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2022年6月

2022年6月24日 (金)

競走馬の年齢別・性別出走割合

 こんにちは、運動科学研究室の吉田です。
 昨年のブログ(その①その②)で、過去10年間のべ47万頭以上のデータから、出走馬に占めるオスとメスの割合を調べたところ、オスが60%、メスが40%であることがわかりました。
 今回はこれを年齢別に調べてみました。
 競走馬がデビューできる2歳とダービー・オークスの出走年齢にあたる3歳では、のべ頭数に占める割合はメスが約44%でした。
 その後4歳、5歳と下降して、6歳以上では19%とかなり少なくなっています。
 サラブレッド競馬は次世代に優秀な血統をつないでいくスポーツです。母馬は1年に1頭しか子馬を産めません。競走引退後の繁殖の場ではオス馬より多くのメス馬がその役割を担っていることがメスの比率が下がっていく一因と考えられます。

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2022年6月20日 (月)

英国ダービー

 こんにちは、イギリスに滞在している臨床医学研究室の田村です。

 先日、英国ダービーを観戦する機会がありましたので、紹介させて頂きます。
 英国ダービーは6月4日土曜日にロンドン南西部にあるエプソムダウン競馬場で実施されました。日本と同様に、イギリス競馬の中でも最も注目されているレースの一つです。

 当日は多くの人が競馬場に来場して、賑やかな雰囲気だったのですが、中でもドレス姿の女性やフォーマルな服装をした紳士が多く、競馬開催を華やかに盛り上げていました。
 パドックの内部には関係者が集まり、出走馬の状態をチェックしていました。

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 エプソムダウン競馬場は左回りのU字形をしたコースになっています。丘を登って下る高低差が見所の一つとなっています。
 この競走を制したのは、デザートクラウンでした。
 勝負が決まったときには、競馬場に大きな歓声が上がり、場内には一体感がありました。

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 今年の日本ダービーの勝利馬はドウデュースでした。近年では海外の競馬に出走することも珍しくありません。もしかすると、この両者が同じ競馬場で走る日が来るかもしれない、と考えるとワクワクした気持ちになりました。

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 また、イギリスダービー当日にはJRAの「エプソムカップ」との交換競走である「The Tokyo Trophy(東京トロフィー)」も開催されました。
 このレースに勝った馬は、ウイニングサークル内でJRAのロゴ入り馬服を着用していました。

2022年6月15日 (水)

顕微鏡観察標本の作製方法 ②

 微生物研究室 上野です。
今日は前回(→こちら)に引き続き,一般的な病理組織標本~ホルマリン固定パラフィン包埋(ほうまい)標本の作製方法についてご紹介いたします。

薄切(はくせつ)
 ブロック状になったパラフィン浸透組織を顕微鏡観察に最適な厚さにするために,ミクロトームという機器〔図1〕を使用します。パラフィンブロックをミクロトームに固定し,前後あるいは上下に動く刃でブロック表面を一定の厚さで少しずつ切り取ります〔図2〕。詳細は異なるものの,切る対象に対する刃の動きは鉋(かんな)掛けに類似しています。ブロックから切り取られた組織片は,そのままでは顕微鏡観察ができないため,スライドガラスにきれいに貼り付ける必要があります。しかし,組織片の厚さは一般的な食品用ラップの厚さ(約10μm)の半分以下かつ強度も低いので,そのままではうまく貼り付けることができません。そこで,組織片を水面上へ浮かべ,水面下に差し入れたスライドガラスにくっつけながら引き上げることにより,スライドガラス表面に組織片を貼り付けます〔図3〕。なお当所では,薄切時に生じた組織片のしわや収縮などの変形を伸ばすため,この工程に40℃程度の温水を使用しています。最後にスライドガラスを乾燥し,組織片をしっかりと付着させます。

Fig1_2図1 滑走式ミクロトーム
刃(矢印)が前後してパラフィンブロック(丸囲み)表面を薄切する。

<Fig2図2 パラフィンブロックの薄切

Fig3図3 水面に浮遊させた組織片の引き上げ

染色
 薄切した組織片は,そのまま観察しても組織構造が分からないため,染色(組織成分への色素吸着)する必要があります。用途に応じて様々な染色手法があるのですが,組織の全体像を把握するための基本的な染色法としてヘマトキシリン-エオジン染色を用いています。ヘマトキシリンは植物由来の天然染料であり,メキシコ原産のアカミノキを原料としています。日本新薬株式会社さんの山科植物資料館webサイト https://yamashina-botanical.com/ (外部サイト)で実物の写真を見ることができるのですが,“赤身の木”の名のとおり幹の中心部が赤色を呈しています。組織標本では主に細胞核を青紫色に染めます。一方,エオジンは化学合成された色素であり,細胞質や結合組織,赤血球などをピンク~赤色に染めます。エオジンの名称は,古代ギリシャ語で「夜明け」あるいは「夜明けの女神」を意味するEosに由来していますが,鏡検していても朝の爽やかな空気を思い出すことはありません。
 組織片はパラフィンが浸透しており,そのままでは染色液をはじいてしまうため,染色前にパラフィンの溶解・除去を行います。包埋処理と逆の手順でキシレン(有機溶剤)→アルコール→水洗と進めた後に染色液に浸します〔図4〕。染色後は組織片から水分を取り除き,透明な接着剤のような試薬(封入剤)を介してカバーガラスを組織片上に被せます。封入剤が乾くと組織標本の完成です。

Fig4図4 自動染色装置
染色工程は分刻みで次々と進みますが,パラフィンの溶解・除去から染色後の脱水等まで自動化されています。

 

 このようにして作製した組織標本を顕微鏡で観察し,病気の診断や実験の評価などを行っています。

Fig5図5 完成した組織標本

2022年6月 3日 (金)

JRA総研サマースクールの受講生募集

 

 企画調整室の小野です。

競走馬総合研究所では、例年夏休みのシーズンに獣医学を専攻する大学生を対象にサマースクールを開催しております。

本年は8月22日~5日間を感染症コース、8月29日~5日間を臨床コースとして開催予定です。募集期間は6月1日(水)~6月15日(水)で、家畜衛生・公衆衛生獣医師インターンシップ「VPcamp」を通じてご応募ください。

詳しくはVPcampホームページ(外部サイト)をご覧ください。

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