2024年11月14日 (木)

種牡馬に関する講習会に参加してきました。

皆さん季節の変わり目ですが体調はいかがですか?

筆者は見事に風邪をひき絶賛ひどい鼻声です。

本題ですが、去る11月6日(水)にJBBA静内種馬で開催された種牡馬に関する講習会に、種牡馬に関する知見を深めるため参加してきました。

講師は米国ケンタッキー州で種馬場専属の臨床獣医師として勤務し、種牡馬の飼養管理や専門医療のほか人工授精関連の研究等にも携わっているDr.Charles Scoggin獣医師(ROOD&RIDDLE EQUINE HOSPITAL)でした。(英語であいさつしてみましたが全く話せませんでした。。。)

午前の座学では種牡馬の管理法だけでなく米国での種牡馬種付け回数増加の懸念点など興味深い話がたくさん聞けました。午後の実習では精巣、副生殖腺のエコー検査を実施し、筆者も講師指導のもと練習させてもらいました。

70名もの参加者(獣医師、種馬場関係者)で、1日を通して活気あふれる講習会であったのと、馬生産地のたくさんの獣医師が集まる場でもあり、講習会の内容に限らず様々な情報交換の場となっておりました。

馬繁殖の研究対象として、繁殖牝馬だけでなく種牡馬側にも視点を広げ、外部組織と協力しながら研究してみたいなと感じた筆者でした。

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2024年11月 7日 (木)

実践研修プログラム(直腸検査体験)

日高育成牧場ではJBBA軽種馬経営高度化指導研修事業の一環として、日高育成牧場の職員が講師となり、競走馬の生産、育成に従事している方々に向けて、実際に繁殖馬、子馬、育成馬を活用する研修を行っております。

研修内容も研修生と相談の上、希望に沿ったものを随時行っているところですが先日、直腸検査(繁殖検診)の体験希望がありましたので講師をさせていただきました。

基本的に馬の直腸検査は獣医師が行うので研修生に必要な技術ではありません。しかし、私が日高育成牧場にきて2年、毎年のように数グループで直腸検査体験の希望があります。

直腸検査の最も大きな目的は「種付けタイミングの判断」です。

研修では卵巣や子宮の触診、そして超音波検査で得られる所見を種付けに向けてどう解釈していくか実演しながらレクチャーしています。そしてその後、研修生の方々にも実際に直腸検査をやってもらいます。

多くの方が体験後に「わけわかんない!」、「難しい!」と言うのと同時に「獣医さんはこんな難しいことをやっていたんだ!」と言って下さる研修生もちらほら。

 この研修を通して繁殖検診時に獣医師が何をしているのか、何を考えているのかを知っていただくことで、牧場と獣医師の意思疎通も深まるのではないかと考えています。

また、獣医師でなくとも馬繁殖の知識レベルが上がることで、日本の良い馬づくりの一助になればいいなと思っています。

 

(講師をしていて今回の写真が撮れませんでした。参考までに獣医学生の研修時の写真です。)

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2024年5月 7日 (火)

暖かくなってきました🌸

 最高気温が15℃を超える日も増え、放牧地の草も青々としてきました。馬たちにとっても、わたしたち人間にとっても過ごしやすい季節の訪れです。

 4月13日にミスミズ2024(牡:父アニマルキングダム)が誕生し、今シーズンすべての分娩が終了しました。子馬は破水から15分経たずに娩出され、介助要らずのスムーズな分娩となりました。全頭無事に分娩を終えることができ、安堵しています。

 2月、3月に誕生した子馬たちは広い放牧地での昼夜放牧を開始し、子馬同士で遊ぶ姿も見られるようになってきました。社会性を身につけはじめ、こころもからだも成長しています。元気に大きくなりますように!

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分娩1時間後のミスミズ親子

P4281574 満開の桜の下、爆睡中

24_2 遊ぼう!!

2024年2月16日 (金)

2024年JRAホームブレッド第1号

今年は北海道も稀にみる暖冬のようで、日高育成牧場も例年より雪が少なく雪好きの筆者としては少し残念な今日この頃です。

分娩予定日より2週間早く2024年JRAホームブレッド第1号が無事誕生いたしました。可愛い栗毛の女の子です。元気に丈夫に育ってもらいたいですね。

子馬が生まれ、親子の管理、そして種付けに向けた繁殖牝馬の管理等々、体も頭も忙しくなってきました。今シーズンも馬生産頑張ります!

P2151450_2 「まだお眠です。」

P2151466「はい!ひょっこりはん!」

P2151478「一時休憩」

P2151471「私の子供!」

2024年1月 5日 (金)

JRA育成牧場管理指針-生産編-(第3版)発刊のお知らせ

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。本年もJRA日高育成牧場をよろしくお願い申し上げます。年が明け1歳になったホームブレッドは、昼夜放牧を通して心もからだも日々成長しています。妊娠馬は昼夜放牧から昼放牧に切り替え、2月上旬から幕開けとなる分娩シーズンにむけて、準備を整えているところです。

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 さて、日高育成牧場ではJRAホームブレッドを活用してサラブレッドの生産および育成に取り組み、調査・研究や技術開発を行っています。2010年には「JRA育成牧場管理指針-生産編-」として成果を取りまとめ、生産地における講習会で使用する普及用参考書として活用してきました。

 このたび本指針を改訂し、第3版を発刊いたしました。繁殖牝馬や子馬の管理に関する最新の知見を追加するとともに、動画への二次元コードを掲載し、これまで以上に活用しやすい内容となっております。引き続き、生産・育成の参考書として利用いただけますと幸いです。JRA HPに冊子PDFを公開しておりますので、ぜひご活用ください。

 (リンク先:https://jra.jp/facilities/farm/training/research/ )

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2023年12月 7日 (木)

スプリングキャンプ参加者募集のお知らせ

 日高育成牧場では獣医学生の皆さんに馬産地における馬獣医師について知っていただくため、春と夏の年に2度、実習を開催しています。現在、来春の実習参加者を募集しております。

 繁殖シーズン真っ只中に開催するスプリングキャンプでは、繁殖牝馬と生まれたばかりの子馬を中心に取り扱い、生産現場の概要や獣医療について学んでいただきます。分娩の立ち会いや2歳馬の育成調教の見学などを通して馬産地の概要について幅広く知ることができる実習です。馬の獣医療に触れる数少ない実習であり学生にも大変好評で、参加者からのちに職員となった者もおります。過去の実習の様子については過去記事(以下URL)も併せてご覧ください。本実習はVP camp事業として開催するため、詳細はVP campのHPをご確認ください。

 ご興味のあるお知り合いがいらっしゃいましたら、ぜひお伝えいただけますと幸いです。

 

2023年開催:https://blog.jra.jp/kitanoheya/2023/04/post-a2bd.html

2019年開催:https://blog.jra.jp/kitanoheya/2019/03/post-f0b6.html

 

2024年スプリングキャンプ

【実習日程】2024年3月18日(月)~22日(金) 集合3/17 解散3/23

【参加条件】獣医学科3~4年次

【募集人数】6名

【応募方法】VP camp HPにて詳細を確認の上、専用フォームよりご応募ください。

 応募者多数の場合は書類選考を実施いたします。

        https://www.vetintern.jp/project/jra-hidaka/

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【応募締切】2023年12月20日(水)

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2023年11月24日 (金)

強い馬づくり講習会開催しました。

雪虫の大量発生に続き、急に気温も冷え込んできた今日この頃ですが、皆様冬支度はばっちりでしょうか?

さて、当研究室では、強い馬づくりのための生産育成技術講座という馬産関係者向けの講習会を毎年行っており、今年は4年ぶりの対面形式で門別、浦河の2会場で開催し、総勢216名と多くの方にご来場いただきました。

演題は「新しい乳母付け法」、「難産の管理」、「若馬の腰痿」、「マメ科牧草の草生割合がマメ科採食割合に及ぼす影響」と様々なテーマを用意しました。閉会後にも演者は多くの質問者に囲まれ、非常に活発な講習会になったと考えております。筆者も演者の一人でしたが、参加者の方々の質問から逆に学ぶこともあり、非常に勉強になった2日間でした。参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。

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2023年10月25日 (水)

胚移植による生産馬誕生

 胚(受精卵)移植によって生産された馬が誕生しましたのでご紹介いたします。

 胚移植とは生殖補助医療技術のひとつであり、代理母出産ともよばれます。馬の場合はドナー(胚提供馬)が本交配や人工授精によって自らの子宮内で胚を生産したのち、その胚を回収してレシピエント(代理母)へ移植します。

 ドナーとなったのは2023年現在17歳になるオランダ混血種(KWPN)の牝馬(写真1)です。2020東京五輪の総合馬術競技リザーブ馬になるなど高い能力を有していましたが、怪我によりハイクラスの競技会からは引退しました。現在は日高育成牧場で胚移植技術の実践に供しています。

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写真1. ドナーとなった牝馬

 昨年10月、このドナーから一度にふたつの胚(いわゆる二卵性の双子)を回収、それぞれひとつずつ2頭のレシピエントへと移植し、順調に妊娠を継続してきました。

 2頭ともに9月20日が出生予定日でしたが、1頭(写真2)は9月13日に、もう1頭(写真3)は10月4日に誕生しました。血統的には同じ両親から生まれた全兄弟である2頭ですが、レシピエントの違いからか出生には3週間の差が生じ、出生時体重もそれぞれ42kg、50kgと差がありました。毛色や白斑にも違いがあり、血統の奥深さを感じます。


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写真2. 9月13日生まれの子馬

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写真3. 10月4日生まれの子馬

 サラブレッド生産時期と比較すると暖かく青草も豊富なため、生後早いうちから放牧時間を長くした管理を実施しています(写真4)。寒くなるこれからの季節に備えて、サラブレッド生産とは異なる飼養管理方法について模索しているところです。この馬たちの成長も楽しみにしていてくださいね。

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写真4. 少しずつ距離が縮まってきた2頭

2023年9月28日 (木)

ドローン飛行

 近年スマート農業とよばれる農業の効率化や簡略化の観点からドローンやAIを活用した草地管理が注目を集めており、植物の育ち具合や肥料をどれくらい与えたらいいかの推定、さらには放牧牛の健康管理など様々な活用法が研究されています。

 日高育成牧場においても、放牧地の植生(イネ科やマメ科、その他の草がどのような割合で生えているか)に関する研究のため、無人航空機(ドローン、写真1)飛行を行いました。3.5haの放牧地について、撮影は20分ほどで終了し、450枚の写真を撮影しました。450枚の写真を組み合わせることで放牧地の全体像を得ることができます(写真2)。写真から草の分布、糞の位置などを検出し、放牧地の状態を把握しました。

 現在は牛での研究が盛んですが、馬の放牧地や採草地でもドローンやAIによって草地管理の省力化を図り、また馬の健康や発育の管理に活用すること目標に調査してまいります。

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写真1. ドローン(重さ950g)

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写真2. 450枚の写真を組み合わせてできた放牧地の全体像

2023年9月 6日 (水)

JRA日高サマーキャンプ2023開催!

この夏、札幌競馬開催のための滞在出張で美味しいものを食べすぎ、見事に3kg程太ってしまった筆者です。季節は食欲の秋に移っていきますが一旦ダイエットします。

さて、8/21~8/25の5日間、当牧場で獣医学生を対象としたJRA日高サマーキャンプ2023が開催され、約5倍の応募者の中から選ばれた6名の獣医学生が全国各地から集まりました。

研修では、馬生産地、馬繁殖学、栄養学、運動器疾患などの講義、直腸検査実習や乗馬体験、そして馬のセリ(北海道市場サマーセール)の見学など、馬生産地ならではの研修内容で貴重な経験になったのではないかと思います。

今回の研修で馬獣医師に興味を持っていただき、将来、馬獣医師になる学生が増えてくれることを願っています。

Photo_2座学

Photo_3親子の取扱い

Photo_4乗馬体験

Photo_5直腸検査

Photo_6下肢部の検査

Photo_7日高育成牧場展望台

Photo_8北海道市場サマーセール