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2019年8月21日 (水)

ブリーズアップセール生誕10年

No.102(2014年6月1日号)

JRAブリーズアップセール(BUセール)は、お蔭様で今年節目の10年目を迎えることができました。これは皆様が当セールを支援してくださった賜物であり、当紙面をお借りして厚く御礼申し上げます。本稿では、改めて10年の歴史を振り返ってみたいと思います。

BUセールの誕生
 BUセールは、生産育成研究業務の一環として、JRAが1歳市場で購買した馬および生産馬(JRAホームブレッド)であるJRA育成馬を、競走裡で生産育成方法を検証するために売却するプライベートセールです。売却方法をセリ方式に変更するに当たっては、市場振興に寄与することを念頭に、二つの基本理念を設定しました。
 一つは「安心して参加できるセール」です。上場馬は今後の調教や出走に耐えうると判断した馬に厳選し、個体毎にセールまでの病歴や調教状況等の履歴を記載(図1)するとともに、関節部のX線画像やノドの内視鏡動画等の医療情報を開示しました(レポジトリー)。また、レポジトリーの活用方法を冊子や講習会等で普及したことにより、多くの民間セリ市場でレポジトリー情報は開示されるようになりました。

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図1)個体冊子の例 

 もう一つは「早期の競馬デビューにつながる調教供覧」です。トレーングセールはタイムが速い馬が高くなる傾向にありますが、若馬の時期に過度の負荷をかけ過ぎることで、本来、即戦力と期待されているトレーニングセール取引馬のデビューが遅れてしまう危険性が指摘されていました。そこで、2歳早期に出走できることを目標として、スピードを求めるのではなく、馬の自然な動きをみていただくことをポリシーとしました(図2)。BUセールという名称には、極端に速いスピードを求めない英国のブリーズアップセールを範とする、JRAの決意が込められています。

2_3 図2)2歳競馬開幕から8週までのJRA育成馬出走状況:30~40頭の
JRA育成馬が出走し、全出走馬の6~7%を占める。

JRAホームブレッド上場
 JRAでは生産から初期・中期育成期の課題解決を目的として、2008年から繁殖牝馬に交配し、生産から育成までの一貫した研究業務を開始しました。そして、2011年第7回BUセールにJRAホームブレッドの第1期生5頭を初めて上場し、4頭が売却されました、その中の1頭であるマロンクンは、JRAホームブレッドの中央競馬勝利第1号となりました。

ファイナルステージ創設
 欧米の多くのセリ市場では、市場外取引を規制し、売却率を向上させるため、セリ市場前後の一定期間において売買された場合、市場取引とみなすアウトサイドセールが導入されています。2011年第7回BUセールから、わが国におけるアウトサイドセールのニーズを検証するため、主取馬を翌日にFAXでビッドできる「ファイナルステージ」を創設し、主取馬3頭のうち2頭が売却されました。翌年以降は全頭がセール当日に売却されたため、ファイナスルテージは実施されていませんが、今後も検討していきたいと考えています。

新規馬主限定セッション創設 
 新規馬主の方がセリ市場へ参加しやすい環境づくりの一環として、2012年第8回BUセールから、JRAホームブレッドを中心に「新規馬主限定セッション」を創設しました。また、それに併せて、日高・宮崎両育成牧場では「育成馬を知ろう会」を開始しました。本取組みが、新規馬主の方がセリ市場に足を運び、馬選びから始まる競走馬を持つことを楽しんでいただく入口になればと期待しています(図3)。

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図3)新規馬主の来場・購買状況

近年、新規馬主の方の来場や購買が増加している。

 さらに、BUセール前日の「前日展示会」の開催や民間セリ主催者ブースの設置等、市場振興に寄与するため、様々な企画を実施しています。今後ともBUセールの取組みに対して、皆様のご理解ご支援をよろしくお願いします。 

(日高育成牧場 場長 山野辺 啓)

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