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2022年9月

2022年9月14日 (水)

ローソニア感染症の研修(タイ王国)-観光編-

 微生物研究室の丹羽です。

 本年7月、ローソニア感染症の抗体検査法やその原因菌であるLawsonia intracellularis (LI)の培養法を習得するため、ローソニア感染症研究の第一人者であるタイ国立チュラロンコン大学のWattanaphansak博士の研究室に約3週間の技術研修を受けてまいりました。前回は研修先での暮らしについてお話をしましたが、今回は研修中に訪れることができた観光スポットについてご紹介したいと思います。


1. バンコク

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 タイ人の約90%は仏教徒であり、バンコクには三大寺院と呼ばれるワット(寺院)・プラケオ、ワット・ポー、ワット・アルン、新たに注目されているワット・パクナムなど数多くの寺院が存在しています。それぞれに異なった趣のある寺院でした(写真1)。また、バンコク市内にはチュラロンコン大学のメインキャンパスもあり、獣医学部もその中に位置しています。


2. アユタヤ

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 アユタヤは、14〜18世紀まで栄えたアユタヤ王朝の中心部であり、アユタヤ王朝時代の遺跡と象乗りが観光の目玉となっています。ビルマ軍との戦争ですべての仏像の頭部から上が切断されたワット・マハタートという遺跡内には菩提樹の根に覆われた仏頭はあり、とても神秘的な光景でした。


3. ナコンパトム

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 研修先となったナコンパトムは今でこそ自然豊かな小都市ですが、タイ国内で最も歴史のある街です。中心部には世界一高い仏塔であるプラ・パトム・チェディがあります。また、衝撃的かつ絶品のエビ(火山エビ)料理を提供する「グンオッププーカオファイ」というレストランが有名です。


4. ホアヒン(番外)

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 国土の全体が熱帯に属するタイにはコブラを始め数多くの毒蛇が生息し、人や家畜に大きな被害をもたらしています。それらの毒蛇の脅威から身を守るためにはヘビ毒に対する抗体が必要となりますが、抗体の作製には馬が用いられることがあります。タイではシリントーン王女が理事長となり、赤十字社が運営しているQueen Saovabha Memorial Instituteが馬を使用して抗体を作製しています。パタヤと並ぶ海辺の観光スポットであるホアヒンの近郊に位置し、ヘビ毒抗体産生用の馬が飼養されている牧場を見学することができました(写真4)。

 いかがだったでしょうか?


 最後に、研修先でのローソニア感染症に関する最新の研究手法や研究室のメンバーの心温かい気遣いに触れ、研修前は国名ぐらいしか知らなかったタイ王国が、もう一度必ず訪れてみたい国になったことをお伝えし、本研修に関するブログを終わりにしたいと思います。

2022年9月 1日 (木)

蚊と日本脳炎

分子生物研究室の辻村です。
皆さま今年の夏はいかがお過ごしでしたか?
キャンプなどアウトドアに出かけられた方も多かったことでしょう。


そんな野外での楽しいひと時を邪魔する厄介ものといえば蚊です。
刺されて痒かったり、腫れたりするのも困りものですが、一番の問題は蚊が吸血で様々な病原体を媒介することです。


日本国内に分布する代表的な蚊媒介性の病原体といえば日本脳炎ウイルス。
多くの生物がこのウイルスに感染しますが、脳炎を起こしやすいのは人と馬です。
かつては、人でも馬でも日本国内で年間に数百から数千件の日本脳炎の発生がありました。
それがワクチンの普及で減少が進み、現在ではヒトで年間10件程度の発生、馬では2003年を最後に発生の報告がありません。
ただし、日本脳炎ウイルスは依然として国内に分布していますので、ワクチンによる予防対策はこれからも重要です。


ところで、本稿を執筆しながら、ふと思いました。
『そういえば、しばらく蚊に刺された記憶がない』
ネットを調べてみますと、個人差があるものの、年齢を重ねるとともに、蚊に刺されてもあまり痒くなったり、腫れたりしなくなる傾向があるとのこと。
私の場合、本当に刺されていないのか、あるいは気がつかなくなったのか?
おそらく、後者の可能性が高そうです。

Photo

写真:日本脳炎(口唇の麻痺)