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2023年9月

2023年9月28日 (木)

馬伝染性子宮炎の講習会

微生物研究室の木下です。

 日本軽種馬協会(公益社団法人)が主催する馬伝染性子宮炎 (CEM : Contagious Equine Metritis) に関する講習会が、根室振興局管内において2023年9月25日~26日に開催され、私は座学にて、CEMの概要についての講義を担当しました(写真1)。

1写真1. 座学風景

 届出伝染病に指定されているCEMは、ウマ科動物特有の性感染症で、交配や人工授精によって伝播する疾病です。牡馬は保菌するものの症状を出さず、牝馬にのみ子宮内膜炎や膣炎などの症状を引き起こし、不受胎の原因となる疾病のため、馬伝染性”子宮炎”という名前が付けられました。

 国内では2005年を最後に陽性症例は確認されていませんが、国外においてはヨーロッパを中心に2023年現在でも発生が報告されているため、国内への侵入と侵入初期における蔓延防止が重要となる疾病です。

 このCEM講習会は、CEMの国内侵入防止および蔓延防止を目的として、獣医師をはじめとし、全国各地の関係者にCEMに対する理解や正しい採材法(写真2&3)を伝えるために開催されています。

 本講習会を通じてCEMへの理解が深まり、国内における清浄性が今後も維持されることを望みます。

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写真2.牡の生殖器から細菌を含んでいる可能性のある垢を採材する方法の指導

3写真3. 同じく牝の生殖器から垢を採材する方法の指導








2023年9月11日 (月)

競走馬総合研究所(総研)にも秋が来た!

JRA総研の桑野です。

 今回は、総研で感じられる秋について溢れ話を少し。

 総研にはちょっとした雑木林、灌木そして藪がそこかしこにあります。夜になると薮からは虫の音が聞こえてきますが、その中に自生しているスズムシの美しい鈴の音が混じっております。残暑厳しい折、夕闇に響く鈴の音は少しですが暑さを和らげてくれます。

 それにしても、都会ではスズムシは売っているものと思われがちですが、沖縄を除く各都道府県ではそれなりに自生しているようです。温暖化の影響でしょう、昔はいなかった北海道ですら、移入された個体が自生しているそうです。ただ、全国的にだいぶ少なくなっているのは事実で、宮城県や群馬県では絶滅危惧種に指定されています(参考;日本のレッドデータ)。 

 さて晩夏になって、夏の間に繁茂した草木の刈り込みも始まりました(写真1)。普段は藪に隠れて姿を見せないスズムシも、刈り込み時には逃げ場を求めて這い出してくることも(写真2)。虫を見慣れない方が、室内に入り込んだオスをGと間違えて驚嘆する事件も発生! 音色の美しさと裏腹に真っ黒な姿で広い羽を持つオスはヤバいやつに見えるのも頷けます。

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    写真1. 下草の刈込み風景                    写真2. 落ち着かない様子のオス

 そんな総研ですが、馬たちは夜になると涼やかな虫の音を独り占めしているはず…。翌朝には「お腹すいた!」「早く出して!」というアピールしか見せないので、夜の音楽会をどう鑑賞しているのかわからないのですが、言葉を話せたら聞いてみたいものです。

 来年も同じように涼やかな音色を奏でてくれると期待してます。

参考;日本のレッドデータ(NPO法人 野生生物調査協会&Envision環境保全事務所)http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=07090100480(外部リンク)

2023年9月 6日 (水)

JRA総研サマースクールが開催されました

企画調整室の福田です。

 今年は9月になってもひどい暑さが続いています。心なしか紫外線も例年より強い気がして、外仕事をこなすのに対策を蔑ろにしていた私はどこに目があるのかわからないくらいに真っ黒な顔に焼けました。

 そんな中、6月1日に当ブログ(リンク)でも紹介した「JRA総研サマースクール」が8月末に開催され、当研究所に全国から獣医系大学生達(12人/コース×2コース)が集まって馬に特化した「感染症コース」や「臨床コース」を受講しました。

 このプログラムは、学生に社会の一端を経験してもらい、広い視野で将来を考えてもらおうと開かれている「家畜衛生・公衆衛生獣医師インターンシップ(VPcamp)事業」の一環であります。ここでは、大学で経験できないような実習を受けられる貴重な場を提供しています。

 上記2コースを用意しましたが、どちらでも馬の扱い方、検温、聴診、触診などの一般実習を受けていただき、さらに選ぶコースによって感染症診断のような実験室レベルの内容に重きを置くか、内視鏡や超音波検査といった診断実習に重きを置くかが区別されました。普段は経験しない診断・医療業務の実体験は、学生さん達には大変有意義かつ興味深いものだったようで、猛暑の中でも時間を忘れて夢中で取り組んでいました。さらに、希望者(結果的には全員参加)には、実習後に乗馬体験の機会も与えられました。

将来、この中から何人かでも馬獣医師が誕生することを期待しています。

Img1_2 実際の馬を使った聴診の実習。腸の動きを聴診しています。

Img2体験乗馬。これができるのは、JRAならではです。