BTC育成調教技術者養成研修について
はじめに
公益財団法人 軽種馬育成調教センター (以下BTC)は、牧場に就労するために必要な知識と実践的な技術を備えた育成調教技術者の養成を目的に、育成調教技術者養成研修(以下BTC研修)を実施しております。平成4年の開講から500名以上の修了生が牧場へ就労し、軽種馬産業界を支える人材として活躍しています。今回はこのBTC研修について詳しくご紹介いたします。
前半の騎乗訓練と厩舎作業
BTC研修の前半は、敷地内の教育エリアで教育用馬を用いた基礎訓練に専念します。基礎訓練では、騎乗訓練と並行して正しい馬の触り方、引き馬、馬体の手入れなど馬の取扱いや、厩舎作業といった牧場に就労する上で欠かせない基本的な内容を学びます。
騎乗訓練は、騎乗経験別のグループに分け、個々の騎乗レベルに応じた訓練を行います。開講から2~3ヵ月間は、教育エリアの小さな角馬場で基本馬術、前傾姿勢等(写真1)を中心とした訓練を行います。その後、走路騎乗でのスピードコントロールに必要な競走姿勢を学び、駈歩で歩度の詰め伸ばしが自由にできるようになると、いよいよ走路騎乗へと進みます。
BTC研修の最大の特徴は、騎乗訓練中に教官が併走騎乗(写真2)で研修生を指導することです。こうすることで、研修生に騎乗姿勢の見本を示すことができる、その場で的確な指導が行える、リードホースの役割を担える等の利点があるほか、安全面からも突発的な事象に迅速に対応することができます。
写真2 グラス坂路馬場での教官(左)が併走した騎乗訓練
後半の騎乗訓練と厩舎作業
研修後半は、JRA日高育成牧場の全面協力のもと、実際の育成馬である「JRA育成馬」を用いて「若馬の取扱い」、「若馬が競走馬になるための基礎トレーニング(馴致実習)」、「実践的な騎乗」等を学びます。また、これらに並行して教育用馬での騎乗訓練もレベルアップしていきます。BTC調教場の広大な施設をフル活用した訓練を行うほか、若馬への騎乗準備として、騎乗バランスを習得するための障害飛越訓練を行います。こうした訓練を積み重ね、12月からはJRA育成馬騎乗実習(写真3)を迎えます。この研修では、実際に育成調教中のJRA育成馬に騎乗し、ブリーズアップセールまでの実践的な騎乗訓練を行います。
写真3 JRAブリーズアップセールに向けたJRA育成馬騎乗実習
学科・実技&課外研修
また学科では、教官、BTC獣医師のほか、外部講師を招いて、馬に関する基本的な知識から専門的な知識までを幅広く学習します。学科の多くは、1時限目の座学で受けた講習内容について2時限目に実習を行い、3時限目の試験で学習状況を確認します。実技講習では、バンテージの巻き方からセリ市場での馬の展示方法等、日常の取扱いに必要な技術はもちろん、草刈り機実習、厩舎内外の維持管理、用具の取扱い等、環境整備や牧場管理の重要性についても学びます。
課外研修では、種馬場、民間牧場、セリ市場および競馬場(写真4)などの軽種馬関連施設の見学だけでなく、 レクリエーション的に楽しめる研修や、防災訓練、普通救命講習といった研修も行います。このほか、BTCの研修だからこそ実現できる課外研修を数多く実施しています。
写真4 JRA札幌競馬場開催見学
おわりに
BTCでは、ホースマンとしての技術はもちろん、社会性や協調性についても養えるような研修の実施に取り組んでおります。また、今後の研修がより良いものとなるよう、修了生や研修生の就労先へのアンケート調査を行い、結果やご意見を次回の研修内容にフィードバックするよう努めています。今後とも皆様からのご協力をお願いいたします。
🏇育成調教技術者養成研修 体験入学会 & 第38期生募集のお知らせ🏇
〇BTC研修体験入学会を令和元年7月26日(金)・8月27日(火)に北海道・浦河で開催します。
※8月の体験会はBOKUJOB事務局で受付を行います。
〇令和2年4月からの研修生(第38期生)を募集しています。応募条件は以下のとおりです。
・研修修了後、必ず軽種馬の生産・育成に3年以上携わることのできる者
・入講時、中学校卒業以上の学歴を有する者
・厩舎作業および騎乗訓練を行うのに支障がない者
※乗馬経験は問いません。
第38期生受講願書等の受付は「9月6日(金)必着」です。
<お問い合わせ> 詳しくは下記にお問い合わせいただくかHP(「BTC 研修」で検索)をご覧ください。
教育課 教育係 TEL 0146-28-1001 9:00~17:00(土日祝休)
メールでのお問い合わせは kyoiku@b-t-c.or.jpまでお願いします。
軽種馬育成調教センター 業務部 教育課 小守智志
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