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2019年1月 7日 (月)

育成馬用オリジナル飼料の導入

No.27 (2011年3月1日号)

 近年、養分要求量を充足させた飼料給与の重要性が認識されるようになり、軽種馬の生産・育成の各牧場、東西トレーニング・センターにおいては各厩舎が独自に配合したプライベートブランド飼料を導入するケースがみられるようになってきました。日高育成牧場においても、こうした飼料の有効性を実際に検証するため、育成馬に対し後期育成用のオールインワン飼料として独自に開発した「JRAオリジナル10」を給与しています。


 自家製配合飼料の利点として、
① 飼料給与計画に基づいた適正な栄養管理を実施しやすく、また全体の栄養バランスを損なうことなく運動量の違いによる調整が可能である。
② 飼料配合のシンプル化により作業効率を高め、給餌者間での給与量や各飼料の給与配分のバラつきをなくすことができる。
③ シーズン毎の継続的な栄養管理の実施が可能となる
などがあげられます。

オリジナル飼料の試作
 JRA育成馬の濃厚飼料はこれまで、軽種馬飼養標準に基づき、エネルギーやタンパク質、ビタミンやミネラル等の栄養素に過不足が生じないように、エンバク、エースレーションN0.2、脱脂大豆等を飼付け時に配合し給与してきました。しかしながら、後期育成調教における運動強度が従来に比べ増加するとともに、よりきめ細やかな馬体コンディションを維持するための飼料給与管理が要求されるようになってきました。そこで、必要栄要素が過不足なくバランスよく配合されているJRAオリジナル飼料を作成することとしました。作成の際のポイントは、「運動強度が強くなった際に見られる食欲不振や濃厚飼料多給による諸問題に対応した、嗜好性がよく繊維質を十分含んだ飼料であること」でした。
試作品の嗜好性試験を重ね、出来上がったのが「JRAオリジナル08」でした。その特色は、原材料として既存の配合飼料では使われていないビートパルプを使用したことで繊維質を十分に含んでいること、ヒマワリの種子などを入れることで脂肪含量を上げ、米油等の添加が不要となることなど必要栄要素が過不足なくバランスよく配合されていることです。
 この「JRAオリジナル08」を08年と09年購買馬の2世代の育成馬全頭に給与しました。それまでの濃厚飼料内容と比較して、総量は概ね同量でしたが「JRAオリジナル08」およびエンバクの2種類とシンプルになり、配合ムラがなく馬の状態にあわせた給与が可能となりました。しかし、調教強度が上がってくる2~3月になると、特に牝馬において精神的あるいは肉体的ストレス増によると思われる食不振が高率でみられるようになりました。

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JRAオリジナル10

嗜好性の改善
 そこで、さらに嗜好性について検討し改良することとしました。「JRAオリジナル08」の残し方は3つのタイプがあり、JRAオリジナルそのものを残す、ペレットのみを残す、ペレットを粉々にして残す、といったものでした。その中で特に後者の2つのペレットを残すタイプが多く見られました。嗜好性が低下した原因は、ペレットに栄養素(特にミネラル)を詰め込みすぎたことによって、味付けが濃くなり、苦味がでてしまったのではないかと考えられました。そこで、ペレットに含まれる主な苦味成分であるマグネシウムと亜鉛の量を問題ない範囲で減少させ、さらに成分はそのままでペレット比率を増すことによって全体の味を薄くするといった改良を加えました。それが、現在の「JRAオリジナル10」です。10年購買馬全頭に対し昨夏の入厩時より給与していますが、現在のところ非常に嗜好性が良く、ほとんど残す馬は見当たりません。調教強度が上がってくる2月以降も注意深く見守っていきたいと思います。

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4_3 JRAオリジナル10の成分表


 JRA日高育成牧場として今後は、繁殖牝馬や前期、中期育成馬用のオールインワン飼料を作成し、生産・育成界に栄養バランスの優れたオールインワン飼料を提示することで、育成技術のレベルアップに寄与することができればと考えています。


(日高育成牧場 業務課 大村 昂也)

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