感染症 Feed

2019年8月 5日 (月)

子馬の感染症予防

No.95(2014年2月15日号)

子馬は感染症にかかりやすい
 生まれたばかりの子馬は、成馬と比較して感染症にかかる可能性が高く、生後30日以内の子馬の8%、すなわち12頭に1頭が何らかの感染症にかかるといわれています。また、出産後10日以内に死亡した子馬のうち4頭に1頭は、感染症によるものといわれています(図1)。

1_4 図1 生後間もない子馬は感染症にかかりやすい

 子馬が感染症にかかりやすい理由は、免疫機能すなわち、体内に侵入してきた病原体に対する防御機能が未発達であるためです。子馬の防御機能において、大きな役割を担っているのは抗体です(図2)。しかし、生まれてきたばかりの子馬が抗体を自らの体内で作る能力は極めて低く、その多くが体内で作られるようになるまでには、早くても生後2ヶ月、種類によっては1歳になるまで待たなくてはなりません。

2_3 図2 抗体の役割

初乳の重要性
 このため、子馬は母馬からの抗体を受け取ることにより、病原体から身を守ります。人間の場合、抗体の受け渡しは、赤ちゃんがお腹の中にいるときに胎盤を通して行われます。しかし、馬の場合、胎盤を通した抗体の受け渡しができないため、母馬は初乳の中に抗体を多く含ませることによって、子馬への受け渡しをしているのです(図3)。つまり、出産直後に初乳を飲ませることは、極めて重要なのです。なお、子馬が腸から抗体を吸収する能力は、出産後に徐々に低下していき、22時間後には50分の1になります。このため、遅くても12時間以内の摂取が推奨されています。

3_2 図3 初乳による抗体の受渡し

良質な初乳の準備
 以上のことから、子馬に対して確実に初乳を飲ませることが、子馬の感染症予防の第一歩といえます。しかし、子馬に与える初乳は抗体を豊富に含んだ良質なものでなくてはいけません。このため、分娩前の母馬に対しては、馬ロタウイルス、インフルエンザ、破傷風などのワクチン接種に加え、子馬が生まれ育つ環境である馬房や放牧地などへの早めの導入により、様々な細菌やウィルスなどの病原体に対する抗体を母馬の体内に準備しておくことも重要です。

移行免疫不全症
 移行免疫不全症とは、母馬からの抗体の受取り不足、すなわち、子馬の体内における抗体の量が不十分な状態を表しており、子馬の感染リスクが高まることが知られています。移行免疫不全症の原因の1つは、初乳内における抗体の不足にあります。分娩前の漏乳や母馬の加齢により、分娩直後であっても初乳中の抗体濃度が低い場合があります。この場合、確実に哺乳した場合であっても、子馬の血中の抗体濃度は低い値となります。このため、子馬が哺乳する前に初乳の抗体濃度を計測することが重要となります。この時点で濃度が低い場合には、母馬の初乳を飲む前に、子馬に良質な保存初乳を投与します。
 また、NMS(Neonatal maladjustment syndrome子馬の適応障害症候群)と呼ばれる出産後の低酸素脳症などの様々な原因により、分娩から時間が経過しても子馬が十分量の初乳を飲んでいない場合もあります。
 移行免疫不全症は、子馬の血液に含まれる抗体の1つであるIgGの濃度により診断します。初乳を正常に飲んだ子馬の血中IgG濃度は、通常は800mg/dl以上ですが、移行免疫不全症の場合、400mg/dl以下となります。この診断は生後8時間以降から実施可能であり、IgG濃度が400mg/dl以下の場合には、保存初乳の経口投与、もしくは血漿輸液による治療を実施します。
 出産シーズンはすでに始まっていますが、感染症を可能な限り予防し、元気で健康な子馬を育てましょう!

4_2 図4 子馬の感染症予防のまとめ

(日高育成牧場 専門役 冨成雅尚)

2019年6月24日 (月)

耐性寄生虫について –ターゲット・ワーミングの紹介-

No.89(2013年11月1日号)

 わが国のみならず世界中の馬の生産現場において、「耐性寄生虫」すなわち駆虫剤に効果を示さない寄生虫が大きな問題となっています。今回は、「耐性寄生虫」出現の背景や新しい駆虫の考え方について紹介いたします。

耐性寄生虫の発生原因
 耐性寄生虫の発生には、「すべての馬に対する駆虫」「定期的な駆虫」「同じ駆虫剤の継続投与」といったこれまで駆虫の常識と考えられ実践してきた習慣が背景にあると考えられています。では、耐性寄生虫はどのようなメカニズムで発生するのでしょうか?以下のようなモデルが紹介されています。
耐性寄生虫は突然出現するものではなく、もともと、寄生虫群のなかに存在しています(図1)。この寄生虫群に同じ駆虫剤を投与し続けると、耐性寄生虫だけが生き残ります(図2)。すると、耐性寄生虫同士の交配が増加し、耐性寄生虫が多数を占めるようになります(図3)。
 このように一度でも耐性寄生虫が多数を占めてしまった場合、耐性寄生虫は消失しません。それでは、どのような駆虫をすれば良いのでしょうか?

1_5 図1

2_5 図2

3_4 図3

ターゲット・ワーミング
 耐性寄生虫の出現を可能な限り抑制する方法として、欧米では「ターゲット・ワーミングTarget worming」と呼ばれる駆虫方法が提唱されています。ポイントは「①虫卵検査の実施」「②必要な馬に限定した駆虫」「③薬剤のローテーション」の3つです。すなわち、虫卵検査を実施して、必要な馬に対してのみ駆虫を実施する方法です。また、異なる薬剤を交互に使用することで、1つの薬剤に対する耐性寄生虫の出現を抑制します。
具体的な方法は以下のとおりです(図4、5)。

・2ヶ月間隔で繋養全馬に対する虫卵検査を実施する。
・各寄生虫につき、糞1gに250個以上の卵が認められた場合のみ駆虫する。
・イベルメクチン、ピランテル、フェンベンダゾールを交代で投与する。
・条虫駆除を目的としたプラジクアンテルは秋に1回(もしくは春との2回)投与する。
・駆虫2週間後に再検査をして、駆虫剤の効果を確認する。

 ただし、2歳未満の子馬に対しては、虫卵数に関わらず2ヶ月毎に駆虫を実施します。理由は、子馬にとっての脅威「アスカリド・インパクション(回虫便秘)」の防止です。アスカリド・インパクションは、子馬の腸管の中に回虫が充満し、最悪の場合には腸管破裂による死亡を引き起こします。成馬になると、回虫に対して抗体ができるため、若馬に対してのみ徹底的に駆虫するのです。この場合の駆虫は上記3つの薬剤を交代で使用することにより、耐性寄生虫の発生を抑えます。

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図4 虫卵検査により、大量寄生が認められた馬のみ駆虫する

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図5 薬剤のローテーション投与

寄生虫をゼロにする必要はない
 「ターゲット・ワーミング」は、薬剤感受性が高い寄生虫(薬が効く虫)を一定割合生存させておくことによって、耐性寄生虫の割合を減らすことができる方法です。これにより、駆虫が本当に必要な時に駆虫剤が効果を示すようになるのです。この方法の根底には「寄生虫をゼロにする必要がない」との考え方が存在します。
 「寄生虫=害虫=全滅させる必要がある」という概念は間違いだと考えられるようになってきました。「すべての寄生虫が馬に健康被害をもたらすか?」、この疑問は解決されていません。デンマークで行われたトロッター競走馬を対象とした調査によると、円虫卵が多く認められた馬のほうが、入着(1~3着)する可能性が高いとの結果が得られました。円虫寄生が競走パフォーマンスを高めるとは想像できませんが、少なくとも競走馬の場合には負の影響はないとも考えられます。もちろん、成馬であっても大量寄生による疝痛・栄養障害などの健康状態に与える影響は否定されていません。しかし、子馬のアスカリド・インパクションなど、本当に必要な時のために、現在有効な駆虫薬を残しておくことは極めて重要です(図6、7)。なぜなら、新たな駆虫薬の開発には長い年月を必要とするからです。

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図6 駆虫薬の効果

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図7 現在使用可能な駆虫剤は、必要な時のために温存!!

駆虫剤投与以外に実施すること
 生産現場においては、駆虫剤を投与する以外にも有効な寄生虫対策があります。

・放牧地のローテーション
・放牧地の糞塊除去
・放牧地のハローがけ(ハローがけ後は一定期間休牧)
・大量寄生馬の隔離
・過密放牧の回避
・牛・羊などとの混合放牧(異なる動物種が、馬寄生虫を食べることでその生活環を断つことができる)

 上述のターゲット・ワーミングと、これらを併用することで耐性寄生虫の発生を可能な限り抑制できると思われます(図8、9)。

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図8 「放牧地のローテーション」や「糞塊除去」は寄生虫駆除に有効な方法

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図9 アイルランドで実施されている牛との混合放牧


(日高育成牧場 専門役  冨成 雅尚)

2019年5月20日 (月)

育成馬の輸送管理

No.75 (2013年4月1日号)

 本年も4月23日(火)にJRA中山競馬場でJRAブリーズアップセールが開催されます。昨年の各1歳セールでの購買後、日高および宮崎育成牧場に分かれて入厩し、騎乗馴致を経て後期育成を終えたJRA育成馬は、セールに備えて1週間前に中山競馬場に輸送されます。馬運車10台が一団となって浦河国道を走行する、このJRA育成馬の輸送をご覧になられたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は育成馬の「輸送管理」について触れてみたいと思います。


「輸送熱」および「馬運車内での怪我」の予防
 「輸送熱」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは輸送によって発熱する病気の総称です。発熱の他にも、呼吸器の炎症に起因した咳や鼻汁を認めることも少なくありません。この「輸送熱」という病気は、重篤化すると肺炎へと進行し、治療の甲斐なく生涯を終えてしまう場合もあります。つまり「輸送管理」とは、この「輸送熱」の発症を予防することといっても過言ではありません。
また、「輸送熱」とともに「輸送管理」のポイントとなるのが、輸送中における「馬運車内での怪我」の予防です。近年の馬運車は改良が進み、特に換気に関しての工夫が施されています。さらに、輸送経路の整備に伴う輸送時間の短縮により、「輸送熱」や「馬運車内での怪我」も以前と比較すると格段に減少しています。しかし、依然として、強調教などによるストレスを受けている育成馬の輸送では、大事に至ることも皆無ではありません。


まずは馬運車に慣らす!
 馬の立場になって考えてみると、ある日突然、暗くて狭い箱の中に鞭で追われて無理やり押し込まれ、24時間以上もその中で過ごさなければならないという状況では、輸送自体によるストレス以上の精神的な不安に起因するストレスが生じるに違いありません。馬は環境に慣れる動物とはいえ、ストレスを軽減させることは「輸送管理」には極めて重要です。2歳になる育成馬にとって馬運車で輸送されることは、初めてではなく、生まれた直後の母馬の種付け、1歳セール時あるいは育成牧場に入厩する際に馬運車での輸送を経験しています。これらの経験によって馬運車内での駐立に慣れている場合もあれば、一方でこれらの経験が「トラウマ」となって馬運車に入ることを恐れている場合もあります。JRA育成牧場では、すべての育成馬に対して輸送の2~3週間前に「馬運車馴致」を実施します(図1)。これは、輸送当日に馬を積載する場所で実際に馬運車に積み、落ち着いた状態で駐立できることを目標としています。スムーズな積み込み、あるいは落ち着いた状態での駐立が困難であった場合には、日を改めて再度実施します。また、馬房が隣同士である馬を馬運車内でも隣にするなど、輸送中の馬の精神面を安定させる工夫を心掛けています。しかし、入念に馴致をしても、輸送中の突発的な事故は避けられないのが馬の輸送であります。そのために四肢の保護用のプロテクターの装着は不可欠です(図2)。

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図1.日高育成牧場での「馬運車馴致」の様子。馬運車内で落ち着いた状態で駐立できることを目標としています。

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図2.輸送中の突発的な事故は避けられないため、四肢の保護用のプロテクターの装着は不可欠です。


「輸送熱」のメカニズム
 図3のグラフは、日高育成牧場から中山競馬場までの26時間の長時間輸送を実施された32頭の輸送時間経過に伴う体温変化を示しています。輸送開始から18時間後には10%、24時間後には20%、そして中山競馬場到着時の26時間後には25%の馬が38.6℃以上の発熱を発症しました。さらに、39.0℃以上の高熱を認めた症例は、18時間後以降に増加することが分かりました。これらは「輸送開始から20時間後ごろから発熱する馬の割合が急激に増加する」という約20年前にJRA競走馬総合研究所で実施された研究と同様の結果でした。また、このJRA競走馬総合研究所での研究では、図2のように輸送中の馬の心拍数や呼吸数は、馬運車の走行と連動して増加していることも明らかとなっています。心拍数の増加は馬の不安定な精神状態を、そして呼吸数の増加は呼吸が浅く、速くなるために気道を乾燥させ、細菌などに対する抵抗性を低下させることを意味します。つまり、この研究結果から、「輸送熱」は「輸送にともなう種々の刺激が直接的あるいは間接的に馬体を冒すことにより、細菌感染に対する抵抗力が低下する結果、普段は害を及ぼさない気道中の常在菌(馬が健康な状態で持っている細菌)が日和見感染(ひよりみかんせん:免疫力が低下しているために、通常なら感染症を起こさないような感染力の弱い病原菌が原因で起こる感染のこと)し、肺に炎症を起こす」ことが主な原因であると考えられています。そして、輸送熱の予防には、馬運車内を清潔に維持すること(換気状況の改善、糞尿の処理、ホコリを少なくする工夫など)、輸送中の休憩はできるだけ長く、そして多くすること(換気回数の増加、ストレス因子の減少)などが重要であることも明らかとなっています。

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図3.日高育成牧場から中山競馬場までの26時間の長時間輸送を実施された32頭の輸送時間経過に伴う体温変化。輸送開始から20時間後ごろから発熱する馬の割合が急激に増加します。

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図4.輸送中の馬の心拍数や呼吸数の変化。馬運車の走行と連動して心拍数および呼吸数は増加します。

輸送前の抗生物質の投与による「輸送熱」予防
 近年、扁桃(へんとう)や気管内に存在する日和見感染菌に対して有効な抗菌薬を輸送開始から到着までの間、肺内(気管支肺胞領域内)に存在させることにより、長時間輸送に起因する「輸送熱」を予防することが可能かどうかについての研究を日高育成牧場から中山競馬場へのJRA育成馬の輸送時に実施しました。抗菌薬は、長時間作用型抗菌薬であるニューキノロン系のマルボフロキサシン製剤(体重1kg あたり2mgの投与量)を使用しました。馬運車への積み込み直前に抗菌薬を投薬した馬(抗菌薬投薬群)と投与しなかった馬(非投薬群)との中山競馬場到着後(輸送から26時間後)の輸送熱を発症した頭数の割合を比較した結果、図5に示すように、非投薬群では31%の馬が輸送熱を発症したのとは対照的に、投薬群では6%の馬にしか輸送熱の発症を認めませんでした。さらに、非投薬群では13%の馬が39.0℃以上の高熱を認め、中山競馬場到着後に抗生物質投与による治療が必要でしたが、投薬群では39.0℃以上の高熱馬は認められず、中山競馬場到着後に治療が必要であった馬もいませんでした。このように、ニューキノロン系のマルボフロキサシン製剤は、輸送熱予防に効果があることが確認できました。また、副作用などに関する安全性も確認されています。耐性菌の出現の問題などについて慎重に調査を継続する課題は残っていますが、輸送熱予防に効果が期待されます。

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図5.抗菌薬を投薬した馬(抗菌薬投薬群)と投与しなかった馬(非投薬群)との中山競馬場到着後(輸送から26時間後)の輸送熱を発症した頭数の割合の比較。

最後に
 わが国では、競走馬の馬運車といえば前向きに積むのが一般的ですが、世界各国では横積み、斜積みあるいは後向き積みタイプの馬運車などがあり、馬にとってどの向きで輸送するのが理想であるかについては明らかにはなっていません。今後、わが国でも横積みあるいは斜積みが一般的になるかもしれません。また、輸送熱予防にさらに有効な長時間作用型抗菌薬が新たに開発され、「輸送管理」の一助となるかもしれません。しかし、馬を輸送する際に最も重要なことは、精神的な不安に起因するストレスを減少させることです。このためにも、日常の取り扱いが極めて重要であることはいうまでもありません。つまり、人の扶助に対して従順であり、馬が人をリスペクトするように馴致することが重要であると考えられます。

(日高育成牧場 専門役 頃末 憲治)

2019年4月10日 (水)

マダニ媒介性感染症

No.64 (2012年10月1日号)

 日高地方の放牧地では、シカを始めとするキツネやウサギなどの野生動物が放牧中のサラブレッドと共存!?している姿をよく見かけます(写真1)。実は、これら野生動物の体には、様々な種類のマダニが多数寄生していることをご存知でしょうか?(写真2)。こうした「共存」は、本来、クマ笹や草むらの中に潜んでいるマダニが野生動物とともに放牧地に侵入し、サラブレッドと接触する機会を増やす可能性があります。特にマダニの活動が活発になる春と秋には、ウマの頚や胸に吸血して丸々と太ったマダニを発見することが多くなります(写真3)。

1_9 (写真1)夕暮れとともに放牧地に侵入するエゾシカの群れ

2_10 (写真2)シカの耳に寄生しているマダニ

3_7 (写真3)馬に寄生しているマダニ。
胸から頚部、頭部に寄生していることが多い(左)。当歳馬1頭から採取したダニ(右)。

病原体
 マダニの消化管には「ライム病」の原因となるボレリア(Borrelia burgdorferi)と呼ばれるらせん状の細菌や「アナプラズマ症」の原因となるアナプラズマ属(Anaplasma)のグラム陰性細菌が感染していることが疑われています(写真4)。帯広畜産大学の調査によれば、十勝地方の牛放牧地で採取されたマダニから「エールリヒア症」の原因となるリケッチア属(Ehrlichia)が高確率に検出されています。これらの病原菌は感染野生動物の血液を吸血することによりマダニの腸管内で増殖することが知られています。そのため、マダニを駆除する際にはマダニの腸管液を馬の体内に押し込まないように、注意しなければなりません。そこで、役に立つのがマダニ取り専用のピンセットです(写真5)。このマダニ取り用ピンセットの先はスプーン状になっていて、マダニの頭部だけを挟んで引っ張り抜くことができる優れ物です。これにより、マダニの腹部を押して消化管内容物がウマの体に逆流することも、頭部が皮膚の中に残ってしまうことも予防できます。

4_5 (写真4)ボレリア菌の顕微鏡像 (Microbe libraryより)

5 (写真5)ダニ取り専用のピンセット

症状と治療法
 大抵のウマは、これらの病原菌に感染しても顕著な症状を示すことは少ないようですが、ライム病の流行地域として知られる北アメリカの中部大西洋地域からニューイングランドまでの東部諸州、中西部の五大湖地域およびカリフォルニア州では、罹患すると歩様の変化が見られることが報告されています。さらに一般的な臨床症状としては、項部硬直、慢性的な四肢の中軽度の跛行、筋や神経の疼痛、緩慢な動作などの行動の変化、体重の減少、肌の知覚過敏、ブドウ膜炎、関節の腫脹などが知られています。アナプラズマ症との類症鑑別は、発熱や貧血、血小板の減少、筋肉の削痩、または運動障害といった違いがあります。血清学的診断やPCR診断により検査可能ですが、確定診断は難しく、他の疑われる疾患が否定されて始めて診断されます。治療にはテトラサイクリン系抗生物質を5-7.5mg/kgを1日1回で28日間静脈内投与が推奨されています。

日高管内における感染状況の調査
 日本のウマにおける節足動物が媒介する疾病に関しては、まだあまり調べられていないのが現状です。しかし、日高地方のウマの放牧地ではエゾシカを始めとする多くの野生動物が混在していることから、マダニを代表とする節足動物が野生動物とウマとの間で少なからず病原体を伝播していることが容易に推測されます。JRA日高育成牧場に繋養されていたサラブレッド繁殖牝馬13頭(2~20歳)、子馬9頭(当歳)、育成馬65頭(1歳)から末梢血を採取し、アナプラズマ、ボレリア、リケッチアに対する抗体陽性率を調べた結果、それぞれ3.4%、92.0%、98.9%の陽性率となり、これらの病原菌に高率に感染が起こっていることが確認されました。育成馬は日高管内で生産され1歳の夏に日高育成牧場に入厩してきたウマ達であることから、感染は生産牧場ですでに成立していたものと考えられました。また、高齢の繁殖牝馬ほど抗体価が高い傾向が認められ、病原体への暴露は毎年、繰返し起っている可能性が考えられました。

マダニ刺咬性中毒
 オーストラリアの東沿岸では、マダニの刺咬性中毒によるウマの死亡例が報告されています。マダニは吸着後、神経毒を含む唾液を刺咬部に注入します。この神経毒を含む唾液により麻痺症状を発生させたり、起立不能を呈したりする疾患です。マダニの寄生数が多い程、さらに体重100kg以下の子馬での死亡率が高いと報告されていることから、新生子馬のマダニの寄生には注意を払う必要があるかもしれません。

最後に
 アナプラズマ、ボレリア、リケッチアはヒトへも感染する「人獣共通感染症」という代物です。たかが「ダニ」と侮ってはいけません。予防にはこまめなマダニの除去が推奨されています。日頃の手入れの時にはマダニの寄生にも注意を払ってみてはいかがでしょうか。

(日高育成牧場 生産育成研究室 研究役 佐藤文夫)

2019年2月 5日 (火)

馬の感染症と消毒について

No.39 (2011年9月1日号)

 感染症の原因である「ばい菌」は大きく細菌、真菌、ウイルスに分けられます。それぞれ抗生物質、抗真菌薬、対症療法と治療法はそれぞれ異なりますが、予防対策としての消毒薬は、これら微生物に対してどのように使い分ければよいのでしょうか?

 消毒薬には様々な種類があり、それぞれ一長一短特長があります。つまり、これさえ使っていれば大丈夫という消毒薬はなく、状況に応じて使い分ける必要があります。牛や豚、鶏などの家畜は飼養頭数が多いことに加え、近年消毒の重要性が広く認識されるようになり、動物種や状況に応じた消毒方法が普及しつつあります。しかし、残念ながら馬に的を絞って消毒薬を説明した資料は多くありません。そこで、今回は一般的な消毒薬(図1)の説明に馬感染症についてのコメントを添えて紹介したいと思います。

1

図1

逆性石鹸:陽性石鹸、陽イオン性界面活性剤とも呼ばれています。一般の石鹸が水に溶けると陰イオンになるのに対して、陽イオンになるためこう呼ばれています。パコマ、アストップ、クリアキルなどが市販されています。生産地で消毒薬と言うとパコマが主流ですが、トレセンや競馬場の消毒でも同じくパコマが使われています。多くの細菌やウイルスに効果があり、安全性が高く、金属腐食性も少ないなど使い勝手が良いことからも畜産業界では広く使われています。生産地で特に問題となる馬鼻肺炎ウイルスによる流産予防にも有効です。ただ、芽胞菌(悪条件下でも芽胞という殻を形成し、生存しうる細菌。例:破傷風、ボツリヌスなどのクロストリジウム属)、抗酸菌(細胞壁に多量の脂質を有するため消毒薬に耐性を示す細菌。例:結核菌。仲間にロドコッカス・エクイ)などには効果がないと言われており、子馬に下痢を起こすロタウイルス、肺炎を起こすロドコッカスには効きません。

塩素系:逆性石鹸が効かない芽胞菌や抗酸菌にも効果があり、真菌にも効果的です。欠点としては有機物に弱く、土や馬糞で消毒槽が汚れてしまうと消毒効果がなくなる点です。ロタウイルスやロドコッカスが発症した場合には、パコマではなく、塩素系消毒薬であるクレンテやアンテックビルコンSが推奨されます。欠点は腐食性、刺激性が強いため、用途が限られることです。

オルソ系:白く、独特のクレゾール臭がするのが特徴です。芽胞菌、抗酸菌には無効です。養豚関係では古くから踏込み消毒槽に使われてきましたが、馬では一般的ではありません。

 その他にヨード系(バイオシッド、クリナップなど)、アルデヒド系(グルタクリーン、グルターZ)などがあり、これらは芽胞菌、抗酸菌、真菌にも効果がありますが、馬では一般的ではありません。

 

踏込み消毒のポイント

 消毒薬は、土や有機物が混入して汚れると消毒効果が落ちてしまいます。そこで、有機物に強く、広範囲な病原体に効果的な消毒薬が推奨されます。馬ではパコマに代表される逆性石鹸で大きな問題はないと思われますが、先に述べたようにパコマが効かない病原体もありますので、その際には別の消毒薬を用いるべきです。踏込み槽は1日に1回以上の交換が必要です。見た目に汚れていたら効果がないと考えましょう。予め履物の汚れを落とす目的で、消毒槽の前にもう1つの消毒槽(もしくは水槽)を置くことも有効です(図2)。塩素系は特に有機物に弱いため、より頻繁な交換が必要です。

3 図2

馬房消毒のポイント

 馬の入替え時や流産発生時など水平感染を遮断するためには重要なポイントです。単に消毒薬を噴霧するのではなく、「除糞→水洗→乾燥→消毒→乾燥」という流れを守ることが重要です。ポイントは、①除糞をしっかりする、②小さな凹面にも消毒薬を浸透させる、③十分乾燥させる、ことです。土や馬糞が残っていると、消毒薬が床面に浸透しません。また、微生物は非常に小さいため、小さな窪みにも大量の微生物が残っていると考えられます(図3)。また、細菌は水分がないと生存できないため、しっかり乾燥させることも重要です。馬の世界では一般に逆性石鹸が用いられていますが、塩素系やアルデヒド系の方がより適していると言えます。

2 図3

 また、消毒効果を減じる要因として、衛生害虫の存在が挙げられます。ネズミやゴキブリ、蚊、ハエなどは多くの病原体を保持しています。トレセンではネズミ捕りに加え、レナトップ、ザーテル、ビルコンといった薬剤を用いて、定期的に厩舎周辺の害虫駆除作業を行っています。

ローソニア感染症

 最後に、最近話題の感染症として、ローソニア感染症をご紹介いたします。これはLawsonia intracellularisと呼ばれる細菌による感染症で、今年7月に静内で行われた「生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム」でも大きく取り扱われました。

 豚増殖性腸炎の原因細菌として古くから知られており、致死率は低いものの、吸収不全による発育不良を起こすことで肥育上大きな問題となっています。近年、世界的に馬でも報告され始めており、北海道内でも感染が報告されるようになりました。豚と同様に小腸の粘膜が肥厚することで吸収能が低下し、慢性体重減少や間欠的な疝痛、下痢、腹部浮腫を呈します。当歳の離乳期に好発し、外見上はおなかがぽっこりし、成長が停滞します。中には発熱、元気消失、食欲不振を呈するものもいます。血液検査で低蛋白、白血球数の増加、またエコー検査で肥厚した小腸をみることで診断できます。死に至る危険性は少ないものの、アスリートである競走馬の成長期に好発するため、非常に重要な疾患であると考えられます。まだ病態の詳細が明らかではないため、生産牧場の方々においては、馬獣医学の発展のためにも、積極的な検査、治療に対するご理解、ご協力をお願いいたします。

(日高育成牧場 生産育成研究室 村瀬 晴崇)

2019年1月15日 (火)

ロドコッカス・エクイ感染症対策

No.32 (2011年5月15日号)

 繁殖シーズンも後半に突入し、子馬の疾患に悩む時期になってきました。今回は1~3ヶ月齢の子馬に肺炎を起こすロドコッカス・エクイ感染症という病気について紹介いたします。この病気の原因菌であるRhodococcus. equiは広く土壌中に生息し、昔から世界各地で発生しています。北海道では1960年頃から発生が認められるようになり、今日ではごく一般的な疾病となっています。
 過去に行われた生産地を対象にした大規模な調査において、呼吸器感染症を疑われた子馬314頭を検査したところ、61.1%もの陽性率を示しました。このことから、子馬の呼吸器感染症の場合は、まずはロドコッカス・エクイ感染症を疑うべきと言えます。

発症する馬、しない馬
 子馬が感染すると、多量の菌が気管分泌液中に排出されます。この菌が気管分泌液とともに嚥下され、消化管を通って糞便中に排出されることで土壌の汚染や、感染が拡大します。ケンタッキーの牧場調査によると非発生牧場が1ha当り0.89頭の飼育密度であるのに対し、発生牧場は1.63頭と高く、飼育密度が高いと土壌汚染が進み、子馬が感染しやすくなるということが推察されています。発症には免疫状態、牧場環境など様々な因子が関与していると考えられていますが、子馬の血液中IgG濃度(飲んだ初乳量を示す指標)や母馬の糞中菌数は発症率とは明らかな相関がないという報告もあり、どのような子馬が発症するのかという点についてはまだ明らかになっていません。

乏しい症状
 症状は一般的な呼吸器疾患と同じく咳や粘液膿性(濃く緑がかった)鼻漏、発熱、体重減少、呼吸速拍などが挙げられますが、発熱以外に症状を示さないまま進行することもあります。また、感染から発症まで2週間程度の潜伏期があると言われています。そのため、早期発見には毎日の検温や注意深い観察(元気がない、横臥時間が長い、乳を吸う回数が少ないなど)が重要です。

積極的な検査を
 ロドコッカス・エクイ感染症の治療期間は約1ヶ月と長期に渡り、薬も高価なことから治療費が高額となります。しかし、発見が早いほど治療は短くすむため、症状が乏しくても早期に積極的に検査することが重要と言えます。
 発症した子馬は血液検査、胸部エコーやレントゲンなどで異常所見を認めます。しかしロドコッカス・エクイ以外の感染症でも同様の所見を示すため、ロドコッカス・エクイであるかどうかを確定するためにはさらなる検査が必要となります。血液中の抗体の有無を調べるエライザ法は採材が簡単なため広く利用されています。しかし、厳密には抗体の上昇は「これまでに感染したことがある」ことを示すもので、その時に菌がいるかどうかを診断するためには気管洗浄液による細菌培養が最も確実です(図1)。気管洗浄液は、径5mmほどのチューブを気管に通し、気管を少量の生理食塩水で洗い回収します。気管洗浄液の採取は採血ほど簡便ではないものの、鼻捻子だけで採材することができます。検査方法の選択については牧場の汚染度や治療方法、費用などとの兼ね合いもありますので、獣医師にご相談下さい。

1_2 図1 シリコンカテーテルを用いた気管洗浄液の採取

隔離パドックの注意点
 子馬が感染した場合、一般的には小パドックなどを使用して隔離しますが、ロドコッカス・エクイ感染馬を狭いパドックに放つと土壌を高濃度に汚染します。翌年、そのパドックに生まれたばかりの子馬を放すことで感染するため、非常に危険です。感染馬を放すパドックは健康な子馬と共用しない、共用する場合にはパドックに対して以下のような積極的な対策が必要となります。

汚染土壌への対策
 予防と言えばワクチンが思い浮かびますが、細胞内寄生性という特徴をもつロドコッカス・エクイにはワクチンで増強される液性免疫(抗体の作用)よりも細胞性免疫(白血球の作用)が重要であるため、ワクチンは効きにくいと考えられています。海外では市販ワクチンや高免疫血漿が有効だという報告もありますが、否定的な報告もあり、やはり広く普及されるには至っていません。
 一旦、汚染された牧場を完全に清浄化する事は困難です。日高育成牧場では、ロドコッカス・エクイに殺菌作用を示す消石灰の撒布を試みたところ(図2)、一時的に検出されなくなりましたが、2ヵ月ほどで再び検出されてしまいました。しかし、本菌は深さ0-20cmの表層に生息すると言われているため、表土を取り除いて客土を実施し、一時的にでも汚染度を下げることで子馬の感染リスクが下がると言われています。

2_2図2 パドック消毒の試み

 また、増殖源である糞便を除去する事は非常に重要です。除去した糞便中のロドコッカス・エクイは堆肥化する過程の発酵熱で十分に殺滅されます。堆肥熟成度が不十分だと放牧地にロドコッカス・エクイを撒き散らすことになるため、適切な堆肥化(水分調整と撹拌による空気混合)を行うことが重要です。

 近年はロドコッカス・エクイ感染症による死亡例は減少しているものの、治療期間が長い、治療費がかかる、環境の清浄化が困難といった点で依然注意すべき疾患であり、特に過去に発生した事のある牧場においては早期発見のための注意深い観察、そして積極的な検査、初期治療が重要です。

(日高育成牧場 生産育成研究室 村瀬晴崇)

2018年12月30日 (日)

馬鼻肺炎(ERV)の予防

No.24 (2011年1月1・15日号)

 今回は妊娠後期の流産の代表である馬鼻肺炎について、お話させていただきます。
馬鼻肺炎ウイルスは非妊娠馬では免疫のない(過去に感染した事がない)馬に軽い発熱を引き起こします。一方、妊娠後期(9ヶ月以降)の馬に感染すると流産を起こす場合があり、日高管内においては毎年10~20頭が報告されています。馬鼻肺炎による流産は悪露や乳房の腫脹といった前駆症状もなく突然起こるため、予知や治療は非常に困難です。

感染・発症様式
 感染・発症様式は大きく2つに分けられます。1つはウイルスを含む感染馬の鼻汁や流産胎子・悪露・羊水に直接、あるいは間接的(人間の衣服や靴、鼻捻子などを介して)に接触して感染・発症するケース。もう1つは、過去に感染したウイルスが体内に潜んでいて、ストレスで免疫力が下がったときに再活性化して発症するパターンです。これはヘルペスウイルスの特徴でもあります。

続発と育成馬の関係
 馬鼻肺炎ウイルスによる流産で恐ろしいのは、牧場内で流産が続発することです。グラフをご覧下さい。同居の育成馬にウイルスが感染しなかった牧場で流産が続発した割合が35.7%であったのに対し、育成馬に感染が起きた牧場で流産が続発した割合は85.7%と高い割合を示すことが知られています。このことから流産を予防するためには、繁殖馬だけではなく育成馬の予防も重要であることが分かります。また、最初に発生した流産馬を隔離した場合には続発率33.3%であるのに対し、隔離しなかった場合には53.3%、そして育成厩舎に隔離した場合は80.0%でした(グラフ2参照)。これは感染馬を他の繁殖馬から離そうとするあまり、育成厩舎に移すと、免疫のない育成馬の間でウイルスが増幅し、結果として高い確率で流産が続発してしまうことを示しています。

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もし流産が起きたら
 流産が発生したら、まずは獣医師を呼びましょう。獣医師が家畜保健衛生所に連絡を取り、検査を依頼します。検査結果が出るまでの間は、馬鼻肺炎だと仮定して対応する事が重要です。胎子は外見上大きな異常はありませんが、胎子、胎盤、羊水には大量のウイルスが含まれています。ウイルスは野外環境で2週間以上も生存する事が報告されています。消毒は母体、胎子や胎盤はもちろんのこと、それらが付着した寝藁、馬房の壁、またスタッフの衣服、タオル、靴などにも行います。流産馬はなるべく他の繁殖牝馬と隔離した方がよいですが、前述の通り育成厩舎へ入れないようにしましょう。

予防法

 育成馬との隔離:過去に感染したことのない育成馬は容易に感染し、ウイルスを増幅します。そのため厩舎を分けるだけではなく、育成厩舎と繁殖厩舎間の移動の際には踏込み槽による消毒、上着や手袋の交換を心がけましょう。

ワクチン:ワクチンでは流産を完全に予防する事はできませんが、表を見ると接種後45日以内では続発発生が大きく抑えられていることが分かります。現行の不活化ワクチンは抗体持続時間が短いため、妊娠9ヶ月をむかえるまでに基礎接種(約4週間隔で2回)を完了し、その後も1~2か月間隔で補強接種を行う事が推奨されています。JRAでは不活化ワクチンよりも強い免疫力の付与を期待するべく、現在新たに生ワクチンの開発を行っています。

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消毒:パコマやクリアキルといった逆性石鹸、クレンテやアンテックビルコンSといった塩素系消毒薬が有効です。野外であれば消石灰も有効です。

ストレス軽減:繁殖馬の多くにウイルスが潜伏しており、ストレスがかかると再活性化し、発症する恐れがあります。そのため、妊娠後期には群の入れ替えや放牧地の移動などストレスを与えることは避けましょう。

神経疾患
 馬鼻肺炎の症状として発熱と流産がよく知られていますが、その他に神経疾患が認められる場合があります。近年、欧米では神経病原性の強いウイルス株による馬鼻肺炎の流行が増加傾向で、大きな問題となっています。この株の流行では、比較的多くの罹患馬が起立不能といった重度の神経症状を示し、致死率が高くなることが報告されています。すでに、道内においてもこの株の発生例が報告されており、十分な警戒が必要と考えられます。

まとめ
 BSE、口蹄疫、鳥インフルエンザなど、畜産における伝染病の怖さは皆さん十分にご存知かと思います。馬鼻肺炎ウイルスはこれらに比べると病原性あるいは感染力が低いウイルスですが、体内に潜伏する性質を持つため、現時点では撲滅することはほぼ不可能と考えられています。この対策としてはストレスを与えない管理やワクチン接種、また普段のこまめな消毒などが大切です。伝染病の予防は自分の牧場のためだけでなく、周辺の牧場を含めた生産地全体の問題と捉え、牧場、獣医師が一致団結して予防するという防疫意識を持っていただけたらと思います。

(日高育成牧場 生産育成研究室  村瀬 晴崇)