COLTISH?(宮崎)

年が明けて、若馬たちも2歳になりました。今はちょうど人間の「中学生」くらいに相当するのかなと考えています。そういえば最近、特に牡馬(COLT)は、顎が張ってきて男らしい顔つきになり、しぐさや態度も入厩した当時と比べて随分偉そうに振舞うようになってきました。中には、運動中に後肢のみで立ち上って群れでの優位性を誇示しようとするなど、行き過ぎた行動をとる馬も出てきます。これらは「第二次性徴期」に伴う馬の「反抗期」みたいなものなので、人間が馬に対して「マナー」を理解させる必要があります。一方、調教においては、体力がついたのか、徐々に力強く走るようになってきています。うれしいことですが、喜んでばかりもいられません。まだ、発育途中の完成していない身体であることを考慮すると、馬が走りたいスピードで走らせるのではなく、騎乗者が馬のスピードや姿勢をコントロールすることが重要となります。つまり、今の時期には速く走ることよりも、力をためて走ることのほうが必要だと思います。また、速く走ることを要求し過ぎることによるオーバーワークは、運動器疾患を引き起こすのみでなく、メンタル面での「反抗期」にもつながるので、馬の走り方を見ながら徐々に調教の量を増やしていくつもりです。

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牡馬の調教です。この日はキャンターを2本実施し、1本目は34頭単位で一列の隊列を組んで5Fを平均23秒程度で走行しました。先頭はサンドコロネットの05(牡・父アドマイヤコジーン)(18日)。

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2本目は、併走で5Fを平均20秒程度で走行するキャンター調教を実施しました。手前(向かって左側)はユーワソフィアの05(牡・父キャプテンステーヴ)、外はトップライナーの05(牡・父イシノサンデー)(18日)。

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調教終了後、1600m馬場内でクーリングダウンを行っている牡馬たちです(18日)。

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11月末に飛節OCD摘出手術を実施した2頭馬場入りを開始しました。手前(向かって左側)はケイウンクィーンの05(牡・父タヤスツヨシ)、外はダイモンジの05(牝・父キャプテンスティーヴ)(18日)。

南国の特権(宮崎)

冬の北海道になくて宮崎にあるもの・・・それは青草です。宮崎育成牧場では秋から冬にかけて放牧地にイタリアンライグラスの種をまくことで、エバーグリーンの放牧地を保っています。草食動物である馬の生理面を健康に保つためには、草を食べることは重要です。そのため、我々は調教後に短時間、草のある放牧地に馬を放しています。もちろん、放牧地で走れば怪我をするという心配もあるのですが、それ以上に草を食べさせることで馬をナチュラルな状態に保ちたいと考えています。まだまだ、育ち盛りの若い子たちなので「よく食べ、よく遊び」ながら、精神的・肉体的に健やかに成長してくれればと期待しています。

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手前はサチノヒロインの05(牝・父スペシャルウィーク)。(1215日)

12月末現在、牡は500馬場で準備運動(キャンター1000m)後に1600馬場で1100mのキャンターを2本(合計3200m:2本目F22秒程度平均)行うインターバル調教を週2回行っています。また、牝は精神的にリラックスして走れることを目標に併走調教で1500mのキャンターを1本(合計2500m:F26-25秒程度平均)実施しています

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1600馬場での併走調教です(1217日)。手前(向かって右側)はユーワソフィアの05(牡・父キャプテンスティーヴ)、外はベルキスの05(牡・父マーベラスサンデー)。

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これも、1600馬場での併走調教です(1223日)。手前(向かって左側)がラヴォイラの05(牝・父アラムシャー)、外はサチノヒロインの05(牝・父スペシャルウィーク)。

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Merry Christmas A Happy New Year!   午前中は育成馬に騎乗する職員も、午後からはサンタさんに変身して来場者に対するファンサービスを実施しました。馬もトナカイに変装したようです!?1224日)

ゲート馴致(宮崎)

12月になり、全馬同じ内容(キャンター1000m+1200m:ハロン25秒平均のペースで走行)で調教を行うことができるようになりました。まだ、物見をしたり、手前を変えるのが下手だったりするのですが、少しずつ速く走れるようにしたいと思っています。

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はじめて1群と2群が合流し、500m馬場での調教を実施している様子です(12月1日)

さて、この時期に、ひとつの課題を若馬たちに与えています。それはゲートの馴致です。宮崎育成牧場では、馴致時にドライビングで通過することから開始し、騎乗開始後も毎日通過して帰厩することを繰り返すことでゲートに慣らしていきます。徐々に広いところから狭いところを通過することに慣らし、競馬と同じように扉を閉めてゲート内で駐立、パーンと音をたてて扉を開き、常歩で発進するところまで教えています。一旦そこまで教えた馬は、その後常歩で通過することを毎日行います。実際の発馬練習は、来年春のトレセン入厩後に厩舎で行うことになるのですが、そのときに迷惑をかけないようにしっかりしつけをしておきたいと思っています。

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向かって左の43は幅の広い練習用ゲートです。競馬と同じ幅のゲート(21を通過できるようになった時点でゲート練習を開始します。Gate2

前扉を閉めた状態で馬をゲート内に入れます。馬はスイートマーサの05(牝・父キャプテンスティーヴ)(121日)

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後扉を閉めている様子です。駐立を確認した後、前扉を開けます。

集団での調教(宮崎)

競走馬にとって真直ぐ走ることは非常に重要です。我々は、初期の若馬に対して真直ぐ走ることを自然に教えるために、誘導馬(乗馬)を先頭に一列の隊列を組み、前の馬の後ろを遅れないようについていく縦列での調教を行っています。このような集団での調教は、馬が群れで行動することを好む性質を応用したものです。また、隊列の中で、騎乗者が正しいバランスを保ちながら、馬を「前に出す」「まっすぐ走らせる」および「落ち着いて走らせる」ことを考えながら騎乗することで、馬が正しいハミ受けを覚えると同時に、走るために必要な筋肉が良好に発育します。そうして、縦列の調教を続けていると、やがて馬に力がついてきて、走りたい気持ちがどんどん強くなってきます。中には前の馬を追い抜きたがる馬もいますが、騎乗者が馬の前進気勢をコントロールし、馬の後ろで我慢することを教えなければなりません。この積み重ねが、競馬において馬群の中で折り合いをつけるための基礎教育となっていくのです。

さて、騎乗馴致を開始して2ヶ月が経過しようとしています。1124日現在、第1群は500m馬場で1000m1600m馬場で1000mのキャンターを行っています (合計2000)。一方、第2群は500m馬場で連続した1500mのゆっくりしたキャンターを行った後 (合計1500m)、速歩で1600馬場に慣らしています。11月末には1群・2群合流して同じ調教内容になっていく予定です。

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誘導馬を先頭に一列での調教を行っています(第2群・1113日)。

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1600m馬場でのゆっくりしたキャンターを行っています。騎乗者は馬の背中の動きを邪魔しないように気遣いながらバランスよく騎乗しています(アトラスマーカーの05・牡・父ステイゴールド:1113日)。

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調教後の常歩も集団で行います。馬がリラックスしているので、歩幅も自然に大きくなります。

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調教後に必ずゲートを通過して帰きゅうします(先頭はレディフェアリーの05・牡・父アグネスタキオン:1113日)。

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【番外編】1116日、ニホンザルがきゅう舎に遊びに来ました。騎乗(モンキー乗り)を依頼しましたが、塀を乗り越えて街へ消えていきました。

韓国から研修生が来ています(宮崎)

プサン(釜山)競馬場所属の調教厩務員2名が、宮崎育成牧場で研修を開始しました。期間は10月から来年の3月までおよそ6ヶ月間の予定です。韓国のサラブレッド競馬はソウルとプサンの2ヶ所で行われています。その中でもプサン競馬場は20059月に開場したばかりの新しい競馬場で、これからの発展が大いに期待されています。そんな中、彼らもやる気満々でブレーキングをはじめとした実践研修に取り組んでいます。我々も、いい意味での刺激として受けとめ、育成に対するさらなる意識向上をはかっていきたいと考えています。

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研修生の李知勲さんとオロールの05(牡・父アラムシャー)。

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研修生の孫丙直さんとガラダンサントの05(牡・父アラムシャー)

さて、第111頭(牡6・牝5)112日から1600m馬場でキャンター調教を開始しました。現在は、500m馬場で3周キャンター実施後、1600m馬場で約34ハロン(1ハロン200)程度の距離をゆっくりしたスピードで、隊列を組んで前後左右の馬に慣らしながら、基礎体力および走行フォーム養成に主眼をおいています。なお、9月に入厩したサマーセール購買馬13頭(牡6・牝7)も順調にブレーキングが進んでおり、117日から500馬場での速歩調教を開始しました。

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1600m馬場での初めての速歩です(1028日)。

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馬場から出る前に整列している牡馬6頭です(写真右は誘導馬)。

順調に騎乗馴致が進んでいます(宮崎)

私たちは、鞍つけ馴致が終了した馬たちに対して、次のステップとしてドライビング※1を実施します。このロングレーン※2によるドライビングの重要なポイントは、御者が後方から前進気勢※3を与えて馬を動かすという点です。つまり、騎乗者の体重負荷がない状態であたかも手綱のようにロングレーンで馬の口(ハミ)から直接コンタクトをとり、馬の進行すべき方向に誘導したり、スピードを制御したりするのです。すなわち、実際に騎乗した場合、騎乗者は馬の頭よりも後方に位置する鞍に座って指示を送るわけですから、騎乗する前に馬を後ろから動かすことに慣らしておこうという考えなのです。ドライビングが十分出来るようになった後、馬房の中で騎乗する動作や体重をかけることに慣らし、徐々に人が騎乗できるように教えていきます。

ブレーキングを開始して20日目の1019日、第111頭は牡牝ごとに集合して1500mのトラックで誘導馬を先頭に速歩を行いました。また、第213頭(牡6、牝7)の騎乗馴致も1018日から開始しました。

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この馬はリラックスしており、杉林の中をドライビングで意欲的に歩いています。馬はレディフェアリーの05(牡・父アグネスタキオン)。2pen

500mのトラックに出る前に数頭単位でラウンドペンに集合し、前後に馬がいることに慣らします。

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誘導馬(乗馬)を先頭に500mトラックで速歩を行っている牝馬たちです。初日ですが馬も落ち着いており一安心です。

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調教後、ゲートの周りを回りながら慣らしています。また、騎乗者のコメントを確認し、馬の状態をチェックします。

ドライビング※1:育成馬日誌(1024日日高育成牧場)参照

ロングレーン※2:騎乗せずに2本の調馬索を用いて行う調教方法

前進気勢※3:馬術用語で馬が自ら前進しようとする気持ちのこと。

鞍つけ馴致(宮崎)

人が馬に乗るためには、鞍を馬の背中に乗せるのみならず、腹帯(はらおび)を締めて馬の背中にしっかりと固定する必要があります。しかし、この帯を締める操作は、慣れない馬たちにとって最初は息が苦しいので、本来好きではありません。したがって、私たちはブレーキング開始前に、馬房の中でストラップ※1と呼ばれる革の帯で馬の胸部を圧迫する動作に慣らしておきます。この準備によってほとんどの馬が何事もなくローラー※2(腹帯)を受け入れるのですが、中には、実際に広い場所でローラーを装着すると、胸部の圧迫が苦しくてまるでロデオのように暴れる馬もいます。しかし、一時的にこのような反応をした馬もランジングを続けるうちに、やがて落ち着いてきます。さらに、ランジング終了後も馬房の中でしばらく装着したままにすることで、よりローラーを理解し受け入れることが可能となります。そして、翌日からは素直にローラーを装着することができるようになり、その結果、鞍つけ(装鞍)が容易にできるというわけです。ちなみに、第111頭の馬たちは馴致を開始して3日目、923日に無事この過程を終了しました。1souchaku

はじめてのローラー装着です。このように馬を停止させた状態で行います。馬はトップライナーの05(牡・父イシノサンデー)。

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ローラーの圧迫を感じたときの反応です。まるで、カプリオール※3のように空中にジャンプしています。しかし、のんきに見ているわけにはいきません。反応を観察しながら(馬が内側に向かってきた場合、人が危険)、写真のように御者と助手は音声や鞭を使用して馬に強く前進を促す場合もあります。そして、人の指示に従ってリズムよくランジングができるまで待ちます。3babou

ラウンドペンでのローラー装着後は、このように馬房内で装着したまましばらく慣らしますが、この馬はすっかりリラックスしています。馬はハッピードリーマーの05(牝・父ジェイドロバリー)。4jyunti9

馴致開始9日目。装鞍し、ダブルレーン(2本の調馬索)を使用してのランジングを行っています。馬はギザニアの05(牡・父ワイルドラッシュ)。

ストラップ※1JRA育成馬日誌10/10参照

ローラー※2:装鞍の前に帯を締めた状態に慣らすためのベルト状の馬装具

カプリオール※3:平らな場所で馬を空中にジャンプさせる高等馬術

台風一過

 7月に入厩した馬たちのブレーキングを9月17日から行う予定でしたが、台風13号の上陸が予想されたため、開始が延期となってしまいました。お天道様には逆らえませんので、こればかりは仕方ないといったところでしょうか。幸いにして宮崎市には台風の被害はほとんどありませんでした。気持ちを切り替え、あせらず仕切り直しをしたいところです。 Miya1_16

台風対策として、ラウンドペン※1が強風で飛ばないように内側のベニヤ板をはずし、ロープでしっかり固定します。

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台風の翌日に、再びベニヤ板を針金で固定しました。もう、台風は来ませんように…。

 さて、予定より遅れましたが、21日から11頭(牡6頭、牝5頭)のブレーキングを開始しました。初日はラウンドペン※1でランジング(lungeing)※2を行いますが、馬にとっては生まれてはじめての体験で、何をしたらいいのかとまどうのが普通です。したがって、馬に対して明確な指示をあたえ、人が馬をしっかりとリードしてあげなければいけません。もちろん、人の要求を理解したときには、大げさに馬をほめてあげて緊張を解いてあげることが重要です。なお、人の勝手な判断で、多くのことを一度に教えようとすると、馬は理解できず頭が混乱してしまい悪い癖を覚えてしまうことがあるので注意が必要です。馬には、人間と同じように理解の早い子もいれば、物覚えの悪い子もいます。したがって、ブレーキングの過程をすすめていく際には、決して急がず、ひとつずつ確実に馴致のステップを積み重ねていくことが重要となります。また、ブレーキングの初期は、馬の個性が現れやすい時期なので、よく馬の反応を観察し、その馬にあわせた教育を行っていかなければなりません。

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ラウンドペンで騎乗馴致を行っている様子です。

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二人一組で馴致を行います。馬はレディフェアリーの05(父アグネスタキオン)

ラウンドペン※1:ブレーキングのときに使用する直径12~15m程度の円形馬場のこと。金属製ラウンドペンの壁にベニヤ板を貼ることで外部と遮断し、馬が人に集中して騎乗馴致を行うことが可能となる。

ランジング(lungeing)※2:ランジングとは調馬索(ちょうばさく)と呼ばれるロープを用いて、馬をラウンドペン内で一定のリズムで人の周りを回すことです。

ブレーキングシーズン到来

7月に入きゅうした育成馬(千葉、八戸での購買馬)たちは、夜間放牧をしている間にすくすくと成長します。この時期、体重は1ヶ月に10kgから15kg程度増えます。私たちは半月に一度体重を測定し、個体ごとにグラフを作成して視覚的な要素も取り入れて成長の度合いを評価しています。もちろん、それぞれ血統も違えば、早生まれ・遅生まれもありますので、馬にあった成長をすることが重要だと考えています。なかなか大きくならない馬もいれば、順調に成長する馬、春になってぐんと伸びる馬等、さまざまです。

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青森産馬トップライナーの05(父イシノサンデー)です。
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騎乗馴致前にトリミングし、男前になりました!?

一般的な傾向として、北海道に比べて宮崎は冬の気候が温暖で青草が豊富なので、冬から春に大きく成長するのが特色です。したがって、宮崎育成牧場は、JRA購買馬の中でも比較的小さな馬の成長を促すのに適しているともいえます。7月のセレクトセール、セレクションセールでの購買馬6頭は、購買後に日高育成牧場に一時的に入きゅう、2ヶ月程度の昼夜放牧の後、今月宮崎に入きゅうしました。このように夏を涼しい北国で過ごし、冬に温暖な地区(宮崎など)に移動して馬を仕上げることを一般に「二元育成」と呼んでいます。宮崎の気候の利点を生かし心身ともに健康な馬を育成したいと考えています。

さて、7月に入きゅうした馬たちは、まだまだ小さな子供なのですが、そろそろ彼らの人生の中で一つの試練を与えなければなりません。その試練とは、「騎乗馴致(ブレーキング)」です。今まで人を乗せたことがない馬に、鞍やハミなど様々な制御道具をとりつけ、人が騎乗して馬を自由自在に動かすことが出来るように教育する初期課程(過程?)のことをこのように呼んでいます。英語ではブレーキング(BREAKING)といいますが、一馬力の馬にブレーキ(BRAKE)を取り付けて制御するのではなく、馬たちの「野生」をブレーク(BREAK)し、人との新しい関係を築くことが重要なのです。現在、ブレーキングに備えて引き馬やタオルパッテイングなどを実施しています。

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このように集団で引き馬の練習を行います。
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ヒラヒラしたもので体に触ることに慣らすタオルパッティングです。

育成馬の入きゅう

今回より「JRA育成馬日誌(宮崎)」をお届けします。
JRAが千葉サラブレッドセールで購入した1頭と、八戸市場で購入した5頭の1歳馬たちが7月6日に入きゅうしました。青森から宮崎までは約31時間の長時間輸送なので、輸送による体力の消耗や怪我など心配しましたが、無事到着し一安心です。

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青森から馬運車が無事到着し一安心
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馬運車から降ろす様子

翌日から、♂3頭、♀3頭の2グループに分け、放牧による管理を開始しました。最初の数日間は昼間放牧を行うことで環境に慣らし、その後夜間放牧へ移行します。宮崎における夜間放牧のメリットは、なんといっても暑くないということです。宮崎育成牧場では、夜間放牧を馬の運動量を増やす目的で実施しているのではありませんし、また、馬を疲れさせて取り扱いをおとなしくしようとも考えていません。あくまでも、青草を食べさせ馬の生理状態を自然に帰すことが夜間放牧の目的であると考えています。そして、秋の騎乗馴致開始までに十分な肉体の成長を待つことが重要だと考えています。

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夜間放牧を開始しました
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入きゅう1週間後に削蹄を行いました

一方、最初の放牧は、知らない馬同士での組み合わせで、しかも始めての場所ということで事故が起こりやすい瞬間といえます。我々はリスクを軽減するために少頭数での放牧を行っていますが、事故の確率が0になることは決してありません。したがって、この時期に集団放牧が必要なのかという議論もありますが、早い時期に入きゅうした馬は馴致開始までに時間があることも実施している理由のひとつです。メリットとリスクを天秤にかけながら、健康な馬を育成するために馬を観察しながら集団放牧を実施することが重要です。しかし、近年では、コンサイナー(注1)の技術も向上しており、今後、入きゅう時期の遅い馬については、集団放牧を行わずに騎乗馴致(注2)を開始することもあるかもしれません。

(注1)コンサイナー:他の牧場から馬を預かり、セリに向けて専門的な教育を行う業者
(注2)騎乗馴致:人に乗られたことのない馬を人が乗れるように慣らすこと