷潔氏、生産者:本田土寿氏)にも喜んでいただくことができました。今年の育成馬たちが偉大な先輩の背中を追って、記念碑を立てる場所がなくなるほどの活躍をしてくれることを期待しています!

4

【写真4】ヨカヨカ号の記念碑

育成馬ブログ(宮崎③)

〇「強い馬づくり」を目指す生産育成研究業務

 
 JRA育成馬は、2歳4月のブリーズアップセールへの上場、そしてその先に待つ競走馬としてのデビューを目指して、日々トレーニングに励んでいますが、その過程において、様々な研究にも供されています。これはJRAが育成馬を用いて行う「強い馬づくりを目的とする生産育成研究」であり、その内容は、JRAホームブレッドの生産を通じた繁殖学的研究や子馬の飼養管理に関するものから、育成期の疾病が競走馬としてのパフォーマンスに与える影響についての調査研究、アスリートとしての競走馬に関する運動生理学的研究など多岐にわたります。今回はその中から、宮崎育成牧場において行っている「トレッドミルを用いた育成馬の走行フォーム解析」について簡単にご紹介したいと思います。

 
 この研究では、競走馬総合研究所・運動科学研究室の協力のもと、脚部にマーカーを装着した育成馬を、7%の傾斜をつけたトレッドミル上で7~12m/sの速度で走らせた時の走行フォームをハイスピードカメラで撮影・解析します。これを2歳の1月と4月の2回にわたって行い、育成調教期間を経たことによって生じる変化を調べようというものです。馬の走行フォームに関する研究報告は少なくありませんが、こと育成期のサラブレッドについてはあまり知られていません。日々の調教や馬体の成長によって、育成馬の走行フォーム(ストライドの長さやピッチの速さなど)がどのように変化するかを知ることは、育成調教の方針を決める上で有用な知見となると考えられます。また、この研究の対象となった育成馬が、競走馬となってどのような成績を残したかを調査することによって、育成期の走行フォームと競走馬としてのパフォーマンスの関連性についても何らかのヒントが得られるかもしれません。この研究によって、直ちにJRA育成馬のパフォーマンスが向上するわけではありませんが、このような地道な基礎研究によって得られた結果をもとに、生産育成技術をより良いものに発展させ、それを広く日本中の馬関係者に普及することが、JRAが行う生産育成研究業務の大きな目的の一つです。

 

1_2

【写真1】トレッドミルを走行する育成馬

 

Photo

【写真2】 ハイスピードカメラでの撮影風景

  

〇キャンプのメッカ宮崎

 
スポーツファンの方はよくご存じだと思いますが、ここ宮崎県は冬でも比較的暖かい地理的特性から、プロスポーツチームの春季キャンプ開催地としてよく知られています。今年も1月下旬から県内各地において、プロ野球は8球団、Jリーグからは約20チームが、来たるべきシーズンに向けて始動しています。コロナ禍の状況で様々な制限はあるものの、たくさんのファンの方々がキャンプ地を訪れてトップアスリートのトレーニング風景を楽しんでいるようです。これに倣って、というわけではありませんが、宮崎育成牧場でも普段見ることができないJRA育成馬を間近で見学できるイベントを定期的に開催しています。主に地元の方々を対象として、育成馬を通じて馬という動物や競馬をより身近に感じていただくきっかけとなれば、という思いで取り組んでいますので、お近くにお住まいの皆様、機会があれば是非足をお運びください!

111
【写真3】宮崎で行われる春季キャンプの案内マップ(宮崎県観光協会HPより)

 

3

【写真4】育成馬見学会の様子