« 2024年11月 | メイン

2024年12月

2024年12月21日 (土)

獣医臨床研修が開催されました

分子生物研究室の川西です。

 12月4日(水)から13日(金)の日程で、競走馬総合研究所(総研)では、入会4年目にあたる獣医職員を対象とした“獣医臨床研修”が開催されました。入会時の新人研修にとどまらず、JRAでは入会後の研修制度も充実しています。

 さて、この研修は、「JRA獣医師として習得しておくべき知識・技術を習得すること」を目的に、総研の研究者が講義と実習を担当します。ここ総研の研究者は、ほとんどの方が美浦あるいは栗東トレーニングセンターで臨床実務に携わったことがある方達で、研究内容を学問として教えるだけでなく、臨床にどう応用させるのかといった指導ができる特徴があります。

Photo

写真1:心臓エコー検査の実技練習

  研修の内容は、病気を統計学的に解析する(臨床統計学)、様々な機器で撮像された画像から病気を診断する(画像診断学)、競走馬の歩様を解析して調教や診療に役立てる(運動生理学)、競走馬に必要な栄養を考える(スポーツ栄養学)、原因不明疾患を解析する(病理学、細菌学、ウイルス学)など多岐にわたります。私自身も入会4年目の獣医の一人であり、本研修では受講者でした。

 本研修を通して、日々の診療を通じて疑問に思ったことや問題点など個人の課題に対して専門家からアドバイスをいただけ、有意義な機会となりました。また研究者である私は、将来先輩方のように後輩を教育できるよう研鑽を積まなくてはいけないと強く思った次第です。

Photo_4

写真2:何の抗菌薬(抗生物質)が目的の細菌に効果を発揮するのか調べる薬剤感受性試験の様子






2024年12月17日 (火)

合格しました!!

微生物研究室の越智です。

 各地で入学試験が始まる時期になりましたが,私も受験しました。その名も「技能試験」です。
 私の研究テーマである馬ピロプラズマという原虫の感染症(馬ピロプラズマ症)の検査法の一つに血液塗抹標本の顕微鏡検査があります。
 スライドガラスに薄く伸ばした血液を染色し,それを顕微鏡下で観察し,赤血球中にいる原虫を探すという単純な試験です。顕微鏡があればできる試験なので,世界各地で使用されていますが,その単純さ故に検査結果が検査者の検査能力によって左右されるという欠点があります。

 そこで,私が馬ピロプラズマ症の顕微鏡検査を行うに足る検査能力を持っているかを証明するため,WOAHリファレンスラボラトリーの技能試験を受験しました。
ちなみに,私は日本獣医病理学専門家協会の認定医です。

 もし不合格だったら・・・という一抹の不安もありましたが,無事に合格しました。

3リファレンスラボラトリーから送付されたスライドガラス

4技能試験の認定書(手前)

馬感染症研究会が開催されました

微生物研究室の越智です。


 やっと猛暑も終わったかと思えば,秋を感じることもなく冬になってしまいました。少しでも秋を感じたく,今回は総研の秋の代名詞である感染症研究会の開催について報告します。

 競走馬総合研究所では,毎年10月頃に「馬感染症研究会」が開催されます。この研究会では,馬の感染症の現状,防疫(予防対策のこと)や診断などに関する意見交換を行うとともに,馬の感染症に関する講義や実習が行われます。
 今年の研究会は,全国16都道府県の家畜保健衛生所(家保)や農林水産省動物検疫所から検査を担当する獣医師20名が参加し,3日間にわたって開催されました。
 会期中には馬の保定法や個体識別法,検査材料の採取法や各種感染症の講義に加えて,農研機構動物衛生研究部門 楠本正博 部門長による特別講演も行われ,非常に密度の高い研修会となりました。

 興味を持たれた家保の先生方,来年お会いすることを楽しみにしています!

1開会に際して挨拶をする菊田 JRA馬事担当理事

2_2検体採取法の実習風景

2024年12月 9日 (月)

スポーツ科学セミナー

こんにちは、運動科学研究室の向井です。

今回はJRA競走馬総合研究所が主催している、スポーツ科学セミナーについて紹介したいと思います。

このセミナーは、「競走馬スポーツ科学の研究成果を、調教現場に活用してもらう活動の一環として、研究者が厩舎関係者の皆様と意見交換を行うこと」を目的として実施しています。今年は、以下の4つの内容で10月に栗東トレーニング・センターで開催しました。

 

〇アイルランド・イギリスにおける育成馬調教

〇傾斜のついた走路の走行フォームと筋活動

〇競走馬のスポーツ栄養

〇暑熱順化トレーニングの意義とその効果

 

これらのテーマはトレセンにて大変関心の高い内容だったためか、81名もの参加者が集まり、講演が終わった後も各演者に対してそれぞれ質疑応答が30分近く続く、熱のこもったものになりました。厩舎関係者の方々が競走馬のトレーニングをしていく上で、このスポーツ科学セミナーで得られた情報が何らかのヒントになればうれしいことこの上ありません。

これからも競走馬のトレーニングの助けになるような研究や講演を行っていきたいと考えています。

2024_2