育成馬ブログ 生産編④ 「その3」

実践研修プログラム

 

現在、当場ではJBBA高度化研修事業の一環として、「実践研修プログラム」を実施しています。ご好評をいただいた春期プログラムと同様に、今回も多数の申し込みをいただいており、すでに2グループ11名の方にご参加いただいております。

 

前回と同じく、ご参加者のニーズに合わせたプログラムを提供させていただいており、最初のグループは「1歳馬の取扱い方」、次のグループは「子馬の馬体検査とフットケア」に関する実習をメインに、いくつかの講義を組み合わせて実施しました。

Photo実習「1歳馬の展示」

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実習「歩様検査」

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実習「BCS検査」

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講義風景

 

ご参加者が少人数で気心も知れた間柄ということもあり、実習中のディスカッションはいずれのグループでも大変盛り上がりました。

 

以下に、ご参加者の声を紹介させていただきます。

 

「直接馬を見ながら、BCS、肢勢や蹄の話ができたことがよかった」

「コンフォメーションについてもっと詳しく知りたかったので、また来たい」

「うるさい馬でも、やり方1つでトリミングも簡単にできるということが初めてわかりました」

 

当プログラムにつきましては、現時点でも多数の申し込みをいただいておりますが、ご興味のある方は是非お気軽にご連絡いただければと思います。

 

 

【ご意見・ご要望をお待ちしております】

JRA育成馬ブログをご愛読いただき誠にありがとうございます。当ブログに対するご意見・ご要望は下記メールあてにお寄せ下さい。皆様からいただきましたご意見は、JRA育成業務の貴重な資料として活用させていただきます。

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育成馬ブログ 生産編④ 「その2」

BCSと定期的な馬体検査

 

当場では、BCS(Body Condition Score:ボディコンディションスコア)を毎月1回、3名以上の複数のスタッフでつけた平均点を出して、飼養管理の参考にしています。

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BCSは毎月1回、複数のスタッフで採点しています。

 

この毎月の検査では、BCSだけではなく、馬体全体のつくりや、肢勢、蹄形などを観察することで、給餌や削蹄の参考にしています。

この検査の重要なポイントは、子馬に毎日接しているスタッフ以外の「客観的な視点」です。

毎日接しているスタッフも、決して観察を怠っているわけではありませんが、毎日の微妙な変化には気づきにくい傾向にあります。このため、第三者の客観的な視点が極めて重要な「気付き」を与えてくれるのです。

 

なお、当場の当歳馬のBCSは、5.0~6.0を目標に管理しており、前回触れたとおり、4.9~5.3とやや低めではありますが、良好な馬体に保っています。

 

子馬の馬体をつくるうえで、「やや余裕がある馬」を理想にしている牧場がある一方で、「やや細め」で管理したいと考えている牧場もあると思います。

いずれの場合であっても、馬体重やBCSのような客観的な指標を用いることで、そのポリシーを具現化し易くなるのではないでしょうか。

 

なお、当場の当歳馬に対する給餌量は、10月末まではスタム1kgのみでしたが、徐々に朝晩の冷え込みが増してきたため、11月からエンバク1kgを追加して合計2kgに増量しています。

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ホームブレッド フローラルホームの14 牝 父サマーバード

182日齢 馬体重:244kg ADG:0.7kg/日 BCS:4.9(11月5日現在)

 

今年の冬も昨年同様、全頭の昼夜放牧を継続していくなかで、厳冬期におけるウォーキングマシンの効果を確認することを目的として、ウォーキングマシン実施群と未実施群に分ける実験を行います。

 

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育成馬ブログ 生産編④ 「その1」

ADGAverage Daily Gain1日あたりの平均増加体重)

 

現在、当場の当歳馬7頭は、場内で最も広い8haの放牧地での22時間の昼夜放牧を実施しています。

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1頭あたり1ha以上の放牧面積を有し、放牧草の状態も良好なため、当歳馬たちは順調に発育しており、10月末の時点でのADG(Average Daily Gain:1日あたりの平均増加体重)は0.9kg/日(全頭平均0.69~0.93kg/日)と理想的な発育を示しており、BCSは4.9~5.3とやや低めではありますが、良好な馬体を維持しています。

 

ADGは子馬の成長を観察するうえで、有用な指標の1つです。

生後から4ヶ月齢にかけては、1.3~1.0kg/日、その後12ヶ月齢までに0.5kg/日に徐々に低下していきます。当然のことながら、気温や放牧草の状況など季節に応じての変化が認められます。

 

ADGを算出する際には、計測間隔の設定に注意が必要です。

馬体重は日毎の増減のバラつきが小さくないため、数日もしくは1週間程度の短い

間隔で数値を算出しても、正確な値とは言えません。

このため、1ヶ月程度の間隔の馬体重を用いた方が、より有用な指標になると思います。

 

つづく

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育成馬ブログ 日高②

○  騎乗馴致、はじめました

 オータムセールが終了した北海道では、季節は秋から冬へと移り変わります。紅葉していた木々は葉を落とし、朝夕の気温が10℃を越えることも殆どなくなりました。まもなく訪れる冬に向けてあわただしく準備が進む日高育成牧場から、育成馬の近況を報告します。

 

オータムセール購買馬の入厩

 HBA北海道市場で開催されたオータムセールにおいて、JRAは2頭の牝馬を購買しました。10月10日にこの2頭が日高育成牧場へ入厩し、当場には今季育成する59頭(市場購買馬52頭、JRAホームブレッド7頭)が揃いました。オータムセールで購買した2頭は、今月20日まで環境に慣らしたのちに騎乗馴致を開始していく予定です。

 

育成馬の近況

 今季の騎乗馴致も、例年通り全59頭を3つの群に分けて実施しています。9月8日から開始した第1群(牡23頭)の騎乗馴致は全馬無事に完了し、現在は800m屋内トラックにおいて速歩1周・駆歩2周程度の調教を行っています。9月29日に開始した第2群(牝22頭)は装鞍してのランジング・ドライビングをじっくり行いつつ、馬房や外での騎乗に徐々に慣らしている段階です。オータムセール購買馬を含む3群は現在、騎乗馴致をスムーズに行えるようにプレ馴致(引き馬や手入れの練習、タオルや「ストラップ」と呼ばれる馴致道具を使って慣れさせる作業など)を行いながら人との信頼関係づくりに励んでいます。

 長いこと馴致を続けていると、扱いやすい馬が年々増えていることに気付きます(10年前には馴致がこれほど順調に進められるようになるとは思いもしませんでした!)。これは、生産牧場で産まれてすぐからしっかり手をかけていることや、育成牧場やコンサイナーにおける馬の取扱い技術が向上したためだと思います。日本の生産育成技術は非常に高く、年々向上していることを肌で感じます。

20141010 JRA日高育成牧場 調教風景(縦列調教)
YouTube: 20141010 JRA日高育成牧場 調教風景(縦列調教)

動画1.誘導馬を先頭に速歩・駆歩調教を行う第1群(牡馬)の調教状況。この日は前を走る馬にぴったりついて行き、後ろでしっかり我慢させる縦列調教を行いました。全馬落ち着いて調教できています。

BTC研修生の馴致実習

 日高育成牧場ではBTC(軽種馬育成調教センター)研修生の馴致実習を受け入れており、現在32期研修生19名が実践研修に励んでいます。彼らは3週間という短期間でランジングの方法やローラーの装着、ドライビング、そして騎乗に至るまで一連の馴致過程を学びます。はじめて扱う育成馬に動揺しながらも日々着実に成長していく今後の競馬界を担う若者たち。競走馬になるJRA育成馬で得た経験は、優秀なホースマンになる上での大きな財産になることと思います。

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写真1.育成馬を用いた騎乗馴致の実践研修。研修生たちは育成馬の取扱いや馴致方法を学びながら日々成長していきます。写真はドライビングを行う研修生とバクシンスクリーン13(牡、父:ヨハネスブルグ、JRAホームブレッド)

「セリと育成馬を知ろう会inひだか」 の開催

 今年もHBA北海道市場が主催するイベント「セリと育成馬を知ろう会inひだか」が開催されました。イベント2日目となる10月9日には5名の馬主関係者の皆様に当場までお越しいただき、調教施設見学やJRA育成馬の馴致見学、育成馬を用いた「馬の見方」解説や注目育成馬紹介などを行いました。お越しいただきました皆様には、好天のもと育成馬の姿や騎乗馴致が行われる様子をご覧いただき、ご満足いただけたのではないかと考えております。遠路はるばるお越しいただきました皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。日高育成牧場では、みなさまのご来場をいつでもお待ちしています。成長したJRA育成馬の姿をご覧いただければ幸いです。

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写真2.イベントの最後にはホームブレッド7頭を含む当場の注目馬12頭を、比較展示の形でご覧いただきました。

 以上が日高育成牧場におけるJRA育成馬の近況です。10月中の毎週水曜日、日高育成牧場バスツアーでは「育成馬の馴致見学」を行っています。一般のお客様も騎乗馴致をご覧いただけますので、馴致も進み活気づいてきた当場にぜひ足をおはこびください!

 

 

育成馬ブログ 生産編③

離乳

 

日高育成牧場では、本年産まれたホームブレッド8頭の離乳を8~9月にかけて段階的に行いました。

 

概ね3月下旬から5月上旬に生まれた馬たちですので、遅い馬で5ヶ月齢、早い馬では4ヶ月齢での離乳になります。

 

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離乳:1回に2~3頭の母馬を間引きます。

 

離乳は、1~2週間隔で、2~3頭ずつ母馬を間引く方法で行い、昨年同様に「母馬役」として、空胎馬1頭を事前に導入しました。

 

この空胎馬は、比較的面倒見が良い牝馬で、離乳直後の子馬に対して哺乳を許容していました。もちろん、母乳は出ませんが、このような牝馬は性格的に乳母としても活用できるのではないかと考えています。 

離乳後の子馬の哺乳を許容する空胎馬
YouTube: 離乳後の子馬の哺乳を許容する空胎馬

 

全般的にスムーズに離乳をすることができましたが、GPSを用いて移動距離を計測してみると、興味深い結果を得ることができました。

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離乳前後の母子の移動距離(22時間 朝10:30~翌朝8:30)

 

母子2組について、離乳1ヶ月前と離乳直後の移動距離(22時間)を比較してみると、離乳前の子馬の移動距離はいずれも約10kmで、母馬の6~8kmと比較してやや長く、子馬同士で仲良く動き回っている様子を想像することができます。

 

それでは、離乳直後の移動距離は、どのように変化したのでしょうか?

 

離乳直後、子馬の移動距離は17~18kmに増えており、母馬を探し回っている様子を伺い知ることができます。

 

しかし、注目すべきは母馬の移動距離です。むしろ母馬の方が、子馬と引き離されたことに加え、異なる放牧地に移動したことも影響を及ぼしているのか、増加率は著しく、それぞれ75kmと100kmと、離乳前の10倍以上の距離を移動したことが確認されました。

 

離乳直前の雰囲気を見ていると、母子間の距離は離れており、それほど強い母性を感じさせるような行動も認められませんでしたが、やはり子馬と離れた場合には、強い母性本能を感じることができます。

 

子馬も母馬がいなくなり、移動距離は増えましたが、放牧地は変わらず、同じ群の他の母子が落ち着いているため、引き離された母馬ほどのストレスを感じなかったように見えました。

 

この結果からも、離乳に際しては、子馬の環境はなるべく変えない手法を用いることが、成長期の子馬のストレスを可能な限り抑制するポイントになるかと思います。

 

なお、母馬たちも、2、3日もすると落ち着きを取り戻し、新たな放牧地でゆっくり過ごしていますので、ご心配なく。Photo_3

育児を終えて、放牧地でリラックスする母馬 

 

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育成馬ブログ 日高①

○  育成馬の入厩とサマーセール(日高)

8月中旬を過ぎた北海道では空模様や鳴いている虫の音色などが少しずつ変化し、夏の終わりを感じさせられます。秋の気配が漂い始めたら長い冬はもう目の前、そんな日高育成牧場から育成馬の近況を報告します。

 

売却馬の活躍

本年売却したJRA育成馬達は6月からはじまったメイクデビューに続々と出走しています。8月20日現在、日高で育成した育成馬は4頭が5勝をあげています(宮崎は2頭が2勝)。この中にはオープン競走で勝利した馬やメイクデビュー競走で勝ち上がった馬、ブリーズアップセール時点で調教進度が遅れていた馬などが含まれています。関係者の皆様のご努力に感謝するとともに、今後のさらなる活躍に期待しています。

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写真1.クローバー賞(2歳オープン、芝1500m)に優勝した

トーセンラーク号(菅原泰夫厩舎、牝、父:アルデバランⅡ)

 

育成馬の近況

日高育成牧場 育成厩舎には7月にJRAホームブレッド7頭と市場購買馬8頭(セレクトセール:1頭、セレクションセール:7頭)の合計15頭が入厩しました。入厩日の昼放牧では初めて出会った仲間とお互いのことを探り合いながら疾走していた若駒たち。夜間放牧(夕方15時に放牧して朝8時に収牧)を開始して1カ月が経った現在は、3~5頭のグループそれぞれにボスが君臨して落ち着いて青草を頬張っています。

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写真2.放牧地で青草を頬張る牡馬たち。                                     

左からサイキョウロマン13(父:クロフネ)、アドバンスクラーレ13(父:アドマイヤムーン)、バクシンスクリーン13(父:ヨハネスブルグ)、ドリームニキハート13(父:ケイムホーム)。この群れのボスは圧倒的なしつこさを見せたサイキョウロマン13です。

 

夜間放牧と併行して行うのが引き馬や手入れなどを行う「初期馴致」です。初期馴致は本格的な騎乗馴致がはじまる9月までにヒトと馬との良好な関係を構築するために実施します。以前は多くの時間を要した初期馴致ですが、近年は市場購買馬の多くが“コンサイナー”などの手によりきちんとしつけられているため、初期馴致の所要時間は年々短くなっています。10年前には入厩直後の馬をシャワーで全身洗浄するなんて考えられませんでしたが、最近では当たり前のようにできる馬が殆どです。日本の育成技術は年々確実に進歩しています。

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写真3.入厩翌日に全身をシャワーで洗われる牝馬たち。以前ならば想像もできないような光景です。

 

サマーセールと事前準備

8月25日から28日の4日間、国内最大の馬市場「2014サマーセール」が開催されます。現在、JRAでは育成馬を購入するための事前準備を行っているところです。 事前準備の内容はというと、セリ当日の下見時間だけではすべての馬を見終われないため、上場馬を預託しているコンサイナーの方々にお願いして事前に実馬検査をさせてもらうというものです。検査日程の大半が雨となった今年の検査ですが、日程調整が可能であった50以上のコンサイナーの皆様にご協力いただき、700頭超の検査を行うことができました。ご協力いただきましたコンサイナーの皆様、本当にありがとうございました。

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写真4.サマーセールに先立ち実施した事前検査。経験豊富な獣医・装蹄職員が購買候補馬の選定を行いました。

 

以上が日高育成牧場の近況です。9月に入るとサマーセールで購買した馬たちも揃い、本格的な騎乗馴致が開始されます。次回の同ブログではサマーセール購買馬の様子やブレーキングについてご報告したいと思います。

 

育成馬ブログ 日高

 

○  本年度最初の育成馬が入厩しました(日高)

去る7月23日、当ブログ(宮崎)で紹介したセレクトセール購買馬 アドバンスクラーレ13(牡、父:アドマイヤムーン、購買価格:1,620万円)が日高育成牧場に入厩しました。馬体重測定や特徴照合、アナボリックステロイド(AS)検査用の採血などを行ってから放牧地に出すと、新しい放牧パートナーであるバクシンスクリーン13(牡、父:ヨハネスブルグ、JRAホームブレッド)とともに元気いっぱい駆け回り、青草を頬張っていました。騎乗馴致がはじまる9月まで、夜間放牧を行いながら管理していきます。

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写真.広い放牧地を全力で疾走するアドバンスクラーレ13とバクシンスクリーン13

 

育成馬ブログ 生産編①続編

タテガミのトリミング

 

トリミングとは、自然の状態に伸びている馬の毛を抜いたり、カットしたりすることによって、身だしなみを整えることです。

 

セリや展示会などにおいては、きれいにトリミングされた馬は、見る人にスマートな印象をあたえます。

 

ポイントとなる部位は、タテガミ、耳毛、距毛(球節の後部の毛)および尾です。

 

特にタテガミは、競走馬の資質を見定めるうえで極めて重要な「首付き」(馬体に対する首の付き方)や「トップライン」(横から見たときの、うなじから背腰までの線)の印象に大きな影響を与えます。

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タテガミは「首付き」や「トップライン」の印象に大きな影響を与えます。

 

タテガミのトリミングの重要ポイントは

 

・長い毛を抜いて、適切な長さにそろえる

・ハサミでは切らない

・右側に寝かせる

・ブライダルパース(頭絡の通り道)をつくる

 

毛を抜くときには、最初にクシを通して、長い毛をつかみ、根元から抜きます。

ハサミで切りそろえると、不自然な状態に見えるので、推奨できません。

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長い毛をつかみ、根元から抜きます

 

タテガミのトリミング 
                     

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トリミング前(左)とトリミング後(右)

 

通常、馬体検査を実施する際には、最初に左側から観察して、馬体全体の印象を把握します。その際、前述した「首付き」や「トップライン」は重要な判断材料になるため、タテガミは、かならず右側に寝かせます。

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最初に左側から観察することにより、馬体全体の印象を把握する。

このため、かならずタテガミは右側に寝かせる。

 

タテガミが左側に寝る癖がついている場合、事前に三つ編みをすることで、右側に寝る癖をつけます。

1週間程編んでおくと、3~4日は癖をつけることができますので、セリや展示会前に逆算して実施すると良いでしょう。

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右側にタテガミを寝せるための三つ編み

最初にタテガミを水で濡らし、後方をヘアピンで留めると編みやすくなります。

 

最後に「ブライダルパース」とよばれる、頭絡の項革(うなじがわ)が通る部分を切りましょう。これにより、うなじ周囲のタテガミの手入れが容易になるとともに、頭部がスッキリ見えるようになります。

ハサミを前から入れて、前後の長さ5cm程度まで切ります。前髪が多い場合には、やや前から切り始めるとよいでしょう。

 

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ブライダルパース

頭絡の項革(うなじがわ)が通る部分を切ることにより、頭部がスッキリ見える

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ハサミを前から入れて5cm程度切ります。前髪が多い場合、やや前までカット。

 

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活躍馬情報(事務局)

先週日曜日の福島2R(2歳未勝利)において、JRA育成馬エリーティアラ号が優勝しました。同馬は日高育成牧場で育成され、2014年JRAブリーズアップセールで取引されました。 

今後のますますの活躍を期待しております。

 

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7月13日 2回福島競馬4日目 第2R 2歳未勝利 芝 1,200m 

エリーティアラ号(ペイルローズの12) めす

【 厩舎:武市 康男 厩舎(美浦) 父:ケイムホーム サマーセール購買 】

育成馬ブログ 生産編①

騎乗馴致をする人に馬をあずける前の心がけ

 

いよいよ1歳セリのシーズンが始まり、生産牧場やコンサイナーのみなさまはセリ馴致に忙しい時期、試行錯誤を繰り返しながら、子馬を育てている方も多いのではないでしょうか。

 

JRA日高育成牧場でも、個性的な性格をもつ若馬たちの育成に関する悩みはつきませんが、彼ら、彼女らを育てるうえで理想としているのは、「精神的、肉体的に健康な馬」です。

 

「精神的、肉体的に健康な馬」であれば、

人の指示に従うことができるため、

騎乗馴致や騎乗調教を円滑に実施することができ、

また、不必要な怪我や事故を可能な限り少なくすることができます。

 

さらに、多くの馬が自身の能力を100%発揮できずにいるなかで、

レース中もしくは調教中に人の指示に従うことができれば、

自身のパフォーマンスを発揮しやすいのではないかと考えています。

 

では、具体的にどのような方法を用いて育成していけばよいのでしょうか?

特に精神面について、そのヒントとなる興味深い記述を紹介します。

 

今から2300年以上前に、古代ギリシャの哲学者クセノフォンが書いた馬術書からの引用で、「騎乗馴致をする人に馬をあずける前のこころがけ」について触れています。

 

馬が人に対して穏やかで、人に慣れていて、人を好きになるように育てること

 

十分な飼料と水を与えて、虐待せずに手をかけてあげること

 

馬が好む場所を撫でてあげて、痛いところがあったなら、手当てをしてあげること

 

馬を群集に連れていき、様々な環境や雑音に慣れさせること

 

群集や雑音などを怖がるようであれば、人が落ち着かせてあげて、それらが怖くないことを教えること

 

 

この言葉は、古代ギリシャの騎馬隊に使用する馬の騎乗馴致に関するものですが、極めてシンプルで、現在の競走馬の育成にも通じる基本理念だと思います。

このように、2300年の長きにわたって風雪に耐えてきた言葉は、若馬を育てる際の1つの指針になるのではないでしょうか。

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バスツアー始まりました!

 

JRA日高育成牧場では、今月から、一般のお客様を対象とした場内の見学バスツアーが始まりました。

今年生まれた可愛い子馬たちをお見せするコーナーや、体験乗馬やポニーショーなどの特別企画もご用意しています。

皆様のご来場を心からお待ちしております。

(時期によって企画が異なりますので詳細は上記HPでご確認ください)

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                     子馬とのふれあいコーナー

 

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