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2022年8月

2022年8月29日 (月)

ポーランドでの学会

こんにちは、イギリスに滞在している臨床医学研究室の田村です。

先日、ポーランドのクラクフで開催された学会に参加しました。
クラクフは歴史がある都市として有名であり、古都と表現される街並みが保存されています。
学会会場となったICE Krakow Congress Centreは、近代的な建物ですが、美しい街と城に調和していました。
この学会では、私が研究テーマとしている再生医療に関係する内容を幅広く取り扱っています。
人間の医療だけではなく、獣医療にも応用できるような報告が数多くありましたので、私も大変勉強になりました。

             

Polandgakkao

この大会場において、多くの有意義な報告がなされました。

競走馬の健康や福祉の向上を検討するにあたって、貴重な機会となりました。

2022年8月18日 (木)

馬の発汗による体温調節

運動科学研究室の胡田です。

本格的な夏が到来し、暑い日が続いていますね。
ということで、本日は夏における馬の体温調節機能についてのお話です。

体温調節に欠かせない機能として知られる発汗ですが、
暑いときに多量に汗をかく動物というのは意外に少なく、
人や馬くらいなのだそうです。

確かに犬や猫は暑くても肉球が少し汗ばむ程度ですね。

みなさんは競走馬や乗馬で、写真のような白く泡立った汗は
見たことありませんか?


Photo
白い汗の成分はラセリンと言って、石鹸などの界面活性剤に
似た成分が含まれています。

馬は被毛が多く、体についた水が広がりにくい性質を持っていますが、
このラセリンによって汗が泡立つことで、汗が体全体に広がりやすくなり、
熱を効率よく放出できるというメカニズムを備えています。

一方で、汗には水分だけでなく様々なミネラルも多く含まれるため、
汗をかいた後には適切な水分、電解質の補給を欠かさないように
気を付けることが大切です。

皆さんも水分や電解質不足には十分気をつけて夏をお過ごしください。

2022年8月14日 (日)

JRA ニューヨーク駐在員事務所

 微生物研究室の越智@ルイジアナです。今回は、私の同期であるニューヨーク駐在員事務所の櫻井さんと一緒に,ニューヨーク駐在員事務所の業務について書きたいと思います。

 JRAは,日本国内で競馬施行を行なっていますが,競馬の国際化の進展とともに海外競馬に参戦する人馬,あるいは海外から日本の国際競走に参加する人馬が増えています。そのため,JRAはアメリカ,オーストラリア,フランス、香港ならびにイギリスの5か国に事務所を構えています。ニューヨーク駐在員事務所は3名で、南北アメリカを担当しており、時には南米に出張にいくこともあります。

 大きく分けると駐在員事務所の主な仕事は3つあります。
1つ目は日本の国際競走への外国馬勧誘とワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)の騎手の勧誘です。秋のGⅠ競走(ジャパン・オータムインターナショナル)の4レース(ジャパンカップ、チャンピオンズカップ、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ)には各国で褒賞金対象レースが設定されており、その対象レースを優勝した馬が、日本に遠征し当該レースで成績に応じて本賞金とは別にボーナス賞金が出る仕組みがあります。褒賞金対象レース当日は現地の競馬場に赴いて、優勝した関係者に日本の競馬や褒賞金制度を説明し、関心を持ってもらえるように勧誘しています。また、夏場には騎手招待競走であるWASJがあり、その北米代表騎手を招聘・アテンドすることも大事な仕事のひとつです。

 2つ目は北米へ来る人馬のサポートです。ケンタッキーダービー、ブリーダーズカップ諸競走などに遠征してきた厩舎や騎手のサポート、海外馬券発売のための情報発信などを行います。遠征してきた人馬が目標としているレースに無事に出走できるように関係各所と細かな調整を進めます。また日本からの出張者や研修生などの現地でのサポートもしています。

 3つ目は、米州競馬関係者との関係構築と情報交換です。日本とは異なり、北米の競馬には様々な組織があり、州ごとにルールや仕組みも異なるので、州ごと、組織ごとに関係構築が必要になってきます。日本馬の遠征時などにお願い事をすることも多く、日頃から良好な関係を保つことが重要で、競馬場にいくだけではなく、各種会議、表彰式、チャリティイベント、シンポジウムなど様々なイベントにも参加しています。また在外公館や在ニューヨーク日系企業との継続した関係構築、情報交換も業務の一つです。

Photoエクリプス賞の受賞式(JRA ニューヨーク駐在員事務所提供)

Photo_2グローバルシンポジウムの会場(JRA ニューヨーク駐在員事務所提供)

 その他、海外競馬に関するSNSの発信(https://twitter.com/jra_worldracing)(外部サイト)などの海外競馬理解醸成のための仕事もあり、非常に多岐に渡る仕事をしています。
JRAは日本国内での仕事だけだと思われている方も多いと思いますが,このように世界各地で日本競馬を支えています。海外馬券発売、WASJの時や何気ないタイミングで、少しでもJRA海外駐在員事務所の存在を思い出してもらえたら嬉しいです。

2022年8月 2日 (火)

あれから1年

臨床医学研究室の太田です。

猛烈に暑い日が続いていますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

昨年の今頃は、TOKYO 2020オリンピック・パラリンピックが開催され、様々な種目で熱戦が繰り広げられていました。

大会期間中、馬術競技会場(世田谷区の馬事公苑)には、総研から総勢20名以上のスタッフが派遣され、競技運営のサポートをしていました。

具体的には、競技馬の診療・各種検査をはじめ、検疫・防疫対応、競技中の事故対応、空港から会場までの輸送の帯同など、普段の競馬開催業務で得たノウハウが役立ったのではないかと思います。

特に馬の暑熱対策に関しては、過去の総研でのデータが大いに活用され、海外のスタッフからも高い評価をいただきました。

 

Img_3820

さて、写真は最近の総研での一コマ。

注目していただきたいのは馬ではなく、スタッフのお揃いのユニフォームです。

実はこれ、TOKYO 2020大会のボランティアのユニフォームだったものです。

なかなか普段着として外では着れないので、1年経った今も、作業着として総研内では重宝されています。

2022年8月 1日 (月)

ローソニア感染症の研修(タイ王国)-生活編-

微生物研究室の丹羽です。
ローソニア感染症は、馬では増殖性腸症(EPE)と呼ばれ、発症した子馬は激しく痩せ細ってしまうため、生産地では大きな問題となっている病気です。ローソニア感染症は、豚の生産性を著しく悪化させる病気としてもよく知られています。
本年7月、ローソニア感染症の抗体検査法やその原因菌であるLawsonia intracellularis (LI)の培養法を習得するため、ローソニア感染症研究の第一人者であるタイ国立チュラロンコン大学のWattanaphansak博士の研究室に約3週間の技術研修を受けてまいりました(写真1)。研修は非常に充実したものとなりましたが、ブログということで今回は研修内容ではなく、日常生活についてご紹介したいと思います。

1写真1. Wattanaphansak先生(中央)、山口大学の清水先生(右隣)、筆者(左隣)およびラボのスタッフの皆さん


研修の舞台となったチュラロンコン大学大動物研修センターは、タイ国内では最も養豚業が盛んなナコンパトム県内に位置し、バンコク市内から西へ約80kmの距離にあります。自然豊かな環境に囲まれ、近隣には宿泊施設がないことから、研修中は大学職員寮の1室を借り生活しました(写真2)。

2写真2. 宿泊場所となった大学職員寮


この時期のタイは雨季にあたり、日中は晴れていても蒸し暑く、夕方頃になるとスコールと呼ばれる激しい雨が降り出します。寮は研修センターから歩いて5分程度の大学敷地内にあり、寮から研究室に行くまでの道のりや寮の自室内では日本では見ることのない様々な生物を見ることができました(写真3)。タイ料理は辛い食べ物が多く、現地の食堂もどこもキレイというわけではないことから、胃腸に不安のある私は胃腸薬と乾燥納豆は手放せませんでしたが、美味しい料理も数多くあり、楽しい思い出となりました(写真4)。

3写真3. 寮の周辺で出会った野生動物たち

4 写真4. 辛くも魅惑的な料理の数々


今回はタイでの生活をご紹介しましたが、また別の機会に研修で出会った様々な人々をご紹介できればと思っています。