厳冬期の子馬の管理(日高)

 昨年産まれた7頭の子馬は、年が明けて1歳馬となりました。

 年末の降雪と急激な気温の低下により、放牧環境がこれまでとは一変し、放牧中の移動距離や日増体重が減少していますが、今のところ、全頭大きな病気や怪我がなく順調に育っています。

 昨年までは、この時期の子馬を「昼夜放牧群」と「昼放牧群(ウォーキングマシンによる運動を実施)」の2つのグループに分けて、昼夜放牧による様々な影響を調査しました。 調査の詳細はこちら 

 本年については、厳冬期の昼夜放牧におけるウォーキングマシン(以下WM)の効果を調べるために、WM実施群と未実施群とに分けています。この調査により、「放牧中の移動距離の低下」や「体重減少、体温低下、副交感神経の優位性など基礎代謝の低下」に対するWMによる運動の効果について検討していきます。

  1月末現在の管理状況は以下のとおりであり、12月以降、増体重と移動時間の減少が認められます。 

放牧時間:午前10:30~翌朝8:30(合計22時間)

WM:30分間(時速6.0km、WM実施群のみ)

飼料:オールインワン飼料(ワンダーオリジナル)4kg

朝8:30 2kg(馬房内)、夕16:00 2kg(放牧地)

放牧地面積: 1頭あたり0.9~1.4ha

1日あたりの増体重:0.2~0.6kg(10~11月:0.8~1.2kg) 

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放牧地での1日あたりの移動距離

 

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昼夜放牧中のホームブレッド ビューテコマンダの13(10ヶ月齢 父ヨハネスブルグ)

繁殖牝馬にワクチン接種しましたか?(生産)

 繁殖牝馬を繋養されている皆様、ワクチン接種はお済みでしょうか? 

 妊娠後期におけるワクチン接種は、胎子そして産まれてくる子馬にとって極めて重要です。

 流産予防を目的とした馬鼻肺炎ワクチンの接種はもちろんのこと、産まれてくる子馬に対して様々な病原体に対する抗体を与えるために、馬ロタウィルス、馬インフルエンザ、破傷風などのワクチンを接種することにより、子馬の感染症を防ぐことができます。また、ワクチン接種以外にも、初乳を介して子馬に多様な抗体を与えるために、分娩馬房や子馬が利用する放牧地などに、妊娠馬を早めに導入することも効果的な子馬の感染症予防策となります。

 
 生後30日以内の子馬の12頭に1頭は、何らかの感染症にかかるといわれています。

 感染症を予防して元気で健康な子馬を育てましょう!

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日高育成牧場スプリングキャンプ2014(生産)

 この春、日高育成牧場は新たな試みとして、獣医・畜産系大学の学生を対象とした体験学習プログラムを企画しました。

 馬に興味がある方で、出産・育成、そして獣医学に関することを実技と講義を通して学ぶことができます。

 

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馬の出産立会い

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直腸検査の実技

 

詳細は下記をご覧ください。

【日程・期間】 3月24日(月)~3月29日(土)

※23日(日)、30日(日)が移動日です

          

【参加人数】  5名程度

※応募者多数の場合は書類等の選考により決めさせていただきます

 

【参加条件】  獣医・畜産学系の学部に在学中の大学生で2~5年生の方

※大動物、特に馬に興味のある方

※男性・女性どちらでもご参加いただけます

※受講料は無料ですが、期間内の食事・宿泊代は実費精算になります

(朝食300円、昼食500円、夕食700円、宿泊費500円、

洗濯代620円)

※宿泊は日高育成牧場の寮になります

※馬を相手にする研修ですので保険に加入することをお勧めします

【学習内容】

〇「ここでしか聞けない分娩のノウハウとは!繁殖のお話」

国内のサラブレッド生産の現状について丁寧に説明しながら、繁殖に関する講義や実習を行います。

〇「愛馬が快適な毎日を過ごすために!厩舎作業を体験してみよう」

馬に快適に過ごしてもらうために必要なこととは何か?!厩舎作業を通じて体で馬について学ぼう!当牧場で生まれた子馬達の世話を実体験してもらいます。

〇「よく遊び、よく食べ、よく寝る子は育つ!栄養のお話」

出生前から分娩、離乳期までの栄養管理と放牧管理の重要性をわかりやすく解説します。

〇「子馬に重篤な病気に陥りやすい!馬の病気について」

子馬は、成馬に比べると下痢や肺炎、出生後の状況などによる致死的な病気に罹患しやすく、病気の予防、診断、治療に重点が置かれます。生産地特有の馬の病気について十分に勉強し、獣医学の知識を深めます。

〇「強い馬を育てよう、若駒に夢を託して!日高育成牧場の仕事とは」

広大な軽種馬育成調教施設を所有し、競走馬の育成・研究業務を行っている日高育成牧場。その歴史や実際に育成馬を調教している施設の紹介、仕事内容や研究成果について分かりやすく説明します。

【応募方法】  

 受講希望者は大学の担当教官の承認を得た上(後日、所属校からの依頼書提出が必要なため)、以下の連絡先まで履歴書および受講希望の理由を同封の上、郵送にてご応募下さい。受講の可否はEメールにてご連絡いたします(履歴書に連絡先Eメールアドレスを記入して下さい)。※ご提供いただいた個人情報は、研修者本人及び当社研修担当者以外のいかなる第三者にも開示いたしません。

【あて先】

〒057-0171

北海道浦河郡浦河町字西舎535-13

JRA日高育成牧場 スプリングキャンプ申込係

TEL 0146-28-2084 (土・日・祝除く10:00~17:00)

【応募期間】 2月14日(金)必着

BTC利用者との意見交換会(日高)

●騎馬参拝

 日高育成牧場では、新年恒例の西舎神社での騎馬参拝で2014年の幕が上がりました。105年目となる本年は、午(うま)年ということもあり、例年よりも多い200人の参拝客でにぎわいました。浦河町乗馬クラブの会員やポニー少年団の子供たち、さらには参拝客全員で本年の人馬の安全を祈念しました。

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新年恒例の騎馬参拝で人馬の安全を祈念しました。

 ●厳冬期に突入

 前号では、昨年11月下旬から12月上旬にかけては、例年より寒さを感じさせる朝は少ないとお伝えしました。そして、それ以降も降雪は少なく、近年では珍しく積雪のないクリスマスを迎えました。しかし、冬は必ずやってくるもので、正月三が日で一面銀世界に景色が変わり、厳冬期に突入しました。さらに、小寒から大寒にかけての寒波では、通勤途中の車の外気温計がマイナス20℃を記録することもありました。

 日高育成牧場をはじめとする北海道の育成場の多くは、厳冬期の積雪や寒さに対応するため、屋内調教施設を所有しています。それによって、厳冬期においても馬の調教が可能となっています。それにもかかわらず、年に数回は、屋内馬場での調教後に行っている屋外でのクーリングダウンを終えた育成馬の“口ひげが凍る”という状況に見舞われることもあります。

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車の外気温計がマイナス20℃を記録した日には、屋外でのクーリングダウンを終えた後に “口ひげ”が凍っていました。

●BTC育成調教技術者養成研修生

 本年も小寒の頃の恒例行事となっているBTC育成調教技術者養成研修生の騎乗実習が1月8日から始まりました。本年の研修生は21名で、4月14日(月)に予定されている育成馬展示会までの約3ヶ月間、7名ずつの3班に分かれ、1週間交代でJRA育成馬を活用した騎乗実習を行います。

 騎乗実習開始時には初めて騎乗する若馬の動きに対応しきれないことも少なくありませんが、実習が進むにつれて著しい成長を成し遂げる姿を見守ることは、育成馬の成長と同様に我々の楽しみになっています。将来、研修生たちが育成牧場の最前線で仕事をする際に、この騎乗実習で得た経験が役立ったと思えるようにサポートしたいと思っております。

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BTC研修生(2および4番目の騎乗者がBTC研修生)の騎乗実習が始まりました。先頭からニシノボナリーの12(牡 父:バゴ)、ビービーシグナスの12(牡 父:ヴァーミリアン)、サニーハシレの12(牡 父:チーフベアハート)、メジロボンベイの12(牡 父:キャプテンスティーヴ)、アガーテの12(牡 父:エンパイアメーカー)。

 ●育成馬の近況

 JRA育成馬の調教は徐々に本格化してきました。1群の牡馬および2群の牝馬は、800m屋内トラックでの2400m(1周+2周、ハロン22秒まで)のキャンターをベースに、週2回は800m屋内トラックで2周キャンター(ハロン22秒)を実施した後に坂路調教(1本、ハロン20秒)を実施しています。また、週1回は800m屋内トラックでの3200m(2周+2周、ハロン22秒まで)のキャンターを実施しています。

 

13-14JRA育成馬 ブログ用調教動画
YouTube: 13-14JRA育成馬 ブログ用調教動画

 この時期の調教は800屋内トラックでの一列縦隊、および2列あるいは3列の隊列でのキャンターがベースとなります。①前に(Go forward)、②真っ直ぐ(Go straight)、③落ち着いて(Go calmly)走行させることを主眼としています。つまり、隊列の中で馬が落ち着き、騎乗者の扶助に応じるように調教を進めています。

●BTC利用者との意見交換会

 最後に、昨年12月に行われました「BTC利用者との意見交換会」について触れさせていただきます。今回は「初期教育の重要性 ~競走馬として能力を発揮するには~」というテーマに基づき、当場から「JRA日高育成牧場の騎乗馴致」および「馬の本能・心理を理解した取扱いとその調教」と題した話題を提供した後、BTC利用者の中から代表とし参加していただきました3名のパネリストの方々を中心に意見交換が行われました。

 経験豊富なパネリストの皆様は、それぞれの経験および方針を基に意見を述べられていました。それらは、今後の育成調教への参考になる意見が多く、非常に多くのことを学ぶことができました。毎年のことながら、このような意見交換の場がなければ、なかなか率直な意見を聞くことのできないため、このような機会は、技術向上を図る上で非常に有益であると感じられました。3名のパネリストの方々、および参加していただいた方々にはこの場をお借りして御礼申し上げます。

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「初期調教の重要性」というテーマに基づき開催された「BTC利用者との意見交換会」

ライトコントロール法(生産)

 「早期発情誘起」を実施するうえで、もっとも重要な役割を果たすのは、ライトコントロール法、すなわち、冬から春にかけての日長時間の延長を人為的に行う方法です。

 (実施時期)

 ライトコントロール開始から約60日で効果が認められることから、交配予定の2ヶ月前、つまり、2月からの交配を予定している場合は12月に開始します。

 妊娠馬も同様で、分娩1ヶ月後に交配を予定している場合には、分娩予定日の1ヶ月前から開始することが推奨されます。ライトコントロールによる妊娠期間短縮の報告もありますが、弊害についての報告はありません。

なお、たとえ受胎した場合であっても、ライトコントロールを終了してはいけません。妊娠を安定させるために、4月までは継続実施することが推奨されます。

 

(時間設定)

 冬至には、昼時間が1年で最も短い10時間になります。ライトコントロール実施時は、早朝は5 時30 分から7 時30 分まで点灯し、夕方は15 時30 分から20時まで馬房内の照明を点灯することで、昼14.5 時間、夜9.5 時間の環境を設定します(図1)。 

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図1.冬至におけるライトコントロールの実施例

 

(照明方法)

 照明は、60から100 ワットの白色電球、LED電球、蛍光灯でもかまいません。これを馬房天井の中央付近に設置します。明るさの目安は、新聞を読むことができる明るさと言われています。また、夜間は可能な限り暗くします。24 時間の照明は逆効果であり、一定時間の「夜」が必要で、明るい時間と暗い時間の明確な区分が重要です。 

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明暗のメリハリが重要!!

春季繁殖移行期に交配を行うために(生産)

  準備中のラーメン屋さんで、ラーメンを食べることができなくても、繁殖牝馬に対しては、「早期発情誘起」とよばれる方法で、春季繁殖移行期に交配を行わせることが可能です。

 早期発情誘起とは、早春の繁殖牝馬に対していくつかの刺激を与えて、繁殖期になったと錯覚させる方法です。

 その刺激は主に以下の4つが知られています。

 ①  光による刺激

 ②  温度による刺激

 ③  栄養による刺激

 ④  異性の刺激

これらを活用することにより、繁殖牝馬に対して春が来たと錯覚させることができるのです(図1)。

3_2     図1 4つの刺激

①は多くの方が実践されているライトコントロール法を用います。②は夜間放牧から昼放牧への移行や馬服着用、③はフラッシングとよばれる栄養供給量の増加、④は試情すなわち「あて馬」の継続実施などを用います。

「あて馬」による効果は科学的には証明されていませんが、馬産国アイルランドにおいては、経験的にこの方法が用いられており、空胎馬に対しては1月から毎日実施する方法が普及されています。

 北海道という寒冷地において早期発情誘起を行うためには、ライトコントロール以外の要素も軽視できない可能性があります。日高育成牧場では、これらの効果的な方法について、今後も調査研究を継続していく予定です。

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図2 アイルランドでは、継続的な「あて馬」

による早期発情誘起が実施されている。

早春における交配(生産)

 早春の2月から4月にかけて、

「なかなか良い発情がこない」「卵胞はあるけど、排卵しない」。

このようなことでお悩みの生産者の方は多いと思います。

 当場においても同様の悩みを抱えていますし、これはわが国だけではなく、世界中の生産者の悩みでもあるのです。

なぜなら、2月から4月のこの時期は馬にとっての「繁殖期」ではないからです。

本来、馬の「繁殖期」は4~9月です。

 馬は、11ヶ月間の妊娠期間を持ちますので、4~9月に交配することにより、

翌年の3~8月、すなわち、子馬を育てやすい、草が豊富に生い茂った時期に出産することを繁殖戦略としています。

 

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この戦略上、2~4月は本来の馬の「繁殖期」ではなく、「春季繁殖移行期」とよばれる、「繁殖期」に向けた準備期間と位置付けられます(図1)。

この期間、繁殖牝馬は、冬の間に停止していた卵巣の機能を徐々に回復させ、繁殖期に交配をするための準備を整えます。

 このため、この時期に交配を試みることは、きわめて困難と言えます。

例えるなら、開店前で準備中のラーメン屋さんに行って、ラーメンを食べようとすることと同じかもしれません。

では、この時期に交配することは不可能かというと、決してそうではありません。

1_4図1 馬の年間繁殖リズム

2_4春季繁殖移行期は、繁殖期に向けた「準備期間」です。

(次回につづく)

セリと育成馬を知ろう会 in ひだか(日高)

 日高育成牧場のある浦河では、10月に入ってから一雨ごとに寒くなり、10月17日には日高山脈に初冠雪を、浦河でもほぼ平年並みの11月11日に初雪を認めました。しかし、例年は11月下旬から最低気温が氷点下に達する日も珍しくなくなってきますが、今年はそれほど寒さを感じる朝は少ない気がします。一方、日高育成牧場内のエゾシカ達に目を向けると、いつの間にか袋角(フクロヅノ)から枯角(カレヅノ)へと角を完成させて繁殖期を終え、さらに夏毛から冬毛へと衣替えも終えており、気温以上に日照時間で季節を感じているためなのか、我々よりも早く冬支度を終えているように感じています。

 

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 写真1.エゾ鹿達も袋角(左)から枯角(右)へと角を完成させて繁殖期を終え、さらに夏毛(左)から冬毛(右)へと衣替えも終えて越冬の準備を始めています。

育成馬の近況

さて、3群に分けて騎乗馴致を進めているJRA育成馬の近況をお伝えいたします。9月上旬から騎乗馴致を開始している1群(牡馬21頭)は、800m屋内トラック馬場での調教実施時には、一列縦隊で1周した後、手前を変えて二列縦隊でキャンターを2周、合計2,400mのキャンターを行っています。また、1群の牡馬は11月中旬からBTCの1600mトラック馬場においても1周のキャンター調教を行っています。4月上旬に行われる育成馬展示会の調教供覧場所となるこの屋外コースは12月から3月までクローズされるため、展示会の馴致も兼ねて、F23~20程度のスピードで真直ぐ走行させることを目的として調教を実施しています。1600mトラック馬場のクローズ後は、週2回の坂路調教を開始しています。

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写真2.1600mトラック馬場ではある程度のスピード(F23-20)で前馬に頼らず真直ぐ走行することを目的としているため、前馬とは一定の距離を維持します。

また、10月初旬から騎乗馴致を開始している2群(牝馬22頭)は、800m屋内トラック馬場において二列縦隊でのキャンターが可能な段階にまで進んでおり、合計2,400mのキャンターを行っています。

一方、10月下旬から騎乗馴致を開始している牡と牝が混在する3群も800m屋内トラック馬場でのキャンター調教を実施できるまでになりました。特に3群はキャンターを初めて間もないため、競走馬の礎となる①前に(Go forward)、②真っ直ぐ(Go straight)、③落ち着いて(Go calmly)走行させることを主眼に置いて調教を進めています。

 

動画.11月最終週の1群の牡(前半の角馬場での速歩からトラックでの併走調教まで)および2群の牝(後半の角馬場での速歩から縦列調教まで)の調教動画。

※なお、ゼッケン番号とブリーズアップセール番号は異なりますので、ご注意ください。

 

セリと育成馬を知ろう会

ここからは、少しさかのぼって10月9日~10日にJRAの馬主の方を対象に開催させていただきました「セリと育成馬を知ろう会inひだか」についてご紹介いたします。この企画は比較的馬主歴の浅い方々に対して、「馬の見方の理解」「馬のライフサイクルの理解」「調教師との交流」あるいは「セリ市場での購買に向けた体験」をしていただくことを趣旨に、昨年に引き続き、HBA日高軽種馬農協主催のもと、JRA馬事部生産育成対策室および当場が協力する形で実施されました。

初日はHBAオータムセールにおいて、市場施設や上場馬の比較展示およびセリ風景を見学し、購買までの流れやレポジトリーに関する説明が行われました。そして、夜には馬主の方々と調教師との交流の場が用意されました。2日目は、広大な日高育成総合施設(BTC軽種馬育成調教センターが管理・運営)の見学、JRA育成馬(1歳馬)の調教の見学、「騎乗馴致」に関する講義、さらにはJRA育成馬を使用して、実際にセリでの「馬の見方」に関する説明が行われました。

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写真3.「セリと育成馬を知ろう会in ひだか」では、JRA育成馬を使用して「馬の見方」に関する説明が行われました

このような企画が、馬主の方々に「セリ市場に参加したい」あるいは「競走馬を所有したい」という意欲を持っていただくきっかけになるよう、今後も協力させていただきたいと考えています。なお、来年3月には「育成馬を知ろう会in宮崎」をJRA宮崎育成牧場にて開催予定です。お問合せは、JRA馬事部生産育成対策室までご連絡願います。

育成技術講習会 (生産)

10月30日および11月6日にそれぞれ美浦および栗東トレーニング・センターにおいて、育成技術講習会が開催されました。

今回の講習会は「海外で競馬を学ぶ-海外経験者が「世界の馬づくり」を語る」と題して、海外の厩舎や牧場で経験を積んだホースマンのみなさんによるパネルディスカッションを実施しました。

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パネリストのみなさんは、これまでの様々な経験をもとに、本当に多くの興味深い話をしてくださいました。

以下に、ディスカッションの中で印象に残った話を一部ご紹介します。

「アメリカの追いきりは、5ハロンを実戦なみのスピード(馬によっては58秒など)で走行させるタイム重視であり、指示タイムと1秒以上異なった場合には調教師から注意を受ける」

「短距離競馬が中心の香港においては、ゲートから多頭数で発進するなどスタート重視の追い切りが実施されている」

「イギリス・アイルランドにおいては、調教タイムは測定しない。走行時の馬の表情や蹄音などで状態を把握する調教師もいる」

「ヨーロッパのホースマンは、馬を褒めることが上手い。じっと立っているだけでも「よくできた!」と褒めている」

「アイルランドでは、調教で馬を乗ることを楽しむライダーが多く、大雨が降って冠水した際には、喜んで馬を水の中に入れたり、強風による倒木があった場合には、それを飛越したりもする」

「欧米各国の厩舎では、日本と比較すると乾草を多目に与えているところが多い。それでいて、馬が太くなるわけではない」

 

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トレセンや育成牧場のみなさんも大勢ご参加されて、積極的にご質問いただきました。

 

講習会の中でもお知らせしましたが、競走馬育成協会では「海外派遣研修制度」による海外研修の補助金助成を行っていますので、ご興味のある方はこちらのホームページをご覧ください。

http://www.ttda.or.jp/business/pdf/20131104.pdf

 

今後も多くの若い方が海外で馬づくりを学び、日本の競馬が益々発展することを願っています。

 

【ご意見・ご要望をお待ちしております】

JRA育成馬ブログをご愛読いただき誠にありがとうございます。当ブログに対するご意見・ご要望は下記メールあてにお寄せ下さい。皆様からいただきましたご意見は、JRA育成業務の貴重な資料として活用させていただきます。

アドレス jra-ikusei@jra.go.jp

 

小学生の牧場見学 (生産)

 

日高育成牧場では、人材養成事業の一環として、多くの学生の方の受け入れを行っています。

 

すこし前の話になりますが、近隣の小学校の生徒のみなさんの見学研修がありました。

 

本年生まれた子馬2頭を見せたところ、子供たちは、小学生らしく元気いっぱいに喜んで子馬と触れ合い、また、子馬たちもバスツアーなどで大勢の人に触れられることに慣れているため、落ち着いて立っていることができました。

 

また、馬の引き方もレクチャーし、「人が馬のリーダーとなること」「人の指示に従って歩かせること」を学んでもらいました。

 

今後も多くの方に当場を訪れていただき、馬と触れ合うことの楽しさを感じていただければと思っています。

 


 

 

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元気いっぱいの小学生に囲まれたホームブレッドの当歳2頭


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子馬の引き方も勉強しました