生産現場における駆虫 その4「駆虫剤投与以外に実施すること」(生産)

生産現場においては、駆虫剤を投与する以外にも有効な寄生虫対策があります。

 

・放牧地のローテーション

・放牧地の糞塊除去

・放牧地のハローがけ(ハローがけ後は一定期間休牧)

・大量寄生馬の隔離

・過密放牧の回避

・牛・羊などとの混合放牧

 

 

 

 

 

 

 

 

前回までお話ししたターゲット・ワーミングと、これらを併用することで耐性寄生虫の発生を可能な限り抑制できると思われます。

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「放牧地のローテーション」や「糞塊除去」は寄生虫駆除に有効な方法

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アイルランドで実施されている牛との混合放牧

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生産現場における駆虫 その3「寄生虫をゼロにする必要はない」(生産)

前回触れた「ターゲット・ワーミング」のつづきです。

 

「ターゲット・ワーミング」は、薬剤感受性が高い寄生虫(薬が効く虫)を一定割合生存させておくことによって、耐性寄生虫の割合を減らすことができる方法です。

 

これにより、本当に駆虫が必要な時に駆虫剤が効果を示すようになるのです。

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この方法の根底には「寄生虫をゼロにする必要がない」との考え方が存在します。

「寄生虫=害虫=全滅させる必要がある」という概念は間違いだと考えられるようになったのです。

 

すべての寄生虫が馬に健康被害をもたらすのでしょうか?

この疑問は解決されていません。

 

デンマークで行われたトロッター競走馬を対照とした調査によると、

円虫卵が多く認められた馬のほうが、入着(1~3着)する可能性が高いとの結果が得られました。

円虫寄生が競走パフォーマンスを高めるとは想像できませんが、少なくとも競走馬の場合には負の影響はないと考えられます。

 

もちろん、成馬であっても大量寄生による疝痛・栄養障害などの健康状態に与える影響は否定されていません。

 

しかし、子馬のアスカリド・インパクションなど、本当に必要な時のために、現在有効な駆虫薬を残しておくことは極めて重要です。

 

なぜなら、新たな駆虫薬の開発には長い年月を必要とするからです。

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現在使用可能な駆虫剤は、必要な時のために温存!!

つづく

 

生産現場における駆虫 その2「ターゲット・ワーミング」(生産)

耐性寄生虫の出現を可能な限り抑制する方法として、

欧米では「ターゲット・ワーミングTarget worming」と呼ばれる駆虫方法が提唱されています。

 

ポイントは3つです。

 

    ①虫卵検査の実施

    ②必要な馬に限定した駆虫

    ③薬剤のローテーション

 

 

 

 

すなわち、虫卵検査を実施して、必要な馬に対してのみ駆虫を実施する方法です。

また、異なる薬剤を交互に使用することで、1つの薬剤に対する耐性寄生虫の出現を抑制します。

 

具体的には、

・2ヶ月間隔で繋養全馬に対する虫卵検査を実施

・各寄生虫につき糞1gに250個以上の卵が認められた場合のみ駆虫

・イベルメクチン、ピランテル、フェンベンダゾールを2ヶ月ごとに交代で投与

・条虫駆除を目的としたプラジクアンテルは秋に1回(もしくは春との2回)のみ投与

・駆虫2週間後に再検査をして、駆虫剤の効果を確認

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、2歳未満の子馬に対しては、虫卵数に関わらず、2ヶ月毎に駆虫を実施します。

理由は、子馬にとっての脅威「アスカリド・インパクション(回虫便秘)」の防止です。

アスカリド・インパクションは、子馬の腸管の中に回虫が充満し、最悪の場合には腸管破裂による死亡を引き起こします。

 

成馬になると、回虫に対して抗体ができると言われています。

このため、抗体ができる前の若馬に対してのみ、徹底的に駆虫するのです。

この場合の駆虫は上記3つの薬剤を交代で使用することにより、耐性寄生虫の発生を抑えます。

 

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虫卵検査により、大量寄生が認められた馬のみ駆虫する

 

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薬剤のローテーション投与

 

つづく

生産現場における駆虫 その1「耐性寄生虫の発生原因」(生産)

生産現場で問題となる耐性寄生虫、すなわち駆虫剤に効果を示さない寄生虫、

その発生原因となるポイントは3つ。

 

  ①すべての馬に対する駆虫 

  ②定期的な駆虫

  ③同じ駆虫剤の継続投与

 

 

 

 

 

では、耐性寄生虫は、どのようなメカニズムで発生するのでしょうか?

以下のようなモデルが紹介されています。

 

耐性寄生虫は突然出現するものではなく、もともと、寄生虫群のなかに存在しています。

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この寄生虫群に同じ駆虫剤を投与し続けると、耐性寄生虫だけ生き残ります。

 

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すると、耐性寄生虫同士の交配が増加し、耐性寄生虫が多数を占めるようになります。

このように一度でも耐性寄生虫が多数を占めてしまった場合、耐性寄生虫は消失しません。

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それでは、どのような駆虫をすれば良いのでしょうか?

 

つづく

あて馬の活用 その2「ユニバーサルドナー」(生産)

スワロー君に期待されている役割は「あて馬」だけではありません。

 

スワロー君の品種である「ハフリンガー種」は、他の品種に比較して「ユニバーサルドナー」である確率が高い品種です。

 

「ユニバーサルドナー」というのは、他の馬にその血液を投与した場合であっても、赤血球を破壊させる副作用がない、すなわち安全に輸血できる血液を持っている馬のことです。

 

ハフリンガー種の8割以上はこの「ユニバーサルドナー」であるといわれており、スワロー君も検査の結果、それに該当することが分かりました。

 

このため、スワロー君は「あて馬」としての役割のみならず、「輸血用馬」として、子馬の移行免疫不全症(出産直後に母馬から受け取る抗体が少ない病体)などの治療にも活躍することになります。

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ユニバーサルドナーとしての活躍も期待されるスワロー君

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子馬に対する血漿輸液療法

 

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あて馬の活用 その1(生産)

 先日、日高育成牧場にハフリンガー種の「スワロー君(オス3歳)」がやってきました。

スワロー君は、来年の繁殖シーズンから当場で「あて馬」として活躍します。

馬は季節繁殖動物であり、春に繁殖シーズンを迎え、この時期に牝馬は発情します。


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「あて馬」としての活躍が期待されるスワロー君

 

あて馬は、「試情」すなわち、牝馬の発情を確認し、交配に適切な日を判断することが主な役割です。

 

 しかし、それ以外にも、繁殖シーズン、特にシーズン始め(春先)に良好な発情が来ない牝馬に対して、刺激を与えて発情を呼び込む役割も持っています。

 

馬産国アイルランドにおいては、空胎馬に対して1月から毎日「試情」を行うことにより、牝馬に刺激を与え、早春からの発情を呼び込んでいます。

 

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アイルランドにおいては空胎馬に対して毎日「試情」する。

 

つづく

 

離乳 ~その4~(生産)

本年、日高育成牧場で実施した離乳方法は以下のとおりです。

 

【1週目】7組の母子のうち、2頭の離乳を実施。

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【1週目】穏やかな性格の牝馬(本年出産なし)をコンパニオンとして導入。

 

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【2週目】3頭の離乳を実施

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【3週目】残り2頭の離乳を実施

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【離乳後】

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この方法の利点は、

同じ群の多くの馬が落ち着いていることです。

 

離乳直後は、放牧地を走り回りますが、

周りの大多数の馬が落ちついているため、われに帰って、群の中に溶け込みます。

離乳後、数時間の監視をしていますが、大きな事故につながるような行動はありませんでした。

 

どのような方法を実施しても、母馬がいなくなった子馬のストレスは回避できません。

しかし、このような段階的な離乳により、可能な限りストレスを緩和することができると思います。

 

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コンパニオンとして導入した繁殖牝馬を中心に落ち着いた様子をみせる当歳

 

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離乳 ~その3~(生産)

 離乳を実施するうえで、考慮しなくてはならないリスクには以下のようなものがあります。

 

①成長停滞

 

②悪癖の発現

 

③疾患発症(ローソニア感染症など)

 

④事故

 

これらのリスクをゼロにすることはできません。

しかし、予防策として、

 

「離乳前に固形飼料を一定量食べさせておくこと」

「ストレスを可能な限り抑制すること」

 

以上のことを念頭においた離乳の実施方法により、

リスクを最小限に抑制することは可能です。

 

このため、実施時期や環境にも注意を払う必要があります。

 

著しい暑さ、激しい降雨、アブなどの吸血昆虫など子馬のストレスとなる環境要因をなるべく回避することに加え、栄養豊富な青草が生い茂っている時期に実施することも重要です。

 

つづく

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離乳直後にフェンスを飛越したことによる事故

離乳 ~その2~(生産)

 離乳の実施時期は、概ね生後5~6ヶ月齢というのが一般的になっていますが、牧場によっては早くて3ヶ月、場合によっては7、8ヶ月齢と遅い場合もあるようです。

 

離乳の実施時期を考慮するうえで、

「栄養面の離乳」と「精神面の離乳」の2つを念頭に置く必要があります。

 

「栄養面の離乳」

母馬がいなくなった場合に、それまで母乳から摂取していた栄養を固形飼料で代替することができるようになっていること、すなわち、1~1.5kgの飼料を食べることができるようになっているかどうか。

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「精神面の離乳」

放牧地で母馬と一定の距離があること、また、他の子馬との距離が近づいていること。

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3ヶ月齢を過ぎると、母子間距離が長くなり、子馬間距離が短くなる。

 

「栄養面」および「精神面」の両者が概ね達成される時期が、概ね生後3~4ヶ月ですので、

必然的に、これ以降が適切な離乳時期といえるのかもしれません。

 

つづく

離乳 ~その1~(生産)

本年生まれた7頭のホームブレッドは順調に育っており、

以前に当欄で触れたホルモン処置の乳母付けをした子馬は、

現在では乳母とともに、実の母子のように寄り添って過ごしています。

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しかし、その母子にも別れの時、すなわち離乳の時期がきました。

 

離乳の目的は、母馬が次の出産に備えるためです。

このため、野生環境におかれた馬では、出産の1~2ヶ月前になると、

子馬の方から自然に哺乳しなくなり、母子が離れていくようです。

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離乳

 

サラブレッド生産においては、過剰成長などに起因するDOD(成長期整形外科疾患)の予防として、母乳の摂取抑制を目的とした早期離乳も実施されています。

 

つづく