JRA総研サマースクールの受講生募集
企画調整室の小野です。
競走馬総合研究所では、例年夏休みのシーズンに獣医学を専攻する大学生を対象にサマースクールを開催しております。
本年は8月22日~5日間を感染症コース、8月29日~5日間を臨床コースとして開催予定です。募集期間は6月1日(水)~6月15日(水)で、家畜衛生・公衆衛生獣医師インターンシップ「VPcamp」を通じてご応募ください。
詳しくはVPcampホームページ(外部サイト)をご覧ください。

企画調整室の小野です。
競走馬総合研究所では、例年夏休みのシーズンに獣医学を専攻する大学生を対象にサマースクールを開催しております。
本年は8月22日~5日間を感染症コース、8月29日~5日間を臨床コースとして開催予定です。募集期間は6月1日(水)~6月15日(水)で、家畜衛生・公衆衛生獣医師インターンシップ「VPcamp」を通じてご応募ください。
詳しくはVPcampホームページ(外部サイト)をご覧ください。

企画調整室の小野です。
今年もやってまいりました羊の毛刈りのシーズン。
競走馬総合研究所では、ウマだけでなく、ヒツジを3頭飼育しております。
ウマの研究所なのに何のため?と思うかもしれませんが、ヒツジから採血した血液は、ウイルスに対する血中の抗体価を測定するために利用されています。感染症の研究には欠かせない存在なのです。
ヒツジの毛刈りに不慣れなわれわれだと時間ばかりかかって、ヒツジの安らかな生活に迷惑?をかけてしまいます。ですから、依頼して毛刈りしていただきました。

まずわれわれがなかなかできないのが、おとなしく捕まえることです。口元を素早く押さえてコントロール下において、姿勢を変えてしっかり保定されていました。あられもない姿ですが、少し後ろに倒れるくらいが、おなかを圧迫しなくておとなしくじっとしてくれているのだとか。

あっという間に刈られていきます。外は汚れていても、中はきれいでふわふわなクリーム色です。羊毛として使用する際は、脂も多いのでまず塩水で洗うそうです。
ヒツジの毛刈りですが、一般的に年に一度夏に向けて、肉用のヒツジは早めの3月~5月ごろ、羊毛用のヒツジは5~6月ごろ、子羊は毛が短くても熱中症予防のため7月ごろに刈るそうです。

見た目にもスッキリしましたね。
臨床医学研究室の福田です。
昨年、当ブログにて、私が今取り組んでいる多血小板血漿(PRP)治療の研究について簡単に紹介させていただきました。→こちらです!
先日、馬の屈腱炎治療のためにPRPを投与する機会がありましたので、簡単にレポートいたします。
競走馬の屈腱炎は不治の病といわれ、過去ではアグネスタキオン、クロフネといった多くの競走馬が引退に追い込まれています。
赤で囲まれた部分が腫れている屈腱部です。反対の足に比べて太くなっているのがわかりますか?
腫れている部分にPRP(黄色い液体)を注射器で注入しています。
PRPの投与が有効であれば、投与された部分を中心に新しい組織が再生します。
この馬は乗用馬なのですがまだ若く、この治療で腱の具合が良くなればまだまだ人を乗せて活躍できることでしょう。
今後の治療経過に注目しています。
微生物研究室 上野です。
当研究室は細菌などの微生物に関する検査だけでなく,病理検査も担当しています。病理検査では,病気の馬より採取した臓器・組織から作製した標本を用い,病変の形態学的な評価を行います。
今日は一般的な病理組織標本~ホルマリン固定パラフィン包埋(ほうまい)標本の作製方法について2回にわたり紹介いたします。
固定
採取された組織は,一般的には薬品による固定(化学的固定)が施されます。固定の主な目的は採取時の形状を保つこと,すなわち「自家融解や細菌による腐敗を防止すること」や「組織や細胞のタンパク質を変化させて形態や内部に含まれる物質を保存すること」にあります。通常はホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)を用いますが,目的によっては高濃度のアルコールも使用します。
切り出し
固定後の組織から検査に必要な部分を選択し,標本作製に適した大きさ・形にナイフで切り取ります(図1,2)。骨などの石灰化した組織は,そのままでは硬すぎて切ることができないので,カルシウムなどを取り除くための脱灰(だっかい)処理を事前に行います。

図1 ホルマリン固定後の採取組織(鼻にできたイボ)
上:表面からみたところ。
下:縦断面。この面を顕微鏡観察します。
図2 サンプル処理用カセット *蓋を外しています
取り間違えが無いよう,サンプル毎に個別のカセットに入れ処理を進めます。
包埋(ほうまい)
顕微鏡観察のためには極めて薄く組織を切らなければなりません。通常私たちは3-5 μm(1000分の3-5 mm)の標本を作製しています。固定処理でもある程度の“硬さ“は生じるのですが,レバニラ炒めのレバー程度の硬さであるので,そのままでは顕微鏡観察ができるほど薄く切ることはできません。そこで組織に適度な硬さを与えるための物質~パラフィン(蝋)を組織に浸透させます。パラフィンは水をはじく性質があり,固定後の状態のままでは組織に浸透しないので,アルコールによる脱水→アルコールとパラフィンの両者に親和性のある物質(キシレン等)による中間処理→溶融パラフィンの浸透と手順を進めます。細かくは数時間おきに十数段階の手順を要しますが,専用の機械が自動的に処理してくれます(図3)。パラフィン浸透が終わった組織は,溶融パラフィンと共に冷やし固めてブロック状にします(図4,5)。
図3 自動包埋装置
図4 パラフィン浸透が終わった組織
溶融パラフィンと共に所定の型枠に入れて冷やします。
図5 パラフィンブロック
冷やし固める途中で台座(サンプル処理用カセットを流用)を取り付けます。
*次回はパラフィン浸透組織の薄切(はくせつ)と染色方法についてご紹介します。
分子生物研究室の根本です。今回は子馬の下痢症の集団発生で検出された珍しいロタウイルスについて紹介します。
ロタウイルスはヒトの赤ちゃんや子馬に感染し、下痢などの消化器症状を引き起こすウイルスです。現在のところロタウイルスはA群からJ群に分類されており、ウマではA群ロタウイルスのみが下痢をしている子馬から検出されていました。しかし2021年の出産シーズン(2月から3月)に、アメリカの馬産地であるケンタッキー州において、初めてB群ロタウイルスによる子馬の下痢の集団発生がありました。なおB群ロタウイルスはヒトやウシ、ブタなどに感染することが知られています。
この流行で、下痢を発症した子馬は生後2-7日齢と非常に幼弱でした。農場によっては100%の子馬が下痢の症状を示したことから、非常に伝染力が強いことがわかります。一方、下痢を示した子馬の母馬は、下痢を示しませんでした。原因究明のため、ケンタッキー大学の研究者たちは、下痢便を電子顕微鏡で観察したところ、ロタウイルス様の粒子を観察することができました。しかし、子馬の下痢を引き起こす主要なウイルスであるA群ロタウイルスがリアルタイムRT-PCR法で陰性であったことから、さらに次世代シーケンサーによる遺伝子検査が実施されました。この遺伝子検査により、これまでウマでは報告のなかったB群ロタウイルスが検出されました。ロタウイルスの遺伝子は11つの分節に分かれています。今回子馬から検出されたB群ロタウイルスの11遺伝子を調べると、2つがB群ウシロタウイルス、9つがB群ヤギロタウイルスの遺伝子と最も近縁であることがわかりました。これらの結果から、今回のB群ロタウイルスはウシやヤギといった反芻動物のロタウイルスが混ざり合ってできたことが示唆されました。
しかし、どのようにして反芻動物からウマに感染したのか、いつからB群ロタウイルスが馬群内に存在しているのかなどは不明であり、今後の研究の進展が望まれます。これまで日本国内において、ウマにおけるB群ロタウイルスによる下痢症の発生報告はありませんが、子馬の下痢症の原因となりうることを念頭に今後は研究を進める必要がありそうです。
[参考文献]
Uprety et al., Identification of a Ruminant Origin Group B Rotavirus Associated with Diarrhea Outbreaks in Foals. Viruses 2021.13:1330.

A群ロタウイルス感染子馬の下痢症状
(JRA日高育成牧場 遠藤祥郎 博士 撮影、
Nemoto and Matsumura, J. Equine Sci. 2021. 32: 1–9.より引用)
こんにちは、イギリスに滞在している臨床医学研究室の田村です。
前回、Royal Veterinary College (RVC;王立獣医大学) は競走馬との関係が深いことを紹介しました。今回はRVCの構内にある馬に由来があるものを紹介します。
写真は中庭にある彫刻です。作品のタイトルはDuncan's Horses。シェイクスピアの戯曲The Scottish playに登場するダンカンという人物に由来するそうです。もともとRVCの学生であり、その後に著名な彫刻家となったAdrian Jonesが1892年に作製した作品の復刻版です。彼はPeace in her Quadrigaという馬の彫刻も作製しており、ロンドン中心部に展示されています。どちらも馬の表情や筋肉の表現が精巧であり、力強い印象のある作品です。
Duncan's Horses
他にも、競走馬の名前が付けられている建物があります。
これまでのブログで紹介したEclipseの名は、RVCの最も大きい建物に名付けられています。この建物の中にEclipseの骨格標本が展示されています。
Eclipseは研究施設、スタッフ居室の他に
カフェも入っている建物に名付けられている。
また、他の研究施設の一つにはMill Reefという名前が付けられています。1968年に生まれたMill Reefは英国ダービーや仏国凱旋門賞を勝利し、その後も種牡馬としても活躍した実績があります。
Mill Reefは研究施設の名称になっている。
こちらのスタッフ居室となっている施設はKalanisiです。1996年に生まれたKalanisiは、英国チャンピオンステークスや米国ブリーダーズカップ・ターフの優勝馬です。出走したレースの全てで3着以内に入る優秀な競走馬でした。
Kalanisiはスタッフの居室施設の名前となっている。
建物に名前を付ける際の選考基準を聞いたのですが、誰も当時の経緯が分からないそうです。ただ、RVCの学生やスタッフは、いずれもこれらの歴史的名馬のことを良く知っており、現在に至るまで語り継がれています。
こんにちは、運動科学研究室の吉田です。
2月の北京オリンピック、日本勢の活躍で大いに盛り上がりましたね。
中でもスピードスケートの髙木美帆選手、金メダルを含む4つのメダル獲得は素晴らしい記録でした。
そんな髙木選手のスピードスケートと競馬、なかでもナリタブライアンとの接点を探してみました。
○ ナリタブライアンの成績(それぞれの距離の最終走)
3200m(芝) 3分18秒2 96年 天皇賞(春) 2着
1600m(芝) 1分34秒4 93年 朝日杯3歳S 優勝
1200m(芝) 1分08秒2 96年 高松宮杯 4着
○ 髙木選手の成績(北京五輪)
3000m(氷) 4分1秒77 6位入賞
1500m(氷) 1分53秒72 銀メダル
1000m(氷) 1分13秒19 金メダル(五輪新)

競馬とスピードスケート、全く違う競技ですが、その距離設定・スピードはとても近いものがあります。競馬場(1周約1600m)に比べかなり小さい400mというコースを周回しながら、髙木選手は競走馬に近いスピードで走り続けていたのですね。
一方クラシック三冠のナリタブライアンですが、引退した5歳(旧6歳)時には3200mのGⅠレース後、たったの1か月で1200mのGⅠを走り、それぞれ上位に入賞してみせました。
今でも「最強馬」に推すファンも多いナリタブライアン、北京での髙木選手の活躍に重ねてしまうのはちょっと無理がありましたでしょうか?


一方、競馬の短距離戦(1200mなど)を陸上競技の100m、長距離戦(3200mなど)をマラソンになぞられたりすることがありますが、これにはかなりの無理があります。スポーツを分類するときはその競技時間から比較するのが良いようです。関連記事「競馬は陸上競技の中距離走」を以下に掲載していますので興味のある方はご覧ください。
こんにちは。微生物研究室の越智@ルイジアナ州です。
日本では春のG1シーズンが始まりました。ご存知の通り,私の留学しているアメリカも競馬の盛んな国です。ルイジアナ州には,Fair Grounds Race Courseがあります。この競馬場は1838年に開場し,現存する競馬場としては米国で2番目に古い競馬場として知られています。今回, G2ルイジアナダービー(3歳,ダート9.5ハロン)を見るべく,弊社ニューヨーク事務所の職員と同競馬場に赴きました。ルイジアナダービーは,G1ケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズにカウントされており,過去の勝ち馬がケンタッキーダービーで好走することも多いようです。
ダービーの日はドレスコードが設定され,多くの人がドレスアップしている
ルイジアナダービーのレイ。ケンタッキーダービ同様,バラの生花で作られている
以前に紹介したように,当研究所の獣医職職員は競馬場での業務も担当しています(ブログ(外部リンク))。初めてみたアメリカの競馬・競馬場は,本会とは異なるところもありとても楽しめました。
事故救護用の救急車(奥)とピックアップトラック(手前)。トラックには,万が一に備えて遮蔽幕が常備されている。
パドックでマイクロチップを読み取る係員(左側)
上の写真↑をクリックするとgoogle drive(外部サイト)につながり動画が再生されます。
ファンファーレは途中からジャズの名曲に(各レースで異なるアレンジのようです)
臨床医学研究室の三田です。
ウマの臨床現場で遭遇する細菌感染症では抗菌薬を用いて治療することが一般的です。
抗菌薬の投与方法は色々ありますが基本的には血流を介して抗菌薬を病巣に届けられるかがカギになるため、外傷などで組織に空隙がある場合や骨折手術の螺子やプレート周囲など血流が乏しい部位では感染制御が難しくなることがあります。
そこで近年ヒトの医療で注目されているのが軟部組織内抗菌薬還流療法(intra-Soft tissue Antibiotics Perfusion〔iSAP〕)です(イメージ図参照)。これは高濃度の抗菌薬を皮下などの感染巣に持続的に注入するものです。
この方法では血流が乏しい部位に対しても抗菌薬を作用させることが可能となるばかりでなく、全身投与では到底達成できないような高濃度の抗菌薬を作用させることができるため低濃度の抗菌薬で死なない細菌に対しても有効となる場合があります。
画像はiSAPのHPより引用させていただきました。
(https://www.ismap-clap.com/isap(外部サイト))
ウマでこの治療方法を応用するためには課題が多いですが実現すればより早期に感染コントロールができる可能性もあるので注目の治療法として紹介しました。
こんにちは。微生物研究室の越智です。
現在,私は解剖病理学の研修のために米国・ルイジアナ州立大学にいます。ルイジアナ州は,アメリカ南部のメキシコ湾に面しており,2月でも比較的温暖だと聞いていましたが,実際には最低気温20℃の日の翌日に最高気温が10℃になる日も多く,体調管理に気を遣う日々です。
私の所属先は,ルイジアナ州立大学獣医学部 Louisiana Animal Disease Diagnostic Laboratory (LADDL)です。LADDLは同獣医学部の診断施設であるだけではなく,ルイジアナ州およびその周辺地域からの依頼を受けてさまざまな検査,調査や研究を行っています。日本に置き換えると,獣医学部(学科)の研究室が家畜保健衛生所の機能をかねているようなイメージです。そのため,毎日多くの病理解剖やバイオプシー(病理組織診断)が行われており,病理医にとっては夢のような環境です。このような環境で1年間勉強ができることをとても楽しみにしています。(アメリカは狂犬病発生国ですので,十分に気をつけるようにと最初に説明されました。大学生の時に受けた狂犬病ワクチンが初めて役に立っています。)
私の通勤ルートには,Tiger stadiumというアメリカンフットボール専用の超巨大スタジアムがあります。約10万人の観客を収容でき,収容人数では世界9位の規模です。コロナ禍が収まり,このスタジアムでアメフトを観戦するのも楽しみの1つです。
タイガースタジアム@ルイジアナ州立大学