2018年12月26日 (水)

着地検査

 本日、キーンランド(Keeneland)のノベンバーセール(November breeding stock sale)で購買した繁殖牝馬2頭が輸入検疫を終えて日高育成牧場に到着いたしました。

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 着地検査とは、輸入検疫解放後に各都道府県が主導で行う検査のことです。これから3か月間、臨床検査および各種感染症(馬インフルエンザ、馬伝染性貧血、馬パラチフス、馬ウイルス性動脈炎、馬鼻肺炎)検査が家畜防疫員(日高育成牧場の獣医師を登録)により行われます。

 検疫場所は、他の馬と隔離され、作業は専用の長靴とタイベックを着用して行われます。


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 着地1ヶ月後の各種検査結果が陰性、併せて伝染性子宮炎検査結果も陰性であれば、着地検査中でも種付けは可能です。馬房にはライトコントロールも設置し、来春の交配に備えています。

2018年12月17日 (月)

第70回 朝日杯フューチュリティステークス

2018年12月16日(日) 5回阪神6日11R 「第70回 朝日杯フューチュリティステークス」に日高育成牧場の生産馬であるイッツクール号が出走するため、我々も競馬場に駆け付けました。

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この日は、6Rの「メイクデビュー阪神」にも生産馬のジュンヴァルボンヌ号が出走するということで、とても楽しみな日になりました。

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同世代の生産馬は僅か5頭で、イッツクール号もジュンヴァルボンヌ号も初子でした。特にイッツクール号は生まれた翌日にもまだ哺乳が上手く出来ず、治療を施すなど手のかかる子でしたが、逞しく成長した姿をパドックで見ると、親バカかもしれませんが期待せずにはいられませんでした。

結果は2頭とも9着でしたが、とてもエキサイティングな競馬でした。

競走馬の生産業は、とてもリスクが大きい業種といっても過言ではありません。交配から妊娠・分娩・育成を経てようやく競馬場でデビューするだけでも大変な苦労の賜物です。ともすれば辛いことばかりが慮れる競走馬の生産です。しかし今回、G1競走という晴れの舞台に立ち会うことができ、生産に携わった者として多くの関係者と喜びを共有することも競走馬生産の一部なのだと実感しました。

2018年12月11日 (火)

馬のレスキューシステム(Loops Equine Rescue System)

先日のMadigan先生の講演会では、馬のレスキューについても少し披露していただき、講演会終了後に先生から写真のレスキューキットを1つ託されました。

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キットは、輪状のファイバー織物ロープ4本とカラビナ数個からなり、使い方はこちらのPDFの通りです。倒れた馬を反転させたり、引っ張ったり、起こしたりする時に使用します。

loops_equine_rescue_system.pdfをダウンロード (2M)

このロープは中に綿のようなものが入っていて意外と当たりは柔らかくできていますが、1本の耐荷重は5,300LBS(2,400Kg)と強力です。

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値段は1セット75ポンドと仰っていたので1万円程度でしょうか。もしもの時に備えて普段から道具もテクニックも準備しておきたいところです。

2018年12月 7日 (金)

初雪

暖かいと思っていましたが、ようやく浦河にも雪が積もりました。

冬至まで昼夜放牧を続ける予定の妊娠馬たちは、まだ積もったばかりの雪をかき分けかき分け牧草を食べています。しかし、急激な食べ物の変化は注意が必要です。少しづつ乾草飼料へと移行する必要がありますが、馬たちは青草の方が好きですよね!

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一方、牧草は雪に覆われることで霜焼けせずに、雪解けとともに芽を吹き返すことができます。これから雪の下で、じっと春を待つことになるのです。

2018年11月28日 (水)

新生子に対する牧場でのチェックポイントと管理

今日はカリフォルニア大学デービス校のDr.Madigan教授による講演会がありました。

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 Madigan先生は新生子不適応症候群(NMS:Neonatal Maladjustment Syndrome)に対する治療として胸部圧迫療法(Rope squeeze)で有名な先生です。

https://www.youtube.com/watch?v=uZ9KpOSN6iU

 ほとんど感染症への抵抗性を持たずに生まれてくる子馬は、12時間以内に初乳を摂取することで腸管から抗体を取り込むことがとても重要です。しかし、この抗体が取り込める機能を有する期間の腸管は感染の原因となる細菌も入り易い状態なのです。

 そのため子馬が生まれる馬房環境や最初に触れる繁殖牝馬の体は、清潔にしておかなくてはなりません。講義に中では、子馬が立ち上がる前に初乳を人工的に投与することが有効とも仰っていました。

 また、多くのNMS症例馬も紹介していただき、改めて新生子馬に対する取り扱いを再認識できる講演でした。

2018年11月24日 (土)

「強い馬づくり講座」 in門別

11月20日(火)の夜は、門別総合町民センターで講演会を行いました。

前日の浦河より100以上多くの方にご参加いただきました。また、開催に向けて準備をお手伝いいただいた青年部の皆様にも、この場を借りて御礼申し上げます。有難うございました。

生産育成研究室では、これからも皆様に役立つ情報を発信していくつもりです。宜しくお願いいたします。

講演会の様子はJBBA馬産地ニュースに掲載されました!

https://www.jbis.or.jp/topics/news/20181122T013000.html

2018年11月20日 (火)

「強い馬づくり講座」in浦河

昨日は、浦河文化ホールで「強い馬づくりのための生産育成技術講座2018」を開催しました。

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今年の講演内容は、以下の2つでした。

『交配から妊娠早期における繁殖管理』 宮越大輔(みなみ北海道NOSAI)
『疾患のある繁殖牝馬の管理』 遠藤祥郎(JRA日高育成牧場)

繁殖牝馬の管理は、軽種馬生産の根幹となるとても重要なポイントです。交配に向けた排卵時期の的確な判断、一年を通した体重管理など、とても為になる講義だったと思います。

お忙しい中、多くの方々のご来場、活発な質疑、本当に有難うございました。

ハンドアウト Lecture1.pdfをダウンロード0.69M)

YouTube動画 https://www.youtube.com/watch?v=JDsQRzOfNb4&t=171s

ハンドアウト Lecture2.pdfをダウンロード (1.19M)

YouTube動画 https://www.youtube.com/watch?v=dRGMB75itEk

2018年11月15日 (木)

JRA日高育成牧場発「強い馬づくり最前線」

「強い馬づくり最前線」は、2010年(平成22年)から北海道新聞の機関紙である馬事通信に日高育成牧場の職員が中心となって執筆している連載記事です。軽種馬生産に役立つ様々なヒントが満載です。

生産育成研究室HP内の「馬の資料室」では、第1回からのバックナンバーを順次公開する予定です。(https://blog.jra.jp/shiryoushitsu/

お楽しみに!

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生産育成研究室

生産育成研究室では、世界に通用する「強い馬づくり」に必要な科学的根拠にもとづいたサラブレッドの生産、飼養管理、疾病予防、育成調教技術の探求とその普及に取り組んでいます

http://www.jra.go.jp/facilities/farm/hidaka/labo/hidaka.html

現在、研究室の研究員は3名ですが、業務課から繋養馬の管理を担ってくれる係長とスタッフの6名と一緒に活動しています。朝は全員で集放牧を行い、馬体の健康状態のチェックや体重・測尺・血液サンプルなど必要なデータの継続的な採取を行っています。

2018

2018年11月11日 (日)

リニューアルオープン

ブログ「北の研究室(へや)から」が戻って参りました。

しばらくお休みしていた生産育成研究室のブログです。これから心機一転!最新の研究トピックスや研究室で行うイベント・講習会の様子なども配信していく予定です。

どうぞ宜しくお願いします。

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