最近の調教内容紹介とスピード・心拍数の測定(宮崎)

1/17の中山1R(ダート1,200m)で、単勝1.1倍の1番人気に支持された当場育成のロジロマンス号(3歳・牡・父コロナドズクエスト・粕谷厩舎)が2着馬に26(16馬身)の大差をつける逃げ切りでの圧勝をみせてくれました。1111とタイムも優秀で、今後のさらなる活躍を期待しています。

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右側がロジロマンス号。1年前の1月、旧宮崎競馬場スタンドを背に駈歩調教後のクーリングダウン中。1歳秋の大人しい印象が一変し、調教での負けん気の強さが目立ってきた頃です。

さて、今回は1/22の調教内容をご紹介するとともに同日のスピードおよび心拍数の測定について報告します。心拍数とスピードの測定については、JRA競走馬総合研究所の協力を得て、調教する各馬にハートレートモニターと呼ばれる心拍数の測定装置とカーナビでおなじみのGPSを装着して実施しました。なおその測定から得られる数値であるV200等については、20073月の育成馬日誌V200の測定)で日高から紹介していますので、詳細な解説はそちらをご覧ください。

今回は調教内容の紹介とともに、毎度おなじみ「ビッグキャンドルの07」の心拍数データ・走行スピードについて報告します。

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122日、キャンドル号調教の軌跡

上の図がキャンドル号調教の軌跡をプロットしたもので、宮崎育成牧場の調教コース図が浮かび上がっています。以下、順を追って説明します。まずは厩舎地区での準備運動【上の図の】から、500mトラックコース【】へ移動。ここで速歩を1,000m、駈歩を1,000m実施(23列の併走)して、【】から1,600mトラックコースに出ます。そして1本目の駈歩(1列)を図の上方向へ(左回り)1,000m、【】の左側で折り返して、上方向(右回り)へ2本目の駈歩(併走)を1,000m実施しました。その後のクーリングダウンは【】の右側で折り返して、【】からコース外に出て【】の杉林、【】の採草地・芝馬場をとおり、【】の厩舎地区に戻ります。

調教タイムは1本目の後半600m66秒(F22)、2本目の後半600m57秒(F19)の目標としました。調教の総距離は常歩が4,000m、速歩が1,000m、駈歩が3,100mでした。

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122日、キャンドル号調教時の心拍数(桃色)とスピード(青色)

この調教時にキャンドル号の心拍数(桃色)とスピード(青色)をプロットしたものが、上の図です。横軸は馬装および機械装着からの時間経過です。競走馬の安静時心拍数は1分間に3040回程度ですが、機械を装着し、常歩運動に入ったキャンドルの心拍数は70回程度にまで上昇しているのが分かります。【A】の時点から500mトラックでの速歩調教で心拍は100回程度、【B】の時点からは駈歩運動で心拍が150回近く、スピードは6.5m/s(ハロンタイムで30秒程度)となります。【C】からが1,600mトラックでの1本目の駈歩、心拍が200回近く、スピードは約9.5m/s(ハロンタイムで21秒程度)、【D】からが2本目の駈歩で、心拍が200回以上、スピードは約11m/s(ハロンタイムで18秒程度)でした。

競走馬の最大心拍数は、220230回程度であり、今回のような心拍数200回前後の調教を、インターバルをはさみ2本こなすことは十分な運動強度であると捉えています。2月からはこの強度の運動を週2回程度実施(3Fタイムで5754秒)していて、それ以外の日は1,600mトラックでの調教は1本(駈歩1,0001,600m、最後の3Fタイムが6660秒)としています。

ただし馬によっては、今回の調教内容では2回とも心拍が200回に達せず比較的余裕のある運動であったりもします。またこの数値は騎乗者や隊列での位置(先頭か馬群の後ろか)および馬場状態や天候などによる馬の情動の変化にもある程度影響されます。そのほか駈歩を開始して心拍数が200に上昇するまでの時間、逆に駈歩後心拍数が100をきるまでの時間などを分析し、心肺機能を検討しています。

このようなデータは馬ごとの調教強度を見極め、個体に合ったトレーニング内容を課すための参考として大変貴重なものとなっています。

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500mトラックコースで速歩調教中の牝馬群です。向かって右からタイキフレグランスの07(父サクラバクシンオー)、スーパードレスの07(父キングカメハメハ)、ウォーターセレブの07(父グラスワンダー)、プレミアムショールの07(父アグネスフライト)。

キャンドル 競走馬への道 その4(宮崎)

昨年末はJRA育成馬であるセイウンワンダー号(父グラスワンダー)が朝日杯フューチュリティSに優勝するという大きなニュースがありました。JRA育成馬のG競走優勝は宮崎で育成したタムロチェリー号(01年・阪神ジュベナイルF)以来です。セイウンワンダー号は日高で育成した馬ですが、宮崎で育成に携わる我々にとっても大変励みになる出来事でした。現在宮崎で育成中の明け2歳馬24頭の中にも、G競走で優勝するかもしれない素材がいるはずであり、我々はその芽を摘むことのないよう、また少しでも勝利する可能性を高められるよう、日々試行錯誤しながらも張りきって育成に励んでいきます。

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タムロチェリー号(父セクレト・01年阪神ジュベナイルF優勝)

さて、前々回の宮崎からの日誌で、「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」が入厩早々に馬房内休養となったことをお伝えしました。今回はその後のキャンドルの経過についてお知らせします。

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シャワーを浴びて気持ちよさそうなキャンドル

99日、キャンドルは「右肩違和」と診断されました。症状としては右前肢を地面に着くときに痛がり、この肢の前方への展出が良くないというものでしたが、目立った外傷はありませんでした。このような場合、まずは蹄、球節、ヒザ(腕節)など下肢部の状態を確かめます。これらの部位に腫脹や帯熱、または触診による疼痛がみられる場合、骨折や骨瘤、腱や靭帯の損傷など比較的重傷である可能性も疑われ、必要に応じてレントゲンやエコー検査が実施されます。幸い、キャンドルにはそれらの異常はみあたりませんでした。検査の結果、肩から上腕の筋肉の一部に疼痛感があり、これらの筋肉の軽い炎症であると診断されました。

キャンドルに限らず育成馬たちは、少々痛くても放牧地では元気に走ってしまい、症状が悪化することがあります。そのため馬房内で休養し、鎮痛・消炎剤を投与することにしました。その後は痛みの軽減する度合いをみながら、鎮痛・消炎剤の投与量を減らし、少しずつ運動を課して、夜間放牧の集団に戻す適期を慎重に判断します。結局キャンドルは10日間の馬房内休養の後に6日間単独で昼間放牧を行い、そしてついに925日には夜間放牧の集団に戻されました。その後の経過はすこぶる順調で、本格的な騎乗馴致の開始となる1016日を健康な状態で迎えることができました。以下、キャンドルの騎乗馴致の様子を写真で示すこととします。

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10/22 (馴致5日目):鞍をつける前の腹帯馴致用として利用する「ローラー」を締めようとしているキャンドル。敏感なキャンドルは、ローラーの締めつけから逃れようとラウンドペン内を飛び回ることもありましたが、3回目となるこの日はだいぶ慣れがみられました。

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10/23(馴致6日目):後方から「ドライビング」と呼ばれる方法で馬を操り、騎乗することなくハミ受けを教えます。この日の段階ではまだ補助者が馬の前方に付きますが、徐々に馬と11の関係に移行します。ゲートに近づき、通過する練習もこの時期から行います。もちろん雨の日にも馴致は続けられます。

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10/30(馴致11日目):ドライビングでお尻や飛節に触れる調馬索(ロープ)をかなり嫌っていたキャンドルも、ずいぶん慣れて受け入れるようになりました。この日は実際に騎乗することとなる1,600m走路でドライビングを実施しました。コーンを置いてのスラローム走行も可能となり、ハミ受けも順調にできてきました。また同日、馬房内ではじめて人が跨り、記念すべき「初騎乗」を無難に終えました。この日の馬体重は408kg9月入厩時より+21kg)でした。

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11/12 (馴致18日目)14日目よりラウンドペン(丸馬場)内での騎乗を開始、16日目からは他馬と合流しての騎乗に慣れました。いよいよ明日からは500m馬場に入場するという段階まできました。

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11/23 500m馬場で速歩・駈歩をそれぞれ1,0001,500m程こなせるまでに成長しました。2頭目がキャンドルで先頭はサンドシャーディーの07(父:シルバーチャーム)。

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年が明けて15日、キャンドルの近況です。この日は常歩3,000m、速歩1,300m、駈歩2,700mの調教メニューで、1,600m馬場でのラスト3FF22秒のペースで走る調教を行いました。2頭目がキャンドルで先頭はトレヴィサンライズの07(父:ネオユニヴァース)。キャンドルの馴致時にみせた過敏さは騎乗後には解消し、素直で反応の良いところが目立ってきました。この日の馬体重は435kg9月入厩時より+48kg)でした。

鹿児島大学に軽種馬診療センターがオープンします(宮崎)

JRA宮崎育成牧場の公園地区は一般のお客様に開放されています。通常土日の14時からはポニー馬車の運行も実施され、日中はまだまだ暖かいこの時期は多くのお客様で賑わいます。

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ポニー馬車の運行。

さて、今回は九州地区における、新たな獣医療施設のオープンについてです。

九州地区における昨年のサラブレッド生産頭数は98頭で、そのほとんどが鹿児島・宮崎・熊本の南九州3県で行われています。全国的に見ると生産頭数(7516)95%以上は北海道であり、九州地区は1.3%にすぎません。しかしながら、温暖な南九州地区は特に秋~春季の育成・休養の好適地であり、意外に多くの競走馬が滞在・繋養されています。育成関連団体の統計では、育成馬約250馬房、休養馬約390馬房のあわせて641馬房の受け入れ態勢があるのです。

このような国内でのサラブレッド繋養地としては北海道の他、生産地の青森県、JRAトレセンのある関東、関西地区があげられます。これらの近隣地区にはサラブレッドなど軽種馬を診療する拠点施設があるものですが、残念ながら、南九州地区はこれまでやや立ち遅れていたといえます。

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本年9月の鹿児島大学付属動物病院における、JRA育成馬チアズフリートの07手術準備風景。施設が古く不便さは否めませんが、馬の手術になれたスタッフ、学生たちにより、手際よく進んでいきます(すでに育成馬は麻酔下で仰向けに寝ています)

鹿児島大学農学部は以前より、馬の診療に積極的に取り組んでいます。ここ数年の軽種馬の手術実績としては関節鏡による剥離骨折やOCDの摘出術、喉の形成手術などが中心です。

今回の新しい診療センターには、ハイクリーン陽圧手術室があり、精密な防塵フィルター、デジタルレントゲンやX線Cアームが設置されていて手術中のX線撮影および透視ができます。その設備と清潔な環境により、これまではできなかった螺子固定術(骨折をボルトで固定する)も可能となります。

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ハイクリーン陽圧手術室

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写真のような螺子固定術も可能となります。

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倒馬覚醒室:大型動物の全身麻酔導入(馬が倒れる)や覚醒(麻酔から覚めて起き上がる)には時として危険が伴い、二次的に骨折などを発症することもありえます。そのような危険を最小限に食い止めるため、周りをクッション材で囲むなど、さまざまな工夫がなされています。しっかりと麻酔導入された馬を手術台に移動させるためのクレーンも設置されています。

今後は施設稼動の準備に入り、4月にはいよいよ正式なオープンとなる予定です。同施設が南九州地区における馬医療基地としての役割を果たし、地方競馬の荒尾や佐賀の競走馬も含め、多くの軽種馬が安心して南九州での育成や調教に励むことができる環境が整ったといえるでしょう。それにより、南九州地区の生産および育成の基盤が強化され、軽種馬産業の維持・発展につながることと期待されます。

中央競馬会が実施する特別振興事業として設立

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12月初旬のJRA育成馬の調教風景です。2500mほどのキャンターをゆっくりとしたペースで、一団で走行中です。12月中旬現在では最後の3Fを併走で7075秒ほどのペースで実施しています。先頭はゲイリーアミューズの07、左端の栗毛はカリカーの07、右端はビッグキャンドルの07。※前号で「挫折」をお知らせしたキャンドルもすっかり立ち直っています。詳しくは後日お知らせします。

キャンドル 競走馬への道(キャンドルの日記) その③

前々回の宮崎からの日誌で、無事宮崎入りした「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」の近況をお伝えしました。そのキャンドルにいきなりの試練が訪れましたので、振り返りになりますが、9月のキャンドルの日記を紹介します。

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キャンドル(右端)ら3頭の放牧直後の様子。食欲旺盛な彼女は、放牧するとまずは走り回るよりも、食欲が優先のようです。おいしい青草を一心不乱に食べ続けます。

99      放牧仲間のプレミアさんとトレヴィさんは走ることが大好き。特にトレヴィさんはいつも元気一杯。最初は付きあっていたけれど、さすがに疲れちゃって・・・・。それでも走り回って、追いかけてくるの。蹴りを入れても追いかけてくるし。逃げ回っていたら、ちょっと筋肉を傷めたみたいで歩くと痛いです。朝、育成牧場の人が放牧地に迎えに来てみんなで厩舎に帰るのだけど、みんな私の歩き方をみて「まずい」って言っています。厩舎に着いたら獣医さん?が来て、痛いところを押すから飛び上がっちゃいました。そして頚に注射を打たれました。夕方、みんなはうれしそうに放牧に行ったのに、なぜか私だけ厩舎に居残り。「休馬」だそうです。なんだか、とっても不安。

騎乗馴致がはじまる前の育成馬たちは、放牧地で集団管理されています。ここで馬同士は互いの影響も受けつつ、思い思いに走り回り、自然の「運動」を実施することで、骨、筋肉、腱が発達し、心肺機能も高まります。また仲間同士でじゃれあって、蹴ったり蹴られたり、噛み付いたり噛まれたりする「遊び」の中で、競走馬として必要な競争心や勇気、前向きな性格が育まれているとも考えられます。このような「運動」や「遊び」は牡馬の群れの方がより活発にみられる傾向がありますが、今回の牝馬3頭の群れは牡馬に負けず劣らずの活発ぶりで、いわゆる「やんちゃ」なグループです。

やんちゃ仲間のトレヴィさんが原因かどうかは分かりませんが、キャンドルはこの日「右肩違和」と診断されました。キャンドルに限らず育成馬たちは、少々痛くても放牧地ではまた走ってしまい、症状が悪化する可能性が高いため、今晩は放牧をやめて馬房内休養が必要と判断されました。入厩5日目にしていきなりの試練です。   ※次号に続く。

秋の育成馬検査が実施されました(宮崎)

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育成馬の調教は、順調に進んでいます。11月後半には第1グループとなる10頭がメイントラックである1,600mコースにおいてキャンター調教を開始、残る第2グループも500mコースにおいてキャンター調教を開始しました(写真)。写真は誘導馬を先頭に前からプレミアムショールの07(栗毛)、カリカーの07(栗毛)、サンドシャーディーの07(鹿毛)他。

Big Dream Stables宮崎育成牧場に在厩する24頭のJRA育成馬たち。先日その成長や馴致状況をチェックするため、JRA本部の職員による育成馬検査が実施されました。午前中は実際の騎乗馴致を確認し、午後は個別の馬体検査(展示)を行ないました。馬体検査(展示)については3月に当日誌「馬をみていただくためのポイント」で紹介したように、手順に沿って検査者に馬を展示します。

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展示の際の馬の動き

詳しくは http://blogjra.lekumo.biz/ikusei/2008/03/post-3d48.html

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まずは駐立しての展示です。引き手は韓国研修生で、正しい立たせ方について本部職員と確認し合っています。馬はトレヴィサンライズの07(父:ネオユニヴァース)

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引き続き、常歩で後肢の動きがまっすぐ見えるよう遠ざかり・・・・・

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検査者が横からの馬体も確認できるよう右回転して・・・・・・

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前肢の動きがまっすぐ見えるよう戻ってきます。以上、馬はビッグキャンドルの07(父:バゴ)

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速歩も同様に、後肢→横→前肢の動きがまっすぐ見えるよう意識して、三角おにぎり型に右回転して戻ってきます。馬はニシノファンシーの07(父:マヤノトップガン)。全兄のJRA育成馬ケイアイマッシブ号11/16の東京・2才戦で勝利しました。

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最後に再度駐立の展示です。馬はプレミアムショールの07(父:アグネスフライト)

検査の前週には、日ごろにも増して馬の手入れに時間をかけ、タテガミや尾のトリミングにも取り組みます。また速歩の展示をスムーズにみていただくための練習も実施します。今回の検査では馬の進路の芝生に刈り込み(上の写真でも確認いただけるかと思います)を入れて、そのとおりに歩けるよう人馬とも練習をしました。

近隣に馬関係者が少なく、比較的みていただく機会が少ない当場にとって、検査などでの馬主、調教師、牧場関係者などの来場はいい刺激となります。宮崎にお立ち寄りの際は、どうぞお気軽にご来場いただき、育成馬たちをみてやって下さい。

馬を展示することは馴致の一環であり、人馬ともその状況に慣れて、落ち着いてみて・触れていただけるように、取り組んでいます。そのためには、日ごろから愛すべき育成馬たちと触れ合う時間を大切にし、人がリーダーであることをきちんと理解させた上で、馬に語りかけながら全身の手入れなどを行い、信頼関係を深めていくことが大切でしょう。

韓国からの研修生が来日しました(宮崎)

南国宮崎も11月に入り、そろそろ「涼しい」日だけでなく、「寒い」と感じる日もでてきました。

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宮崎育成牧場ではミニチュアポニーとの撮影会を定期的に実施しています。今回はクリスマスバージョンで、完成した写真をカレンダー形式でお客様にお渡しします。

今回は韓国・釜山からBig Dream Stables宮崎育成牧場に来ている2名の研修生を紹介します。彼らはJRA育成馬を用いた育成・調教の実践研修を受講するため、概ね6カ月間の予定で、釜山の慶南競馬場からやってきました。

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研修生の2人。先日はJBBA九州種馬場を見学しました。

彼らは釜山で競走馬の調教を4年間経験している調教厩務員で、将来的には調教師を目指す優れた人材です。騎乗に向けた競走馬の馴致方法は初めて経験する内容がほとんどで、常に真摯な姿勢で一から取り組んでいます。

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騎乗馴致の動作を指導される研修生。馬はホットマイハートの07(牡・父スパイキュール)

また、騎乗フォームなどはこれまで韓国の競走馬での経験から、自信を持っているはずです。しかしながら若い育成期の馬に要求される騎乗方法は、完成された大人の競走馬とは異なる部分もあります。特に、まっすぐに走らせるとともに、若馬特有の不意な動きにも対応できるよう、手綱をブリッジで保持し、ネックストラップとともにキ甲の上で拳の位置を安定させることや、アブミの長さを必要に応じて長くしたり短くしたりすることなどには注意を払う必要があります。慣れた習慣を変えるのは簡単なことではありませんが、彼らにはそれを受け入れようとする前向きな姿勢・柔軟性もあり、約1ヶ月間の研修を経た現在では、育成牧場スタッフにもよくなじんでいます。研修生ではありますが、今後はともにJRA育成馬を調教していく貴重な育成スタッフになってくれそうです。

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誘導馬に騎乗し、JRA育成馬の調教を先導する研修生(先頭)。2頭目以下は牡牝混合の10頭の育成馬で、速歩1000m、駈歩1500m程度のメニューを消化しています。

韓国からの研修生受け入れは今回で第4期目となります。このような取り組みを通して、今後さらに韓国など海外競馬関係者との相互理解が深まり、人馬の交流が進むことが期待されます。

☆キャンドル 競走馬への道 その②

前々回の宮崎からの日誌(1016日)でご案内しました、「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」成長の過程を伝えるコーナーです。8月の購買からの流れをキャンドル自身の日記風に紹介します。

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ビッグキャンドルの07。父は新種牡馬で凱旋門賞勝ちのバゴ。

9 3     8月のセリでJRAに購買されて「JRA育成馬」の仲間入りです。広大な調教施設を持つ浦河の日高育成牧場に「入学」かと思ったら、宮崎育成牧場入学に決まってました。JRA育成馬の3割は宮崎、7割は日高に行くそうです。今日は16頭の仲間と一緒に北海道から旅立ちます。まる2日かけて95日に宮崎到着。4月までの8か月間、ここでがんばって勉強です。

97    宮崎の日中はとっても暑いんです。だからお昼は厩舎で休憩、扇風機で涼しくしてもらってます。外の放牧は夕方~朝までの涼しい時間(夜間放牧)です。北海道からの輸送で一緒に来た「プレミアさん」、「トレヴィさん」との友達3頭で、青草がおいしくて、広い放牧地にいます。本格的な勉強(騎乗調教)が始まるまで1か月くらいは、外での自由時間が多くて楽しい毎日です。牧場の人には「青草をしっかり食べて大きくなるように」っていわれました。実は今の私、387kgで同級生24頭の中で一番小さいんだって。※24頭の平均馬体重は436kgです(9月初旬)。

 

宮崎に到着し、まずは順調なスタートを切ったキャンドルです。引き続き、次号以降でも紹介していきます。

育成馬を手術しました(宮崎)

秋の宮崎はスポーツの話題でいっぱいです。プロ野球の教育リーグ「フェニックスリーグ」には先日、巨人の主力選手が出場しました。クライマックスシリーズに向けた調整のためでしたが、間近で、しかも無料でみられる機会はそうあることではありません。11月には男子ゴルフのフェニックストーナメント、女子では国内ツアー最終戦のリコーカップもあり、秋の宮崎も魅力満載です。また、馬肥ゆる秋という言葉どおり、育成馬たちも順調に成長しています。県知事ではありませんが、この機会に魅力満載の宮崎に足を運んでいただけたら幸いです。

さて今回は手術の話題です。

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今回手術を受けたのはチアズフリートの07(父:キンググローリアス)、通称チアズ君です。こちらは手術2週間後の休養中の写真です。手術後1か月間は運動・食餌を制限するので、あばらが浮いてやせ気味です。馬は運動を制限されると消化器の働きが弱まり、疝痛(馬の腹痛)を起こしやすくなります。これを予防するため、餌の量もある程度制限しています。

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手術部分の拡大写真です。しっぽ側の出っ張り部分が人間でいう「かかと」で、この部位を含む関節のことを飛節(ひせつ)と呼びます。よく見ると飛節周囲には今回の手術時に毛を刈った跡がみられます。

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以前の日誌で紹介した、群れのボスとして大威張りのチアズ君(写真右)。噛み付かれているのはプレゼントの07(父は新種牡馬バゴ)。

○飛節のOCD摘出手術

724日の日誌でも紹介したようにボスに君臨していたチアズ君ですが、全頭の一斉レントゲン検査(1頭につき約20枚の撮影を行います)の結果、両後肢の飛節部分に「OCD」が確認されました。OCDは獣医学用語でOsteo Chondritis Dissecans(離断性骨軟骨症)、簡単に言うと関節内に残った遊離軟骨です。本来、骨は成長する過程で先端に軟骨をつくり、これが成熟して硬くなって(骨化と呼びます)伸びていくのですが、軟骨が正常に成熟せず、そのまま表面に残ってしまったものこそがOCDの正体なのです。

今回我々が手術に踏み切ったのは、単純に「OCDがあったから」ではありません。決め手となったのは飛節が軽度に腫れていたことです。つまり、外見でわかる症状があり、レントゲン検査でもその領域に所見が見られたため、手術するべきとの結論に至りました。JRAでは、OCDがあっても外見でわかる腫れや熱感などの症状がない場合や、OCDの見つかった場所が獣医学的・経験的に問題の起こりにくい場所である場合には、ほとんど問題視しません。むしろ、手術をしないと決断することを賢明と考えます。これはレントゲン検査でOCDが見つかっても、必ずしも跛行や休養の原因とならないことや、現在競走馬として活躍している馬の中にはOCDの手術をせずに出走し、活躍している馬が数多くいるためです。

どれだけの若馬にOCDが見られるのか、OCDの有無と疾病発症の間には何か関係があるのか、またOCDが出走回数や獲得賞金などの競走成績に影響を与えるのか、などについて両育成牧場で現在調査を行い、データを集積しているところです。調査の結果、何か知見が得られた場合には当ブログ上でも紹介していきたいと思っています。

なお、今回の手術は鹿児島大学付属動物病院で実施しました。同病院の施設等については、後日お伝えする予定です。

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今回摘出した遊離軟骨です(それぞれ左・右の飛節より)。小豆くらいの大きさでした。

○欧米のセリにおける「レポジトリー」とOCD

レントゲンを撮ると、飛節以外にも球節や膝関節などにOCDがみつかることは珍しくありません。欧米では、セリに出場する馬のレントゲン写真などが閲覧できる「レポジトリー」というシステムが普及しています。馬の所有者がセリで馬を売却する際は、購買するお客様に悪い印象をもたれたくないと考えるのは当然で、手術や治療によりOCDをなくそうとする傾向がありました。しかし最近では、OCDは時間が経過すると消失することもあり、競走馬としての能力に影響を与えないことが多い、と考えられています。その根拠としては、GⅠ勝ち馬の中にもOCDを持つ馬がたくさんいることがあげられます。欧米の購買者はこのような情報を多く得るにつれて、OCDをあまり心配せず寛大になっているようです。

日本のセリにおける「レポジトリー」

一方日本では、セレクトセールやセレクションセール、一部のトレーニングセールやJRAが主催するブリーズアップセールにおいて、「レポジトリー」による情報開示が行われています。

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ブリーズアップセールのレポジトリールームでは、レントゲンや喉の内視鏡所見について、JRAの獣医スタッフが説明します。

それ以外のセールでは、気になる部分のレントゲンを自主的に提出する意識の高い上場者も一部にみられますが、過去に骨の手術歴がある馬でさえもレントゲンの提出がないことが殆どです。これは、レントゲンなどの提出義務がないためです。

購買者の立場からみれば、少なくとも骨の手術歴がある馬についてはレントゲンを確認し、納得した上で購買したいと考えるのが当然です。日本のセリにおいてレポジトリーがしっかり定着して、上場者から積極的に情報提供がなされ、購買希望者がセリ当日に気軽にレントゲン撮影を依頼出来るような環境が整えば、購買者にとってセリはもっと魅力的になるでしょう。

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チアズフリートの07。手術1か月後の10/10から軽運動とパドック放牧を再開しました。11月初旬には初めての騎乗まで進むことが出来そうです。

管囲の日内変動(宮崎)

10月になりました。南国宮崎も朝夕はだいぶ涼しくなりましたが、日中はまだまだ25℃以上まで上昇し、汗ばむ日もあります。また、9月の後半は2回にわたり台風が接近し、多量の雨をもたらしました。幸いにして風が比較的弱かったこともあり、Big Dream Stables宮崎育成牧場に大きな被害はありませんでした。

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 台風による暴風に備え、騎乗馴致用のラウンドペンを補強します。取り囲む板もすべて取り外しました。

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通常使用時のラウンドペンです。

さて、前回の宮崎からの日誌では馬体重の日内変動」についてデータを示しました。今回は管囲の日内変動についてです。

○ 管囲の日内変動

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管囲の計測。測定位置や巻尺の締め具合、馬の立ち方などに注意して計測します。

管囲とは馬の管骨(球節と腕節の間にある長骨)部分中間の太さを示す値で、骨の太さを示す指標ともいえます。一般に左前肢で測定を行い、馬を売買するセリ市場などでは体高や胸囲などとあわせて個体ごとに公表されます。この太さから馬の丈夫さを推し量る人もいる重要な数値なのですが、1ミリ単位で発表されるこの数値の計測は比較的難しく、計測者による誤差が出やすい指標ともいえます。計測の際は測定位置(正確に管骨の中位)、巻尺の締め具合(管部を圧迫するほどは締めない)、馬の立ち方(四肢に均一に体重をかけてまっすぐに立った状態)などに注意して、同一の者が計測した値を比較するべきでしょう。昨年宮崎で育成した育成馬(現2歳)は、管囲の平均値が19月:牡馬(19.1cm)牝馬(18.8cm)、24月:牡馬(19.7cm)牝馬(19.7cm)で、半年近くの間に大きく成長したことがわかります。当場は、毎回同一の条件(測定部位、時間、測定者など)で測定することを心がけています。

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今夏、1歳育成馬(牝馬1頭)の両前肢の管囲の変化を追跡調査しました。計測は朝夕2回、9日間実施しました。その結果、図1のようにほぼ毎日、朝よりも夕方の値が大きい(太い)というデータが得られ、管囲にもある程度の日内変動が認められました。図2に示すとおり、その変動幅は平均すると左前肢で2.1mm、右前肢で2.3mmでした。なお朝→夕、または夕→翌朝の最大変動幅は6mmでした。

データを取った育成馬は、夜間放牧(涼しい夜間は放牧、暑い昼間は厩舎で静養)をしていました。詳細には、①朝8時に放牧地から厩舎に戻り、管囲計測後軽運動、②朝830分と昼15時に厩舎で餌付け(合計3kg)、③夕方16時に管囲計測後、放牧(以降朝まで夜間放牧)といった管理でした。

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夕方の値が大きくなる主要因は、骨が太くなるわけではなく、管囲計測部分にある屈腱領域がむくむのではないかと考えられます。

人の場合でも足のむくみに悩まされる方は多いですね。その原因は、立ち仕事や乗り物への乗車などで同じ姿勢を長時間続けるたり、運動不足により全身の血行が悪くなり、不要な水分が下半身に溜まってしまうことが原因です。予防には、足踏みや足首を回すなど、足の筋肉を動かすことが大切です。今回の管部周囲のむくみも、昼間を過ごす厩舎内では運動量が制限されるため、血行が悪くなりむくんだのだと考えられます。

経験的には、夜間放牧を終え騎乗調教期に入った秋季以降の育成馬では、これほどの日内変動はないように感じています。今後は秋季以降の計測や、屈腱部のエコー検査とあわせて計測することで、さらに知見を得たいと考えています。

     ビッグキャンドルの07

Big Dream Stables宮崎育成牧場で育成中の24頭の中から注目!?1頭をご紹介します。名前はビッグキャンドルの07(父は新種牡馬:バゴ)で通称「キャンドル」です。サマーセールにて、350万円(税抜)で購買しました。小ぶりな体(9月末現在、宮崎で最軽量の401kg)ですが、闊達な動きが目立つ牝馬です。

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819日 サマーセールでの購買時に撮影

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925日 宮崎育成牧場にて撮影

「キャンドル」については、その成長などを次号以降でも紹介していきます。必ずしも順調なことばかりではないとも思いますが、1頭の育成馬がどのような過程を経て競走馬を目指していくのかをお知らせできるのではないかと考えています。

馬体重の日内変動について

前回、宮崎からの日誌では「馬体重の変動」を話題として、長時間輸送等による30kgもの体重減が数日間で回復する例をお伝えしました。今回は1日の中でどれだけ体重が変動するかについての話です。なお、日内変動といっても朝と夕方のみの比較ですのでご了承ください。

● 体重の日内変動

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上の図1は夏季の連続9日間、朝・夕の体重を計測したものです。これをみますと、1歳の育成馬(牝馬)と14歳の乗馬(去勢馬)の2頭とも、夕方に比べて朝の馬体重が増加していることがわかります。この9日間を平均すると、1日の変動幅は乗馬で9kg、育成馬で5kgとなりました(下の図2)。これは、65kg の大人に換算すると0.91.3kgほどの変動幅です。なお1日の最大変動幅は乗馬で15kg、育成馬で13kgでした。

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ちなみにこの2頭は毎日一緒に放牧されていて(2頭のみ)、計測開始の1週間前から、涼しい夜間は放牧、暑い昼間は厩舎で静養というパターンで管理していました。もう少し詳しくいいますと、①朝8時に放牧地から厩舎に戻り、体重計測後に軽い運動、②厩舎にて、830分と15時に餌付け(太りやすい14歳乗馬は合計1kg1歳育成馬は合計3kg)、③16時に体重計測後、放牧(以降朝まで夜間放牧)といった管理でした。

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2頭で仲良く放牧中。今回データをとった育成馬(右)と乗馬(左)です。

朝の体重がなぜ増加したかといいますと、夜間放牧での十分な青草の採食などの理由が、逆に夕方の減少は、厩舎での制限された餌の量や昼の暑さによる消耗などの理由が考えられます。特に14歳乗馬の方は太りやすい傾向でしたので、昼間の餌の量が少なかったこと(夜間の青草採取量が多かったであろうこと)が、変動幅を大きくした要因といえるでしょう。厩舎の馬房内で管理されている競走馬の場合は、これほどの変動幅はないのかもしれません。

また興味深いことに図1をみると、前半の4日間に比べ後半の5日間で、2頭とも同じように変動の幅が大きくなる傾向がみられました。原因は不明ですが、気象条件や夜間放牧中の運動量が一因と思われます。蒸し暑い日も雨の日も夜間放牧は継続されます。天候のほかにも小動物の出現や街の騒音などに驚いて走り出すなど夜間の運動量も日によって変化があったのでしょう。馬は群れで行動する動物ですし、特に仲良く寄り添っていたこの2頭は、ほぼ同じ運動量であったと思われることも、同一の変動傾向がみられた理由ではないかと考えています。

     宮崎の育成馬24頭が揃いました。

Big Dream Stables 宮崎育成牧場の今シーズンのラインナップが揃いました。7月のセレクションセール購買牡馬4頭(当初は日高育成牧場で繋養)と8月のサマーセール購買馬13頭のあわせて17頭が95日に入厩しました。

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今回入厩した8月購買馬たちはしばらく夜間放牧を継続し、馬体の成長を促がします。写真は朝、集牧前の8月購買牡馬4頭です。先頭はタヒチアンブリーズの07(父:ボストンハーバー)。後続は左からバルジの07(父:タップダンスシチー)、ホットマイハートの07(父:スパイキュール)、エイダイヒロインの07(父:クロフネ)。

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台風13号が過ぎ去った920日より、7月購買馬を中心に、騎乗のための馴致をスタートさせました。馬はスラムインの07(父:ゼンノロブロイ)。

輸送による馬体重の変動(宮崎)

宮崎は暑い日が続き、育成馬を担当する私たちは毎日いい汗をかいています。でも夏バテで食欲が低下し、体重が落ちる人もいますし、水分の補給を怠ると熱中症などにつながりやすい時期でもあります。今回は「馬体重の変動」が話題です。

JRAではこの夏の小倉記念・札幌記念などの出走予定馬について、「調教後の馬体重」として、レースの34日前(水曜か木曜)の体重を発表しています。ただし、競走馬の体重は変動も大きく、健康な時でも一日に10kg以上も変わることがあると説明されています。一般に競走馬では、12分間強い運動を行った場合で約1ℓ(1kg)、1時間の運動で約11ℓ(11kg)の発汗があるといわれており、1回の排糞や排尿で2kg以上減ったりもします。

それでは1歳の育成馬ではどうでしょうか。育成馬の3日間での体重変動について、やや極端な例を示します。

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上の図は17月に入厩した育成馬4頭(牡馬)について、入厩時(入厩日の放牧後)と3日後の馬体重を計測したものです。最大では実に33kg!4頭の平均でも30kgの変動を示しています。これを65kgの大人に置き換えると実に60kgにまで減じたことになります。その要因としては入厩時27時間の長時間輸送による消耗が挙げられます。輸送時は馬運車内の環境に配慮して塵埃の発生につながる乾草の給餌を行いません。また、疝痛予防の観点からも、餌の量は意識的に減らしています。実際には馬自身の食欲も減退する場合がほとんどです。つまり、排糞・排尿、発汗に対し、採食量が大幅に減じることとなります。なお、給水は十分に行う必要があります。もうひとつの要因としては最初の集団放牧による消耗(4頭の順位付けが定まるまで、暑さの中、飲水もせずに発汗するほど走り回るため)です。

これほどの変動はあまり好ましいことではありませんが、この4頭は入厩後体温の上昇や食欲の減退もなく、体重も安定し、順調に放牧を継続しています。つまり一見健康で順調に入厩した場合でも、入厩時の体重は通常体重よりも大幅に減じており、3日間で30kg増加して、ほぼ正常まで回復したものと考えられます。育成馬入厩に際しては、輸送中の健康管理(体温計測、温度管理、換気、飲水、飼葉、補液)や入厩当初の放牧地における飲水確認(必要に応じて飲水場まで引いて行く)に特に気を配っています。暑熱期における水分の補給は人馬を問わず大切なことです。

     セレクト・セレクションセール購買の牝馬2頭も入厩しました。

7月のセレクトセール・セレクションにおけるJRA購買のうち、2頭の牝馬が87日に入厩しました。血統、馬体ともたいへん期待のもてる楽しみな2頭で、すでに九州市場で購買し入厩済みのゲイリーアミューズの07(父は新種牡馬ボーンキング)とともに、夜間放牧(16時~8時まで)を開始しています。3頭の新たな群れはとても仲良く、順調なスタートをきっています。

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北海道内(静内・早来)から宮崎への輸送は日本の本土を縦断する旅で、まる2日間に近い長距離輸送です。写真は函館から青森に向けての高速フェリー(本年5月に就航した東日本フェリーの通称「ナッチャンワールド」)への馬運車乗り込み風景です。従来船なら4時間近くを要する青森までを2時間で結びます。馬運車の運転席左横モニターには車内の馬の様子がきれいに映し出され、常に監視が可能です。

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仲良く牝馬3頭で放牧中です。中央に九州産馬ゲイリーアミューズの07(父:ボーンキング)をはさみ、左のタイキフレグランスの07(父:サクラバクシンオー)は、重賞勝馬アポロティアラの半妹で、体高158.5cmとひときわ大きな馬格です。右のスーパードレスの07(父:キングカメハメハ)は2歳の短距離でレコード勝ちしている母に、先日の函館2歳ステークスを勝った種牡馬という期待の配合です。