2020年6月25日 (木)

クールビズ

分子生物研究室の上林です。

梅雨でジメジメした日々が続いていますが、もうすぐ夏本番ですね。

涼しい恰好に装いを変えていきたい時期ではありますが、その思いは動物たちもきっと同じでしょう。

そこで、今回は夏を迎えるにあたって装いを新たにした動物をご紹介します。

当研究室では現在ヒツジを3頭(全頭メス)飼育しています。

ヒツジから採取した血液は、様々なウイルスに対する血中の抗体価を測定する検査に活用されます。

感染症に関する研究・調査を進めるにあたって重要な存在です。

そんな彼女たちですが、先週までの様子がこちら

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すっかり毛が伸びてしまっています。暑そうですね。

こんな姿で栃木の夏は越せない!ということでこのたび3頭の毛刈りをすることとなりました。

ヒツジの毛刈りなんて観光牧場にでも行かないとなかなか見れませんので、我々も興味津々で見学させて頂きました。

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おとなしくお座りして受け入れていますね。我々素人ではこうはいきません。

動物に注射などをするときは「保定が8割」とよく言いますが、ヒツジの毛刈りでも当てはまりそうですね。

Image6みるみるうちに刈られていきます

Image51仲間を心配そうに見つめています。自分も刈られる覚悟を決めているのでしょうか。

そうこうしているうちに・・

ものの10分で一丁上がり!3頭あわせてもたった30分で終わってしまいました。

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Image1「ん~~、スッキリ!」といった表情でしょうか。

毛刈りしてからというもの屋外に出ている時間も増え、過ごしやすそうでなによりです。

血管を探すのに毎回苦労していた採血もバッチリです。

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しばらくはヒツジたちのクールビズ期間も続きますので、次回はまた来夏ですね。

2020年5月28日 (木)

大学紹介

臨床医学研究室の黒田です。

 本日は私が留学中のフランスの大学を紹介します。私は現在フランス南部のトゥールーズ市に在住しています。トゥールーズ市はガロンヌ川流域の都市で、人口47万人を持つフランス第5の都市です。美しい川とバラ色の都市と呼ばれるレンガの街並みが特徴的ですが、航空機メーカーエアバスの企業城下町でもあります。ですので、街のもう一つの名物として、イルカから名付けられた航空機機材を運ぶ大型の航空機、ベルーガがあります。

Photo_8        ガロンヌ川

Photo_9        ベルーガ

 留学先はÉcole Nationale Vétérinaire de Toulouse (国立トゥールーズ獣医学校)でトゥールーズ市の西側に位置する大学です。フランスにはパリ、ナント、リヨンと合わせて4大学しか獣医大学はなく、1学年は約120名、5年制を採用しています。今回はInnovations thérapeutiques et résistances研究室のAlain Bousquet-Mélou教授に留学を希望し、受け入れていただいています。研究室は、抗菌薬を中心とした薬物動態、耐性菌、食品衛生に関する研究を行っており、中でも抗菌薬の薬物動態を中心に学んでいます。

Photo_10        大学正面


 大学には乗馬センターが併設され、学生のみならず職員や研究者たちも乗馬を楽しんでいます。フランスらしく時間は自由で、研究の合間にちょっと馬に乗ってくるという感じです。都市内にありながら放牧地は広く、研究用の馬、牛、羊は昼夜放牧でのんびり暮らしています。また、大学内には警察騎馬隊の厩舎も併設されています。トゥールーズの中心部は歴史的な町並みで人気の高い観光地ですが、道が極めて狭く騎馬隊の役目はかなり重要とのことでした。

Photo_11        乗馬センター

Photo_12         放牧馬

 3月から2ヶ月以上続いていたフランスの厳しいロックダウンは徐々に緩和されつつあります。トゥールーズを含むオートガロンヌ県はパリなどと比較すると比較的患者が少ない地域ですが、それでもまだ県内に70人近い入院患者がおり、レストランなどの施設は開放されていません。ロックダウン中閉鎖していた大学の研究室も今週から再開していますが、学生の授業は秋までオンラインになると聞いています。私も早速挨拶に行きましたが、雑草が大変なことになっていますが、研究室の皆様も馬たちもみんな元気にしているようです。当分は人員を制限して実験を行うようで、私も午後のみの予定です。日本も緊急事態宣言が終了し、いよいよ緩和されていくと聞いております。何とか。世界的に改善して欲しいと願っております。    

低酸素トレーニング

運動科学研究室の向井です。

我々の研究室では、数年前から低酸素トレーニングの研究を進めています。低酸素トレーニングはヒトのアスリートでは数十年前から利用されており、研究も数多く実施されていますが、サラブレッドにおいては今までほとんど報告がありませんでした。

結論としては、4週間低酸素トレーニングをすると、サラブレッドの運動パフォーマンスや有酸素能力が大きく向上することが分かりました。ただし、うまく適応できる馬とできない馬がいるようにも感じましたので、応用する上ではその辺りをうまく見極め、オーバートレーニングにならないようにトレーニングの強度や量を調節していくことが必要かと思われます。

詳細については、2020年5月にPhysiological Reportsで公表されたこちらの論文(外部サイト)をご覧ください。 https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.14814/phy2.14442(外部サイト)

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2020年5月27日 (水)

馬の腸内フローラ

微生物研究室の丹羽です。

最近、腸内フローラという言葉を目にする機会が増えてきました。

腸内フローラは、腸内に生息する様々な細菌の集団を意味しますが、「フローラ」はローマ神話に登場する花と春の女神フローラに由来します。

ヒトでは腸は、第二の脳と言われるまでに様々な働きがあり、腸内フローラがその腸に様々な影響を与えていることがわかってきています。実験室レベルでの結果ですが、性格にも影響を与えるとか・・・

馬は、ご存知のように草食動物であり大腸に生息する細菌を利用して食べた植物を分解し、栄養源としています。まさに、腸内フローラ無くしては生きていくことはできない動物なのですが、肝心な腸内フローラについては研究が進んでいるとは言えません。

現在、微生物研究室では馬の腸内フローラとその乱れによって引き起こされるクロストリジオイデス・ディフィシル感染症の調査・研究を行っています。

Flora_rembrandt 花と春の女神フローラ(レンブラント作, ca. 1654)

2馬の腸内フローラを構成する細菌達。色や形も様々です。馬の腸を彩る花々に見えますか?

 

2020年5月25日 (月)

競走馬総合研究所 紹介ビデオ

 
企画調整室の小野です。


新型コロナウイルスの影響で県外への移動自粛が続いていますね。例年ですと4月に入社した新人獣医師が研修する時期なのですが、今年はまだ予定が立たない状態です。また、各所からの見学もお断りしている状況です。いろいろな方にお会いできるいい機会なのですが、残念で仕方がありません。


そんな中、あれこれ整理をしているとYouTubeのjraofficalチャンネルに『競走馬総合研究所 紹介ビデオ』がありました。3年前に公開されたものです。約30分間とやや長めではありますが、研究所では何が行われているかがわかる内容になっています。

Youtube

jraofficialチャンネルには、過去のGIレース映像やインタビュー動画なども掲載されています。ぜひご覧ください。

2020年5月12日 (火)

オンライン講義

分子生物研究室の太田です。

 
競走馬総合研究所の重要な役割の一つに「獣医学教育」があります。
今年も多くの研究所職員が,全国の大学の特任教授や非常勤講師を務めており,学位論文の指導や講義を担当しています。
私も5年前から東京大学5年生の「馬臨床学」の集中講義を担当しています。
 
当初は4月上旬の予定でしたが,COVID-19の影響で,昨日と今日の2日間,3密とは無縁の農学部附属牧場(茨城県笠間市)からのオンライン講義に変更となりました。
開始と同時に緊急地震速報が鳴り響き,波乱の幕開けでしたが,無事に終了することができました。
授業そのものは,動画に多少の制限があること以外は普通にできるのですが,ひとりポツンと3時間も画面に向かって話してるとグッタリします。
対面の講義だと,小ネタを入れても学生さんの反応が見れますが,オンラインだと滑ってる気がして,だんだんテンションが下がってきます。
オンラインのメリットもありますが,やはり1日も早く日常が戻ってくることを願うばかりです。

馬事公苑で活躍していた名馬がのんびり余生を過ごしていたり,生まれたばかりのクリオージョ(南アメリカ原産の品種)の仔馬がいたり,少しだけ癒されて帰ってきました。

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2020年4月 4日 (土)

総研の桜

 運動科学研究室の大村です。

先日、上野さんが紹介してくれた桜ですが

数日前に満開を迎えました。

研究棟の外からは、このように見えるんですよ。

毎年のことですが、とれもきれいに咲いてくれます。

今年は、なかなかお花見を楽しめるような環境ではありませんが

少し、美しい自然を眺めて癒されています。

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2020年3月15日 (日)

研究室の窓から

微生物研究室 上野です。

自席後方の窓からの眺めです。

手を伸ばせば触れられるほど近くに大きな桜の木があります。

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東京ではすでに開花しているようですが、こちらはもう少しかかりそうです。

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花芽の状態と今後の天候から、当研究所の開花日は ”今週平日” と予想しました。

ここは手堅く複勝で…。

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2020年3月 4日 (水)

動作解析

運動科学研究室の高橋です。

先日、東京マラソンで日本記録が出ましたね。東京オリンピックに向けて、各競技団体が競技成績向上のために力を入れていると思います。複数のメダルが期待される競泳では、プールの四方八方をカメラで取り囲み、泳いだ直後に自分のフォームを確認できる施設があるそうです。施設の総工費はなんと数十億円。これまでは決勝進出さえ手が届かなかった種目でも、メダルが狙えるところまで競技成績が伸びてきているのは、そんな施設面の後押しもあるのでしょうね。

写真は、ハイスピードカメラで競走馬のランニングフォーム撮影中の風景です。

トレーニングや成長によって、走り方がどう変わるかを観察しています。競走馬の場合、自分でフォームを確認して、修正することは難しいので、ヒトのアスリートのようにコーチングができるかはわかりませんが、近年の技術の進歩で、今までは解析できなかったことも、少しずつ分かるようになってきています。撮影した中から、世間を賑わすような強い馬が出てこないか楽しみです。

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2020年2月19日 (水)

馬コロナウイルス

分子生物研究室の辻村です。

この記事を執筆している2020年2月19日現在、連日にわたって新型コロナウイルスに関する報道がなされています。ヒトに感染するコロナウイルスは、これまで6種類が知られていましたが、ここに新たなウイルスが加わりました。一方で、ヒト以外の動物に感染するコロナウイルスも多く存在し、馬に固有のものとしては馬コロナウイルスがあります。馬コロナウイルスが馬の病気の原因となることが明らかとなったのは比較的新しく、2000年にアメリカで子馬の下痢便からウイルスが分離されたのが最初です。日本国内では、ばんえい競馬場の重種馬群において、これまでに3回の流行が報告されています。馬コロナウイルス感染症の主な臨床症状は、発熱、食欲不振、元気消失および消化器症状で、呼吸器症状との関連は低いと考えられています。なお、日本国内のサラブレッド馬群での流行はこれまでに報告されていません。分子生物研究室では、馬コロナウイルスの研究にも取り組んでおり、担当の研究員が日本獣医師会雑誌に解説記事を執筆しています(2018年第71巻第1号5~9頁)。

http://nichiju.lin.gr.jp/mag/07101/a2.pdf (外部リンク)

興味をお持ちいただいた方がおられましたら、ぜひご一読ください。