2025年4月 1日 (火)

桜満開です

はじめまして。

3月から微生物研究室に異動してきました佐藤です。

私はこれまで美浦トレーニング・センターの競走馬診療所で5年間、現役競走馬の診療業務に携わってきました。

その中で感染性角膜炎や肺炎などを診療していくうちに、馬の細菌感染症に興味を持ち、微生物研究室でその原因となる細菌について調査・研究をしてみたいと思うようになりました。

研究所での仕事は以前の診療業務とは異なり、細菌に関する専門的な知識や実験手技などが必要となります。

馬に触れる機会が凄く減ったため、寂しく思うこともありますが、自分自身が興味のある分野について研究できるようになったため、精一杯頑張りたいと思います。

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さて、この写真は自席の窓からの眺めになります。

研究所の敷地内にはたくさんの桜の木があり、現在満開に咲いていて、とても綺麗で心が洗われます。

寒暖差で体調を崩しやすい時期です。皆様、どうぞご無理なさらず、お体を大切にお過ごしください。

学位を取得しました

臨床医学研究室の三田です。

 

 先月3月17日に山口大学大学院共同獣医学研究科にて学位を取得することができました。

 学位とは、大学や大学院で一定の教育を受け、所定の課題をクリアしたことを証明する資格です。

 私の研究テーマは「競走馬の骨折手術における手術部位感染に対する新規治療法の開発に関する研究」でした。

 手術部位感染とは手術を行った部位に起こる細菌感染症のことで、その発生には患者の免疫力や生体侵襲の大きさなど様々な要因があります。そのため、どんなに丁寧に手術を行っても起きてしまう合併症です。

トレーニング・センターで行われる一般的な手術の後に発生するものは適切な治療によって治癒することが多いです。しかし、中にはそれが難しい症例もいます。そのような症例に対してどんな治療が効果的なのかを検討した基礎研究が学位論文の内容でした。

 

 学位取得にあたっては温かく丁寧に指導してくれた先輩の研究者をはじめ、トレーニング・センターの獣医師の方々からも多くの協力をいただきました。さらに、ヒトの整形外科の先生方からも貴重なアドバイスを多くいただき、そのおかげで研究を進めることができました。本当にありがとうございました!

 

 学位を取得したことはひとつの大きな節目ですが、ここからが新たなスタートだと考えています。これまで学んできたことを活かし、今後も精進していきたいと思います。

自分の研究が少しでも多くの馬の役に立つよう、日々努力を続けていきます。

 そして、学位授与式が終わった後、ずっと行ってみたかった場所に行ってきました。それが、山口県の「秋芳洞」です。自然の神秘を感じる美しい空間で、心が洗われるような体験ができました。これまでの研究を振り返りつつ、リフレッシュすることができました。本当に素敵な思い出になりました。

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学位記と学位論文

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帰りに立ち寄った秋芳洞

2025年3月27日 (木)

肢蹄管理ワークショップ@宇都宮

企画の桑野です。

 本年2月22日(土)に、栃木県宇都宮市にある一般財団法人TAW(馬事公苑宇都宮の跡地に設立)にて、日本軽種馬協会(公社)が主催する“肢蹄管理ワークショップ”が開催されました。装蹄師、獣医師のみならず馬産業関係者を対象とした研修であり、関東圏の比較的広い範囲から競走馬や乗馬に携わる方々90名以上が集まりました。講師として私も参加しましたので、その様相の一部をお伝えします。

  今回のテーマは蹄葉炎と蹄癌と呼ばれる2つの蹄病について、その一般概念および装蹄師と獣医師のコンビネーションによる蹄病治療の実際についてでした。これに対して、蹄病の病理学を研究してきた私、乗馬専門の開業獣医師でありながら装蹄師の資格もお持ちの斎藤重彰先生、蹄癌の発生が多いと言われる十勝のばんえい競馬で臨床獣医をされている福本奈津子先生の3名が講師となり教育的講演を実施しました。また、JRA職員装蹄師である金子大作氏および旭川工業高等専門学校の中川教授らにより、蹄葉炎に比較的早い段階から対応可能な3Dプリントシューによる装蹄処置についても情報が開示されました(参考;JRA日高育成牧場 馬の資料室 https://blog.jra.jp/shiryoushitsu/2024/03/3d-8482.html)。

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講演で話題となった特殊な蹄鉄や装蹄補助具の供覧

 専門的すぎるので詳細は割愛しますが、治療困難な蹄葉炎にどう対処したらいいのかについては、総合討論の場にて装蹄師および臨床獣医師を含むフロアの皆様から積極的に質問を受けました。また、蹄癌については、真の癌腫ではなく何かの感染、とりわけトレポネーマ属細菌の関与が強く疑われること、サラブレッド種競走馬ではほとんど目にしないのに、なぜか、ばんえい競馬の重種馬や乗馬では少しずつ増えている現状を共有でき、関係者に少なからず警笛を鳴らせたようです。

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日本に最初に蹄癌が紹介されたグーテンエッケル著の蹄病学(1920年 翻訳版出版)では、ドイツ語でDer Hufkrebs(蹄癌)と記載され、直訳である蹄癌が通り名称となった。だが、実際には癌ではない。

  蹄病についての講演会はあまり公にされないため、こういった講習会は希少です。軽種馬協会は獣医師、装蹄師、飼育者が三位一体となって蹄病に向かい合ってくれたらばと、今後も不定期ながら蹄に関する講演会を実施していきたいと仰っていました。

 

2025年2月25日 (火)

栃木県産業技術センターという便利な施設

企画の桑野です。

 業界ではそれなりに知られているのですが、栃木県には産業技術センターという県内の中小企業等の新技術・新製品開発や技術高度化を支援する技術拠点が存在します。県内と限定されているのは、栃木県の予算を使って運営されているためです。我々競走馬総合研究所の母体はJRAですが、栃木県内にある中規模な事業所であることから、「技術相談」としてこちらの施設の利用を認めてもらい、馬の蹄の病気の解明を助けてもらったことがあります。

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 昨今、それまでには測定困難だった物質をより精度高く検出したり、材質を評価したり、尚且つ以前より操作が簡便となった使いやすい研究備品が開発されています。しかし、こういった備品は高額ですから、いかなる研究や開発をもすべからく網羅しようとして、あらゆる備品を揃えることはできません。ましてや中小企業でしたら、業務に必要な備品1個を更新することすら予算的に厳しい現実があります。そこで、栃木県は、最新機器を豊富に取り揃え、各方面の産業の面々が比較的安価に使える備品の宝庫を整備してくれたというわけです。我々も、以下のように、こちらの設備を使ってとある蹄病の解明を助けてもらったことがあります。なんか、日本的な助け合いの精神が見え隠れしますね。ありがたい話です。企業間の連携は、利益相反などで難しい面がありますが、公共の県営施設なら守秘義務を守ってもらえるし、安心ですね。

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<外部リンク>https://iri.pref.tochigi.lg.jp/content/files/katuyoujirei_ver20250217.pdf

2025年2月15日 (土)

バイオメカニクス学会に行ってきました

こんにちは、運動科学研究室の高橋です。

 昨年12月になりますが、中京大学豊田キャンパスで開催されたバイオメカニクス学会に参加してきました。

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 下の写真は屋内トラックでの企業展示とポスター会場の様子です。中京大学からは多くのオリンピック選手が卒業しており、スポーツに関する研究も非常に盛んです。この学会の対象は主にヒトになり、「身体運動に関する科学的研究と連絡共同を促進し、バイオメカニクスの発展を図ることを目的」とした学会になります。

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 筋電図に関する基調講演や走動作中の筋活動に関する演題も多数あり、ウマの筋活動を研究テーマの一つに挙げている運動科学研究室にとっては非常に参考になりました。一方で、脳科学との融合をテーマにした基調講演があり、MRIを使って特定の運動課題や認知機能に対する脳局所の反応を計測しているグループが、本番に強い人と弱い人では脳のどこが違うのかについて、アーチェリーを専門にしているアスリートを対象に計測した結果を紹介していました。すると本番に弱い選手(練習のスコアは良い選手)は本番に強い選手(本番のスコアが良い選手)に比べて島皮質という領域の体積が大きかったそうです。この他にも、特定の運動課題や認知機能に対する局所の反応を機能的MRIで計測し、その課題に対する脳の負荷を評価する手法により、ピアノを最後まで安定したリズムで継続できる人と途中でリズムが崩れてしまう人を運動開始時の脳の反応から予測することに成功しているそうです。私は大学の時、ラットの脳に関する研究を行っており、脳研究には元々興味があるのですが、運動パフォーマンス発揮時の「メンタル」というところまで踏み込んだ研究は初めて聞いたので非常に面白かったです。また、脳機能に関する研究は人工知能を用いてもたくさん行われており、動物が何を考えているのかもそのうち分かるようになるのではないかと夢が膨らんだ学会でした。

2025年2月 3日 (月)

ウマコロナウイルスとは?

こんにちは、分子生物研究室の根本です。

先日ばんえい帯広競馬場でウマコロナウイルスの流行がありました。そこで今回はウマコロナウイルスについて、一般的な解説をしたいと思います。

ウマコロナウイルスはウマに感染し、主に消化器症状を引き起こす病原体で、ヒトには感染しません。人間の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とは異なる種になります。

ウマコロナウイルスに感染した馬は、主に発熱、食欲不振、元気消失といった症状を示します。流行時は特に、「食欲不振」を示す馬が非常に多くなります。そして発症から数日後に、一部の馬で下痢または軟便(写真)、腹痛(疝痛)といった消化器症状を示すことがあります。ヒトの新型コロナウイルスとは異なり、呼吸器には感染しないことから呼吸器症状は示しません。

一般的に症状は軽度で、数日で快復する馬がほとんどです。症状を示している馬では、白血球数の減少や炎症マーカーである血清アミロイドAの上昇が観察されることがあります。

感染馬は症状に関係なく糞便中に大量のウイルスを排出することから、知らぬ間に感染が広がり、馬群のほとんどの馬が感染してしまいます。主に糞口感染で感染が広がります。厩舎内での集団感染が起こりやすく、冬季に流行することが多いとされています。

ウマコロナウイルス感染症を疑った場合は、正常に見える場合でも糞便を用いて診断することが重要です。RT-PCR法などの遺伝子検査で診断します。

ウマコロナウイルスに対する特異的な治療薬やワクチンはありませんが、脱水を防ぐ輸液や、高熱が続く場合は解熱剤の投与などの対症療法によってほとんどの馬が快復します。

ウマコロナウイルスはエンベロープを有することから、消毒薬に対して感受性が高く、逆性石鹸やアルコール等、多くの消毒剤が有効です。

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写真. ウマコロナウイルス流行時に観察された消化器症状【出典:馬の感染症(第5版 増補版)、中央畜産会】

2025年1月29日 (水)

馬とお酒と微生物

微生物研究室の丹羽です。

寒さが厳しい2月は熱燗やお湯割りが美味しくいただける季節かと思います。日本酒や焼酎、ウイスキー、テキーラのみならずカクテルにも馬に関係する名前がつけられているお酒があります。また、モンゴルでは馬乳酒という馬のお乳を原料としたお酒が大人から子供(!)まで広く飲まれています。

お酒の中でも醸造酒と呼ばれるお酒は、原料の中に含まれる糖分を微生物による「発酵」の力を借りてアルコールに変えることで生み出されます。ワインであればブドウ、ビールであれば大麦、日本酒であれば米を原料としています。ワインやビールにおいて発酵の主役になるのは酵母と呼ばれる微生物です(写真1)。日本酒では米に含まれるデンプンをコウジカビという微生物が糖分に分解し、さらにその糖分を酵母がアルコールに変える2段階の発酵を行っています。酵母は、自然界に広く存在し、大学などの研究機関によって花の蜜や自然環境から発見された酵母もビールや日本酒の製造に使用されています。競走馬総合研究所では春になると満開の桜が見られます(写真2)。もしかしたら、そのような桜の花びらの中にもお酒の製造に適した酵母が生息しているかもしれません。いえ、妄想ではなく、そういうこともあるというお話です。

微生物は、ただ病気を起こすだけでなく、私たちの生活に潤いを与えてくれるものもいます。微生物の面白さがここにあります。

Yeast_3写真1. 馬から検出された酵母。お酒が作れるかどうかは、、、わかりません。

Sakura写真2. 満開の桜。この中にもお酒が作れる酵母が隠れているかも。

2025年1月21日 (火)

ウイルスのダブル流行が起こらない? インターフェロンの存在

企画の杉田(薬剤師)です。

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 馬の話題からそれますが、2025年が明けて世間ではインフルエンザの患者数が増加。ちょっと騒ぎになっていますね。この現象については、新型コロナが蔓延した数年の間、インフルエンザは流行しなかったため、インフルエンザウイルスに対する抗体(抵抗力)を持っている者が減少して、今になってインフルエンザに抵抗できない多くの方々が発症しているという説が一般的です。

 と、ここで「はて、一つのウイルスが流行している時期、別のウイルスの流行が見られないのはなぜだろう?」という疑問が生じます。各人にウイルス感染が起これば、当然、体の抵抗力は弱るので、その人は他のウイルスにもかかりそうなものです。このような複数のウイルス感染が比較的、同時に流行しない現象は「ウイルス干渉」と呼ばれます。

 20世紀中頃、2つの呼吸器感染症RSウイルスとインフルエンザウイルスの流行期がずれて、2つが同時に流行らないことが疑問視されました。そこで、複数のウイルス感染症が同時に流行しない仕組みが生体にあるはずだと考えられ、培養細胞を使った研究が始まり、複数のウイルス感染を防御する干渉因子;Interference factorの存在が確認されました(参考文献)。そしてInterferon(インターフェロン)と呼ばれ、現代ではI型インターフェロン、II型インターフェロンなど複数のインターフェロンが、人のみならずその他の哺乳類、それどころか魚や爬虫類にも見つかっており、それぞれの体を守っていることが分かっています。

 以前、“馬の輸送熱”を防止するのにインターフェロンが有効であるとの研究結果から、輸送直前に市販のインターフェロン製剤を馬の舌下に投与する方法が提案されました。また、小動物臨床では感染やアレルギー疾患にインターフェロン製剤が用いられています。のみならず癌にも有効なことがあり、癌治療にもインターフェロン製剤は使われます。ただ、お医者さんや獣医さんに行っても、あまりインターフェロンの話は聞きませんねえ。いかほどのパワーがあるのかわからない部分もあるのですが、薬として使う場合は、体で作られる量よりはるかに多い量を投与しないと効果が得られません。そのためなのか、発熱や頭痛など予測できない副作用が起こることがあって使いにくいとも言われます。より研究が進んで効果のある使いやすいインターフェロン製剤ができると嬉しいですね。

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(参考文献)Virus Interference: I. The Interferon, A. lsaacs and J. Lindenmann, 2008, Cancer Journal for Clinicians, 38 (5), p280-290

2025年1月17日 (金)

AAEPコンベンション2024

臨床医学研究室の黒田です。                      

 昨年12月7~11日に米国のオーランドで開催されたアメリカ馬臨床獣医師協会(AAEP)コンベンションに参加しましたので紹介します。AAEPは、ウマの健康と福祉の向上のため1954年に設立された協会で現在9000人以上の馬臨床獣医師が所属している。AAEPコンベンションはアメリカのみならず世界各国から馬臨床獣医師の集まる世界最大の馬獣医師学会です。2024年のAAEPコンベンションは、「馬臨床のマジック」とのタイトルでオーランドのオレンジコンベンションセンターで開催されました。

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オレンジコンベンションセンター

 本年は、私を含めJRAから4名、その他生産地からも数名参加しており、交流することが出来ました。JRAの獣医師2名は本学会前にフロリダ大学で眼科研修を行っており、著名なDennis Brooks先生にもお世話になったとのことでした。先生からも、2人ともナイスガイで今後に期待しているよとのお言葉をいただきました。今後の活躍を期待したいですね。

 

3AAEPトレードショー

4角膜OCT

AAEPといえば、おそらく馬医療分野では世界最大の業者展示であるトレードショーが有名です。日本を含め、世界中の馬医療機器、薬品、飼料、馬具などが集まっており、見応え十分です。下の写真は馬用OCT(光干渉断層撮影)で、角膜の形状や混濁を診断することができる機器です。

 

 

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Dennis Brooks先生

AAEPは教育講演を中心とする学会で、一般公演の数は限られ採択率は半分くらいでして、私としても3回投稿して2回目の発表になります。私は、Surgery and medicineのセッションで、一昨年より行っている心房細動に対する硫酸キニジン投与法に関する20分間の発表を行いました。世界中の馬獣医師に対してJRAの研究をアピールする良い機会になったと思います。

 

2025年1月10日 (金)

明けてみたら馬と蛇 in 2025

企画の桑野です。

あらためまして、明けましておめでとうございます。

2025年最初の研究所だよりの更新です。

 今年は巳年ですが、ウマとヘビに何か関係性がないかネットで調べてみても、あまりパッとした逸話はありません。ただ、抗ヘビ毒血清(抗毒素)を作るのにウマが最もよく用いられていることがわかるかもしれません。

 毒ヘビは世界中にいろいろな種類のものが分布していますが、これらのヘビがつくる毒もそれぞれ種類に応じて様々です。よって、全てのヘビ毒に効果のある一つの抗毒素は作れません。毒ヘビの抗毒素づくりは一つ一つ個別に実施しなくてはいけない上に、時間とお金がかかり、また需要も多くないため儲からないと言われています。それでも、噛まれたら人命に関わることもしばしば。抗毒素は常に準備されている必要があります。

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 そもそも量が少ないヘビ毒に対して大量の抗毒素の作製は難しいです。そのため、大型の動物であるウマに数回に分けて投与し、免疫をつけさせたなら、そのウマの血液を採取して比較的大量に抗毒素を作る古典的な方法が現在でも使われています。この方法では、一回作って保管管理してしまえば、しばらくは対応できます。日本では、公的な研究助成を受けながらヤマカガシ、マムシ、場合によってハブのウマ抗毒素が作られてきたようです。それでも、ウマの個体差、投与間隔の調整など熟練の技術が必要であり、簡単には作れないという難点があるそうです。

 そこで、近年では、生きたヘビから毒を採取することなく、その毒をコードしている遺伝子断片を増幅し、動物体にその遺伝子断片を接種してタンパクを複製させて免疫。最終的に、その動物の血清を抗毒素にできないかといった研究が進められています(参考1)。この動物体をウマに置き換えることができれば、そのウマの健康を維持しながら血液をいただくことで、多くの人命が救われるかもしれません。

 競走馬総合研究所(総研)ではヘビ毒の研究はしていませんので、我々には抗毒素を作るノウハウはありません。しかし、前述のような新しい方法でウマでも免疫できる時代が来るのなら、ウマの健康管理は違う観点から重要になるでしょう。ウマを研究することが巡り巡って私たちの命にも繋がる可能性があるのですから、ウマ研究は人類にとって大切と言えるのではないでしょうか。ちょっと大袈裟かな…?

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(参考文献)Synthetic biology tackles antivenom: artificial antibodies could ease global snakebite burden, 2016, Amold, C., Nature, 532 (292)