馬伝染性子宮炎の講習会
微生物研究室の木下です。
日本軽種馬協会(公益社団法人)が主催する馬伝染性子宮炎 (CEM : Contagious Equine Metritis) に関する講習会が、根室振興局管内において2023年9月25日~26日に開催され、私は座学にて、CEMの概要についての講義を担当しました(写真1)。
写真1. 座学風景
届出伝染病に指定されているCEMは、ウマ科動物特有の性感染症で、交配や人工授精によって伝播する疾病です。牡馬は保菌するものの症状を出さず、牝馬にのみ子宮内膜炎や膣炎などの症状を引き起こし、不受胎の原因となる疾病のため、馬伝染性”子宮炎”という名前が付けられました。
国内では2005年を最後に陽性症例は確認されていませんが、国外においてはヨーロッパを中心に2023年現在でも発生が報告されているため、国内への侵入と侵入初期における蔓延防止が重要となる疾病です。
このCEM講習会は、CEMの国内侵入防止および蔓延防止を目的として、獣医師をはじめとし、全国各地の関係者にCEMに対する理解や正しい採材法(写真2&3)を伝えるために開催されています。
本講習会を通じてCEMへの理解が深まり、国内における清浄性が今後も維持されることを望みます。
写真2.牡の生殖器から細菌を含んでいる可能性のある垢を採材する方法の指導
写真3. 同じく牝の生殖器から垢を採材する方法の指導