JRA育成馬展示会を実施しました(宮崎)

前回の同ブログ(宮崎)でご紹介しましたとおり、329日(月)13時から、宮崎育成牧場において育成馬展示会を開催しました。今年の宮崎は例年に比較して雨が多く、寒暖の差が激しい日も多いため、天候を心配しながら準備を行いました。その心配とは裏腹に、展示会当日には前日の雨もあがり快晴となり、宮崎らしい絶好の日和の中で、約150名の馬主・調教師・競馬関係者及びファンの皆様のご来場をいただきました。中には北海道のから足を運んでいただいた方もおられました。ご参加いただきました皆様に大変感謝しております。

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馬主・調教師をはじめ、多くのお客様にご来場いただき、盛況な育成馬展示会となりました。

 展示会では比較展示、騎乗供覧を中心に、この宮崎の地で鍛えられた若馬たちの様子を皆様にご覧いただきました。開会の挨拶に続き、全23頭(牡11、牝12)の育成馬をご覧いただく「比較展示」が行われました。この比較展示は複数の馬を同時に展示することにより、周りの馬と見比べながらじっくり見ていただくために実施しています。本年も牡牝別の合計4班にわけ、56頭ずつの各班を10分程度の時間で、各馬の仕上がり具合をご覧いただきました。事前に何度も駐立練習を繰り返したため、おとなしく駐立できた馬が多かったように思います。

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展示会場に入場する育成馬たちと入場を待つ来場者の皆様。

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自身の展示場所へ移動中のディアーブリーズの08(牡、父:グラスワンダー)。周囲の環境変化に驚くこともなく堂々と歩きました。今後が楽しみな当場期待の1頭です。

比較展示に続き、12頭の育成馬による騎乗供覧を実施しました(残る11頭の騎乗調教は午前中に実施)。入念なウォーミングアップの後、牡・牝各6頭を2頭併走で5ハロン(1,000m)の走行をご覧いただきました。この日は最後の2ハロンを14-14秒台で、馬たちが走りたい気持ちをためた状態で、しっかりとした動きをご覧いただくことが目標でしたが、多くの馬がこの目標を達成できたものと考えております この世代の育成馬たちは、例年の調教メニューをやや強化(同時期の強調教時のハロンタイムを約1秒短縮)し、十分な鍛錬をなされてきました。騎乗供覧では、一部タイムが早くなってしまった組もありましたが、幸い翌日行った全馬の馬体チェックでも、疾病につながるような症状をみせた馬はいませんでした。

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左がテンシノユメの08(牡、父:リンカーン)、右がソプラニーノの08(牡、父:ロックオブジブラルタル)。ラスト2ハロンは14.8-13.3秒で走行しました。新種牡馬の産駒2頭、どちらが先に活躍してくれるのでしょうか。

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左がレッドダイヤモンドの08(牡、父:ステイゴールド)、右がモントレゾールの08(牡、父:クロフネ)。ラスト2ハロンは15.0-13.2秒で走行しました。比較展示でも人気の集中した2頭です。

騎乗供覧を終えた育成馬は、それまで張り詰めていた緊張感をオフにするため、放牧地でグラスピッキングを行いました。リラックスした雰囲気の中、多くの関係者が青々とした放牧地まで足を運んでくださいました。気候が温暖で快晴日数が全国トップクラスの宮崎では、放牧地の生牧草は年中いつでも採食することができます。

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騎乗後のグラスピッキング。ピリッとした緊張がとかれる瞬間です。

宮崎での調教は、418日の中山競馬場への出発まで、日曜を除く毎日実施されます。今後も個体ごとの状態を的確に判断し、状態に応じた調教・調整を心がけ、すべての馬たちを肉体的にも精神的にも健康な状態に仕上げ、426日のブリーズアップセールにおいて宮崎で鍛えられた立派な馬たちを皆様にご披露するつもりです。

宮崎へ育成状況の視察においでください(宮崎)

宮崎育成牧場では329日(月)13時より、育成馬展示会を開催いたします。今回展示するのは2010 JRAブリーズアップセール(427日、中山競馬場)に上場予定のJRA育成馬23頭です。当日は全馬を間近でご覧いただく「比較展示」および約12頭の騎乗調教をご覧いただく「調教供覧」を行います。なお、830分より騎乗供覧を行わない馬の調教(11頭程度)、15時すぎよりご要望の馬の自由展示も実施します。馬主・調教師の皆様、生産者等関係者の皆様はもちろんのこと、一般ファンの皆様にもご覧いただけますのでお時間の許す方は是非お越しください(ただし、一般ファンのお客様には一部ご入場いただけないエリアもありますことをご了承願います)。

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昨年の展示会(騎乗供覧)の様子。

また、宮崎育成牧場ではJRA育成馬の購買を検討されている馬主・調教師等関係者の皆様や生産・育成に携わる方にJRA育成馬の調教状況や飼養管理状況を見ていただき、購買などの参考にしていただくことを主眼として、展示会当日以外も常時オープンにして皆様のご来場をお待ちしております。事前に「育成状況の視察を希望する」旨を育成牧場(電話0985-25-3448)までご連絡いただけると幸いです。通常調教は8時~11時頃、馬の展示はそれ以降の時間でご覧いただけますよう、できる限り対応いたします。

さて、ブリーズアップセールに向けて育成馬の調教は順調に進んでいます。最近の調教状況(3月初旬現在)ですが、1,600mダートコースにおいて週2回、1000m1,200mのスピード調教を併走で実施しています。最後の3ハロンをハロン平均でそれぞれ19秒、16秒で走行するようスピードの指示をしています。ほとんどの馬が手綱はしっかりと抑えたままで、走りたい気持ちを温存させながら、まっすぐに走れるようになっています。

また、全馬の平均馬体重(3月初旬現在)は468Kgでした。昨年同時期(480Kg)に比較してやや低いですが、個別に見る限り線が細くて物足りないという馬はいないように感じています。

ここで、宮崎で繋養している育成馬を一部紹介します。まずはセール上場番号16番:ケリーケイズプレジャーの08(牝馬、鹿毛、父:Tiznow)です。最近測定した馬体重は470Kgで、肢先が軽く、身のこなしも実に俊敏です。調教では常に卓越した闘志とスピードを見せている期待の牝馬です。

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写真中央がケリーケイズプレジャーの08500m走路で行うウォーミングアップではいつも元気一杯です。

 

次に紹介するのはセール上場番号49:モントレゾールの08(牡馬、芦毛、父:クロフネ)です。最近の馬体重は468Kgで、血統的には薔薇一族と同じファミリーの出身です。入厩当初はかなりやんちゃな面を見せていましたが、騎乗者との信頼関係が構築され徐々に解消されてきました。この前進気勢に溢れる素軽い動きを見ると、早期からの活躍を期待せずにいられません。

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写真中央がモントレゾールの08。調教でみせる敏捷で軽快な肢捌きが特に目を引く1頭です。

是非紹介したい、という育成馬は他にもたくさんいますが、紙面の関係で2頭にさせていただきます。冒頭に記載しました育成馬展示会、また中山競馬場で開催されます2010JRAブリーズアップセールにおいて、皆様にお会いできますことを育成牧場職員一同、心より楽しみにお待ちしております。是非お越しください。

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スタッフ一同、ご来場をお待ちしております。

Big Dream Stables(宮崎)

宮崎のJRA育成馬たちの調教は、順調に進んでいます。2月中旬現在、駈歩の調教距離は2,5003,500mほどで、通常日は最後の3ハロンタイムを60秒平均(1F20)、週1-2回の強め調教日は最後の3ハロンタイム51秒平均(1F17)を目安としています。

V200

2/16V200の測定を実施しました。抑えきれない手ごたえで最後の3F48.7秒で駆け抜ける牡馬群。しっかりと併せ馬ができること、前馬のキックバックに慣れることも大切な課題となります。先頭の併せ馬がソプラニーノの08(外側の栗毛。父:ロックオブジブラルタル)とダンツマジックの08(内側の鹿毛。父:コマンダーインチーフ)。後列はディアーブリーズの08(外側の栗毛。父:グラスワンダー)とテンシノユメの08(内側の黒鹿毛。父:リンカーン)。

さて、JRAの仕事として皆さんが思い浮かべるのはどんな内容でしょうか。多くの方は競馬の開催と勝馬投票券(馬券)の発売を真っ先に挙げられるでしょう。私達のJRA宮崎育成牧場にも、かつて宮崎競馬場として明治40年から昭和38年まで競馬が行われてきた歴史があります。

一方、現在私達が取り組んでいる競走馬の育成業務は、競馬の開催以外にJRAが行っている様々な業務の中の1つであり、宮崎では昭和31年の育成馬(旧抽選馬)事業開始に伴いスタートしました。JRAは育成研究、技術開発、人材育成を行い、その成果を生産育成界に普及・啓発し、わが国の軽種馬生産育成技術の向上に役立てることを目的として自ら育成業務を実施しています。

JRA職員としてはやや特殊な部門ともいえる育成業務ですが、広く競馬サークルには日々競走馬(あるいは競走馬を目指す幼駒・育成馬やその母馬たち)と向き合い、試行錯誤しながら強い馬づくりに取り組む多くのホースマン達がいます。そのような人々の存在なくして競馬は成り立たないといえるでしょう。

JRAの育成業務をとおして私が感じたことは、馬の取扱いはもちろん、実際の馬づくりで得られる喜びや悩み、そして難しさなどの貴重な経験の得られる仕事だということです。実際にホースマンといわれる人々の思いや考えに近いものを実体験をもって理解することや、そのような人々との意見交換や交流から何か競馬サークルにプラスとなる新しい発見ができること、またそのような次世代の人材をJRAのなかで育てていくことが大切なのではないかとも感じています。

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角馬場での8の字調教:乗馬用として使用してきた馬場ですが、育成馬のウォーミングアップ用として今シーズンから利用、調教のバリエーションを増やしました。左右均一なバランスを養成し、結果として手前変換が上手な「両利き」の馬をつくることが目的です。先頭はテンシノユメの08です。

私達のJRA宮崎育成牧場には、育成馬からダービーをはじめ世界の舞台で活躍できる馬を輩出するという大きな夢があります。そして、夢を夢で終わらせないために、2005年、育成馬厩舎をビッグ・ドリーム・ステイブルズ(Big Dream Stables)と名づけました。その夢に向かって努力を続けるなかで、育成技術の普及・向上が図られ、強い馬づくりに貢献することが目標となります。

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Big Dream Stables 第2厩舎(タムロチェリーステイブル)の看板

Big Dreamだけに、ちょっと大きなお話となってしまいましたが、「育成馬日誌」(宮崎)の執筆も今回が最後ということでお許し下さい。次回からは後任が引き継ぎます。今後ともよろしくお願いいたします。

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JRA宮崎育成牧場 左側青屋根の2つの厩舎がBig Dream Stablesです。

南国宮崎でもライトコントロールをはじめています(宮崎)

2010年、宮崎育成牧場は新たなスタートをきります。来る227日からJRAの勝馬投票券発売・払戻業務が開始されるのです。オープンに向けた工事が着々と進行中で、現在行っている主な工事は既存のインフォメーションコーナーの改修と駐車場の造成です。調教コースに隣接する地区の風景が日々変わっていく中、育成馬たちの調教は順調に進められています。

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1,600mコースの第4コーナー付近。コースに隣接した駐車場を造成するための整地が進んでいます。左端にみえる白い建物(勝馬投票券発売施設)の改修とあわせ、日々変化する風景にも、馬たちは慣れてきました。

なお、この発売・払戻所は大変小規模な施設ですので、事前に会員登録をいただいた方限定の「利用者登録制」で運用されます。登録受付は、昨年12月4日(金)をもって定員に達したため、締め切りました(次回募集については未定です)。あしからずご了承下さい。

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クーリングダウンを行う育成馬たち。駐車場の造成・整地で得られた残土を利用し、既存の「ミニミニ坂路」を拡幅しています。

さて、今回は育成馬へのライトコントロールについてです。ライトコントロールとは繁殖牝馬には一般的に用いられている方法で、季節繁殖性の動物である馬に対して、蛍光灯などの照明で人工的に日長時間(昼間の時間)を長くし、性腺機能の発達を促すことで初回排卵を早め、種付や出産時期を早めることができます。

日高育成牧場では、この方法を育成馬に応用する研究を4年ほど前から行っており、牝馬の性ホルモンの分泌時期が早くなること、牡馬の筋肉量が増加する可能性があること、冬毛の脱毛が促進されることなどがわかりました(昼14.5時間、夜9.5時間の環境設定)。これまでの詳しい成績はこちらをご覧下さい。一方、宮崎は冬季の日長時間(昼間の時間)が北海道に比べ長く温暖であり、日照時間(日中の晴れの時間)も長いという気候条件のよさから、馬を仕上げやすい環境にあります。よってこれまで、ライトコントロールは不要(自然にライトコントロール作用が得られ、性腺機能の成熟も早いもの)と考えてきました。

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育成期間中の日長時間(昼間の時間)の比較。寒冷期である111月においては宮崎と日高では1時間近い昼時間の差ができます。ただし、ライトコントロール法で人工的に昼14.5時間、夜9.5時間という環境を作ることで、冬の宮崎よりも4時間程度長い昼時間設定となります。

事実、宮崎の育成馬の成長は日高に比べて良好といえます。馬の成長を比較するために、1ヶ月間の体高の伸びを現3歳世代のJRA育成馬で比較しました。下のグラフのように、特に111月における宮崎馬の体高の伸びは大きなものです。

一方、日高ではライトコントロールを実施した群のほうが実施しなかった群よりも体高の伸びがやや大きい傾向がみられました。このことから暖かさや日照時間だけではなく、日長時間のコントロールで馬の成長が促進されている可能性が示唆されました。

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宮崎の育成馬(●印)と日高でライトコントロールを実施した育成馬(△印)および実施しなかった育成馬(□印)の体高の伸びを比較しました。

それでは、温暖で日照時間の長い宮崎において、ライトコントロール法で日長時間を延長させることに意味はないといえるのでしょうか? 試しに現3歳世代のJRA育成馬で、プロラクチンというホルモンの測定を実施して、宮崎の育成馬と日高の育成馬(ライトコントロール実施群と非実施群に分けて)を比較してみました(協力:東京農工大学)

脳下垂体から分泌されるホルモンであるプロラクチンには成長ホルモン様の作用があります。1月以降の日高ライトコントロール群のプロラクチン血中濃度は、宮崎群よりも有意に高くなりました。すなわち、プロラクチンの分泌については、気温・日照よりも日長時間による影響が大きいことが示唆されたのです。

宮崎のように日照時間が長く温暖な環境での育成は、より早い時期の骨格成長が見込めるため、早くから強いトレーニングを課すことが可能であると考えられます。しかしさらに良い育成を目指す中で、日長時間の調整(ライトコントロールを併用し、早期に性成熟を促すことができれば、トレーニング効果がさらに高まる可能性があると考えられます。自然の利点を生かしつつ、ライトコントロールも併用することでどのような効果が得られるのでしょうか。確認・検討の後、このコーナーで報告したいと思います。

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5時、タイマーをセットした馬房内の照明(蛍光灯)が点灯します。12月下旬より4月までの期間、人工的に昼14.5時間、夜9.5時間の環境を作り、ライトコントロールを実施します。本シーズンは半数の育成馬(牡6頭、牝6頭)にライトコントロールを行い、効果を検証します。

本年もよろしくお願いします(宮崎)

皆様、新年あけましておめでとうございます。本年も「JRA育成馬日誌」をどうぞよろしくお願いいたします。さて、南国・宮崎もさすがにこの時期の朝夕は冷え込みますが、日中は「暖かい」と感じられる日も珍しくありません。宮崎は気候が温暖で、快晴日数が全国でもトップクラスです。放牧地は冬でも青々としており、馬たちは年間を通じて牧草を採食できます。育成馬の騎乗調教後には採草地で牧草を直接食べ(グラスピッキング)、馬房に帰ってからも十分な量の青草が給与されています。南九州地区は、特に冬季の競走馬育成に好適な土地であることは間違いないでしょう。

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1月でも気温が20℃近くまで上昇するような特に暖かい日はラグを着せずに放牧します。青草を無心に頬張る牝馬群。向かって左がニキトートの08(父:チーフベアハート)、右がオペラハナミの08(父:シルバーチャーム)。

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育成牧場内の採草地で豊富な青草を毎日収穫し、夜間の給餌に使用します。

JRA育成馬の調教は旧宮崎競馬場の1,600mダートトラックを利用して、天候に左右されることなく順調に進んでいます。1月現在、2,500m3,000m程度のキャンターを、最後の3ハロンを併走で5572秒程度のペースをベースに実施しています。

今回は当場で育成している2歳馬24頭の中から、注目の2頭をご紹介します。

ディアーブリーズの08(父:グラスワンダー)

牡・栗毛・476kg・サマーセール購買馬(購買価格:1,166万円)。

父グラスワンダーは、昨年のクラシック戦線でも安定した力をみせたJRA育成馬セイウンワンダーを輩出。母父はゴーンウエスト系のグランドスラムで、購買時より力強く闊達な動きをみせていました。本馬はなんといっても体が柔軟で、乗り味の良さがセールスポイント。調教でも反応が大変よく、走りに集中できるので、集団の先頭をしっかりとこなしています。

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ゲート通過は日課です(写真はディアーブリーズの08)。ほとんどの馬が昨年末までに、「ゲートの前扉を閉めた状態で入れて、後扉を閉じ、前扉から常歩で出る」ところまで馴致されています。

レガシーウインドの08(父:ファンタスティックライト)

牝・栗毛・413kg・サマーセール購買馬(購買価格:420万円)。

父は愛チャンピオンSを勝利し、世界各国で活躍したエミレーツワールドチャンピオン。母、祖母ともに3勝馬で、近親にはジャパンカップ勝ちのレガシーワールドもいます。母父サンデーサイレンスが出たやや薄手の馬体で、牝馬らしい品の良さがあります。前進気勢が強く、よく集中したスピード感溢れる走りに期待が高まります。

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500mトラックコースでのウォーミングアップ。中央がレガシーウインドの08

クリッピング(毛刈)の実施(宮崎)

温暖な宮崎も11月後半には最低気温が一ケタとなる日が増えてきました。一方で最高気温は20℃前後まで上昇する日もあり、朝夕の寒暖の差、あるいは日ごとの寒暖の差は皆さんがイメージするよりも大きいと思われます。風邪などで体調を崩しがちなこの時期は、しっかりと保温のできる服装が必要となります。

宮崎の育成馬たちもこの時期からは馬服(ニュージーランドラグ)を着用しています。育成馬に馬服を着せる習慣がなかった日本において、ニュージーランドラグはJRA日高育成牧場が最初に導入したものです。当初は様々な怪我やアクシデントが危惧されましたが、現在では馬の体調管理や冬毛の伸びを抑制して皮膚を薄く保つため、あるいは手入れの簡素化などを目的として、民間にも広く普及しています。

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ニュージーランドラグを着せてパドック放牧中。左の栗毛がマイネシャリオの08(牡・父はテイエムオペラオー)、右の黒鹿毛はミスヴィーナスの08(牡・父はキンググローリアス)

もうひとつ、この時期に施されるのがクリッピング(毛刈り)です。毛刈りされた馬は日本の競走馬ではあまり見かけませんが、海外では頻繁に実施されているようで、先日のマイルチャンピオンシップ(GI)に出走した、イギリスのエヴァズリクエスト号もクリッピングが施されていました。特に栗毛馬は明るい皮膚の色とのコントラストが明白になり、美しさが際立ちます。しかしこれはみせかけではなく、冬毛が長い場合、寒い時期の調教による汗や、馬を洗浄した後の水分が乾きにくいために馬体が冷えることを防止できます。毛刈りされた部分は普段は馬服を着ていることで、しっかりと防寒され、調教中もエクセサイズラグを装着して、馬体を暖かく保ちます。常日頃から体が冷えないように馬服をこまめに着せ替え、冬毛が伸びないように心がけることが重要ですが、宮崎育成牧場では最終的にほぼすべての馬にクリッピングを実施しています。一方、日高の様な寒冷地区での育成馬調教においては、腹まで汗をかく状況になりにくいため、クリッピングされた馬はあまり見ることがありません。

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騎乗してのゲート通過馴致も実施しています。馬はイシノレプリートの08(牡・父バゴ)。この日の夕方、同馬はいよいよクリッピングを実施します。

クリッピングの手順

クリッピングで特に重要なのは、①人馬の安全確保、②安全確保のために刺激が少なく、迅速な手技を行うこと、③刺激が少なく迅速な手技のためのバリカンの整備です。宮崎育成牧場では以下のような手順でクリッピングを実施しています。

まず、馬はクリッピング当日の調教後、全身をしっかりとシャワー・シャンプーしておき、充分に乾かすことで、最も毛が刈りやすい状況となります。毛刈りの時間は馬が比較的リラックスしている夕方に実施しています。

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正しい姿勢でまっすぐに立たせた状態にして、毛刈り線をチョークで下書きします。

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万が一の事故に備えて、後肢の蹄周囲はバンテージで巻いてクッションとします。また、多くの場合は鎮静処置およびメンコ(耳栓をしたうえで)も使用します。

この後、10分程度を目標に手技を開始します。バリカンの選択は迅速で安全な実施のため、最も重要といえます。馬のストレスと恐怖感を取り除くため、なるべく音が小さくて、熱を持ちにくいも、そしてコードレス(充電)タイプのものが便利です。クリッピングでは水濡れやフケの影響、あるいは順調に進んでもいずれは毛が詰まり、全く刈れなくなることをよく経験します。毛を掃除して刃を油に浸けて回復することもありますが、替刃の予備を複数準備しておくことが、重要です。ダメかと思われる替刃も、一晩油に浸けると回復することが多いようです。

しかし今年から宮崎で使用している家畜専用のバリカンは、やや高価なのですがそのようなトラブルも少なく、作業がとてもスムーズになりました。

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広く全体を剃るためのメインバリカン(左・約7万円)と凹凸部やライン上の細かな調整用の小型バリカン(4万円)。いずれも充電式(コードレス)です。

最初にバリカンの振動音、そして皮膚に触れた振動に慣れたことを確認したら、一定の強さで毛並みに逆らって手早く進めます。この間、基本的に鼻ネジや肩をつまむ等の馬に対するプレッシャーは与えずに実施します。また馬が機嫌を損ねたり、怖がっている兆候がみられたら、一時的に手技を中断します。いずれも馬がリラックスした状態で手技を進めることで、安全確保に繋げるためです。

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クリッピング翌朝のイシノレプリートの08(牡・父バゴ)。初日は少々腹帯の違和感を示す場合があるので、注意しています。同馬も少々不穏な様子でしたが、すぐに慣れて、いつものように元気いっぱいの走りを見せてくれました。

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育成馬の調教は前年度よりも約2週間、早めに進んでいます。第1群(9/17馴致開始)と第2(10/15馴致開始)は、11/18からは本格的に混合での調教をスタートしました。1129日は1600mダートコースをF24程度のキャンターで1周程度の内容でした。先頭で馬群を誘導するのは左の黒鹿毛がケリーケイズプレジャーの08(牝・父はTiznow)、右の栗毛がウィーアワーズの08(牝・父はティンバーカントリー)

JRA育成馬の血統(宮崎)

宮崎育成牧場に入厩したJRA育成馬24頭は、その半数が917日に、残る半数も1015日に騎乗馴致を開始しました。どちらのグループも日々新しい経験をし、成長していく姿が手にとるようにわかる大変楽しい時期です。

さて、今回は入厩した24頭の血統(父系)について簡単に説明しようと思います。今シーズンの特筆すべき点は、すべて異なる父の産駒であること、つまり24頭の種牡馬がいることでしょう。

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上の表が宮崎在厩24頭の父系です。青い網掛けが牡馬(12頭)の父、赤い網掛けが牝馬(12頭)の父で、左側はその祖先を示しています。24頭というのは決して多い頭数ではありませんが、バラエティーに富んだ様々な系統をラインナップしています。

ノーザンダンサー系は、今回の分類法でいうと世界で最も勢力を拡大している系統といえるでしょう。当場育成馬でも最多となる9頭がこの系統です。このうちDanzigの直仔デインヒルは種牡馬として多数の活躍馬や後継種牡馬を出し、世界的に大成功を収めている系統で、1996年に日本でも供用されました。その直仔で本邦新種牡馬となるロックオブジブラルタルは、既に英・仏・米・豪・香の5カ国でG勝利馬を輩出しており、大変楽しみな種牡馬です。

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ロックオブジブラルタルを父にもつソプラニーノの08。素軽い動きが目立ちます。もの覚えがよく物怖じしない性格から、初期調教では他馬の先導役を果たす牡馬です。

ナスルーラ系の2頭はブラッシンググルームの孫にあたります。本邦新種牡馬のファンタスティックライト、2歳新種牡馬としてランキング上位にあるバゴとも今後の活躍が楽しみです。

ネイティブダンサー系の3頭はミスタープロスペクターの子孫にあたります。種牡馬として日本でも活躍したフォーティナイナーの直仔であるエンドスウィープは、本邦では3年間の供用のみで3頭のG馬(計G8勝)を送り出しました。その直仔スウェプトオーヴァーボードも日本への適性が認められつつある楽しみな種牡馬です。

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スウェプトオーヴァーボードを父にもつタイキエンプレスの08。おじにダービーGPG勝ちのタイキヘラクレスがいて、兄姉も堅実に活躍しています。強い気性が競馬でいいほうに発揮できるよう、育て甲斐のある牡馬です。

ロイヤルチャージャー系の父は5頭ですが、うち4頭はサンデーサイレンスの直仔です。1995年から2007年まで本邦リーディングサイアーに君臨し、今や「サンデーサイレンス系」と呼ばれ、日本では最も勢いのある一大勢力といえます。しかし国内での席巻度合いと比較して、JRA育成馬ではそれほど多数であるとはいえないようです。

一例として国内最大規模の1歳市場であるサマーセールの上場馬について調べてみました。今年の上場馬1,077頭の3代父までにサンデーサイレンスを持つ割合はなんと42.2%の高率でした。このうち売却された馬では44.7%となり、700万円以上の高額取引馬では55.6%と過半数にまで上昇します。それだけサンデーサイレンス系の人気度・信頼度が高いことを示す数値かと思われます。これに対して、JRAが同セールで購買した61頭では37.7%とやや低い数値となっています。今年のJRA育成馬はそれだけバラエティーに富んだラインナップといえるのではないでしょうか。

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先頭がゼンノロブロイを父にもつノースシェーバーの08。前向きな気性と動きのよさが目立つ牡馬です。写真は500mトラックでの駈歩調教2日目に撮影しました。

上記以外の系統も、4頭をラインナップしています。このうち新種牡馬となるデビッドジュニアは欧州の3歳中距離チャンピオンで、ドバイデューティフリー(G)にも勝利しました。その血にミスタープロスペクターをもたず、ノーザンダンサー、ヘイルトゥリーズンも薄いことから、日本の繁殖牝馬にも配合しやすい血統といえます。

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誘導馬(先頭・芦毛)に続く栗毛がデビッドジュニアを父にもつローズガーデンの08。どっしりと構えていて、時に牡馬のような威圧感を漂わせる牝馬です。筋肉質で尻回りのボリュームが増してきました。写真は500mトラックでの駈歩調教初日です。

馬に親しむ日(宮崎)

830日、JRA宮崎育成牧場では、お客様向けの最大のイベント「馬に親しむ日」を開催しました。

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ミニチュアポニー「プリン」ちゃんとのかけっこ。

大変暑い日ではありましたが、3,696名のお客様が来場され、乗馬試乗会(497名試乗)、ポニー馬車(271名乗車)などの馬と触れあう催し物や、盛り沢山のアトラクションでお楽しみいただきました。この場をお借りしまして、ご来場いただきましたお客様、ならびにご協力いただきました地元馬関係者とJRA馬事公苑の皆様に感謝申し上げます。

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注目のイベント「ポニー競馬」には10頭がエントリーしました。サラブレッドにも負けない迫力と、写真判定に持ち込まれるほどの大接戦に場内が沸きました。このレースは118に行われます「第1回ジョッキーベイビーズ(東京競馬場・芝・400m)」の宮崎・鹿児島地区予選となっており、2名の代表者が決定しました。

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馬に蹄鉄の装着を実演する「馬のくつやさん」も大盛況でした。

普段「馬」が身近な存在ではないお客様が、このようなイベントを通じて馬と触れあうことで、競馬に興味を持っていただくきっかけになるのではないかと思います。同時に、我々が育成しているサラブレッド育成馬も、一般のお客様にもみていただき、興味や親しみを持っていただけるようにしていきたいと考えています。

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この日最後の演目は、JRA馬事公苑から来たアンダルシアン(スペイン原産の品種)によるホースダンスでした。演技終了後には、多くのお客様が記念撮影会に参加されました。

馬に親しむ日が終わると、「育成牧場」としての業務がいよいよ本格化します。95日(大安)には、JRAが北海道内で購買した育成馬18頭が、2日間の馬運車輸送を経て宮崎に到着しました。これにより、今期宮崎育成牧場で育成する24が揃いました。幸い、馬たちに輸送による疾病や放牧での怪我もみられなかったため、97日より全頭の夜間放牧を開始しました。

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95日、最初の放牧直後の写真です。3頭ずつのグループで4ヶ所の放牧地に放された馬たち。お互いに顔を見合わせながら、新しい仲間に興味津々の様子です。

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97日、宮崎競馬場時代からの歴史がある馬頭祭を馬魂碑前で開催し、人馬の安全を祈願しました。今月中旬にはいよいよ第1グループ(約12頭)の騎乗馴致を開始します。

ブリーズアップセールまであと7ヶ月。

’09-’10シーズンのJRA育成馬が入厩しました(宮崎)

今年も2歳馬たちがデビューする新馬戦の季節となりました。一方で「Big Dream StablesJRA宮崎育成牧場には1歳馬が入厩し、次世代にむけてスタートをきりました。

6/17、今シーズン最初の入厩となったのはローブモンタントの08(牝・父はキャプテンスティーヴ)です。この世代最初の育成馬としてJRAが九州市場で購買した熊本産馬です。九州産馬としては昨年も1頭購買・育成された鹿児島産馬がいましたが、熊本産馬はJRA育成馬(サラブレッド)として初めてのケースと思われます。

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向かって左の鹿毛馬がローブモンタントの08(牝・父はキャプテンスティーヴ)。母はエルフィンSを勝ち、桜花賞3着の実績馬です。7/31の馬体重は386kg。向かって右の栗毛馬はローズガーデンの08(牝・父は新種牡馬デビッドジュニア)。祖母は日経新春杯など重賞4勝したエルカーサリバーです。7/31の馬体重は420kg

続いて7/9には、八戸市場で購買した5頭(青森産馬2頭・北海道産馬3頭)が入厩しました。青森から丸1日をかけての輸送になりますが、馬運車にのせて興奮する馬もなく大変スムーズに出発できました。これは馬運車で長距離輸送を経験したことのある馬が3頭いたこともありますが、セリ上場までに人との信頼関係をしっかり構築してきた成果であろうと感じました。輸送中に発熱する馬もおらず、大変順調な入厩となりました。

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77日の八戸市場購買馬5頭は、8日に青森を出発しました。写真は輸送中のモンテドーターの08(牝・父はフサイチコンコルド)。母の兄姉には高松宮記念馬サニングデールをはじめ重賞での活躍馬が並びます。7/31の馬体重は390kg

入厩馬は♂2頭、♀4頭の2グループに分け、最初は昼間放牧としました。はじめて合流する馬同士の放牧とあって、怪我などが発生しやすい時です。特に牡馬は順位付けの行動として、立ち上がり「相撲をとる」などの行動が避けられません。ある程度のリスクはありますが、9月以降に開始する騎乗馴致までの期間に青草をたっぷり食べることで肉体の成長を促し、群れで適度な運動をすることで基礎体力が養成されることを見込んで集団放牧を行っています。また、リスクを軽減するため、事前に放牧地内を引き馬でみせて環境に慣らしたり、牡は23頭の少頭数の群れで放牧したりしています。また集団放牧開始から数日間、放牧後しばらくの時間観察を続け、危険の回避および馬の個性を掴むことに努めています。

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集団放牧中の牝馬群。向かって右端の栗毛馬がウィーアワーズの08(父はティンバーカントリー)。祖母とおじ・おばはアメリカで活躍、兄弟がJRAで堅実に勝ちあがる血統です。7/31の馬体重は427kg

2日後には群れも落ち着き、馬の体調や怪我の心配もないことを確認して、夜間放牧に移行しました。この暑い時期の宮崎では涼しい夜間に放牧して昼は厩舎で休むことが精神的にも肉体的にも馬にとってベストといえます。日中の厩舎では暑熱対策として扇風機を使用し、その風量もこまめに調整します。

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シャワーによる全身洗浄にも慣れました。馬はモンテドーターの08

また、秋からの騎乗馴致開始に備えて、人との信頼関係を築き、扱いやすい馬になるよう、なるべく涼しい時間を選んで、運動・手入れを行なっています。運動は今後の調教で経験する様々な場所や環境に慣れるよう、ラウンドペンや調教馬場のほか、ウォーキングマシン、脚浴場(小さな水まりから徐々に水を増やして)など日替わりで行っています。検温やシャワーでの洗浄、馬房内での手入れなどにも慣れてきました。

83日現在、全頭とも至って順調に放牧・運動を継続しています。

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2頭で放牧中の青森産牡馬。向かって左の栗毛馬がマイネシャリオの08(父はテイエムオペラオー)。おじに阪神大賞典勝ちのメジロボアールのいる血統です。7/31の馬体重は444kg。向かって右の鹿毛馬はミスヴィーナスの08(父はキンググローリアス)。おじのキングリファール、おばのケイツーパフィは重賞路線の実績馬です。7/31の馬体重は400kg

キャンドル競走馬への道 その6 ~ キャンドルの卒業式 (宮崎)

先日ご案内したBig Dream Stables宮崎育成牧場での育成馬展示会(宮崎)。これまで注目してきたビッグキャンドルの07(通称キャンドル、牝、父は新種牡馬 バゴ)ですが、展示会数日前になって39度の熱を出し、やや食欲も落ちてしまいました。小学生のように式に向けて張り切りすぎたわけではないのでしょうが、「卒業式」への参加が危ぶまれました。

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幸いにも発熱から回復し、「卒業式」の比較展示に颯爽と入場してきたキャンドル。展示中も落ち着いて堂々とした振る舞いでした。

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いよいよ騎乗供覧。緊張のスタート直前です。ゲイリーアミューズの07(白帽・父はボーンキング)とともに前の組の走りを見守るキャンドルと騎乗者(青帽)。

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2頭併走で、ラスト2ハロン14.2-13.9を記録。堂々とした走りをみせ、無事に卒業式を終えたキャンドル(青帽)。

○ブラックタイプ(血統情報)について

今回はブリーズアップセール前の掲載最終回となりますので、キャンドルをもっと深く知っていただくために、ブラックタイプ(血統情報)の話をさせていただきます。

セリ名簿のほか、インターネット情報でも公開されているブラックタイプ。皆様もご覧になったことがあるのではないでしょうか。「文字ばかりでつまらない」と思われた方、ここには実に多くの情報が詰まっているのです。それではキャンドルのブラックタイプを使って説明します。

まずは上段の血統表からです。血統表は文字通りその馬の父、母、さらには父の父、母の父などが記された一種の家系図です。上段に父が、下段に母が記されます。この表は3世代を遡って記してあり、3代血統表と呼ばれます。キャンドルの父は、フランスの競走馬で凱旋門賞やパリ大賞典など1,6002,400mのGⅠを5勝した名馬バゴ2006年にJRAが導入し、現在は日本軽種馬協会・胆振種馬場で繋養されています。父バゴにとって、2007年生まれのキャンドルは最初の世代の子供であり、バゴは今年の「2歳新種牡馬」としても注目されています。

バゴの父は1989年、英2000ギニーとエプソムダービーを制してニジンスキー以来のイギリスクラシック二冠を達成したナシュワン。さらにその父は1,1001,600mのGⅠを5勝し、種牡馬としても大成功を収めたブラッシンググルーム。この様に、父、父の父、父の父の父・・・・とつながる一番上の行をサイアーライン(父系)とよび、母ビッグキャンドルから続く一番下の行をファミリーライン(母系、牝系)とよびます。どうしても、名馬が綺羅星のごとく並ぶサイアーラインに目がいってしまいますが、実はファミリーラインにも馬の競走能力に大きな影響を与える重要な情報が隠されています。

仔馬の素質は母から55-60%を、父から40-45%を受け継ぐという研究報告があり、優秀な仔馬を生み出すためには母馬の資質や要因が大きいとされているのです。その母系の活躍度合いをひと目で理解できるように、近親馬名の書体や太さを競走成績のよいものほど目立たせるにようにした表記基準こそが「ブラックタイプ」であり、サラブレッドを売買する世界各国のセリ名簿で採用されています。

ブラックタイプでは、出生年、種牡馬と競走成績等について、母、2代母、3代母・・・さらにその子供たちを辿ります。

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ビッグキャンドルの07

再びキャンドルのブラックタイプをみますと、まずは母ビッグキャンドルの解説があります。母は岩手競馬で3勝を挙げました。そして、注目していただきたいのは母馬名のすぐ下の初仔(はつご)という表記です。これは読んで字のごとく初めての子供という意味です。キャンドルの場合、お母さんが9歳の時に初めて産んだ子供、ということになります。

2代母、おばあちゃんの欄には、その息子であるイナズマタカオーという太文字の馬がいます。94年の中日スポーツ賞4歳S(GⅢ)、95年の北九州記念(GⅢ)などを制し、現在はJRA中京競馬場で誘導馬として活躍しています。この馬は重賞勝ち馬ですから、最も太く表記されます。実はこのイナズマタカオーは旧宇都宮育成牧場で育てられたJRA育成馬でした。つまり、おじさんにあたるイナズマタカオーが大活躍したビッグキャンドルの07は、JRAと相性のよい馬であるといえそうです。

ブラックタイプは一見するとただ名前を羅列しているだけでつまらないもののようですが、じっくり検証してみると本当に色々なことがわかります。その馬の血統背景が見えてくる、非常に奥深いものなのです。“あっ!この馬知っている!”とか、“この馬の近親なのか~!そういえばあの時・・・・”などなど、あなただけの競馬ロマンが見つかるかもしれません。

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キャンドルをはじめJRA育成馬たちは、無限の可能性を秘め宮崎を巣立とうとしています。皆様、ブリーズアップセールにご注目ください。 

育成馬展示会を開催しました(宮崎)

 

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育成馬展示会での調教供覧を前に、1列で馬場入場。先頭はレッドジグの07(牝馬、父:ゼンノロブロイ)

JRA育成馬たちにとって約710か月に及んだBig Dream Stables宮崎育成牧場での育成。その卒業式ともいえるJRA育成馬展示会(宮崎)が330日に行われました。宮崎としては大変肌寒い1日となってしまいましたが、馬主・調教師・生産者の方々をはじめ、約110名のご来場がありました。

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調教供覧で、力強い走りを魅せたNo.15エイダイヒロインの07(白帽、父:クロフネ)とNo.16プレゼントの07(青帽、父:バゴ)の牡馬2

この世代の育成馬たちは、例年並みの調教メニューに加え、常歩での運動量を多く確保して、十分に鍛錬されてきました。この日は最後の2ハロンを15秒台~14秒台で、馬たちが走りたい気持ちをためた状態で、しっかりとした動きをご覧いただくことが目標でした。来場者の熱い視線に応えようと張り切ってしまったのか予定よりタイムが早くなった組もありましたが、無事に卒業式を終えることができました。

今後も個体ごとの状態に応じた調教・調整を心がけ、すべて馬たちが健全な状態で427日のブリーズアップセールを迎えられるよう、一同努力してまいります。

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3列併走でのウォーミングアップ。宮崎育成牧場は温暖な気候を活かし、500mおよび旧競馬場1,600mの広いダートコースで、馬場の凍結を心配することなく思い通りの調教が行えます。

なお、宮崎育成牧場での調教は、中山競馬場に向けて出発する419日まで毎日実施されます(火曜日を除く)。馬主・調教師・生産者等関係者の皆様にはいつでもご来場いただきたく、お待ちしております。

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調教後のグラスピッキングでは、生産者の方などが関係馬の成長を間近で確認されていました。馬はゲイリーアミューズの07(牝馬、父:ボーンキング)。宮崎は年中豊富な青草を給与できるため、育成馬たちの健康維持にも大変有利な土地柄といえます。

また、これまで注目してきたビッグキャンドルの07(通称キャンドル)の展示会での様子は次号で紹介いたします。

キャンドル 競走馬への道 その⑤ 受験番号が決定!(宮崎)

卒業・入学の季節です。JRA育成馬にとっても来る330日のJRA育成馬展示会(宮崎)が「卒業式」、そして427日のJRAブリーズアップセール(中山)が競走馬となるための「入学試験」といえます。このブログでも何度か紹介してきたビッグキャンドルの07(通称キャンドル、牝、父は新種牡馬:バゴ)はブリーズアップセールの上場番号が58に決まりました。これが競走馬訓練学校(トレセン)入学への受験番号といったところでしょうか。

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「受験番号ゼッケン」を背に整列する牝馬たち。左から2頭目の「58番」がキャンドルです。この日は3/30(月)に迫った育成馬展示会の調教予行演習を19日に実施しました。素直で扱いやすいキャンドルは単走でしっかり抑えたまま、ほぼ指示通りのタイム(ラスト2ハロンを16.1-14.9秒)を記録しました。

この受験生(育成馬)たちは、活躍を楽しみにされている購買予定の皆様からみれば、かわいいわが子のような存在でしょうし、大変高額な商品でもあります。その商品の内容・価値をきちんと説明するために、JRAでは病歴や調教状況など様々な個体情報を開示しています。中でも「育成馬写真カタログ」は最も基本的な個体情報のひとつであり、ブリーズアップセールの事前購買者登録をお済ませの馬主の皆様に冊子を郵送します。また、最新の個体情報と写真はホームページ上でどなたでもご覧いただけます(4月上旬頃、セール情報ページ内に掲載する予定です)。

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写真撮影準備中のプレミアムショールの07(牝・父:アグネスフライト)。たてがみをしっかりと右側に寝かせます。

宮崎では318日より写真カタログの撮影を開始しました。お客様が80頭のJRA育成馬を比較・検討するための貴重な資料となるのですから、どの馬もきちんと揃った姿勢での撮影が求められます。納得のいく写真が撮れるまで、天気とも相談しながら根気強く取り組みます。3分で終わる馬もいれば30分以上要する場合もあります。しかしその30分は馬とのコミュニケーションやしつけのための時間であり、決して無駄になるものではありません。

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写真の失敗例その1前のめりになってしまい耳も後ろを向いています。馬はホットマイハートの07(牡・父は新種牡馬:スパイキュール)

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写真の失敗例その2。風でしっぽを巻き込んでしまっています。天気もなるべく薄曇りの条件がよく、この日は光線がやや強すぎます。馬はニシノファンシーの07(牝・父:マヤノトップガン)

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何度かポーズを直し、所要時間7分で受験番号58・キャンドルのカタログ写真ができあがりました。現在の体高155cm、馬体重452kgBUセールまであと1か月、大切に育てあげます。

虹の彼方に駆ける Over the Rainbow(宮崎)

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雨上がりの旧競馬場スタンドを背に、育成馬たちは「虹の彼方」の大きな夢に向けてトレーニングに励んでいます。

JRAブリーズアップセールまで1か月余りとなり、毎年のことながら育成牧場は慌しくなってきました。馬たちは逞しく成長していますが、牡馬の中には噛み付いてきたり、運動中に立ち上がるなどの反抗的な態度を示す馬も出てきます。このような馬には人間が毅然とした態度で臨み、必要に応じて懲戒を与えることで、人がリーダーであることを再認識させなければなりません。

また、調教では走りたい気持ちを抑えきれないといった前向きさや、併走時の負けん気の強さが目立ってきており、騎乗者も手を焼いています。ただし、馬が走りたいと思うスピードで速く走らせるのではなく、騎乗者がスピードをコントロールして馬の力をためて、ある程度の我慢を教えつつ走らせることが重要です。これは、競馬において馬込みの中で折り合いをつけるための調教であり、オーバーワークを防ぐためでもあります。オーバーワークになると故障につながることはもちろん、かえって馬の走りたい気持ちが萎えてしまいます。

言い尽くされた言葉かもしれませんが、馬を常にフレッシュかつハッピーな状態に維持することが重要なわけですが、これは本当に難しい課題です。ちょっとした馬の変化も見逃さないように馬を毎日見続けることは、この仕事を与えられた我々の義務であり、若馬たちが競馬場にいってからの「活躍する可能性の芽」を摘むことのないよう、日々取り組んでいます。

さて今回は、最近の調教~クーリングダウンの様子を写真で紹介します。

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最初に500mトラックコースでのウォーミングアップを実施します。写真は速歩中の牡馬群です。このコースではゆっくりとした速度でリラックスした調教を心がけており、3列併走の馬たちもゆったりと速度をそろえて運動できるようになりました。

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続いて1,600mトラックコースに移ります。このコースでは速い速度で走行できることを覚えていて、育成馬たちの雰囲気も「競走モード」に変わります。ここでは1,0002,000mの駈歩を実施しますが、ベースとなる内容は1ハロン2120秒の速度で4ハロンを平均的に(4F8480秒)走行することです。また、週12回実施する強め調教では1ハロンを1716秒で3ハロン(3F5148秒)の走行を行います。写真は前からプレゼントの07(牡・父は新種牡馬バゴ)とタヒチアンブリーズの07(牡・父:ボストンハーバー)。

体力があり、脚元の頑丈な馬は週2回の強め調教を実施しますが、無理をするべきではないと判断した馬は強度を落とす、というように個体ごとに調教量の差をつけています。幸いなことに、ここまで跛行等の運動器疾患で長期の戦線離脱を余儀なくされる馬は出ていません。

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調教後のクーリングダウンでは、日替わりで様々な場所を通過して、馬の気分転換をはかっています。写真は「ミニ坂路」を1列で進んでいく育成馬群。

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クーリングダウンを終え、騎乗調教から開放された馬たちは、グラスピッキングで無心に青草をほお張ります。リラックスした雰囲気でさらなる気分転換がはかられています。手前はスラムインの07(牡・父は新種牡馬ゼンノロブロイ)

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最後に腕節までの深さの脚浴場を通過してクーリングダウンは終了です。四肢を冷却するための脚浴場の水には、肢の汚れを落とし清潔に保つ(皮膚炎の予防)目的で硫黄成分などが混ぜてあります。写真中央はスーパードレスの07(牝・父:キングカメハメハ)

育成馬の成長(宮崎)

世の中不景気な話題ばかりですが、最近の宮崎には景気のいい話(?)がありました。全国ニュースでも大きく報じられましたが、WBC日本代表チームが宮崎入りしています。キャンプ地のサンマリンスタジアムでは駐車場がパンク状態、道路は大渋滞となり、巨人との練習試合の日にはついにスタジアムの駐車場を閉鎖(車両乗り入れ禁止)するまでの事態に!! 来場者は45,000人にもなりました。市内のホテルもほぼ満杯のようで、各所で混乱と報じられましたが、街全体が活気付いています。

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2月も温暖な日が多く順調に調教中です。写真はクーリングダウン中の牡馬群で、向かって左がプレゼントの07(父:バゴ)、右はバルジの07(父:タップダンスシチー)。ちょっと似た顔の新種牡馬産駒2頭です。

WBC代表の他にも、多くのプロ野球チームがキャンプ地に選ぶだけの温暖な気候もあってか、体の小さかった当場育成馬ビッグキャンドルの07(通称キャンドル)もすくすくと成長し、9月に387kgだった馬体重も2月には453kg66kgも増加しました。当初436kgだった全24頭の平均体重も今では48kg増えて484kgになり、どの馬もずいぶんと逞しくなってきました。

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除脂肪体重の測定

Big Dream Stables宮崎育成牧場では、馬体重測定にあわせ脂肪厚の測定をすることで除脂肪体重を推定しています。この除脂肪体重は馬の全体重のうち、体脂肪を除いた筋肉や骨、内臓などの総量にあたりますので、その推移を継続して観察することで、育成馬の筋肉増量を推定することができます。方法としては臀部の脂肪厚を超音波(エコー)で測定することで、体脂肪率を推定(体脂肪率(%)≒5.47 × 脂肪厚(cm+2.47)します。体脂肪を含めた馬体重そのものだけではなく、この数値も含めて検討することは、トレーニング効果と馬体のコンディションを推定するうえで大変有用であると考えています。

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上の図は2世代の当場育成馬における脂肪厚の測定結果です。白丸が前世代(現3歳)の当場在厩時の数値で、青丸が現2歳世代の数値です。それぞれ10頭ずつ(牡牝各5頭)を測定した数値です。

未だ2世代だけのデータではありますが、11月~1月にかけて脂肪厚が増加する傾向がみられます。これはトレーニング内容等よりも気候による影響が大きいと考えられます。人でも冬期間には体脂肪率が増えるというデータがあります。ただし、現2歳世代の育成馬は前世代に比べ脂肪厚はやや低めで推移しています。

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上の図は先ほどの脂肪厚から推計した除脂肪体重の推移です。これをみると11月から12月にかけては2世代とも除脂肪体重が減少しており、体脂肪の増量で体重が維持されていたことが分かります。この時期の気候や運動・飼料量または情動の変化など様々な要因が考えられますが、はっきりとした理由は不明です。いずれにせよ次世代以降の育成馬を宮崎で順調にトレーニングしていく上で、注意しなければいけない時期といえるかもしれません。

また前世代(白丸)との比較では9月にはほとんど差のなかった除脂肪体重が、本2歳世代(青丸)では10月以降、増量が大きくなっています。トレーニング効果により、筋肉量の増加がより大きかったものと推定しています。

今後数年間はさらにデータを蓄積し、性差や競走成績との関連も調べることで、よりよい育成調教管理指針が得られるものと期待されます。特に温暖な宮崎における除脂肪体重の増加が、北海道におけるものとどのように違ってくるのかは興味深いところで、プロラクチン(※)というホルモンの測定とあわせて調査する予定となっています。

プロラクチンの測定

JRA育成馬を用いた研究データでは、北海道(日高)では冬から春にかけて、特に牝馬の除脂肪体重が増加しない傾向が認められています。宮崎の育成馬での除脂肪体重の増加は、温暖な気候での成長の早さを示すものではないかと推測しています。

現在宮崎育成牧場では、東京農工大学にご協力いただき、脳の下垂体から分泌されるホルモンであるプロラクチンの測定による新たな調査を実施中です。プロラクチンには成長ホルモン様の作用があり、その測定によって宮崎の馬の成長の早さ、暖地育成のよさを証明できることが期待されます。

育成馬展示会のお知らせ

Big Dream Stables宮崎育成牧場では330日(月)午後1時より育成馬展示会を実施します。当日は全24頭の展示と約12頭の調教をどなたでもご覧いただけます。また、生産・育成・競馬関係の皆様には、午前中の調教(12頭程度、830分頃より)もご覧いただけます。皆様のご来場をお待ちしております。また、当日以外でも関係者の皆様にはいつでもご覧いただけますので、どうぞお気軽にお問い合わせください(火曜日は馬休日となっております)。

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3列縦隊で常歩・速歩運動を実施する牝馬グループ。先頭は向かって左からプレミアムショールの07(父:アグネスフライト)、ゲイリーアミューズの07(父:ボーンキング)、ビッグキャンドルの07(父:バゴ)。ビッグキャンドルの後ろがレッドジグの07(父:ゼンノロブロイ)。

最近の調教内容紹介とスピード・心拍数の測定(宮崎)

1/17の中山1R(ダート1,200m)で、単勝1.1倍の1番人気に支持された当場育成のロジロマンス号(3歳・牡・父コロナドズクエスト・粕谷厩舎)が2着馬に26(16馬身)の大差をつける逃げ切りでの圧勝をみせてくれました。1111とタイムも優秀で、今後のさらなる活躍を期待しています。

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右側がロジロマンス号。1年前の1月、旧宮崎競馬場スタンドを背に駈歩調教後のクーリングダウン中。1歳秋の大人しい印象が一変し、調教での負けん気の強さが目立ってきた頃です。

さて、今回は1/22の調教内容をご紹介するとともに同日のスピードおよび心拍数の測定について報告します。心拍数とスピードの測定については、JRA競走馬総合研究所の協力を得て、調教する各馬にハートレートモニターと呼ばれる心拍数の測定装置とカーナビでおなじみのGPSを装着して実施しました。なおその測定から得られる数値であるV200等については、20073月の育成馬日誌V200の測定)で日高から紹介していますので、詳細な解説はそちらをご覧ください。

今回は調教内容の紹介とともに、毎度おなじみ「ビッグキャンドルの07」の心拍数データ・走行スピードについて報告します。

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122日、キャンドル号調教の軌跡

上の図がキャンドル号調教の軌跡をプロットしたもので、宮崎育成牧場の調教コース図が浮かび上がっています。以下、順を追って説明します。まずは厩舎地区での準備運動【上の図の】から、500mトラックコース【】へ移動。ここで速歩を1,000m、駈歩を1,000m実施(23列の併走)して、【】から1,600mトラックコースに出ます。そして1本目の駈歩(1列)を図の上方向へ(左回り)1,000m、【】の左側で折り返して、上方向(右回り)へ2本目の駈歩(併走)を1,000m実施しました。その後のクーリングダウンは【】の右側で折り返して、【】からコース外に出て【】の杉林、【】の採草地・芝馬場をとおり、【】の厩舎地区に戻ります。

調教タイムは1本目の後半600m66秒(F22)、2本目の後半600m57秒(F19)の目標としました。調教の総距離は常歩が4,000m、速歩が1,000m、駈歩が3,100mでした。

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122日、キャンドル号調教時の心拍数(桃色)とスピード(青色)

この調教時にキャンドル号の心拍数(桃色)とスピード(青色)をプロットしたものが、上の図です。横軸は馬装および機械装着からの時間経過です。競走馬の安静時心拍数は1分間に3040回程度ですが、機械を装着し、常歩運動に入ったキャンドルの心拍数は70回程度にまで上昇しているのが分かります。【A】の時点から500mトラックでの速歩調教で心拍は100回程度、【B】の時点からは駈歩運動で心拍が150回近く、スピードは6.5m/s(ハロンタイムで30秒程度)となります。【C】からが1,600mトラックでの1本目の駈歩、心拍が200回近く、スピードは約9.5m/s(ハロンタイムで21秒程度)、【D】からが2本目の駈歩で、心拍が200回以上、スピードは約11m/s(ハロンタイムで18秒程度)でした。

競走馬の最大心拍数は、220230回程度であり、今回のような心拍数200回前後の調教を、インターバルをはさみ2本こなすことは十分な運動強度であると捉えています。2月からはこの強度の運動を週2回程度実施(3Fタイムで5754秒)していて、それ以外の日は1,600mトラックでの調教は1本(駈歩1,0001,600m、最後の3Fタイムが6660秒)としています。

ただし馬によっては、今回の調教内容では2回とも心拍が200回に達せず比較的余裕のある運動であったりもします。またこの数値は騎乗者や隊列での位置(先頭か馬群の後ろか)および馬場状態や天候などによる馬の情動の変化にもある程度影響されます。そのほか駈歩を開始して心拍数が200に上昇するまでの時間、逆に駈歩後心拍数が100をきるまでの時間などを分析し、心肺機能を検討しています。

このようなデータは馬ごとの調教強度を見極め、個体に合ったトレーニング内容を課すための参考として大変貴重なものとなっています。

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500mトラックコースで速歩調教中の牝馬群です。向かって右からタイキフレグランスの07(父サクラバクシンオー)、スーパードレスの07(父キングカメハメハ)、ウォーターセレブの07(父グラスワンダー)、プレミアムショールの07(父アグネスフライト)。

キャンドル 競走馬への道 その4(宮崎)

昨年末はJRA育成馬であるセイウンワンダー号(父グラスワンダー)が朝日杯フューチュリティSに優勝するという大きなニュースがありました。JRA育成馬のG競走優勝は宮崎で育成したタムロチェリー号(01年・阪神ジュベナイルF)以来です。セイウンワンダー号は日高で育成した馬ですが、宮崎で育成に携わる我々にとっても大変励みになる出来事でした。現在宮崎で育成中の明け2歳馬24頭の中にも、G競走で優勝するかもしれない素材がいるはずであり、我々はその芽を摘むことのないよう、また少しでも勝利する可能性を高められるよう、日々試行錯誤しながらも張りきって育成に励んでいきます。

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タムロチェリー号(父セクレト・01年阪神ジュベナイルF優勝)

さて、前々回の宮崎からの日誌で、「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」が入厩早々に馬房内休養となったことをお伝えしました。今回はその後のキャンドルの経過についてお知らせします。

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シャワーを浴びて気持ちよさそうなキャンドル

99日、キャンドルは「右肩違和」と診断されました。症状としては右前肢を地面に着くときに痛がり、この肢の前方への展出が良くないというものでしたが、目立った外傷はありませんでした。このような場合、まずは蹄、球節、ヒザ(腕節)など下肢部の状態を確かめます。これらの部位に腫脹や帯熱、または触診による疼痛がみられる場合、骨折や骨瘤、腱や靭帯の損傷など比較的重傷である可能性も疑われ、必要に応じてレントゲンやエコー検査が実施されます。幸い、キャンドルにはそれらの異常はみあたりませんでした。検査の結果、肩から上腕の筋肉の一部に疼痛感があり、これらの筋肉の軽い炎症であると診断されました。

キャンドルに限らず育成馬たちは、少々痛くても放牧地では元気に走ってしまい、症状が悪化することがあります。そのため馬房内で休養し、鎮痛・消炎剤を投与することにしました。その後は痛みの軽減する度合いをみながら、鎮痛・消炎剤の投与量を減らし、少しずつ運動を課して、夜間放牧の集団に戻す適期を慎重に判断します。結局キャンドルは10日間の馬房内休養の後に6日間単独で昼間放牧を行い、そしてついに925日には夜間放牧の集団に戻されました。その後の経過はすこぶる順調で、本格的な騎乗馴致の開始となる1016日を健康な状態で迎えることができました。以下、キャンドルの騎乗馴致の様子を写真で示すこととします。

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10/22 (馴致5日目):鞍をつける前の腹帯馴致用として利用する「ローラー」を締めようとしているキャンドル。敏感なキャンドルは、ローラーの締めつけから逃れようとラウンドペン内を飛び回ることもありましたが、3回目となるこの日はだいぶ慣れがみられました。

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10/23(馴致6日目):後方から「ドライビング」と呼ばれる方法で馬を操り、騎乗することなくハミ受けを教えます。この日の段階ではまだ補助者が馬の前方に付きますが、徐々に馬と11の関係に移行します。ゲートに近づき、通過する練習もこの時期から行います。もちろん雨の日にも馴致は続けられます。

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10/30(馴致11日目):ドライビングでお尻や飛節に触れる調馬索(ロープ)をかなり嫌っていたキャンドルも、ずいぶん慣れて受け入れるようになりました。この日は実際に騎乗することとなる1,600m走路でドライビングを実施しました。コーンを置いてのスラローム走行も可能となり、ハミ受けも順調にできてきました。また同日、馬房内ではじめて人が跨り、記念すべき「初騎乗」を無難に終えました。この日の馬体重は408kg9月入厩時より+21kg)でした。

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11/12 (馴致18日目)14日目よりラウンドペン(丸馬場)内での騎乗を開始、16日目からは他馬と合流しての騎乗に慣れました。いよいよ明日からは500m馬場に入場するという段階まできました。

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11/23 500m馬場で速歩・駈歩をそれぞれ1,0001,500m程こなせるまでに成長しました。2頭目がキャンドルで先頭はサンドシャーディーの07(父:シルバーチャーム)。

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年が明けて15日、キャンドルの近況です。この日は常歩3,000m、速歩1,300m、駈歩2,700mの調教メニューで、1,600m馬場でのラスト3FF22秒のペースで走る調教を行いました。2頭目がキャンドルで先頭はトレヴィサンライズの07(父:ネオユニヴァース)。キャンドルの馴致時にみせた過敏さは騎乗後には解消し、素直で反応の良いところが目立ってきました。この日の馬体重は435kg9月入厩時より+48kg)でした。

鹿児島大学に軽種馬診療センターがオープンします(宮崎)

JRA宮崎育成牧場の公園地区は一般のお客様に開放されています。通常土日の14時からはポニー馬車の運行も実施され、日中はまだまだ暖かいこの時期は多くのお客様で賑わいます。

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ポニー馬車の運行。

さて、今回は九州地区における、新たな獣医療施設のオープンについてです。

九州地区における昨年のサラブレッド生産頭数は98頭で、そのほとんどが鹿児島・宮崎・熊本の南九州3県で行われています。全国的に見ると生産頭数(7516)95%以上は北海道であり、九州地区は1.3%にすぎません。しかしながら、温暖な南九州地区は特に秋~春季の育成・休養の好適地であり、意外に多くの競走馬が滞在・繋養されています。育成関連団体の統計では、育成馬約250馬房、休養馬約390馬房のあわせて641馬房の受け入れ態勢があるのです。

このような国内でのサラブレッド繋養地としては北海道の他、生産地の青森県、JRAトレセンのある関東、関西地区があげられます。これらの近隣地区にはサラブレッドなど軽種馬を診療する拠点施設があるものですが、残念ながら、南九州地区はこれまでやや立ち遅れていたといえます。

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本年9月の鹿児島大学付属動物病院における、JRA育成馬チアズフリートの07手術準備風景。施設が古く不便さは否めませんが、馬の手術になれたスタッフ、学生たちにより、手際よく進んでいきます(すでに育成馬は麻酔下で仰向けに寝ています)

鹿児島大学農学部は以前より、馬の診療に積極的に取り組んでいます。ここ数年の軽種馬の手術実績としては関節鏡による剥離骨折やOCDの摘出術、喉の形成手術などが中心です。

今回の新しい診療センターには、ハイクリーン陽圧手術室があり、精密な防塵フィルター、デジタルレントゲンやX線Cアームが設置されていて手術中のX線撮影および透視ができます。その設備と清潔な環境により、これまではできなかった螺子固定術(骨折をボルトで固定する)も可能となります。

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ハイクリーン陽圧手術室

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写真のような螺子固定術も可能となります。

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倒馬覚醒室:大型動物の全身麻酔導入(馬が倒れる)や覚醒(麻酔から覚めて起き上がる)には時として危険が伴い、二次的に骨折などを発症することもありえます。そのような危険を最小限に食い止めるため、周りをクッション材で囲むなど、さまざまな工夫がなされています。しっかりと麻酔導入された馬を手術台に移動させるためのクレーンも設置されています。

今後は施設稼動の準備に入り、4月にはいよいよ正式なオープンとなる予定です。同施設が南九州地区における馬医療基地としての役割を果たし、地方競馬の荒尾や佐賀の競走馬も含め、多くの軽種馬が安心して南九州での育成や調教に励むことができる環境が整ったといえるでしょう。それにより、南九州地区の生産および育成の基盤が強化され、軽種馬産業の維持・発展につながることと期待されます。

中央競馬会が実施する特別振興事業として設立

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12月初旬のJRA育成馬の調教風景です。2500mほどのキャンターをゆっくりとしたペースで、一団で走行中です。12月中旬現在では最後の3Fを併走で7075秒ほどのペースで実施しています。先頭はゲイリーアミューズの07、左端の栗毛はカリカーの07、右端はビッグキャンドルの07。※前号で「挫折」をお知らせしたキャンドルもすっかり立ち直っています。詳しくは後日お知らせします。

キャンドル 競走馬への道(キャンドルの日記) その③

前々回の宮崎からの日誌で、無事宮崎入りした「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」の近況をお伝えしました。そのキャンドルにいきなりの試練が訪れましたので、振り返りになりますが、9月のキャンドルの日記を紹介します。

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キャンドル(右端)ら3頭の放牧直後の様子。食欲旺盛な彼女は、放牧するとまずは走り回るよりも、食欲が優先のようです。おいしい青草を一心不乱に食べ続けます。

99      放牧仲間のプレミアさんとトレヴィさんは走ることが大好き。特にトレヴィさんはいつも元気一杯。最初は付きあっていたけれど、さすがに疲れちゃって・・・・。それでも走り回って、追いかけてくるの。蹴りを入れても追いかけてくるし。逃げ回っていたら、ちょっと筋肉を傷めたみたいで歩くと痛いです。朝、育成牧場の人が放牧地に迎えに来てみんなで厩舎に帰るのだけど、みんな私の歩き方をみて「まずい」って言っています。厩舎に着いたら獣医さん?が来て、痛いところを押すから飛び上がっちゃいました。そして頚に注射を打たれました。夕方、みんなはうれしそうに放牧に行ったのに、なぜか私だけ厩舎に居残り。「休馬」だそうです。なんだか、とっても不安。

騎乗馴致がはじまる前の育成馬たちは、放牧地で集団管理されています。ここで馬同士は互いの影響も受けつつ、思い思いに走り回り、自然の「運動」を実施することで、骨、筋肉、腱が発達し、心肺機能も高まります。また仲間同士でじゃれあって、蹴ったり蹴られたり、噛み付いたり噛まれたりする「遊び」の中で、競走馬として必要な競争心や勇気、前向きな性格が育まれているとも考えられます。このような「運動」や「遊び」は牡馬の群れの方がより活発にみられる傾向がありますが、今回の牝馬3頭の群れは牡馬に負けず劣らずの活発ぶりで、いわゆる「やんちゃ」なグループです。

やんちゃ仲間のトレヴィさんが原因かどうかは分かりませんが、キャンドルはこの日「右肩違和」と診断されました。キャンドルに限らず育成馬たちは、少々痛くても放牧地ではまた走ってしまい、症状が悪化する可能性が高いため、今晩は放牧をやめて馬房内休養が必要と判断されました。入厩5日目にしていきなりの試練です。   ※次号に続く。

秋の育成馬検査が実施されました(宮崎)

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育成馬の調教は、順調に進んでいます。11月後半には第1グループとなる10頭がメイントラックである1,600mコースにおいてキャンター調教を開始、残る第2グループも500mコースにおいてキャンター調教を開始しました(写真)。写真は誘導馬を先頭に前からプレミアムショールの07(栗毛)、カリカーの07(栗毛)、サンドシャーディーの07(鹿毛)他。

Big Dream Stables宮崎育成牧場に在厩する24頭のJRA育成馬たち。先日その成長や馴致状況をチェックするため、JRA本部の職員による育成馬検査が実施されました。午前中は実際の騎乗馴致を確認し、午後は個別の馬体検査(展示)を行ないました。馬体検査(展示)については3月に当日誌「馬をみていただくためのポイント」で紹介したように、手順に沿って検査者に馬を展示します。

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展示の際の馬の動き

詳しくは http://blogjra.weblogs.jp/ikusei/2008/03/post-3d48.html

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まずは駐立しての展示です。引き手は韓国研修生で、正しい立たせ方について本部職員と確認し合っています。馬はトレヴィサンライズの07(父:ネオユニヴァース)

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引き続き、常歩で後肢の動きがまっすぐ見えるよう遠ざかり・・・・・

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検査者が横からの馬体も確認できるよう右回転して・・・・・・

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前肢の動きがまっすぐ見えるよう戻ってきます。以上、馬はビッグキャンドルの07(父:バゴ)

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速歩も同様に、後肢→横→前肢の動きがまっすぐ見えるよう意識して、三角おにぎり型に右回転して戻ってきます。馬はニシノファンシーの07(父:マヤノトップガン)。全兄のJRA育成馬ケイアイマッシブ号11/16の東京・2才戦で勝利しました。

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最後に再度駐立の展示です。馬はプレミアムショールの07(父:アグネスフライト)

検査の前週には、日ごろにも増して馬の手入れに時間をかけ、タテガミや尾のトリミングにも取り組みます。また速歩の展示をスムーズにみていただくための練習も実施します。今回の検査では馬の進路の芝生に刈り込み(上の写真でも確認いただけるかと思います)を入れて、そのとおりに歩けるよう人馬とも練習をしました。

近隣に馬関係者が少なく、比較的みていただく機会が少ない当場にとって、検査などでの馬主、調教師、牧場関係者などの来場はいい刺激となります。宮崎にお立ち寄りの際は、どうぞお気軽にご来場いただき、育成馬たちをみてやって下さい。

馬を展示することは馴致の一環であり、人馬ともその状況に慣れて、落ち着いてみて・触れていただけるように、取り組んでいます。そのためには、日ごろから愛すべき育成馬たちと触れ合う時間を大切にし、人がリーダーであることをきちんと理解させた上で、馬に語りかけながら全身の手入れなどを行い、信頼関係を深めていくことが大切でしょう。

韓国からの研修生が来日しました(宮崎)

南国宮崎も11月に入り、そろそろ「涼しい」日だけでなく、「寒い」と感じる日もでてきました。

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宮崎育成牧場ではミニチュアポニーとの撮影会を定期的に実施しています。今回はクリスマスバージョンで、完成した写真をカレンダー形式でお客様にお渡しします。

今回は韓国・釜山からBig Dream Stables宮崎育成牧場に来ている2名の研修生を紹介します。彼らはJRA育成馬を用いた育成・調教の実践研修を受講するため、概ね6カ月間の予定で、釜山の慶南競馬場からやってきました。

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研修生の2人。先日はJBBA九州種馬場を見学しました。

彼らは釜山で競走馬の調教を4年間経験している調教厩務員で、将来的には調教師を目指す優れた人材です。騎乗に向けた競走馬の馴致方法は初めて経験する内容がほとんどで、常に真摯な姿勢で一から取り組んでいます。

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騎乗馴致の動作を指導される研修生。馬はホットマイハートの07(牡・父スパイキュール)

また、騎乗フォームなどはこれまで韓国の競走馬での経験から、自信を持っているはずです。しかしながら若い育成期の馬に要求される騎乗方法は、完成された大人の競走馬とは異なる部分もあります。特に、まっすぐに走らせるとともに、若馬特有の不意な動きにも対応できるよう、手綱をブリッジで保持し、ネックストラップとともにキ甲の上で拳の位置を安定させることや、アブミの長さを必要に応じて長くしたり短くしたりすることなどには注意を払う必要があります。慣れた習慣を変えるのは簡単なことではありませんが、彼らにはそれを受け入れようとする前向きな姿勢・柔軟性もあり、約1ヶ月間の研修を経た現在では、育成牧場スタッフにもよくなじんでいます。研修生ではありますが、今後はともにJRA育成馬を調教していく貴重な育成スタッフになってくれそうです。

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誘導馬に騎乗し、JRA育成馬の調教を先導する研修生(先頭)。2頭目以下は牡牝混合の10頭の育成馬で、速歩1000m、駈歩1500m程度のメニューを消化しています。

韓国からの研修生受け入れは今回で第4期目となります。このような取り組みを通して、今後さらに韓国など海外競馬関係者との相互理解が深まり、人馬の交流が進むことが期待されます。

☆キャンドル 競走馬への道 その②

前々回の宮崎からの日誌(1016日)でご案内しました、「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」成長の過程を伝えるコーナーです。8月の購買からの流れをキャンドル自身の日記風に紹介します。

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ビッグキャンドルの07。父は新種牡馬で凱旋門賞勝ちのバゴ。

9 3     8月のセリでJRAに購買されて「JRA育成馬」の仲間入りです。広大な調教施設を持つ浦河の日高育成牧場に「入学」かと思ったら、宮崎育成牧場入学に決まってました。JRA育成馬の3割は宮崎、7割は日高に行くそうです。今日は16頭の仲間と一緒に北海道から旅立ちます。まる2日かけて95日に宮崎到着。4月までの8か月間、ここでがんばって勉強です。

97    宮崎の日中はとっても暑いんです。だからお昼は厩舎で休憩、扇風機で涼しくしてもらってます。外の放牧は夕方~朝までの涼しい時間(夜間放牧)です。北海道からの輸送で一緒に来た「プレミアさん」、「トレヴィさん」との友達3頭で、青草がおいしくて、広い放牧地にいます。本格的な勉強(騎乗調教)が始まるまで1か月くらいは、外での自由時間が多くて楽しい毎日です。牧場の人には「青草をしっかり食べて大きくなるように」っていわれました。実は今の私、387kgで同級生24頭の中で一番小さいんだって。※24頭の平均馬体重は436kgです(9月初旬)。

 

宮崎に到着し、まずは順調なスタートを切ったキャンドルです。引き続き、次号以降でも紹介していきます。

育成馬を手術しました(宮崎)

秋の宮崎はスポーツの話題でいっぱいです。プロ野球の教育リーグ「フェニックスリーグ」には先日、巨人の主力選手が出場しました。クライマックスシリーズに向けた調整のためでしたが、間近で、しかも無料でみられる機会はそうあることではありません。11月には男子ゴルフのフェニックストーナメント、女子では国内ツアー最終戦のリコーカップもあり、秋の宮崎も魅力満載です。また、馬肥ゆる秋という言葉どおり、育成馬たちも順調に成長しています。県知事ではありませんが、この機会に魅力満載の宮崎に足を運んでいただけたら幸いです。

さて今回は手術の話題です。

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今回手術を受けたのはチアズフリートの07(父:キンググローリアス)、通称チアズ君です。こちらは手術2週間後の休養中の写真です。手術後1か月間は運動・食餌を制限するので、あばらが浮いてやせ気味です。馬は運動を制限されると消化器の働きが弱まり、疝痛(馬の腹痛)を起こしやすくなります。これを予防するため、餌の量もある程度制限しています。

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手術部分の拡大写真です。しっぽ側の出っ張り部分が人間でいう「かかと」で、この部位を含む関節のことを飛節(ひせつ)と呼びます。よく見ると飛節周囲には今回の手術時に毛を刈った跡がみられます。

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以前の日誌で紹介した、群れのボスとして大威張りのチアズ君(写真右)。噛み付かれているのはプレゼントの07(父は新種牡馬バゴ)。

○飛節のOCD摘出手術

724日の日誌でも紹介したようにボスに君臨していたチアズ君ですが、全頭の一斉レントゲン検査(1頭につき約20枚の撮影を行います)の結果、両後肢の飛節部分に「OCD」が確認されました。OCDは獣医学用語でOsteo Chondritis Dissecans(離断性骨軟骨症)、簡単に言うと関節内に残った遊離軟骨です。本来、骨は成長する過程で先端に軟骨をつくり、これが成熟して硬くなって(骨化と呼びます)伸びていくのですが、軟骨が正常に成熟せず、そのまま表面に残ってしまったものこそがOCDの正体なのです。

今回我々が手術に踏み切ったのは、単純に「OCDがあったから」ではありません。決め手となったのは飛節が軽度に腫れていたことです。つまり、外見でわかる症状があり、レントゲン検査でもその領域に所見が見られたため、手術するべきとの結論に至りました。JRAでは、OCDがあっても外見でわかる腫れや熱感などの症状がない場合や、OCDの見つかった場所が獣医学的・経験的に問題の起こりにくい場所である場合には、ほとんど問題視しません。むしろ、手術をしないと決断することを賢明と考えます。これはレントゲン検査でOCDが見つかっても、必ずしも跛行や休養の原因とならないことや、現在競走馬として活躍している馬の中にはOCDの手術をせずに出走し、活躍している馬が数多くいるためです。

どれだけの若馬にOCDが見られるのか、OCDの有無と疾病発症の間には何か関係があるのか、またOCDが出走回数や獲得賞金などの競走成績に影響を与えるのか、などについて両育成牧場で現在調査を行い、データを集積しているところです。調査の結果、何か知見が得られた場合には当ブログ上でも紹介していきたいと思っています。

なお、今回の手術は鹿児島大学付属動物病院で実施しました。同病院の施設等については、後日お伝えする予定です。

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今回摘出した遊離軟骨です(それぞれ左・右の飛節より)。小豆くらいの大きさでした。

○欧米のセリにおける「レポジトリー」とOCD

レントゲンを撮ると、飛節以外にも球節や膝関節などにOCDがみつかることは珍しくありません。欧米では、セリに出場する馬のレントゲン写真などが閲覧できる「レポジトリー」というシステムが普及しています。馬の所有者がセリで馬を売却する際は、購買するお客様に悪い印象をもたれたくないと考えるのは当然で、手術や治療によりOCDをなくそうとする傾向がありました。しかし最近では、OCDは時間が経過すると消失することもあり、競走馬としての能力に影響を与えないことが多い、と考えられています。その根拠としては、GⅠ勝ち馬の中にもOCDを持つ馬がたくさんいることがあげられます。欧米の購買者はこのような情報を多く得るにつれて、OCDをあまり心配せず寛大になっているようです。

日本のセリにおける「レポジトリー」

一方日本では、セレクトセールやセレクションセール、一部のトレーニングセールやJRAが主催するブリーズアップセールにおいて、「レポジトリー」による情報開示が行われています。

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ブリーズアップセールのレポジトリールームでは、レントゲンや喉の内視鏡所見について、JRAの獣医スタッフが説明します。

それ以外のセールでは、気になる部分のレントゲンを自主的に提出する意識の高い上場者も一部にみられますが、過去に骨の手術歴がある馬でさえもレントゲンの提出がないことが殆どです。これは、レントゲンなどの提出義務がないためです。

購買者の立場からみれば、少なくとも骨の手術歴がある馬についてはレントゲンを確認し、納得した上で購買したいと考えるのが当然です。日本のセリにおいてレポジトリーがしっかり定着して、上場者から積極的に情報提供がなされ、購買希望者がセリ当日に気軽にレントゲン撮影を依頼出来るような環境が整えば、購買者にとってセリはもっと魅力的になるでしょう。

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チアズフリートの07。手術1か月後の10/10から軽運動とパドック放牧を再開しました。11月初旬には初めての騎乗まで進むことが出来そうです。

管囲の日内変動(宮崎)

10月になりました。南国宮崎も朝夕はだいぶ涼しくなりましたが、日中はまだまだ25℃以上まで上昇し、汗ばむ日もあります。また、9月の後半は2回にわたり台風が接近し、多量の雨をもたらしました。幸いにして風が比較的弱かったこともあり、Big Dream Stables宮崎育成牧場に大きな被害はありませんでした。

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 台風による暴風に備え、騎乗馴致用のラウンドペンを補強します。取り囲む板もすべて取り外しました。

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通常使用時のラウンドペンです。

さて、前回の宮崎からの日誌では馬体重の日内変動」についてデータを示しました。今回は管囲の日内変動についてです。

○ 管囲の日内変動

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管囲の計測。測定位置や巻尺の締め具合、馬の立ち方などに注意して計測します。

管囲とは馬の管骨(球節と腕節の間にある長骨)部分中間の太さを示す値で、骨の太さを示す指標ともいえます。一般に左前肢で測定を行い、馬を売買するセリ市場などでは体高や胸囲などとあわせて個体ごとに公表されます。この太さから馬の丈夫さを推し量る人もいる重要な数値なのですが、1ミリ単位で発表されるこの数値の計測は比較的難しく、計測者による誤差が出やすい指標ともいえます。計測の際は測定位置(正確に管骨の中位)、巻尺の締め具合(管部を圧迫するほどは締めない)、馬の立ち方(四肢に均一に体重をかけてまっすぐに立った状態)などに注意して、同一の者が計測した値を比較するべきでしょう。昨年宮崎で育成した育成馬(現2歳)は、管囲の平均値が19月:牡馬(19.1cm)牝馬(18.8cm)、24月:牡馬(19.7cm)牝馬(19.7cm)で、半年近くの間に大きく成長したことがわかります。当場は、毎回同一の条件(測定部位、時間、測定者など)で測定することを心がけています。

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今夏、1歳育成馬(牝馬1頭)の両前肢の管囲の変化を追跡調査しました。計測は朝夕2回、9日間実施しました。その結果、図1のようにほぼ毎日、朝よりも夕方の値が大きい(太い)というデータが得られ、管囲にもある程度の日内変動が認められました。図2に示すとおり、その変動幅は平均すると左前肢で2.1mm、右前肢で2.3mmでした。なお朝→夕、または夕→翌朝の最大変動幅は6mmでした。

データを取った育成馬は、夜間放牧(涼しい夜間は放牧、暑い昼間は厩舎で静養)をしていました。詳細には、①朝8時に放牧地から厩舎に戻り、管囲計測後軽運動、②朝830分と昼15時に厩舎で餌付け(合計3kg)、③夕方16時に管囲計測後、放牧(以降朝まで夜間放牧)といった管理でした。

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夕方の値が大きくなる主要因は、骨が太くなるわけではなく、管囲計測部分にある屈腱領域がむくむのではないかと考えられます。

人の場合でも足のむくみに悩まされる方は多いですね。その原因は、立ち仕事や乗り物への乗車などで同じ姿勢を長時間続けるたり、運動不足により全身の血行が悪くなり、不要な水分が下半身に溜まってしまうことが原因です。予防には、足踏みや足首を回すなど、足の筋肉を動かすことが大切です。今回の管部周囲のむくみも、昼間を過ごす厩舎内では運動量が制限されるため、血行が悪くなりむくんだのだと考えられます。

経験的には、夜間放牧を終え騎乗調教期に入った秋季以降の育成馬では、これほどの日内変動はないように感じています。今後は秋季以降の計測や、屈腱部のエコー検査とあわせて計測することで、さらに知見を得たいと考えています。

     ビッグキャンドルの07

Big Dream Stables宮崎育成牧場で育成中の24頭の中から注目!?1頭をご紹介します。名前はビッグキャンドルの07(父は新種牡馬:バゴ)で通称「キャンドル」です。サマーセールにて、350万円(税抜)で購買しました。小ぶりな体(9月末現在、宮崎で最軽量の401kg)ですが、闊達な動きが目立つ牝馬です。

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819日 サマーセールでの購買時に撮影

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925日 宮崎育成牧場にて撮影

「キャンドル」については、その成長などを次号以降でも紹介していきます。必ずしも順調なことばかりではないとも思いますが、1頭の育成馬がどのような過程を経て競走馬を目指していくのかをお知らせできるのではないかと考えています。

馬体重の日内変動について

前回、宮崎からの日誌では「馬体重の変動」を話題として、長時間輸送等による30kgもの体重減が数日間で回復する例をお伝えしました。今回は1日の中でどれだけ体重が変動するかについての話です。なお、日内変動といっても朝と夕方のみの比較ですのでご了承ください。

● 体重の日内変動

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上の図1は夏季の連続9日間、朝・夕の体重を計測したものです。これをみますと、1歳の育成馬(牝馬)と14歳の乗馬(去勢馬)の2頭とも、夕方に比べて朝の馬体重が増加していることがわかります。この9日間を平均すると、1日の変動幅は乗馬で9kg、育成馬で5kgとなりました(下の図2)。これは、65kg の大人に換算すると0.91.3kgほどの変動幅です。なお1日の最大変動幅は乗馬で15kg、育成馬で13kgでした。

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ちなみにこの2頭は毎日一緒に放牧されていて(2頭のみ)、計測開始の1週間前から、涼しい夜間は放牧、暑い昼間は厩舎で静養というパターンで管理していました。もう少し詳しくいいますと、①朝8時に放牧地から厩舎に戻り、体重計測後に軽い運動、②厩舎にて、830分と15時に餌付け(太りやすい14歳乗馬は合計1kg1歳育成馬は合計3kg)、③16時に体重計測後、放牧(以降朝まで夜間放牧)といった管理でした。

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2頭で仲良く放牧中。今回データをとった育成馬(右)と乗馬(左)です。

朝の体重がなぜ増加したかといいますと、夜間放牧での十分な青草の採食などの理由が、逆に夕方の減少は、厩舎での制限された餌の量や昼の暑さによる消耗などの理由が考えられます。特に14歳乗馬の方は太りやすい傾向でしたので、昼間の餌の量が少なかったこと(夜間の青草採取量が多かったであろうこと)が、変動幅を大きくした要因といえるでしょう。厩舎の馬房内で管理されている競走馬の場合は、これほどの変動幅はないのかもしれません。

また興味深いことに図1をみると、前半の4日間に比べ後半の5日間で、2頭とも同じように変動の幅が大きくなる傾向がみられました。原因は不明ですが、気象条件や夜間放牧中の運動量が一因と思われます。蒸し暑い日も雨の日も夜間放牧は継続されます。天候のほかにも小動物の出現や街の騒音などに驚いて走り出すなど夜間の運動量も日によって変化があったのでしょう。馬は群れで行動する動物ですし、特に仲良く寄り添っていたこの2頭は、ほぼ同じ運動量であったと思われることも、同一の変動傾向がみられた理由ではないかと考えています。

     宮崎の育成馬24頭が揃いました。

Big Dream Stables 宮崎育成牧場の今シーズンのラインナップが揃いました。7月のセレクションセール購買牡馬4頭(当初は日高育成牧場で繋養)と8月のサマーセール購買馬13頭のあわせて17頭が95日に入厩しました。

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今回入厩した8月購買馬たちはしばらく夜間放牧を継続し、馬体の成長を促がします。写真は朝、集牧前の8月購買牡馬4頭です。先頭はタヒチアンブリーズの07(父:ボストンハーバー)。後続は左からバルジの07(父:タップダンスシチー)、ホットマイハートの07(父:スパイキュール)、エイダイヒロインの07(父:クロフネ)。

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台風13号が過ぎ去った920日より、7月購買馬を中心に、騎乗のための馴致をスタートさせました。馬はスラムインの07(父:ゼンノロブロイ)。

1歳JRA育成馬が入厩しました(宮崎)

428日のJRAブリーズアップセールで売却された2歳馬たちが、続々とデビューする新馬戦(メイクデビュー)の季節となりました。

一方、「Big Dream Stables」宮崎育成牧場は次世代にむけてのスタートをきりました。78日の八戸市場でJRAが購買した4頭(すべて牡馬)の1歳馬が710日の朝、入厩しました。

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78日の八戸市場(青森)せり風景。景気の低迷もあってか他の市場同様売上を下げましたが、マイネレーツェル号(本年のフィリーズレビュー馬)やタムロチェリー号(01年最優秀2歳牝馬でJRA宮崎の育成馬)を輩出した実績ある市場。

まる1日以上の長時間輸送を経て宮崎に到着した1歳馬たちは、まず馬体の特徴や怪我のチェックおよび尿の検査を実施してから馬房でひと休みです。宮崎は連日30度を超える猛暑が続いていますが、この日からの数日間は風もあって比較的涼しく感じる気候でした。東北で育った馬たちにとっては、いい導入日になったといえます。ただ若馬にとって大きな環境の変化になるので、数日間は体調や怪我に細心の注意を払い、暑熱対策として扇風機を使用し、風量もこまめに調整しています。

さて、ひと休みした後はビッグイベントともいえる最初の放牧に向かいます。全馬青森産ですが、それぞれ違う牧場出身の4頭をはじめて同じ場所に放牧する瞬間です。

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710日、到着後最初の放牧に向かいます。

放牧早々、ボスの座を強く主張するチアズフリート07(父キンググローリアス)が他の3頭に次々と攻撃を仕掛けます。特に牡馬は噛み付いたり蹴りあったりで、少々の怪我は覚悟の上で放牧しますが、フェンスの付近でやりあったり、あまりにもひどい攻撃など危険の高い情況は避けられるように、職員がしばらく監視を続けます。最後まで抵抗していたプリンセスホーラーの07(父は新種牡馬マイネルセレクト)が「降参」のサインを出すまで概ね20分間、チアズフリートの07は全身汗だくで走り、他の3頭に攻撃を続けました。とりあえず同馬がボスに君臨したようで、群れはほぼ落ち着き、幸い怪我もみられませんでした。

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黒鹿毛馬チアズフリートの07(父キンググローリアス)が栗毛馬プレゼントの07(父は新種牡馬バゴ)に噛み付いて離そうとしません。

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711日には夜間放牧を開始しました。左からクリスタルクリアの07(父キャプテンスティーヴ)、チアズフリートの07(父キンググローリアス)、プレゼントの07(父は新種牡馬バゴ)、プリンセスホーラーの07(父は新種牡馬マイネルセレクト)の青森産4頭です。

翌日には群れもすっかり安定し、夜間放牧を開始しました。極端な暑さの日中を避け、概ね夕方4時から朝8時まで放牧します。青草を十分に採食し、群れで適度な運動をすることで、基礎体力を養成し、馬体の成長を待ちます。9月に始まる騎乗馴致までは、人との信頼関係を築き、扱いやすい馬になるよう、手をかけて管理していきたいと思います。

     九州産育成馬も入厩しています。

実はこれより前の530日、入厩一番乗りはゲイリーアミューズの07(牝・父は新種牡馬ボーンキング)でした。すでに十分な引き馬・手入れの馴致がなされ、ウォーキングマシンやゲートの周り、調教トラック内など様々な場所での引き運動を実施しています。九州市場(5/12)で購買した同馬は、数少ない地元九州産馬としても注目されます。ちなみに07年のサラブレッド生産頭数(7516頭)に占める九州産(98頭)の割合は1.3%で、95.6%は北海道産となっています。

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九州産馬ゲイリーアミューズの07(牝・父は新種牡馬ボーンキング)

JRA育成馬展示会を実施しました(宮崎)

前回の育成馬日誌(宮崎)でお知らせしたとおり、324日(月)13時から、JRA育成馬展示会を開催しました。

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「比較展示」の様子。写真のインディペンデンスの06(父シルバーチャーム)には多くの人の注目が集まりました。

前日1日中降り続いた雨もあがって快晴となり、絶好の日和の中、馬主・調教師・生産者の方々およびファンの皆様で約200名のご来場をいただきました。中には北海道の馬産地から足を運んでいただいた方も少なくはなく、大変感謝しております。

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比較展示は芝生の上で内向きに3頭×2列で実施しました。

まずは2歳育成馬全24頭を間近でご覧いただく「比較展示」からスタートです。本年の展示では例年の8頭×3組展示から、6頭×4組展示に変更してみました。これは限られた展示エリアの中で、近くの他馬を気にせずに、一頭一頭ゆったりご覧いただけるようにとの考えからです。結果として大変スムーズに運んだのですが、事前には近くに他馬がいないことで、馬が寂しがるのではとの危惧もありました。事前に何度となく、展示の練習を繰り返したこともよかったと思いますが、大勢の人に囲まれると意外に馬は大人しくできるようにも思われます。

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「調教供覧」前のウォーミングアップを内馬場(500mコース)で実施します。先頭はアドラーの06(父アグネスタキオン)、右後はミスバンダムの06(父サニングデール)。

続いての「調教供覧」では、現時点で十分な調教をお見せできる(怪我、病気の2頭を除く)全22頭を供覧しました。

昨年までも全頭みたいといったご要望を多くいただいていましたので、昨年までの倍近い頭数を、2鞍に分けて供覧させていただきましたが、多くのお客様に遅くまでご覧いただき感謝しております。

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調教供覧の様子。左はラベンダーノートの06(父ジェニュイン)、右がラブイズトゥルーの06(父スペシャルウィーク)。ラスト2ハロンを15.0-12.4

 

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押えきれない手ごたえの左ローズレディの06(父クロフネ)と、右メガミグリーンの06(父マヤノトップガン)。ラスト2ハロンを14.0-12.0。

宮崎はなんといいましても、気候が温暖で、快晴日数が全国でもトップクラスです。放牧地はエバーグリーンで、牧草は年間を通じて採食することができますので、特に冬季の競走馬育成に好適な地であることは間違いありません。

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騎乗後はグラスピッキングを実施。リラックスした雰囲気の中、多くの関係者の方が青々とした放牧地まで足を運んでくださいました。

宮崎育成牧場では、大きな舞台で活躍できる馬を輩出する夢をもっています。そして、夢を夢で終わらせないために、JRA育成馬厩舎をビッグ・ドリーム・ステイブル(Big Dream Stables)と名づけ、その夢に向かってステップアップしていこうとしています。

今後育成馬の調教は、420日の中山競馬場への出発まで、火曜を除く毎日実施されます。馬主・調教師・生産者等関係者の皆様にはいつでもご来場いただきたくお待ちしております。

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育成馬厩舎入り口にあるBig Dream Stablesの石碑と、満開の花をつけたタムロチェリー号(当場育成のGⅠ勝馬)記念植樹のサクランボ。

宮崎へJRA育成馬を見に来てください(宮崎)

2008 JRAブリーズアップセール428日・中山競馬場)に上場予定の2歳馬に興味をお持ちの馬主・調教師・生産者等関係者の皆様、宮崎まで育成馬を見にいらっしゃいませんか?。宮崎育成牧場では324日(月)13時~15時、現在育成・調教中の24頭の2歳育成馬の展示会を開催いたします。この展示会では全24頭を間近でご覧いただく「比較展示」および約12頭の調教をご覧いただく「調教供覧」を実施します。また15時すぎより17時頃まで他馬の調教供覧(12頭程度)、およびご要望の馬の自由展示も実施しますので、お時間の許す方はこちらも是非ご覧下さい。なお、展示会はファンの皆様にもご覧いただけますが、一部ご入場いただけないエリアもありますことをご了承願います。

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「比較展示」の様子(昨年の展示会)

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「調教供覧」の様子(昨年の展示会)

JRA育成馬の購買を検討されている馬主・調教師等関係者の皆様は、324日以外の日でもご覧いただけます。事前に宮崎育成牧場(電話0985-25-3448)まで連絡をいただけると幸いです。通常調教は8時~11時頃、馬の展示はそれ以降の時間にご覧いただけますが、火曜日は休馬日、また420日以降はブリーズアップセールに向けて全馬中山競馬場に移動します。

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スタッフ一同、ご来場をお待ちしております。

それでは初めていらっしゃる方のために簡単に道のりをご案内します。

本州からのご来場はなんといっても飛行機の利用が便利です。宮崎空港には羽田から16便、伊丹から11便、名古屋(中部)から3便、広島から1便が毎日運航しています。空港から宮崎育成牧場まではタクシーで約25分の近さです。昔のなごりでタクシーには「宮崎競馬場」と伝えた方がとおりがいいようです。

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育成牧場は宮崎の中心街より車で7分程度の位置です。一周1,600mのメイントラックの内側には500mのショートトラック、放牧地、採草地などがあります。

また、育成牧場から徒歩3分の位置にある宮崎神宮駅には、宮崎空港駅から電車で1530分・340円で到着できます。ただしこれは本数がかなり少ないので、宮崎空港からバスで宮崎駅(25分・400円)→タクシーで宮崎育成牧場(7分程度・約1000円)といったルートが現実的かと思われます。

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厩舎の間近を電車が頻繁に通ります。

さて調教の近況ですが、3月初旬現在、週2回、1000m1,100mのインターバルをおいたスピード調教を実施しています。それぞれ最後の3ハロンを19秒、17秒の指示ですが、ほとんどの馬が楽にタイムを出せています。

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馬は左がアドラーの06(父:アグネスタキオン、母父:Nureyevという期待の良血馬です)、右はナガラフラッシュの06(父:マンハッタンカフェ、母は重賞2勝馬。柔軟性に富む馬体です。)

馬をみていただくためのポイント(引き馬)(宮崎)

南国・宮崎もさすがに2月には朝・夕冷え込む日があります。先日も雨が降った翌朝に気温が氷点下まで下がったため、馬道が凍結する事態になりました。しかしこれはめったにみられることではなく、ある意味貴重な状況でした。

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7時 ハローを掛けても、砂は硬く固まったままです。

しかしさらにハロー掛けを行うと、気温が上がってきたこともあり、午前8時すぎには固まりも融け、十分調教できるまでに回復しました。やはり日中は「暖かい」と感じられる日が多く、さすがにプロ野球キャンプ地のメッカです(ホークスのキャンプ地「アイビースタジアム」までは、当場から車で15分程度です)。

ですから採草地の牧草も、年中青々とした状態を保っています。JRA育成馬たちは放牧中もこの青草を採食しますが、宮崎育成牧場では毎日この新鮮な青草を刈り取り、馬房の中でも十分に給与しています。他の生産・育成地ではなかなか得がたい宮崎での育成のメリットであると思います。

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青々としたイタリアンライグラスの採草地の奥を、常歩運動しているJRA育成馬達がみえますでしょうか?

それでは本題の「馬をみていただくためのポイント」にいきましょう。今回は引き馬展示についてです。馬を引いてみせる時は、常歩、速歩ともキビキビと歩かせることが重要です。

JRA宮崎育成牧場・日高育成牧場では、次のような手順で行うこととしています。

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  引き馬展示の手順 ①~④

①検査者には、馬の左を向けて立たせる。

②検査者から常歩で遠ざかり、右回りで回転して真っ直ぐ検査者に向かって戻る。

③右回りでおにぎり形に速歩。

④馬の右を向けて立たせる。

この方法であれば、検査する方が動かなくとも、馬全体を観察することができます。なお、速歩検査では、馬の頭頚の動きを阻害しないように、引き綱は少し長めに持つのがいいでしょう。ただしこの速歩検査は事前に十分な練習が必要であり、簡単なものではありません。1歳の秋・冬以降であれば、実際の調教での動きを確認することもできますが、それ以前の馬の場合、その闊達さや跛行を確認するにはこの方法が大変有効です。1歳夏に育成馬を購買するJRAでもこの検査を大変重要視しています。

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常歩・速歩とも右回りで回転させます

常歩を要求されたときは、直線的に10m程度遠ざかり、右回りで回転して、検査者に向かって戻ってきます。右回りでの回転には、馬を制御しながら検査者に対して回転時の歩様を見やすくする意味があります。また、狭い廊下などで回転する際には、回転により壁にぶつかることなどで起こるケガを防止できます。

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右回りのコツ:内側に押しながら

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常歩・速歩とも検査者に肢の動きがよくみえるよう、真っ直ぐ戻ることが重要です。

馬をみていただくためのポイント(宮崎)

馬をみていただく際に、馬の保持者はどのような点に注意したらよいのでしょうか。まず、検査する方に馬をみていただく時は、動かないように左側を向けて、写真のように正しく立たせること。そしてタテガミは頚のラインを見せるために右側に寝かせることが基本中の基本です。

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 ヤナビの06さんもきちんとポーズをとっています。

また、馬を検査する方の動きに伴って保持者は位置を変化させる必要があります。その基本は検査者が馬を見渡せ、保持者から検査者の位置が確認でき、検査者にとって安全なポジションであることです。

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 駐立展示における保持者の位置の変化。例えば検査者が①の場所にいる時は、保持者は左手で手綱の根本を持ち検査者をみる(①の位置)。検査者が②の位置に動いたならば保持者は手綱の根本を右手に持ち変え検査者をみる(②の位置)。

また検査する方に馬を引いてみせる時は、常歩、速歩ともキビキビと歩かせることが重要です。そのポイントについては次回掲載いたします。

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 2月に入り1,600m馬場での調教は単走・併走を織り交ぜて、駈歩の総距離は3,100mまで、最後の2ハロンを21秒‐17秒ほどで実施しています。写真はモーリフェアリーの06(牡:父は新種牡馬プリサイスエンド)23日)

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 最後は調教中のおぼっちゃま?馬ヒロジュエルの06。放牧中とは一変した精悍な表情でやる気満々。

皆様にみて、触れていただける馬づくり(宮崎)

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 突然ですが、宮崎イチの美女育成馬?ヤナビの06さん(父は新種牡馬ネオユニヴァース)からの問題です。「私は昨年のセリで買ってもらった中で、最もフツーの育成馬です。それはなぜかしら?

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 一方、宮崎イチのおぼっちゃま馬?ヒロジュエルの06くん(父はフサイチコンコルド)もなにか言ってます。「ホントは僕、宮崎で一番フツーの育成馬なんだよ」。

決してフツーとは思えない派手顔のこの二人、いったい何をいってるんでしょうか?

正解は「セリで購買したとき(1歳時)の価格」なんです。

日本では年間約8,000頭近いサラブレッドが生産されますが、そのうちの約1,000頭近くが1歳市場(セリ)で売却されます。この頭数は当歳市場(約350頭)や2歳市場(約200頭)よりずっと多く、宮崎の育成馬達もみんな昨年の1歳市場で売却された(といいますかJRAが購買した)馬なのです。

ヤナビの06さんをJRAが購買した価格こそ、ほぼ昨年の全国1歳市場での平均取引価格(約824万円)にあたるのです。ちなみにJRAが昨年購買し宮崎にやってきた馬達に限ると、その平均価格はちょっと割安でほぼヒロジュエルの06くん購買価格(683万円)にあたるというわけです。

この購買時価格はJRA育成馬の個別情報の一部なのですが、これ以外にもJRAでは皆様に育成馬をよく知っていただくための資料として、体の大きさ(体重や体高など)、調教実施状況、病歴およびくせなどを育成馬個体情報として開示しています。育成馬の価格は超高級車並ですから、車でいうパンフレットにあたるこれらの情報発信はますます充実させていきたいと考えています。

一方でパンフレットだけではなく、「自分はこんな馬ですよ」と実物を見て、触れて、ご納得いただける馬であることも重要です。すぐに暴れる、蹴るまたは触れさせないようでは、大きなマイナスポイントとなるわけです。現在行っている「調教」には、運動能力の向上のみならず、精神的な成長を促すことも含まれており、多くの皆様にみて、触れていただける馬づくりはその一部です。みて、触れていただくにはそのような状況をつくり練習していくことになります。人と馬とが信頼しあいながら、時間をかけて、繰り返し繰り返し実施することが大切です。

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駈歩調教後のクーリングダウン。324日の育成馬展示会にむけ、展示会場予定地である旧宮崎競馬場一等馬見所(スタンド)にはじめてやってきました(27日撮影)。

南国宮崎にやってきました!(宮崎)

今回から育成馬日誌(宮崎)を担当することとなりました。これまで様々の場面でお世話になってきた師匠(と呼ばせていただきます)の後任は重責ですが、このブログについては育成馬のこと、宮崎のことを楽しく広範に書き連ねていきたいと思います。

ところで当宮崎育成牧場の業務の柱は、年が明け2歳となったJRA育成馬たちを、4月、5月のセールに向けて仕上げていき、その過程で得られた様々の知見や成果を民間に普及することにあります。そのためには当たり前ですが多くの時間馬をみて、馬に触れてその変化を感じ取ることが重要です。私はこれまで5年間のデスクワークを楽しく過ごしすぎたため?か、不摂生ですっかり体がなまってしまいました。来年のダービー・オークスを目指し日々鍛錬中の育成馬とともに、私も体力を向上させていく必要がありそうです。がんばっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

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112日の朝、宮崎育成牧場に虹のアーチ。この後気温がぐんぐん上昇して・・・・

さて、みちのく出身の私にとって九州地区に勤務するのははじめてです。こちらにきて、まず驚かされたのが、その想定外の温かさ(時には暑いほど)でした。 

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上の図は、私の勤務がスタートした19日から一週間の最高気温の推移です。この間の宮崎の最高気温は平均でなんと15!!。東京との差は5.5度、みちのくとは15度以上の差があります。そんなことは天気予報をみていれば誰でも知ってるよ、といわれそうですが、実際それぞれの地に住んでみると新鮮な驚きがありますよ。多分。

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12日の気温は23℃にまで上昇し、半そで姿で騎乗です。左から大きなストライドが魅力のシフォンケーキの06、ダイナミックな走りのラブイズトゥルーの06、期待の良血馬アドラーの06は額にハート型の星(白斑)があるんです。そして右端は新種牡馬シルバーチャーム期待の産駒インディペンデンスの06

もちろん寒い地方にはスキーにスケート、雪自体の美しさやワカサギの穴釣り、そしてなんといっても春が訪れたことへの感激、なんて色々楽しみもあるわけですが、しばらくはこの温かさに感謝しつつ、また新たな発見があるはずの宮崎の地を楽しみたいと思います。

併走での調教(宮崎)

明けましておめでとうございます。年が明けて、馬たちも、入厩したときよりも随分たくましくなってきたように感じます。現在は、500m馬場で準備運動(速歩1000m、駈歩1000m)後、1600m馬場で1000m1400mの距離をF22F20程度のスピードで調教しています。あまりスピードが遅すぎると馬が遊ぶので、遊ばないように徐々にベースとなるスピードを上げてしっかりと走ることを覚えさせています。また、12月から500m馬場での準備運動は併走で実施しています。一般に、併走での調教は2頭がお互いに走りたい気持ちを高めて走るスピード調教において実施します。しかし、この準備運動での併走運動は、競って速く走らせるというよりも、2列縦隊の状態で調教することで、馬を前後左右に他の馬がいることに慣らすことを目的としています。騎乗者も前と横の馬を意識しながら騎乗する必要があるので、より、馬をコントロールすることができます。また、500m馬場で同じ併走パートナーに慣らしていると、1600m馬場でスピード調教を実施する際にも安心して馬同士を近づけて走らせることが出来る効果もあります。競馬は集団で走ることが要求されるので、そのエッセンスを分解したトレーニングが縦列や併走による調教であると思います。

JRA人事異動により、私がこの育成馬日誌を書くのは今回で最後になりました。次回からは私の後任が引き継ぎますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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500m馬場での牝馬の準備運動風景です。リードホースを先頭につけて併走で実施しています。(126日)

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脚浴場の通過に慣らしています。ひざから下が水につかるまで徐々に水を増やし、調教後に肢についた砂を洗い落とし、肢を冷やすことができます。後ろはミスバンダムの06(牡・父サニングデール)。(1220日)

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この日はハートレートモニターを装着してⅤ200を測定しました。内(向かって右)がオグラテスコの06(牝・父キッケンクリス)、外(向かって左)がローズレディの06(牝・父クロフネ)。(1227日)

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(向かって右)アドラーの06(牡・父アグネスタキオン)、外(向かって左)はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(1227日)

まっすぐに走ること(宮崎)

9月中旬に騎乗馴致を開始した第1(9)10月中旬に開始した第2群(13頭)は1130日から合流し、ようやく調教が軌道に乗り始めました。現在、牡および牝のロットに分けて、一列での隊列を組んでハッキングといわれるゆっくりとしたスピードのキャンターを実施しています。この時期には①前に進むこと②まっすぐ走ること③落ち着いて走ることの3つを馬に求めるようにしており、このことについては、1年前の日誌「集団での調教」で書かせていただきました。

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リードホースを先頭にキャンター調教を実施している第2群の牡馬です。リードホースの後はビショップリングの06(牡・父ナリタトップロード)。(1122日)

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1群と第2群合流しての調教です。このような縦列調教の中でまっすぐに走ることを教えていきます。先頭はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(121日)

まっすぐに走ることを要求するときに騎乗者が勘違いしやすいのが、馬の「口向き」を気にするあまりハミに対して左右別々に拳を強く使用することです。拳の操作が強すぎると馬の口を鈍感にするのみならず、馬が前に出ることができずに立ち上がる、後退する等の悪い癖を覚えやすいと思います。この時期の騎乗技術で重要なことは、騎乗バランスと脚の指示による前進気勢および柔らかい拳と考えています。手綱の持ち方はネックストラップに指をかけて、ダブルブリッジで保持することを私は好みます。若馬の筋肉は左右不均等に発達していて当たり前です。したがって、騎乗者が「口向き」を直すためには、長いスパンで馬の不均等な筋肉を左右均等に発育させることを意識することが重要です。例えば、調教時には両方の手前でトラック調教を行うことで左右均等な筋肉の発達を促し、また、縦列調教においてはリードホースの後ろをくっついて走ることで、まっすぐに走るための筋肉発達を促していくことができるものと考えています。競馬において正しく手前を換えることができる馬を教育することは、能力を発揮するために重要な要素のひとつと信じています。

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冬毛の伸びた馬についてはクリッピングを開始しました。クリッピングにはいろいろな毛の刈り方がありますが、体の上半分と四肢の毛を残すトレースクリップという方法を採用しています。馬はローズレディの06(牝・父クロフネ)。(1130日)

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1600mトラック内に高くそびえるパームツリーの下で朝日を浴びながらクーリングダウンを行っています。(1121日)

宮崎競馬100年記念式典を開催(宮崎)

明治40年に第1回宮崎競馬が、現在の宮崎育成牧場がある場所で開催されてから今年でちょうど100年になります。それを記念して1115日に地元周辺自治会長、宮崎県出身の調教師(池江調教師、野元調教師および小原調教師)、南九州育成業者、役所関係者、JRA役員および宮崎育成牧場歴代場長などが集まり、盛大に式典を開催しました。当日、式典の催し物として、育成馬10頭の展示および草競馬「宮崎チャンピオンステークス(Myz)」を実施しました。

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式典での鏡割り(もちろん焼酎!)の様子です。(1115日)

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育成馬10頭の展示を、昭和6年に建設された歴史あるスタンド前で実施しました。(1115日)

南九州では、草競馬が盛んに行われています。宮崎市の西にある美しい自然に恵まれた綾町で実施される「綾競馬」は114日に開催されましたが、2万人近い来場者で賑わいました。草競馬には軽種のレースのみならず、子供たちが参加するポニーレースもあります。子供たちの家で飼っているポニーを競馬に向けて仕上げ、多くの人たちが子供たちを応援すると同時に予想大会も楽しみ、町ぐるみで競馬をお祭りとして盛り上げるイベントが南九州に存続していくことは重要です。宮崎競馬場は宮崎育成牧場に変わりましたが、今後も多くの人に「競馬の原点」を楽しんでもらうため、「馬に親しむ日」等のイベントで草競馬を開催していきます。もちろん、宮崎育成牧場で刻んできた100年の歴史の重みを感じ、競走馬の育成業務に対しても益々励んでまいりたいと思っています。

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本格的な草競馬「宮崎チャンピオンS」は6頭立てで実施され、徳重推幸氏所有のアイラ号が、エイシンクッシング号を見事差しきり、優勝しました。写真は優勝したアイラ号と関係者。(1115日)。

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2群も順調に調教が進んでいます。500m馬場で速歩を実施している牡のストリング(隊列)です。先頭はヒロジュエルの06(牡・父フサイチコンコルド)。1118日現在、第2群は500m馬場でゆっくりしたキャンターを1000m実施しており、11月下旬から1600m馬場でのキャンターを開始し、先に馴致を開始した第1群と合流していく予定です。(118日)

冬毛の悩み(宮崎)

宮崎では、日中はまだ暑い日が続いています。10月は最高気温が25℃以上あった日が19日間(31日間すべて20℃以上)ありました(北海道の夏とたいして変わりません)。このように宮崎は暖かいので、馬も冬毛があまり伸びないと思っておられる方も多いと思います。しかし、この時期の馬体管理をしっかり行わないと、場合によっては北海道よりも冬毛が伸びることも多々見られるのです。その原因として、①10月中旬まで夜間放牧を実施していること、②日中暑いのですが、馬体を洗うと乾くまでに馬房内で馬体が冷えること、③暑さ対応の厩舎構造となっており、馬房内があまり暖かくないことがあげられると思います。夜間放牧を行うと毛が伸びて皮膚は厚くなるのは自然な馬の反応で、馬にとって決して悪いことではありません。しかし、暖かい宮崎では、冬毛が伸びるとトレーニング中に必要以上に汗をかくことになり、馬にとってストレスとなることが私たちは気になるのです。また、見栄えも良くないので、騎乗馴致を開始した時点からは競走馬と同様に皮膚が薄くなるように馬体管理するように心がけています。具体的には、①馴致開始とともに夜間放牧の終了、②丸洗い後のクーラーラグ着用、③夜間のサマーシーツ(薄手の馬服)着用および④騎乗時に馬体を暖かく保つために薄手のエクセサイズシーツ着用などを行っています。しかし、それでも冬毛が伸びてしまったら、バリカンで冬毛を短く刈るクリッピングも実施します。もちろん、その際には馬服を重ね着するなど通常よりも暖かく保つ必要があります。近年、北海道でもライトコントロール法と呼ばれる馬体管理を育成馬に対しても実施することで、4月に宮崎の馬以上に換毛を促進する技術も開発されてきました。宮崎育成牧場の私たちは危機感を感じています。今まで、何もしなくても春になれば、自然に冬毛が抜けて馬の見栄えが良かったのですが、今後は、春に馬体の見栄えをよくするためには、秋のこの時期から今まで以上に人が手をかける必要性を強く感じています。

 

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左は午後に馬体を洗った後にクーラーラグを着用しているところです。馬はメガミグリーンの06(牝・父マヤノトップガン)。また、右は夕方の手入れ時にクーラーを脱がしてサマーシーツを着用しています。馬はヒロジュエルの06(牡・父フサイチコンコルド)。(111日)

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調教後のクーリングダウンの風景です。人はまだ半袖ですが、馬はエクセサイズシーツを着用しています。先頭からモーリフェアリーの06(牡・父プリサイスエンド)、インディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(1028日)

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920日に騎乗馴致を開始した第1群は、現在、500mトラックを3周(1500m)、ゆっくりしたキャンターで縦列調教を行っています。先頭はアドラーの06(牡・父アグネスタキオン)。(1031日)

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2群も1018日から騎乗馴致を開始しています。杉林の間をドライビングしているのはシフォンケーキの06(牡・父タイキシャトル)です。(112日)

ドライビング~騎乗まで(宮崎)

1本レーンでのランジングを教え、ローラー(腹帯)を装着することが可能になった馬は、次のステップとして、2本のレーン(ダブルレーン)を用いてのランジングを教えていきます。その際、2本目のレーンを馬の外側面に回して後肢(飛節の上)の後にまわし、御者が両手で保持して実施します。後肢にレーンが触れた際に、敏感な馬では蹴る等の反抗を示すこともありますが、根気よく馬を慣らします。

2本レーンでのランジングに慣れた後、馬の後方に人が移動し、馬を後方から動かすドライビングを教えていきます。最初はラウンドペンの中で実施し、ドライビングで方向変換等を行うことから始めます。ドライビングに慣れてきたら、ラウンドペンの外に出て今後騎乗する場所等、様々な場所をドライビングで歩かせ、馬の前進気勢と口向きを作っていきます。

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ブレーキングを開始して6日目。ローラーおよびサイドレーンを装着し、ダブルレーンでのランジングを行っています。サイドレーンはキ甲をクロスして装着しており、頭頸の位置を安定させています。馬はディマーの06(牝・父アラムシャー)。(928日)

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ラウンドペンの中でドライビングを行いながら右方向に方向変換を行っています。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(104日)

ドライビングが確実に出来るようになった後、騎乗のステージへと進んでいきます。騎乗は、数日かけて馬の横でジャンプをしたり、背中に体重をかけたりして騎乗動作や体重負荷に慣らした後、馬房の中で実施します。騎乗者が脚を使って馬を動かせることができるようになったら、少し広いラウンドペンの中で騎乗し、やがて走路での騎乗が可能となります。

馴致を開始して2週間から3週間で騎乗することが可能となるわけですが、このように短期間で進められるのも、近年、コンサイナーがセリ前に引き運動を十分行う等、手をかけるようになってきたことが大きいと思います。セリにおいて、美しくプレゼンテーションされ、活発に大きく歩く馬は多くの購買者の目を引くことにつながります。したがって、セリの23ヶ月前に生産牧場からコンサイナーに預けられた1歳馬は、引き運動で人の指示に従って活発に歩くことが出来るように、また、購買者の前で暴れたりせず大人しく立っていることを教育されています。この中で、人と馬との信頼関係と人のリーダーシップの基礎が形づくられ、環境が変わったときの精神面安定や騎乗馴致時の理解力向上に役立っているのだと思います。

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体重負荷に慣らすための「横乗り」を行っています。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(105日)

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馬にとって、生まれて初めて人に騎乗された緊張の一瞬です。騎乗者は馬の様子を確認しながら、徐々に頭を上げようとしています。馬はミスバンダムの06(牡・父サニングデール)。(105日)

ランジングについて(宮崎)

まだ、日中は30℃前後の暑い日が続いていますが、さすがに朝夕は涼しく過ごし易くなってきたようです。馬たちも南国・宮崎の環境に慣れ、入厩したときよりも一回り成長し、ブレーキングを開始できる体格になってきました。宮崎では、7月に入厩した9頭(牡5・牝4)を第1群として920日から騎乗馴致を開始しました。

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騎乗馴致を開始する前のプレ馴致として引き運動を行っています。すでにコンサイナーがセリ馴致として教えているのですが、人との約束事を再確認し、また、群れで行動することで集団調教にも慣らしていきます。(917日)

まず、初日にはラウンドペン内で、馬を引いて壁際を歩くことに慣らすことから開始し、壁に沿って落ち着いてランジングでの速歩ができることまで要求します。

教えるにあたって、人が馬に与える「人から離れなさい・前に進みなさい」という人のプレッシャー(馬を推進するための声や鞭などを含むアクション)とラウンドペンの壁が馬に加える「これ以上、外には行けない」という壁のプレッシャーを上手にコントロールしながらラウンドペンの壁際を走ることを馬に教えます。人が馬に与えるプレッシャーが強ければ馬は慌てて走るために後肢で前肢を踏みかけたり、壁にぶつかったりすることに、弱ければ馬が内側に入ってくるということになります。馬は人の与えるプレッシャーに対して敏感に反応します。例えば、人が(ペン内で動いている)馬の真横に対面して、側面よりもお尻方向にずれれば、それだけで馬を前方に推進し、逆に人が馬の頭方向にずれると減速しようとします。したがって、そのようなプレッシャーと声のコマンドwalk, trot, standや、常歩!速歩!とまーれなどの号令)を同時に使用しながら、馬が上手にできたら、プレッシャーを解除し馬をほめることで理解させ、馬自ら前に進んで壁沿いを走ることを教えていきます。よくパブロフの犬に例えるのですが、人のアクションを伴った強いプレッシャーと同時に声のコマンドを使用することで、やがては音声の指示に置き換えて馬を動かすことができるようにするということです。この際、一度にたくさんのことを教えようとして馬の頭の中をコンフューズ(混乱)させないよう、シンプルに教えていくことが重要だと考えています。

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Day1、馬は初めての経験なのでどのように回っていいのか解らず、壁沿いを走らずに壁からのプレッシャー(矢印)を感じ、内に入ってこようとしています。馬はミスバンダムの06(父・サニングデール)(920日)

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Day1、御者が馬に対して近づき、さらに補助者が必要に応じて後方から推進を与えることで、馬を壁に沿って走らすことが可能となります。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)(920日)

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Day3、ローラー(腹帯)を初めて装着したときの反応です。背を丸めながら跳ねて内に入ろうとする馬に対して、御者は馬に近づくことで外に行くようにプレッシャーを与え、同時に補助者が馬を前方に推進することで壁に沿って走らせます。馬はやがてローラーを受け入れ、落ち着きます。馬はアトラスマーカーの06(牝・父ティンバーカントリー)(922日)

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Day4、ローラーを装着して2日目です。吉本場長の見守る中、本日は頭頚の位置を安定させるためにサイドレーンを装着しました。馬はラブイズトゥルーの06(牡・父スペシャルウィーク)。(923日)

小倉競馬場で「宮崎競馬100年記念」(宮崎)

728日(土)は小倉競馬場「宮崎デー」として、宮崎にちなんだ特別レースが3レース行われました。残念ながら東国原知事は多忙のため来場できなかったのですが、当日は宮崎物産展をはじめ、「宮崎-小倉競馬観戦日帰りツアー」などのイベントが実施され、競馬場は大いに盛り上がりました。メインレースの「宮崎競馬100年記念」は武豊騎手騎乗の1番人気サンライズレクサス(4歳・牡・父フォーティナイナー)【馬主:松岡隆雄氏,生産牧場:()笠松牧場,石坂正厩舎】が見事に勝利しました。

ちなみに、同レースには〔抽〕グランドサファイヤ(日高育成牧場で育成)も出走していましたが、残念ながら14着でした。懐かしい〔抽〕の記号がつく馬もほとんどいなくなりましたが、まだ現役で3頭頑張っているようです(そのうち1頭は宮崎育成牧場で育成したアマノブレイブリー)。

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宮崎競馬100年記念の勝利馬サンライズレクサスの関係者(728日)

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競馬場での宮崎物産展の様子(早い時間帯の撮影のためお客さんは写っていませんが、午後はスタンドでビール片手に宮崎地鶏を食べながら競馬観戦をされている姿が多く見られました)(728日)

このレースは宮崎競馬場(現在の宮崎育成牧場)で明治40(1907)1116日に競馬が初めて開催されてからちょうど100年を記念して施行されました。宮崎競馬場では、日本競馬会および国営競馬時代を経て、昭和21年から昭和38年まで宮崎県および宮崎市に施設が貸与され、地方競馬が施行されていました。一方、競走馬の育成業務は昭和31年から開始されましたが、平成3年の競馬法改正までは「宮崎競馬場」という名称でよばれていました。現在、「宮崎育成牧場」ではJRA育成馬の育成研究を主な業務としていますが、所有する調教用1600mおよび500m走路を民間育成業者に対しても開放しています。また、乗馬教室やポニー馬車試乗会なども定期的に実施し、「馬のいる公園」として多くの市民に親しまれています。

「宮崎デー」の翌週、84日(土)2回小倉7日目第4レース 新馬戦(1000mダート)でアキノジャブ(馬主:穐吉正孝氏,生産牧場:伊藤牧場/青森,藤岡健一厩舎)が勝利をあげました。日高育成牧場の育成馬は既に2頭(エイシンパンサーおよびユウアールシー)早々と勝ち上がっていたのですが、宮崎育成牧場 (Big Dream Stables)育成馬の2歳新馬戦初勝利ということでわれわれの喜びもひとしおです。

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育成牧場時代のアキノジャブ(牝・父ジェイドロバリー・母ハッピードリーマー)

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勝利後、検体採取所前で撮影。よく頑張りました^^(84日)。

青森から育成馬4頭到着(宮崎)

72日の八戸市場(青森)でJRAが購買した4頭(牡2、牝2)は、翌3日の朝8時に八戸を出発し、約28時間かけて4日の昼12時頃に宮崎に到着しました。道中は梅雨前線の中を下ってきたため、日中の気温が涼しい中をスムーズな輸送ができたのでほっと一安心です。到着後は、いったん馬房の中でリラックスした後、それぞれ牡2頭、牝2頭のグループで約2時間放牧を行いました。

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期待の若駒たちが到着しました。馬運車から降ろしているのはオークアリダーの06(牝・父キンググローリアス)。(74日)

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到着後、始めての放牧です。輸送の疲れもなく、元気一杯です。先頭がアトラスマーカーの06(牝・父ティンバーカントリー)、後ろがオークアリダーの06(牝・父キンググローリアス)(74日)。

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翌日には早くもリラックスしておいしそうに草を食べています。向かって右がミスバンダムの06(牡・父サニングデール)、左の四白がモーリフェアリーの06(牡・父プリサイスエンド)(75日)

5日には、騎乗馴致開始前に馬の肢元の状態を確認する意味で、四肢のX線検査および屈腱のエコー検査なども実施しました。血液検査やおしっこの検査も行います。新しい環境で、初めて見る人や馬に囲まれて、馬たちは幾分緊張していたようですが、決して痛いことや怖いことをするわけではないことは理解してくれたと思うので、このような検査にもすぐに慣れてくれるはずです。また、我々も事前に馬の状態を確認することで、馴致開始時期の決定等、今後の調教方針を決めていく上で参考になります。

放牧地にも慣れた入きゅう3日後から夜間放牧を開始しました。最近は雨も多く、馬にとって決して快適な環境とはいえませんが、9月の騎乗馴致開始前まで夜間放牧を継続し、馬体の成長を待ちたいと思います。

さて、6月から新馬戦も始まり、宮崎育成牧場「Big Dream Stables」を巣立った馬たちも続々と競馬場でデビューしています。新馬戦は出走馬のレベルも高く、勝ち上がるのには苦戦していますが、なんとか頑張ってほしいものです。

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まだ、新しい環境に慣れていないこの馬(アトラスマーカーの06)は馬体を洗うことにも体を硬くして緊張しているようです。(74日)

千葉サラブレッドセール(宮崎)

ブリーズアップセールが終わり、ほっと一息といきたいところですが、まだまだ、終わっていません。馬体の成長を待ちながらブリーズアップセール上場を見合わせた馬たちや、ブリーズアップセールで思いどおりの走りができずに残念ながら未売却となった馬たちは、514日に船橋競馬場で開催される「千葉サラブレッドセール」および2122日に日高育成牧場で開催される「ひだかトレーニングセール」にむけて、それぞれ競馬学校および日高育成牧場において調整中です。

525日に競馬学校に移動した馬たちは、ハローヘレンの05(牡・父ヘクタープロテクター)、ヒカルパロサントの05(牡・父マイネルラヴ)、レガシークラウドの05(牡・父スクワートルスクワート)、クールドフランスの05(牝・父コマンダーインチーフ)、サクラパールの05(牝・スペシャルウィーク)、ダンスパーティーの05(牝・父コロナドズクエスト)の6頭です。ここでの馬たちは宮崎育成牧場からの出張職員で担当し、彼らが競走馬としてターフにデビューすることができるように、できる限りのことを行ってあげたいと思っています。

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ブリーズアップセールを欠場したクールドフランスの05(牝・父コマンダーインチーフ)ですが、無理せず調教を行ってきたため馬体も充実してきました(55日)。

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400m馬場での準備運動。奥(向かって左)がレガシークラウドの05(牡・父スクワートルスクワート)、手前(向かって右)はハローヘレンの05(牡・父ヘクタープロテクター)(55日)

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1400m走路でのキャンター調教。先頭はダンスパーティーの05(牝・父コロナドズクエスト)、2番目はサクラパールの05(牝・父スペシャルウィーク)(55日)。

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夕方のピッキング。左はハローヘレンの05、右はヒカルパロサントの05(父マイネルラヴ)

ピッキング(宮崎)

セール前に宮崎からお届けするブログは今回が最終便となりますので、まずは育成馬展示会のお知らせからです。宮崎育成牧場で育成した24頭の展示会が326日(13時~)に行われます。展示会では全馬の比較展示および約15頭の騎乗供覧を実施予定です。多くの皆様のご来場をお待ちしております。

ブリーズアップセールに向けて馬たちも仕上げの段階になりました。現在、週2回スピード調教(ゆっくりしたキャンターを500m馬場で5F実施後、1600馬場で5Fのキャンターを2本)として、1本目をF18程度のステディキャンター、2本目は最後3FF16秒程度の速度で走行するトレニーングを行っています。体の成長を待っている数頭の馬を除いて、概ね順調に調教を実施できているのですが、中には速いスピードでの調教を開始すると、飼葉食いが落ちてくる馬もでてきています。そのような馬に対しては、1回に与える飼葉の量を少なくして回数を増やしたり、嗜好性のよさそうなものを選んで与えたり、場合によっては胃潰瘍の薬をあげたりするのですが、食べたくない馬を食べさせるのは本当に大変なことです。

しかし、そんな馬たちが疲れたときに、一番食べたくなるのは「青草」のようです。私たちはスピード調教実施後に放牧地で下馬して、青草を短時間食べさせる「ピッキング」を行っています。これはヨーロッパの厩舎で、調教後や夕方などにピッキングを行っているのを真似ているのですが、草食動物である馬にとって精神面を健康に保つ上でいいことだと思っています。

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ピッキング風景です。写真左からオロールの05(♂・父アラムシャー)、ギザニアの05(♂・父ワイルドラッシュ)、サンドコロネットの05(♂・父アドマイヤコジーン)(314日)

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外(向かって左)トップライナーの05(♂・父イシノサンデー)、内はユーワソフィアの05(♂・父キャプテンスティーヴ)(31日)

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レディーフェアリーの05(♂・父アグネスタキオン)(38日)

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外(向かって左)はヒカルパロサントの05(♂・父マイネルラヴ)、内はアトラスマーカーの05(♂・父ステイゴールド)(318日)

「宮崎らしさ」(宮崎)

「天の声」の前知事が逮捕後、「そのまんま東」氏が知事に当選したり、はたまた、「鳥インフルエンザ」が流行したりと話題に事欠かない「宮崎」ですが、21日にプロ野球4球団がいっせいにキャンプインしました。宮崎は同じ南九州の中でも太平洋に面していることから、冬に晴れの日が多く気候が温暖であることが特徴で、キャンプ地が集中するのも理解できる気がします。一方、競走馬の世界に目を向けると、アメリカでは冬季に暖かいフロリダやカルフォルニア、ヨーロッパではドバイやイタリアに管理馬を移動して調教を実施する調教師もいます。人も馬も体を動かすという面からは暖かい地に利があるといえるかもしれません。

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宮崎育成牧場場内にはワシントニアパームが多く、南国情緒を醸し出しています。クーリングダウンを行っている様子です。(29日)

従来、北海道は降雪や馬場の凍結などもあり、冬季には調教が十分出来ないというのが定説でした。しかし、近年、屋内坂路をはじめとした施設の充実にともなって、北海道でも冬季にスピード調教を行えるようになり、また、ライトコントロール法を応用して育成馬の性ホルモン分泌開始も早めることができるなど、暖地となんら遜色のない調教を進めることが可能となってきました。そのようなうわさを聞くと、周りに牧場や育成施設などがなく、当場以外の馬を見る機会の少ない我々は、不安やあせりを感じていないわけではありません。しかし、人の気持ちが揺らいで、馬にとって良いことは何もありません。我々は先人から引き継いだ「宮崎らしさ」を失わないよう、やるべきことに自信を持って調教を進めていこうと考えています。

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1F20秒平均のスピードで4Fを走れるようになってきました。先頭はコネクションロッドの05(牝・父ブライアンズタイム)

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34頭で単位を区切って縦列調教を行っています。先頭はハッピードリーマーの05(牝・父ジェイドロバリー)(24日)

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併走での調教。内(向かって左)はアポロバラードの05(牝・父シンボリクリスエス)、外はウインクアットデエンジャーの05(牝・父ボストンハーバー)。(28日)

若馬の体力測定(エクイパイロット)(宮崎)

まず、反省した話から・・・。先日、馬をウォーキングマシンに入れて運動させていたところ、蹄鉄がずれて釘を踏ませてしまいました。これは、我々が目を離していた間の出来事で、釘の刺さった痛みのため、馬が必死でマシンが動かないように踏ん張って止めている姿を目にしたときには、馬に対して申し訳なく、そして自分が情けなくなりました。これは、決してウォーキングマシンが悪いのではなく、マシンに入れる前の馬体チェックや途中の監視を怠った私の気の緩みにあります。あらためて、「馬を見る」という基本を忘れないようにしたいと考えています。

さて、若馬たちは元気いっぱい、毎日トレーニングに励んでいます。牡・牝ともにキャンターは平均F2220秒程度のペースで5F1000m)を走れるようになってきました。現在は概ねF20秒程度で安定して走れることを目標にしています。1_7

1600m馬場での縦列調教。先頭はギザニアの05(牡・父ワイルドラッシュ)。(113日)

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500m馬場での併走調教。外(向かって左)ヒースネックレスの05(牝・父コロナドズクエスト)、内はラヴォイラの05(牝・父アラムシャー)。(117日)

125日に、GPSシステムを利用して走行速度と心拍数を測定する機器「エクイパイロット」を馬体に装着して全馬の体力測定を実施しました。このデータはリアルタイムでは見ることができないのですが、現在負荷をかけているスピードおよびインターバル回数で、どの程度心拍数が上昇しているのか、あるいは調教後に上昇した心拍数が落ち着くまでの時間(息の入り)などを、個々に検査を行い、全体としての調教進度も評価しています。前回は12月中旬に測定したのですが、今後、2月および3月にも測定する予定です。我々の調教は、余裕残しの調教なので、心拍数のデータから馬の潜在能力を推し量ることはできませんが、調教負荷の判定という意味では、蓄積していく価値のあるデータと考えています。3_3

鞍の後ろにGPS、鞍下の番号ゼッケンの裏に心拍数を測定するための電極がついています。馬はハッピードリーマーの05(牝・父ジェイドロバリー)。(125日)

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今回の測定では500m馬場でキャンターを1000m実施後、1600m馬場で1000mのキャンターをインターバルトレーニングとして1本目(F2220平均)は縦列、2本目(F20平均)は併走で2本実施しました。内 (向かって左)レディフェアリーの05(牡・父アグネスタキオン)、外はギザニアの05(牡・父ワイルドラッシュ)。(125日)

COLTISH?(宮崎)

年が明けて、若馬たちも2歳になりました。今はちょうど人間の「中学生」くらいに相当するのかなと考えています。そういえば最近、特に牡馬(COLT)は、顎が張ってきて男らしい顔つきになり、しぐさや態度も入厩した当時と比べて随分偉そうに振舞うようになってきました。中には、運動中に後肢のみで立ち上って群れでの優位性を誇示しようとするなど、行き過ぎた行動をとる馬も出てきます。これらは「第二次性徴期」に伴う馬の「反抗期」みたいなものなので、人間が馬に対して「マナー」を理解させる必要があります。一方、調教においては、体力がついたのか、徐々に力強く走るようになってきています。うれしいことですが、喜んでばかりもいられません。まだ、発育途中の完成していない身体であることを考慮すると、馬が走りたいスピードで走らせるのではなく、騎乗者が馬のスピードや姿勢をコントロールすることが重要となります。つまり、今の時期には速く走ることよりも、力をためて走ることのほうが必要だと思います。また、速く走ることを要求し過ぎることによるオーバーワークは、運動器疾患を引き起こすのみでなく、メンタル面での「反抗期」にもつながるので、馬の走り方を見ながら徐々に調教の量を増やしていくつもりです。

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牡馬の調教です。この日はキャンターを2本実施し、1本目は34頭単位で一列の隊列を組んで5Fを平均23秒程度で走行しました。先頭はサンドコロネットの05(牡・父アドマイヤコジーン)(18日)。

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2本目は、併走で5Fを平均20秒程度で走行するキャンター調教を実施しました。手前(向かって左側)はユーワソフィアの05(牡・父キャプテンステーヴ)、外はトップライナーの05(牡・父イシノサンデー)(18日)。

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調教終了後、1600m馬場内でクーリングダウンを行っている牡馬たちです(18日)。

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11月末に飛節OCD摘出手術を実施した2頭馬場入りを開始しました。手前(向かって左側)はケイウンクィーンの05(牡・父タヤスツヨシ)、外はダイモンジの05(牝・父キャプテンスティーヴ)(18日)。

南国の特権(宮崎)

冬の北海道になくて宮崎にあるもの・・・それは青草です。宮崎育成牧場では秋から冬にかけて放牧地にイタリアンライグラスの種をまくことで、エバーグリーンの放牧地を保っています。草食動物である馬の生理面を健康に保つためには、草を食べることは重要です。そのため、我々は調教後に短時間、草のある放牧地に馬を放しています。もちろん、放牧地で走れば怪我をするという心配もあるのですが、それ以上に草を食べさせることで馬をナチュラルな状態に保ちたいと考えています。まだまだ、育ち盛りの若い子たちなので「よく食べ、よく遊び」ながら、精神的・肉体的に健やかに成長してくれればと期待しています。

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手前はサチノヒロインの05(牝・父スペシャルウィーク)。(1215日)

12月末現在、牡は500馬場で準備運動(キャンター1000m)後に1600馬場で1100mのキャンターを2本(合計3200m:2本目F22秒程度平均)行うインターバル調教を週2回行っています。また、牝は精神的にリラックスして走れることを目標に併走調教で1500mのキャンターを1本(合計2500m:F26-25秒程度平均)実施しています

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1600馬場での併走調教です(1217日)。手前(向かって右側)はユーワソフィアの05(牡・父キャプテンスティーヴ)、外はベルキスの05(牡・父マーベラスサンデー)。

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これも、1600馬場での併走調教です(1223日)。手前(向かって左側)がラヴォイラの05(牝・父アラムシャー)、外はサチノヒロインの05(牝・父スペシャルウィーク)。

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Merry Christmas A Happy New Year!   午前中は育成馬に騎乗する職員も、午後からはサンタさんに変身して来場者に対するファンサービスを実施しました。馬もトナカイに変装したようです!?1224日)

ゲート馴致(宮崎)

12月になり、全馬同じ内容(キャンター1000m+1200m:ハロン25秒平均のペースで走行)で調教を行うことができるようになりました。まだ、物見をしたり、手前を変えるのが下手だったりするのですが、少しずつ速く走れるようにしたいと思っています。

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はじめて1群と2群が合流し、500m馬場での調教を実施している様子です(12月1日)

さて、この時期に、ひとつの課題を若馬たちに与えています。それはゲートの馴致です。宮崎育成牧場では、馴致時にドライビングで通過することから開始し、騎乗開始後も毎日通過して帰厩することを繰り返すことでゲートに慣らしていきます。徐々に広いところから狭いところを通過することに慣らし、競馬と同じように扉を閉めてゲート内で駐立、パーンと音をたてて扉を開き、常歩で発進するところまで教えています。一旦そこまで教えた馬は、その後常歩で通過することを毎日行います。実際の発馬練習は、来年春のトレセン入厩後に厩舎で行うことになるのですが、そのときに迷惑をかけないようにしっかりしつけをしておきたいと思っています。

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向かって左の43は幅の広い練習用ゲートです。競馬と同じ幅のゲート(21を通過できるようになった時点でゲート練習を開始します。Gate2

前扉を閉めた状態で馬をゲート内に入れます。馬はスイートマーサの05(牝・父キャプテンスティーヴ)(121日)

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後扉を閉めている様子です。駐立を確認した後、前扉を開けます。

集団での調教(宮崎)

競走馬にとって真直ぐ走ることは非常に重要です。我々は、初期の若馬に対して真直ぐ走ることを自然に教えるために、誘導馬(乗馬)を先頭に一列の隊列を組み、前の馬の後ろを遅れないようについていく縦列での調教を行っています。このような集団での調教は、馬が群れで行動することを好む性質を応用したものです。また、隊列の中で、騎乗者が正しいバランスを保ちながら、馬を「前に出す」「まっすぐ走らせる」および「落ち着いて走らせる」ことを考えながら騎乗することで、馬が正しいハミ受けを覚えると同時に、走るために必要な筋肉が良好に発育します。そうして、縦列の調教を続けていると、やがて馬に力がついてきて、走りたい気持ちがどんどん強くなってきます。中には前の馬を追い抜きたがる馬もいますが、騎乗者が馬の前進気勢をコントロールし、馬の後ろで我慢することを教えなければなりません。この積み重ねが、競馬において馬群の中で折り合いをつけるための基礎教育となっていくのです。

さて、騎乗馴致を開始して2ヶ月が経過しようとしています。1124日現在、第1群は500m馬場で1000m1600m馬場で1000mのキャンターを行っています (合計2000)。一方、第2群は500m馬場で連続した1500mのゆっくりしたキャンターを行った後 (合計1500m)、速歩で1600馬場に慣らしています。11月末には1群・2群合流して同じ調教内容になっていく予定です。

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誘導馬を先頭に一列での調教を行っています(第2群・1113日)。

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1600m馬場でのゆっくりしたキャンターを行っています。騎乗者は馬の背中の動きを邪魔しないように気遣いながらバランスよく騎乗しています(アトラスマーカーの05・牡・父ステイゴールド:1113日)。

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調教後の常歩も集団で行います。馬がリラックスしているので、歩幅も自然に大きくなります。

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調教後に必ずゲートを通過して帰きゅうします(先頭はレディフェアリーの05・牡・父アグネスタキオン:1113日)。

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【番外編】1116日、ニホンザルがきゅう舎に遊びに来ました。騎乗(モンキー乗り)を依頼しましたが、塀を乗り越えて街へ消えていきました。

韓国から研修生が来ています(宮崎)

プサン(釜山)競馬場所属の調教厩務員2名が、宮崎育成牧場で研修を開始しました。期間は10月から来年の3月までおよそ6ヶ月間の予定です。韓国のサラブレッド競馬はソウルとプサンの2ヶ所で行われています。その中でもプサン競馬場は20059月に開場したばかりの新しい競馬場で、これからの発展が大いに期待されています。そんな中、彼らもやる気満々でブレーキングをはじめとした実践研修に取り組んでいます。我々も、いい意味での刺激として受けとめ、育成に対するさらなる意識向上をはかっていきたいと考えています。

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研修生の李知勲さんとオロールの05(牡・父アラムシャー)。

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研修生の孫丙直さんとガラダンサントの05(牡・父アラムシャー)

さて、第111頭(牡6・牝5)112日から1600m馬場でキャンター調教を開始しました。現在は、500m馬場で3周キャンター実施後、1600m馬場で約34ハロン(1ハロン200)程度の距離をゆっくりしたスピードで、隊列を組んで前後左右の馬に慣らしながら、基礎体力および走行フォーム養成に主眼をおいています。なお、9月に入厩したサマーセール購買馬13頭(牡6・牝7)も順調にブレーキングが進んでおり、117日から500馬場での速歩調教を開始しました。

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1600m馬場での初めての速歩です(1028日)。

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馬場から出る前に整列している牡馬6頭です(写真右は誘導馬)。

順調に騎乗馴致が進んでいます(宮崎)

私たちは、鞍つけ馴致が終了した馬たちに対して、次のステップとしてドライビング※1を実施します。このロングレーン※2によるドライビングの重要なポイントは、御者が後方から前進気勢※3を与えて馬を動かすという点です。つまり、騎乗者の体重負荷がない状態であたかも手綱のようにロングレーンで馬の口(ハミ)から直接コンタクトをとり、馬の進行すべき方向に誘導したり、スピードを制御したりするのです。すなわち、実際に騎乗した場合、騎乗者は馬の頭よりも後方に位置する鞍に座って指示を送るわけですから、騎乗する前に馬を後ろから動かすことに慣らしておこうという考えなのです。ドライビングが十分出来るようになった後、馬房の中で騎乗する動作や体重をかけることに慣らし、徐々に人が騎乗できるように教えていきます。

ブレーキングを開始して20日目の1019日、第111頭は牡牝ごとに集合して1500mのトラックで誘導馬を先頭に速歩を行いました。また、第213頭(牡6、牝7)の騎乗馴致も1018日から開始しました。

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この馬はリラックスしており、杉林の中をドライビングで意欲的に歩いています。馬はレディフェアリーの05(牡・父アグネスタキオン)。2pen

500mのトラックに出る前に数頭単位でラウンドペンに集合し、前後に馬がいることに慣らします。

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誘導馬(乗馬)を先頭に500mトラックで速歩を行っている牝馬たちです。初日ですが馬も落ち着いており一安心です。

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調教後、ゲートの周りを回りながら慣らしています。また、騎乗者のコメントを確認し、馬の状態をチェックします。

ドライビング※1:育成馬日誌(1024日日高育成牧場)参照

ロングレーン※2:騎乗せずに2本の調馬索を用いて行う調教方法

前進気勢※3:馬術用語で馬が自ら前進しようとする気持ちのこと。

鞍つけ馴致(宮崎)

人が馬に乗るためには、鞍を馬の背中に乗せるのみならず、腹帯(はらおび)を締めて馬の背中にしっかりと固定する必要があります。しかし、この帯を締める操作は、慣れない馬たちにとって最初は息が苦しいので、本来好きではありません。したがって、私たちはブレーキング開始前に、馬房の中でストラップ※1と呼ばれる革の帯で馬の胸部を圧迫する動作に慣らしておきます。この準備によってほとんどの馬が何事もなくローラー※2(腹帯)を受け入れるのですが、中には、実際に広い場所でローラーを装着すると、胸部の圧迫が苦しくてまるでロデオのように暴れる馬もいます。しかし、一時的にこのような反応をした馬もランジングを続けるうちに、やがて落ち着いてきます。さらに、ランジング終了後も馬房の中でしばらく装着したままにすることで、よりローラーを理解し受け入れることが可能となります。そして、翌日からは素直にローラーを装着することができるようになり、その結果、鞍つけ(装鞍)が容易にできるというわけです。ちなみに、第111頭の馬たちは馴致を開始して3日目、923日に無事この過程を終了しました。1souchaku

はじめてのローラー装着です。このように馬を停止させた状態で行います。馬はトップライナーの05(牡・父イシノサンデー)。

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ローラーの圧迫を感じたときの反応です。まるで、カプリオール※3のように空中にジャンプしています。しかし、のんきに見ているわけにはいきません。反応を観察しながら(馬が内側に向かってきた場合、人が危険)、写真のように御者と助手は音声や鞭を使用して馬に強く前進を促す場合もあります。そして、人の指示に従ってリズムよくランジングができるまで待ちます。3babou

ラウンドペンでのローラー装着後は、このように馬房内で装着したまましばらく慣らしますが、この馬はすっかりリラックスしています。馬はハッピードリーマーの05(牝・父ジェイドロバリー)。4jyunti9

馴致開始9日目。装鞍し、ダブルレーン(2本の調馬索)を使用してのランジングを行っています。馬はギザニアの05(牡・父ワイルドラッシュ)。

ストラップ※1JRA育成馬日誌10/10参照

ローラー※2:装鞍の前に帯を締めた状態に慣らすためのベルト状の馬装具

カプリオール※3:平らな場所で馬を空中にジャンプさせる高等馬術

台風一過

 7月に入厩した馬たちのブレーキングを9月17日から行う予定でしたが、台風13号の上陸が予想されたため、開始が延期となってしまいました。お天道様には逆らえませんので、こればかりは仕方ないといったところでしょうか。幸いにして宮崎市には台風の被害はほとんどありませんでした。気持ちを切り替え、あせらず仕切り直しをしたいところです。 Miya1_16

台風対策として、ラウンドペン※1が強風で飛ばないように内側のベニヤ板をはずし、ロープでしっかり固定します。

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台風の翌日に、再びベニヤ板を針金で固定しました。もう、台風は来ませんように…。

 さて、予定より遅れましたが、21日から11頭(牡6頭、牝5頭)のブレーキングを開始しました。初日はラウンドペン※1でランジング(lungeing)※2を行いますが、馬にとっては生まれてはじめての体験で、何をしたらいいのかとまどうのが普通です。したがって、馬に対して明確な指示をあたえ、人が馬をしっかりとリードしてあげなければいけません。もちろん、人の要求を理解したときには、大げさに馬をほめてあげて緊張を解いてあげることが重要です。なお、人の勝手な判断で、多くのことを一度に教えようとすると、馬は理解できず頭が混乱してしまい悪い癖を覚えてしまうことがあるので注意が必要です。馬には、人間と同じように理解の早い子もいれば、物覚えの悪い子もいます。したがって、ブレーキングの過程をすすめていく際には、決して急がず、ひとつずつ確実に馴致のステップを積み重ねていくことが重要となります。また、ブレーキングの初期は、馬の個性が現れやすい時期なので、よく馬の反応を観察し、その馬にあわせた教育を行っていかなければなりません。

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ラウンドペンで騎乗馴致を行っている様子です。

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二人一組で馴致を行います。馬はレディフェアリーの05(父アグネスタキオン)

ラウンドペン※1:ブレーキングのときに使用する直径12~15m程度の円形馬場のこと。金属製ラウンドペンの壁にベニヤ板を貼ることで外部と遮断し、馬が人に集中して騎乗馴致を行うことが可能となる。

ランジング(lungeing)※2:ランジングとは調馬索(ちょうばさく)と呼ばれるロープを用いて、馬をラウンドペン内で一定のリズムで人の周りを回すことです。

ブレーキングシーズン到来

7月に入きゅうした育成馬(千葉、八戸での購買馬)たちは、夜間放牧をしている間にすくすくと成長します。この時期、体重は1ヶ月に10kgから15kg程度増えます。私たちは半月に一度体重を測定し、個体ごとにグラフを作成して視覚的な要素も取り入れて成長の度合いを評価しています。もちろん、それぞれ血統も違えば、早生まれ・遅生まれもありますので、馬にあった成長をすることが重要だと考えています。なかなか大きくならない馬もいれば、順調に成長する馬、春になってぐんと伸びる馬等、さまざまです。

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青森産馬トップライナーの05(父イシノサンデー)です。
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騎乗馴致前にトリミングし、男前になりました!?

一般的な傾向として、北海道に比べて宮崎は冬の気候が温暖で青草が豊富なので、冬から春に大きく成長するのが特色です。したがって、宮崎育成牧場は、JRA購買馬の中でも比較的小さな馬の成長を促すのに適しているともいえます。7月のセレクトセール、セレクションセールでの購買馬6頭は、購買後に日高育成牧場に一時的に入きゅう、2ヶ月程度の昼夜放牧の後、今月宮崎に入きゅうしました。このように夏を涼しい北国で過ごし、冬に温暖な地区(宮崎など)に移動して馬を仕上げることを一般に「二元育成」と呼んでいます。宮崎の気候の利点を生かし心身ともに健康な馬を育成したいと考えています。

さて、7月に入きゅうした馬たちは、まだまだ小さな子供なのですが、そろそろ彼らの人生の中で一つの試練を与えなければなりません。その試練とは、「騎乗馴致(ブレーキング)」です。今まで人を乗せたことがない馬に、鞍やハミなど様々な制御道具をとりつけ、人が騎乗して馬を自由自在に動かすことが出来るように教育する初期課程(過程?)のことをこのように呼んでいます。英語ではブレーキング(BREAKING)といいますが、一馬力の馬にブレーキ(BRAKE)を取り付けて制御するのではなく、馬たちの「野生」をブレーク(BREAK)し、人との新しい関係を築くことが重要なのです。現在、ブレーキングに備えて引き馬やタオルパッテイングなどを実施しています。

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このように集団で引き馬の練習を行います。
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ヒラヒラしたもので体に触ることに慣らすタオルパッティングです。

育成馬の入きゅう

今回より「JRA育成馬日誌(宮崎)」をお届けします。
JRAが千葉サラブレッドセールで購入した1頭と、八戸市場で購入した5頭の1歳馬たちが7月6日に入きゅうしました。青森から宮崎までは約31時間の長時間輸送なので、輸送による体力の消耗や怪我など心配しましたが、無事到着し一安心です。

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青森から馬運車が無事到着し一安心
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馬運車から降ろす様子

翌日から、♂3頭、♀3頭の2グループに分け、放牧による管理を開始しました。最初の数日間は昼間放牧を行うことで環境に慣らし、その後夜間放牧へ移行します。宮崎における夜間放牧のメリットは、なんといっても暑くないということです。宮崎育成牧場では、夜間放牧を馬の運動量を増やす目的で実施しているのではありませんし、また、馬を疲れさせて取り扱いをおとなしくしようとも考えていません。あくまでも、青草を食べさせ馬の生理状態を自然に帰すことが夜間放牧の目的であると考えています。そして、秋の騎乗馴致開始までに十分な肉体の成長を待つことが重要だと考えています。

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夜間放牧を開始しました
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入きゅう1週間後に削蹄を行いました

一方、最初の放牧は、知らない馬同士での組み合わせで、しかも始めての場所ということで事故が起こりやすい瞬間といえます。我々はリスクを軽減するために少頭数での放牧を行っていますが、事故の確率が0になることは決してありません。したがって、この時期に集団放牧が必要なのかという議論もありますが、早い時期に入きゅうした馬は馴致開始までに時間があることも実施している理由のひとつです。メリットとリスクを天秤にかけながら、健康な馬を育成するために馬を観察しながら集団放牧を実施することが重要です。しかし、近年では、コンサイナー(注1)の技術も向上しており、今後、入きゅう時期の遅い馬については、集団放牧を行わずに騎乗馴致(注2)を開始することもあるかもしれません。

(注1)コンサイナー:他の牧場から馬を預かり、セリに向けて専門的な教育を行う業者
(注2)騎乗馴致:人に乗られたことのない馬を人が乗れるように慣らすこと