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2023年4月

2023年4月26日 (水)

TERMIS-EU@マンチェスター

企画調整室の福田です。

先日、イギリスのマンチェスターにおいて国際組織工学・再生医療学会(TERMIS)のEUチャプターが開催され、私と臨床医学研究室の田村で研究発表を行いました。この学会は2005年以来ヒトの再生医療の発展を担ってきた学会ですが、獣医学のセッションも設けられていて、近年では特にウマ関連の研究が多数発表されています。みなさんもたまに耳にしているようなiPS細胞や幹細胞を使って新しい組織再生技術を開発することは、ヒトにも動物にも共通のテーマなのです。

今回の学会では自分はウマの多血小板血漿(PRP)治療、田村は抗酸化物質と細胞に関する演題を発表し、海外の研究者と意見交換を行いました。

国際学会では研究に関する最先端の情報が飛び交っていますので、研究に関するトレンドを把握できるのがいいですね。

Image1shrink学会が開催されたマンチェスター中央会議場

Image2shrink古さと新しさが同居した街、マンチェスター

Image3shrinkマンチェスターといえば、なんといってもサッカーですね。

2023年4月22日 (土)

世界獣医麻酔学会@シドニー

 臨床医学研究室の太田です。

 3月末にシドニーで開催された世界獣医麻酔学会に参加してきました。本学会は3年に1回開催され、世界各国の獣医麻酔科専門医が集まり、あらゆる動物種の麻酔に関する最新の情報交換が行われます。当初は2021年秋に開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で2022年秋、さらに2023年春と2度延期され、4年半ぶりにようやく開催されました。

 今回の発表した3演題は、総研からではなく、全てトレーニング・センターの競走馬診療所からのものでした。JRAでは、総研だけでなく臨床現場でも、多忙な診療業務と並行して積極的に研究活動が行われています。これらの研究活動を専門家の立場からサポートするのも、総研の研究職の重要な役割となっています。

 シドニー市内は規制が緩和されてノーマスク、ほぼ以前と同じ規模・形式で開催され、数年前までは当たり前だったこの風景が、なんだか懐かしく感じられました。早く日本も元の状態に戻ることを願っています。


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2023年4月15日 (土)

馬における暑熱対策

運動科学研究室の胡田です。

最近は暖かい日が続いており、春の訪れをあっという間に通り越して、早くも夏が近づいているのを意識してしまう今日この頃です。

高温多湿な日本の夏は、激しい運動を行う競走馬にとっては大敵であり、暑熱環境への対策が不可欠となっています。

JRAでは、競馬場にシャワーやミストを設置するなど、暑熱対策に積極的に取り組んでおり、来年からは夏季の一定期間、熱中症リスクが高い時間帯での競馬を休止する対策も導入される予定です。

Photo_4競走後すぐに馬体を冷やせるようシャワーを設置

また、暑い環境での熱中症や運動パフォーマンス低下の予防策として、ヒトのアスリートでは体を暑い環境に慣れさせる「暑熱順化」が広く行われています。

暑熱順化は馬にも効果があるとされており、実際に東京五輪2020の馬術競技では、来日前に暑熱環境を人工的に作り、その中でトレーニングを行ってきたチームもありました。

競走馬総合研究所では、この暑熱順化についての研究にも取り組んでおり、ヒーターを使用して疑似的に夏の環境を作って実験を行っています。

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実験室は暑いため冬でも半そで(12月撮影)

ちなみに、人では長めの入浴やサウナなどでも暑熱順化の効果を得られることが報告されています。

夏バテしやすい方は今年の夏に向けて「暑熱順化」、取り組んでみてはいかがでしょうか。