今年も来ましたヒツジの毛刈りシーズン
競走馬総合研究所の桑野と申します。
競走馬総合研究所(総研)では、ウマだけでなくヒツジを3頭飼育しています。チーちゃん、ポーちゃん、モコちゃんの愛称で呼ばれているこれらヒツジはみんなメスで、かれこれ10年近く研究所で暮らしています。
写真1. 世話係のお姉さんが呼ぶとみんな集まってきます
いにしえから「ヒツジは羊飼いの声を聞き分ける」などと言われますが、総研のヒツジたちも世話係りのお姉さんが呼ぶと擦り寄ってきます(写真1)。ですが、稀にしか顔を出さない我々研究者だと、呼びかけどころか近づくだけで逃げてしまいます。そんなヒツジ達に忍者のように忍び寄り、さっと下アゴをつかんで、お尻を足で押しながら移動、コロンとひっくり返したかと思うと、可愛くお座り状態で保定してしまう毛刈りおじさんが素晴らしい。毛刈りおじさんは普段は酪農を営む会社で牛の世話をしているそうですが、副業が許されており、ヒツジやアルパカの毛刈りも生業にしているそうです。一言でヒツジの毛刈りと言っても、この保定に熟練し、無駄なくかつ怪我させることなく毛刈りできるようになるのに3年かかるそうです。また、できるようになっても、その熟練度でバリカンの刃の損耗度がまるで違うそうです。親方ですと一つの刃で50頭ほど、今回来ていただいた方は40頭ほど毛刈りするそうですが、初心者だと3、4頭でもう刃が切れなくなることもあるそうです。誰でもできる技術ではないのですねえ。ということで、手際よく毛刈りされたヒツジ達は、とても気持ちよさそうでした(写真2)。そして、活力を取り戻した途端に早速頭突き合戦なるコミュニケーションをとりはじめました(写真3)。
写真2. もうすぐ夏ですから、毛刈りは涼しくなって気持ちいいようです。うっとりとしてます
写真3. 毛刈り後、ヤギみたいになってます。でも、気持ち良くなったヒツジ達は早速、頭突きでご挨拶。ヒツジの頭突きって敵意の表れとは限らずコミュニケーションの一環なのだそうです