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2022年2月 7日 (月)

動作解析のはじまりはウマ

 運動科学研究室の高橋です。


 現在ではヒトのスポーツ界で様々な動作解析技術がありますが、動物の動作解析の始まりがウマだったことは皆さんご存じでしょうか。


 1800年代後半に、高速疾走するウマの四肢が地面から離れる瞬間があるかないか、という議論がドイツを中心にヨーロッパであったと言われています。


 それに決着をつけたのがアメリカの写真家であったMuybridgeだと言われています。ギャロップで疾走するウマの連続写真を撮影して、四肢が地面から離れている瞬間と肢の着地順を客観的に証明したということです。ちなみに、この連続写真はアメリカで「世界を変えた100枚の写真」にも選ばれ、国際バイオメカニクス学会では2年おきに最も優秀な論文を選び、その著者に”Muybridge Awards” という賞を授与しています。


 ヒトの目の解像度はそこまで良くないので、速い動作の観察には測定機器が必要ということですね。そして、様々な測定機器と組み合わせて私たちはウマの動作の理解を深めています。写真は野外走行中にハイスピードカメラと筋電図を組み合わせた実験風景です。

Photo


 さて、野外での実験において最も気を使わなければいけないことの1つは天気です。晴れ間に雲がかかると、せっかく合わせたカメラの絞りが合わない、雨が降ると中止、などなど。写真の実験時には快晴に恵まれましたが、数日前から天気予報を逐一気にして、実験中も雨雲レーダーチェックが欠かせませんでした。Mugbridgeの頃よりは格段に映像を撮影しやすくはなったと思いますが、自然を相手にしなければいけない辺りの難しさは残っていますね。